メンタルヘルスケアとは?意義と重要性、「4つのケア」と具体施策も解説

メンタルヘルスケアとは?意義と重要性、「4つのケア」と具体施策も解説

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現代はストレスの時代とも言われており、多くの企業にとって、従業員の心の健康は無視できない課題となっています。職場でメンタルヘルスケアを実践することは、従業員自身がいきいきと働けるだけでなく、企業にとっても重要な意義があります。
本記事では、企業がメンタルヘルスケアに取り組む意義や重要性、施策の推進方法について解説します。メンタルヘルスケアの必要性を感じている経営者や人事担当者の方は、ぜひ参考になさってください。

メンタルヘルスケアとは

メンタルヘルスとは

まずは、メンタルヘルスケアの定義と、組織課題として重要視されている背景についてみていきましょう。

メンタルヘルスケアの定義

厚生労働省では、メンタルヘルスケアについて下記のように定義しています。

メンタルヘルスケアとは、全ての働く人が健やかに、いきいきと働けるような気配りと援助をすること、およびそのような活動が円滑に実践されるような仕組みを作り、実践することです。

また、厚生労働省は、メンタルヘルスケアの対象を「全ての従業員」としており、それぞれの状態に合ったケアをすることが大切です。

①健やかに、いきいきと働いている健康な人
②勤務はしていても過剰なストレス状態にある半健康な人
③ストレス関連疾患に罹ったり、精神障害の症状を呈している人

メンタルヘルスケアが重要視される背景

2021年に実施された、厚生労働省の「労働安全衛生調査(実態調査)」(※1)によると、働く人の53.3%が「仕事や職業生活に強い不安やストレスとなっていると感じる事柄がある」と回答しています。
(※1)厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)

また、仕事上のストレスを起因とする精神障害の労災請求、認定件数は年々増加しており、休業・退職原因のトップでもあります。

メンタルヘルスケアは、不調時のケア、悪化させないための二次予防ではなく、不調に陥る前に自身のストレスの状態に気づき、職場組織として対策していく「一次予防」が特に重要です。これを受け、「未然予防」に目的を置いたストレスチェックが、2015年より従業員数50人以上の事業所で義務化されました。メンタルヘルスケアへの取り組みは、安定的な組織運営の観点からも重要です。

メンタルヘルスケアに取り組む意義

メンタルヘルスケアに取り組む意義

単にメンタルヘルスの不調者を減らすことだけが、メンタルヘルスケアに取り組む意義ではありません。従業員一人ひとりの心の健康を保つことは、本人にメリットがあるだけでなく、企業側にもプラスの影響をもたらします。

従業員の心の健康維持・促進

全ての従業員がメンタルヘルスの基本的な知識を持つことで、自分自身や他の従業員のメンタル不調に気づきやすくなります。また、不調を感じた際も適切に対処できることから、従業員全体の心身の健康維持につながります。

職場の活性化・生産性の向上

メンタルヘルスケアを行うことで、従業員の心身が安定すると、その従業員が本来持つ正常な判断力や思考力、クリエイティビティを取り戻すことができます。仕事のパフォーマンスは、心が前向きで意欲的な状態のときに上がるため、結果として生産性が上がり、業績の向上も期待できます。

企業の競争力強化・人材獲得力の向上

従業員のメンタルヘルスケアに注力することは、企業全体のイメージアップにも寄与します。

企業の将来性を判断する指標は年々多様化しています。特に近年は、人材を「資本」として考え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげる「人的資本経営」や、従業員の健康管理・増進を経営的な視点で推進する「健康経営」への取り組みが重視されています。
また、「従業員が心身ともに幸福な状態で働けている企業が成長する」「従業員の幸福度が業績を左右する」という、ウェルビーイング経営に着目して企業を評価し、投資判断に活かす動きも増えています。企業の競争力強化、またCSR活動という文脈でも、従業員の健康管理への配慮は重要な要素であり、企業価値の向上に貢献するでしょう。

基本概念「3つの段階」と「4つのケア」

基本概念「3つの段階」と「4つのケア」

メンタルヘルスケアには「3つの段階」があります。さらに、厚生労働省はメンタルヘルス対策において、「セルフケア」、「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」および「事業場外資源によるケア」の4種類のケアを推奨しています。メンタルヘルスケア施策を進める際は、「3つの段階」と「4つのケア」を念頭におくと効果的でしょう。

