メンタルヘルスケアの意義と重要性~4つのケアとは?

Facebookでシェア ツイート

近年は、ストレスの時代とも言われるように、世界的にメンタルヘルスの不調者が増え続けています。2015年に行われたWHOの調査によると、世界のうつ病者数は3億2000万人を超え、しかも直近の10年で18%以上も増加しています。

この傾向は、日本のビジネスマンももちろん例外ではなく、厚生労働省の「労働安全衛生調査(平成30年)」によると、働く人の58.0%が仕事や職業生活において強い不安、悩み、ストレスを感じているというデータが出ています。

メンタルヘルスの健全さが仕事の成果や人生のあり方に大きな影響を与えることは言うまでもありません。いまや多くの企業にとって、従業員の心の健康は無視できないテーマとなっています。本記事では、企業がメンタルヘルスケアを行う意義と重要性を解説します。

メンタルヘルスケアの意義

企業が従業員のメンタルヘルス対策を行うことには、メンタルヘルスの不調者を減らすだけでなく、以下のような様々なメリットがあります。

1.労働者の心の健康保持増進
全従業員がメンタルヘルスの基本知識を持つことで、自分自身や他の方のメンタル不調に気付きやすくなります。また、不調が起きたときの対応も適切になるため、従業員全体の心身の健康を保持しやすくなります。

2.事業場の健康リスクマネジメント
適切なメンタルヘルスケア対策を行うことで、従業員のうつ病あるいはストレスに起因した心疾患、脳疾患などを未然に防止し、休職や離職する従業員の数を減らすことができます。

3.職場の活性化と生産性の向上
仕事のパフォーマンスは、人の心が前向きで意欲的な状態のときに上がります。メンタルヘルスケア対策を行うことで、従業員の心身が安定し、結果として生産性が上がり業績の向上に繋がることも期待できます。

4.社会的責任(CSR活動)
企業活動を展開するにあたっては、ステークホルダー(利害関係者)に対して責任ある行動を取り、説明責任を果たすことが求められています。そのステークホルダーには従業員も含まれます。従業員の健康管理への配慮はCSRの重要な要素であり、従業員のエンゲージメントの向上や、消費者や投資家などからの高い評価や企業価値の向上に繋がることになります。

メンタルヘルスケアの重要性

メンタルヘルスの問題は当事者にならないと「甘え」「特殊なケース」と判断されがちです。メンタルヘルスケア対策の実施にあたっては、経営層から一般社員までの全員がその重要性を理解する必要があります。

経営層レベルからメンタルヘルス対策を推進

全従業員の理解を得るためにも、経営層が率先してメンタルヘルス対策を推進することが望ましいと言えます。あるいはオフィシャルな場でメンタルヘルスの重要性に触れるなど、会社として取り組んでいる姿勢を見せることが大切です。

規模の大きな企業では、メンタルヘルスケアに取り組む部門と人材開発や組織開発に取り組む部門が異なるケースがありますが、経営層からのコミットメントを得ることによって、複数部門間の連携がしやすくなり、目的が重複している部分についての無駄を省くことができます。

衛生委員会の活用による労使の参加、産業医等からの助言・支援

メンタルヘルス対策は衛生委員会のテーマとして推進するとスムーズに取り組むことができます。衛生委員会のメンバーを通じて現場からの意見、アイデアを収集することで、より実態に即した対策が可能となります。また、社内の産業医保健師に参加してもらうことで、専門的な対策が可能となります。

4つのケアを念頭においた活動計画の立案と実行

厚生労働省はメンタルヘルス対策において、「セルフケア」、「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」及び「事業場外資源によるケア」の4種類のケアを推奨しています。この4つのケアを念頭において施策を進めると効果的です。

メンタルヘルス「4つのケア」とは?

ここでは、4つのケアについて具体的に説明します。

① セルフケア
従業員が自分自身で行うケアを指します。セルフケア研修などでメンタルヘルスについての基本を学ぶことで、自らのストレスに気付き予防対処することがある程度可能になります。また、年に1回実施することが義務付けられているストレスチェックによる判定で自分の心身の状況を把握することも有効です。

② ラインによるケア
部下を持つ管理監督者が行うケアのことを指します。管理監督者は日ごろから職場に目を配り、部下の相談に応じながら、職場環境の改善や部下の異変※の早期把握と対応、メンタルヘルス不調者の職場復帰支援などを担い、職場の活性化を目指すことが求められます。
※部下の異変の例:早退、遅刻、無断欠勤、不自然な言動、ミスや事故が増える、ほか

③ 事業場内産業保健スタッフ等によるケア
50人以上の従業員がいる事業場には産業医の選任義務があります。また、規模が大きい組織などでは、産業医以外に保健師や看護師、心理士などが在籍していることもあります。そのような専門的な知識を持つ産業保健スタッフと人事総務部門のスタッフなどが連携して、効果的なセルフケアとラインケアが実施できるよう、企業内のメンタルヘルス対策の企画立案や推進などを行います。

④ 事業場外資源によるケア
メンタルヘルスケアには専門知識が必要なため、専門的な機関のアドバイスやサポートを取り入れたほうが安全かつ効果的です。産業医にもそれぞれ専門があるためメンタルへルス領域の対応ができないという場合があります。事業場内の産業保健スタッフと外部の専門機関の協力体制を取ることで、より効果的な施策を実施することが可能になります。

事業場外資源によるケアには以下の種類があります。
・従業員支援プログラム(EAP)
・労災病院・診療所
・都道府県産業保健推進センター
・地域産業保健センター、ほか

まとめ

企業がメンタルヘルスケア対策に積極的に取り組むことは、従業員個人を支援するという意味でも、企業の生産性や企業価値を向上させるという意味でも多くのメリットがあります。

誰しもがメンタルの不調に陥る可能性があるストレスフルな時代のため、しっかりとメンタルヘルス対策を行っていく企業こそが、競争力を高め業績を上げていく可能性が高いと言えるでしょう。

(Visited 38,977 times, 1 visits today)

【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
363万人以上へのサービス提供実績と、健康経営銘柄2022に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「個と組織の未来基準の元気を創る」トピックスをお届けします。

Facebookでシェア ツイート

関連記事RELATED POSTSすべて見る>>