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産業ストレス学会発行「産業ストレス研究」に当社社員の論文が掲載

2021年12月22日

このたび、産業ストレス学会が発行した「産業ストレス研究」に当社の社員が執筆した論文が掲載されました。
詳細は以下の通りです。

■学会名:産業ストレス学会
■雑誌名:産業ストレス研究
■論文タイトル:労働者に対するストレス介入方法の有効性の検討の試みⅠ
■論文内容:以下参照

<要点>
・アドバンテッジ相談センターでカウンセリングを実施し、集積したデータの一部を用いて、労働者に対するストレス介入方法として有効なものは何か、また相談センターのカウンセリングの中でどのような手法が用いられているかを検討した。
・2018年4月から2019年4月の間に弊社相談センターにて実施された対面(来所型)カウンセリングのカウンセリング記録約3300件の記録を確認し、相談の主訴に関してどのような手法が用いられているかを分析した。
・その結果、相談センターのカウンセリングでは認知行動療法を用いることが多く、全体の半数以上を占めることが明らかになった。
・一方で、傾聴、受容といった手法も選択されており、イシューやクライアントの状況を、専門的(臨床心理学的)な立場から見立て、柔軟に対応している
・なお、カウンセリング(ストレス介入方法)の効果検証については、今後精緻な研究デザインによる検討が必要である。

<ポイント>
・アドバンテッジ相談センターは、認知や行動変容を促すことを目的とした認知行動療法を主としたカウンセリングを提供しているEAPベンダーである。
・認知行動療法は治療の一環としてだけではなく、“健康の人をより健康に”というポジティブヘルスの実現(ウェルビーイング)にも応用可能である。
・アドバンテッジ相談センターでは認知変容より、行動変容に主眼を置いた介入が多いので、企業ニーズとのシナジーが大きい。
・一方では認知行動療法だけではなく、相談内容やクライエントの状況を専門的(臨床心理学的)な立場から見立て、フレキシブルな対応が取ることが可能である。

上記論文の課題を踏まえて、カウンセリングの効果検証プロジェクトを立ち上げ、第26回日本キャリア・カウンセリング学会で以下の通り発表を行った。

■発表タイトル:認知行動療法を用いた短期解決型カウンセリングの効果と今後の課題
■発表内容:以下参照

<要点>
・アドバンテッジ相談センターでは契約企業の従業員・家族に認知行動療法を用いた短期解決型カウンセリング(アドバンテッジタフネス カウンセリング)を提供
・依然としてカウンセリング=メンタル不調者が行く場所というイメージが強く、場合によっては支援が必要であっても利用されないこともある
・これまで測定してきたのは顧客満足度のみだったが、利用の敷居を下げるためにはカウンセリングの効果を明瞭にする必要性があると感じ、「ストレス原因」、「メンタルタフネス度」を指標として効果の検討を行った。
・カウンセリング利用者にアンケート回答いただきデータを収集・分析を行った。カウンセリング1回目にPreデータを取得、その後、カウンセリング終結時あるいは5回目でPostデータ取得した(現時点で得られているのは14名分のデータである)。
・その結果、カウンセリング前後で「ストレス原因」、「メンタルタフネス度」が有意に向上したことが確認出来た。特に「ストレス原因」の下位因子である「仕事の難しさ」、「職場の安全性」、「メンタルタフネス度」の下位因子である「対処できる思考」、「相談行動」、「物事を重く受け止める傾向」が有意に向上したことが確認出来た。
・なお、現状では得られているデータ数が少ないため、今後もデータ収集を継続し検討を進めていく予定である。

<ポイント>
・上記結果より環境に対する相談者自身の認知の再構成(リフレーミング)が起きたことが考えられる。
・また、このような変化を介して、「ストレス原因、「メンタルタフネス度」は変えることが出来る(カウンセリングで話をすることや、自分なりの振り返りを行うことによって自分自身が変化していくことが出来る)ということを相談者に共有することによりカウンセリングが自己肯定感を作る機会になる可能性があると考えられる。
・今後はデータ蓄積・分析を継続するとともに「ストレス原因」、「メンタルタフネス度」の各下位因子がどのように関係をしているのか、どのような機序で変化をしているのかといったモデルを検討することを通じてより良いサービス提供につなげていく予定である。

■第一著者プロフィール
鈴木潤也
株式会社アドバンテッジリスクマネジメント 「人」ソリューション部 担当課長(臨床心理士、公認心理師)

青山学院大学大学院 教育人間科学研究科心理学専攻博士後期課程単位取得満期退学(修士(心理学)/青山学院大学)。教育機関にてスクールカウンセラーとして勤務。その後、複数の教育機関内の学生相談室でのカウンセリングを経験。精神科クリニックで心理士として勤務。私立大学にて講師として従事。2016年に、株式会社アドバンテッジ リスク マネジメントへ入社し、カウンセリングサービス提供部隊に参画。以後、同部署にてカウンセリング対応、カウンセリングの効果検証・学会発表に関する業務を担当し、カウンセリングで得た知見をアカデミックな領域に展開し、日々より良いカウンセリングサービスを提供するための活動を精力的に行っている。主として関わった学会発表としては「EAP における短期認知行動療法の有効活用についての検討Ⅰ」(産業カウンセリング学会、2019)、「コロナ禍におけるストレスに対するEAPとしてのアプローチの検討」(産業ストレス学会、2020)、「認知行動療法を用いた短期解決型カウンセリングの効果と今後の課題」(キャリア・カウンセリング学会、2021)がある。また、著書に「認知行動療法事典」(分担執筆、丸善出版、2019)がある。