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新型コロナ禍、企業における産業保健意識が向上 産業医の役割に変化 課題はメンタルヘルス不調への対応

2021年03月02日
株式会社 アドバンテッジ リスク マネジメント
代表取締役社長 鳥越 慎二
(東証第一部 コード8769)

株式会社アドバンテッジ リスク マネジメントは、このたび新型コロナウイルス流行前後における産業医の産業保健活動への影響および業務内容の変化等の把握をするため、産業医を対象にアンケートを実施しました。

当社に登録されている現職の産業医から得られた回答より、以下のことが明らかとなりました。

 

■結果の概要

  • 産業保健業務を実施している企業において、この半年以内に予定外の追加業務が発生したと回答した割合は6割以上にのぼる。
  • 例年(新型コロナウイルス流行前)に比べて、予定外の追加業務の発生頻度について、「多い」(「とても多い」「やや多い」)と回答した割合は、約半数にのぼる。
  • 予定外の追加業務が実施された形式は、「訪問」、「電話・メール」、「オンラインツール」がそれぞれ同程度の割合となった。
  • 追加業務の内容は、コロナ影響に伴うメンタル・フィジカル対応や休復職者対応が多くを占めた。
  • コロナの影響に伴うオンライン対応業務では「休復職者対応」が最も多くを占めた。
  • 新型コロナウイルスの流行前と比べて、産業医職務で大きく変わった点は、「オンラインツールの活用」、「健康意識の向上」が多く挙げられる。
  • 担当企業における健康課題として最も多いのは、「メンタル不調者等への対応」。次いで、「フィジカルの発生予防や重症化予防」と続く。

 

 

【考察】

オンラインツールの活用が進むなかで、訪問対応が必要となる業務は依然としてある。対面での対応が推奨されるメンタル不調者対応は、訪問することが望ましいとされているが、オンラインでできること、直接確認でなければいけないことの整理をより一層進める必要がある。

新型コロナウイルス流行を契機に健康意識が高まり、企業における産業医の重要性が増してきた。一方で、感染症対策に傾倒しすぎていることに懸念する声も聞かれる。企業の疾病予防の意識が高まったことを契機に、健康教育施策を受け入れやすい環境になっているともいえるが、いまだ感染症対策が優先事項のため、他の健康施策を講じる時間が確保できないという課題もあきらかになった。

従業員の在宅勤務が進み、オンライン化も進むなかで職場巡視の形骸化も懸念され、時代に合わせた巡視  実施方法の検討は、今後も引き続き必要である。課題として挙げられるメンタル面、フィジカル面の不調が目に見えづらい状況となっているため、人事労務部門と連携し、注視していくべきだと考えられる。

休復職者対応については当社の産業医サービスにおいて、「復職者面談」の業務が増加傾向にある。

リモートワークが進んだことで従前の出社を前提とした勤務形態からの変化や、一部企業で実施されてきた復職前の慣らし勤務等の実施が難しくなったことなどから、人事部門の復職判断が従来よりもさらに困難になっていることも想定される。

実際、復職判定にあたり「出社可能であること」が判定に大きな影響を及ぼすが、コロナ禍を受けての新しい就業形態における復職判定については産業医間でも課題として認識されている。今後の議論が必要と考えられる。

総じて企業の疾病予防・健康意識が高まってはいるが、その対応には格差が生じている可能性があり、その実施の方向性に産業医は課題感があることが明らかとなった。

 

 

【調査方法】

調査対象者 当社の産業医サービスに登録する産業医

回答者数  110名

調査手法  インターネット調査

調査時期  2021年1月20日(水)~2021年1月31日(日)

実施主体  株式会社アドバンテッジ リスク マネジメント

 

 

■結果の詳細

 

Q.産業保健業務を実施している企業において、この半年以内に予定外の追加業務が発生しましたか。(n=110)

 

 

 

 

 

 

 

Q.例年(コロナウィルス流行前)に比べて、予定外の追加業務の発生頻度についてお答えください。(n=110)

 

 

 

 

 

 

 

 