メンタルヘルスケアの「3つの段階」

まずは、メンタルヘルスケアの「3つの段階」について解説します。メンタルヘルスケア施策は、それぞれの段階ごとに進めることが大切です。

一次予防【未然防止】
一次予防は、ストレスを起因とするメンタルヘルス不調を未然に予防する段階です。従業員が各自で取り組むストレス緩和ケアや、職場環境の改善などが当てはまります。
具体的な施策としては、業務量の見直しや従業員一人ひとりのメンタルヘルス意識向上を図るための、ストレスマネジメント研修の実施などが挙げられます。ストレスチェック制度は、ストレスの状態を把握することでメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的としており、一次予防の仕組みと位置付けられています。

二次予防【早期発見】
二次予防は、メンタルヘルス不調を早期発見し、適切な処置を行う段階です。具体的には、従業員本人が自身の不調に気づいた際に、自主的に相談できる相談窓口の設置や、産業医との面談機会を設けるといった施策です。

また、メンタルヘルスケアを専門とする外部機関との連携も効果的です。同僚・上司など、周囲が異変にいち早く気づき、気兼ねなく相談できる職場風土の醸成も重要です。

三次予防【職場復帰支援】
三次予防は、メンタルヘルス不調により休職した従業員の職場復帰をサポートする段階です。休業から業務復帰までの流れを明確にし、制度化・ルール化することが必要です。

施策としては、休職の不安や焦りを緩和するための精神面のフォローや、復帰後に無理をさせないような業務量の調節、専門家の指導による職場復帰支援プログラムやトレーニングの導入などが挙げられます。三次予防を適切に実施しないと、再発や離職を招く可能性があるため、慎重かつ適切なフォローが求められます。

4つのケア:①セルフケア

セルフケアとは、従業員が自身のストレスに早めに気づき、適切に対処・予防することです。セルフケアには正しい知識が重要なため、セルフケア研修などによって、メンタルヘルスの基本を学ぶことが大切です。

また、年に1回実施することが義務付けられているストレスチェックによる判定で、自分の心身の状況を把握することも有効です。

4つのケア:②ラインによるケア

ラインによるケアは、部下を持つ管理監督者が行うケアのことを指します。管理監督者は、日ごろから職場に目を配り、部下の相談に応じながら、職場環境の改善や部下の異変(※2)の早期把握と対応、メンタルヘルス不調者の職場復帰支援などを担い、職場の活性化を目指すことが求められます。
(※2)部下の異変の例:早退、遅刻、無断欠勤、不自然な言動、ミスが増える、ほか

実効性のあるケアにつなげるためには、監督者自身が、研修などを通してメンタルヘルスケアや不調予防の視点をもつ必要があります。

4つのケア:③事業場内産業保健スタッフ等によるケア

事業場内産業保健スタッフ等によるケアは、産業医や衛生管理者などによる支援のことです。50人以上の従業員がいる事業場には産業医の選任義務があります。また、規模が大きい組織などでは、産業医以外に保健師や看護師、心理士などが在籍していることもあります。

専門知識を持つ産業保健スタッフと、人事・総務部門の従業員などが連携して、効果的なセルフケアとラインケアが実施できるよう、企業内のメンタルヘルス対策の企画立案や推進などを行います。

4つのケア:④事業場外資源によるケア

事業場外資源によるケアとは、メンタルヘルスケアの専門知識を持つ外部機関や、サービスを活用することです。企業が抱えるメンタルヘルスの課題に対し、専門的な機関のアドバイスやサポートを取り入れて解決を目指したい場合に有効です。
また、事業場内の産業保健スタッフと専門機関の協力体制を構築することにより、より効果的な施策実施が可能となります。

事業場外資源によるケアには以下の種類があります。
・従業員支援プログラム(EAP)
・労災病院・診療所
・都道府県産業保健推進センター
・地域産業保健センター、ほか

メンタルヘルスケアの具体的施策例

メンタルヘルスケアの具体的施策例

厚生労働省の「従業員の心の健康の保持増進のための指針」によると、以下を積極的に取り組むように推奨しています。

1.メンタルヘルスケアを推進するための教育研修・情報提供
2.職場環境等の把握と改善
3.メンタルヘルス不調への気付きと対応
4.職場復帰における支援

上記を踏まえ、企業でできる具体的な取り組み施策を紹介します。

ストレスチェックやパルスサーベイの活用

年に1度のセンサス(大規模調査)として実施されるストレスチェックは、自身のメンタル状況を確認できる機会であり、従業員の関心も高まるタイミングです。受検結果を活用し、各従業員に適した学びをレコメンドするなど、改善に向けた行動を促しましょう。

アドバンテッジタフネス

当社アドバンテッジリスクマネジメントが提供するストレスチェックを起点とした組織改善ワンストップサービス「アドバンテッジ タフネス」では、回答者のストレスチェック結果に応じておすすめの学習コンテンツが表示されます。

ストレスチェックを補う形で、パルスサーベイも実施すると良いでしょう。パルスサーベイとは、従業員自身や組織の状態に関して、短期的に繰り返し行う調査です。月1回など定期的に調査するため、変化に気が付きやすいメリットがあります。

アドバンテッジpdca

当社アドバンテッジリスクマネジメントが提供するパルスサーベイ「アドバンテッジpdCa(ピディカ)」では、設問内容と数をカスタマイズすることで回答者の負担を抑えられるほか、年一回のセンサス(大規模調査)と連動させることで状態の変化を精微に捉え、細かなPDCAを繰り返すことができます。


結果の数値が低く、メンタル不調の兆候が表れている場合には、従業員と1on1を設けるなどして話を聞き、ボトルネックになっていることがないかヒアリングするなど、メンタル不調を取り除くためのアクションを行っていきましょう。

メンタルヘルス研修の実施

メンタルヘルス研修の実施により、従業員にメンタルヘルスに関する正しい知識を伝えることができます。正しい知識を持つことは、自身のメンタルヘルスの不調にも気付きやすくなり、セルフケアを進んで行うなど、ストレス軽減への対処にもつながります。

研修は全従業員を対象に、かつ年1回など定期的に実施し、リマインドや知識のアップデートを行いましょう。また、管理職向けに、メンタル不調者の早期発見やアプローチの重要性を教育することも大切です。

<メンタルヘルス研修のテーマ例>

  • ストレスへの理解と対処法
  • メンタルタフネス度の向上
  • 【管理職向け】メンタル不調者の早期発見とアプローチ法 など

アドバンテッジリスクマネジメントが提供するメンタルヘルス対策研修はこちらから

産業保健スタッフや外部によるサポート体制構築

前項でもお伝えした通り、メンタルヘルスケアは不調を未然に防ぐ「一次予防」がもっとも重要です。しかし、従業員が大きなストレスを抱えてしまった場合に備え、対策を行っておく必要もあります。

例えば、産業医など専門家によるサポート体制を整え、従業員に高ストレス状態が認められたりメンタルヘルスに不調をきたしていたりした場合に、すぐにケアできるようにすると良いでしょう。

従業員が社内の人間関係に悩みを抱えている場合、社内で相談できる人がいない可能性もあります。そのため、誰でも利用できる外部の相談窓口を設置し、活用を促すのもおすすめです。その際、匿名で相談でき、秘密も守られるため、安心して利用できる旨を周知することも重要です。

メンタルヘルスケア推進のためのポイント
全従業員の理解を得るためにも、経営層が自らメンタルヘルスの重要性に触れる、率先してメンタルヘルス対策を行うなど、企業として取り組みを推進している姿勢を見せることが大切です。

(まとめ)メンタルヘルスケアを推進し企業力を向上

メンタルヘルスケアを推進し企業力を向上

企業がメンタルヘルスケア対策に積極的に取り組むことは、従業員個人を支援するという意味でも、企業の生産性や企業価値を向上させるという意味でも多くのメリットがあります。

誰しもがメンタルの不調に陥る可能性があるストレスフルな時代のため、しっかりとメンタルヘルス対策を行っていく企業こそが、競争力を高め業績を上げていく可能性が高いと言えるでしょう。

アドバンテッジタフネス

アドバンテッジリスクマネジメントは、ストレスチェックを起点とした組織改善ワンストップサービス「アドバンテッジ タフネス」を提供しています。
当社の独自指標である「メンタルタフネス度」により、より多角的な視点から組織の現状・課題を見える化。それぞれの課題に合ったソリューションをご提案します。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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