Q.追加による業務はどのようなかたちで実施されましたか。当てはまるものをすべてお選びください。(n=67)

 

 

 

 

 

 

Q.訪問/電話・メール/WEB会議システム等のオンラインツールでの業務はどのような内容がありましたか。当てはまるものをすべてお選びください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q.コロナウイルスの流行前と比べて、産業医職務で大きく変わった点などありましたら、自由にご記載ください。

オンラインツールの利用頻度が増えた。(他同様回答28名)

事業場もしくはその近隣でコロナ陽性者が出たときのそれぞれの社としての対応など、感染症対策について聞かれることが増えた。(他同様回答14名)

・コロナストレスがきっかけというべきなのか、メンタルヘルス不調者が増加している。(他同様回答3名)

・健康に対する意識が向上し健康講話の依頼が増えた。(他同様回答3名)

・職場巡視が減った。(他同様回答1名)

・本社の産業医として店舗や支店の統一的な体制づくりの業務を本格的かつ継続的に実施するようになった。

・以前に増して産業医の重要性が理解されていると感じる。

・面接件数が減った。

・新型コロナウイルスにまつわる作業環境への配慮、また、参照ガイドラインも新型コロナウイルス関連のものを追加して対応するようになった。

・(リモートワークの影響で事業場統合が進み)50人以下となり産業医の選任義務がなくなった会社も複数あった。

・訪問前に、自分の健康状態のチェックをされるようになった。

・自身の感染症対策の強化、配慮。

・コロナの事ばかりでほかの健康教育ができない。

・産業医のスキルが無いと対応できないことが増えた。

・職場巡視が感染対策重視に大きく傾いた。

・訪問中止になることが多い。

 

【参考:産業看護職による同質問へのコメント】

・リモートでの面談対応の増加。(他同様回答14)

・メンタル既往、アルコール依存既往の方が悪化するため、その対応に追われている。

・在宅勤務となりWEB面談、限られた出勤時の業務が増えた。

・従業員の主体的健康管理の強化やラインケアを促しやすくなった。

・研修会の開催が減少した。

・共有部分の消毒作業や発熱者の管理。

・メンタル、フィジカルともに面談依頼が増えた。

・面談回数減により、メンタル疾患の従業員の様子を把握しづらい。

・従業員の感染への不安へのケア。企業、従業員への感染予防対策の強化。

・常に何かの業務に追われている。調査や文献検索をする時間が非常に減っている。

・(コロナ禍の対応により)産業保健師の認知度があがったように思う。

・産業保健データやツールが紙媒体などを主としているため、各種面談事前資料作成等の関係で、必然的に出社スタイルが基本となっている。人事部の他職種がほぼデスクワークを行っているため、出社している社員が可能な限りの電話対応をするようになって おり、担当外の仕事も増えている。

・不定愁訴に近い相談業務が増加している。

・健診の期限を強く勧奨しづらくなった。健診会場や研修会場の三密回避のため人の人数・回数制限、消毒、換気、待合場所など、 従来手を付けなかった部分への配慮。

 

Q.健康経営の観点において、ご担当企業全体における健康課題として挙げられるものをすべてお選びください。

 

 

 

 

 

 

 

 

■参考:当社の「産業医・保健師サービス」について

実践知識、課題解決力、現場対応力、コミュニケーション力を兼ね備えた、産業保健体制づくりの主軸になる産業医・保健師が多数登録。かつ、登録している多くの産業医・保健師の多くがメンタル領域に対応しています。各社の産業保健に関する課題を、当社と産業医・保健師が一緒に解決します。

万が一トラブルがあった場合でも、当社が間に入り、問題解決いたします。また、日本各地にて、当社独自のサポートを受けた、質の高い産業医・保健師をご紹介可能。アウトソーシングを活用し、必要な時に必要な人的リソースを用意することで、適切な業務時間での運用を可能とします。

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本件に関するお問い合わせ先

株式会社 アドバンテッジ リスク マネジメントhttps://www.armg.jp
(取材・広報に関して) 広報担当: 小林    pr-info@armg.jp