三菱商事株式会社

従業員規模
10000名以上
業種
商社
お困りごと
  • 組織改善
  • 多様な人材が力を発揮できる職場づくりへ。
    EQ研修はその土台を築くきっかけになりました。

    • 電力ソリューショングループ タレントマネジメント担当部長梅村寧様

    電力バリューチェーン全体の事業を担う三菱商事電力ソリューショングループでは、事業拡大と人材の多様化が進む中、個々の力を引き出す環境整備の必要性を感じていたという。そこで同社は、適切なコミュニケーションによってメンバー間の相互理解を深めるために、2024年から約6カ月間かけてARMのEQ研修を実施。今回はタレントマネジメントを担当する梅村寧様に、EQ研修導入の背景と実施内容、そして手応えについて話をうかがった。

    三菱商事株式会社電力ソリューショングループ 様の EQ研修導入 のPOINT

    POINT.1
    多様な人材が力を発揮できる組織風土の醸成
    POINT.2
    上層部も協力して研修へのコミットメントを促す
    POINT.3
    研修期間後も行動変容に向けた取り組みを継続する

    【導入担当者様の声】

    EQ研修を実施した背景をお聞かせ下さい

    多様な人材が力を発揮できる環境整備の必要性を感じていた

     近年、事業領域が拡大していく中で、必要とされるスキルや視点が多様化しています。また、中途入社の社員も増え、企業文化が大きく変化しています。つまり「あ・うんの呼吸」のコミュニケーションだけに頼るわけにはいかない変化が起きています。そこで組織として、さまざまなバックグラウンドを持つ人材が安心して力を発揮できる組織づくりが、今後の成長には不可欠だと感じるようになりました。
     そのような環境下では、リーダーには性格や感情の相性、コンディションなど、数字では見えにくい部分を踏まえながら、最適なチーム編成や役割分担を考える視点が求められると考えています。リーダーは、きちんと相手の価値観を理解して適切なコミュニケーションでチームを束ねる。そのことにより、チーム内は心理的安全性が確保され、部下が安心して疑問や提案を伝えられる環境が醸成される。結果的にミスは減り、新たな発想や主体的な行動も生まれやすくなり、チームのパフォーマンスは向上する。つまりマネジメント次第でチームの出力は変わるというのが大前提です。
     その実現に向けた第一歩としては、まずはリーダー層自身が、自らの行動傾向や感情のパターンを客観的に理解し、相手や状況に応じて最適な関わり方を選べるようになることが必要です。そこで、感情や行動の特性を数値化して把握できるEQ研修の実施に至りました。

    実施されたEQ研修の内容を教えてください

    講師のフォローとともに行動変容まで計画

     今回の研修は、EQI検査(行動特性検査)による自己分析から始まりました。まず1回目の研修では、検査結果をもとに自身の行動特性を客観的に把握し、自己理解を深めます。その後、80分間の個別フィードバックで講師と一対一で対話し、現状の課題や改善点を掘り下げ、翌日から実践できる具体的な行動計画を立てました。数カ月の実践期間を経てEQIを再検査し、フォローアップ研修、そして個別フィードバックで取り組みを講師と共に振り返る、という流れです。
     他社のサービスも検討したうえでARMを選んだ理由は、座学にとどまらず、行動変容のために受講者が主体的に関われる取り組みであったことです。具体的には、EQI検査が単一スコアではなく24項目の行動量を測定し、「どの行動をどれだけ変えればよいか」が明確になり行動に移しやすい点。もうひとつは、質の高い80分間の個別フィードバックです。秘匿性が高いため普段は他人に話しづらいことも率直に相談でき、受講後は「もっと話したかった」という声が多く聞こえました。
     研修では、24の評価基準から一つを選び、「この項目の数値を上げる(または下げる)」という具体的な目標を設定します。例えば検査結果を通して、前のめりの会話が相手に圧迫感を与えてしまう課題を感じた受講者は、「コミュニケーションの受信量を増やすために1日1回は5分間相手の話を最後まで聴く」という行動に取り組む、というイメージです。
     「自分はあまり変わっていない」と感じた受講者もいたようですが、講師が半年間の変化を具体的に示すことで「努力が成果につながっている」と実感できたといいます。EQI検査という定量的な評価と講師の的確な助言により、受講者は手応えを持ちながら意識変容や行動変容につなげることができたようです。

    EQ研修の実施で何か工夫された点はありますか?

    管理職層も一緒に取り組み受講者のやる気を促した

     まず、受講者には研修前に一人ひとり面談の時間を設け、「なぜこの研修が必要なのか」「どのような効果を期待しているのか」を丁寧に伝えました。さらに、室長や人事トップといった管理職層も研修に参加し、進捗確認やフォローに積極的に関与しました。上層部が真剣に取り組む姿勢を示すことで、受講者も自然と責任感を持ち、研修全体へのコミットメントが高まったと感じます。
     加えて、EQ研修にはアクションプランを継続するために協力者、いわゆるバディを組みます。バディの組み合わせは非常に工夫しました。業務上直接の関わりがないメンバー同士を組み合わせ、お互いに弱みを開示しやすい関係性の構築をセッティングすることで、率直なフィードバックや励まし合いができることを図りました。このように、事前準備と継続的な仕組みの両面から支えたことが、研修効果を高める結果につながったと思います。

    弊社のEQ研修を導入後、どのような効果がありましたか?

    研修を通じて、課題や強みを客観的に把握できた

     これまでの研修と比べて、受講者からは最高の評価でした。研修冒頭で数値とともに課題や特性が具体的に示されることで、漠然と感じていた弱点や伸ばしたい部分が定量的に可視化され、納得感を持って研修に臨むことができました。とくにEQI検査は、自分自身で回答する形式のため、ネガティブな結果であっても自分の感覚と一致し、腹落ち感があります。これにより、研修後は「どの行動を控え、どの行動を増やせばよいか」という具体的な改善ポイントが明確になり、日常業務の中でも意識的に行動を変えるきっかけとなっています。すぐに劇的な変化が出ることを期待していたわけではなく、むしろ日常に溶け込み、習慣として定着することを重視していました。その意味で、受講後に「周囲へのアンテナを張るようになった」「自信を持って気持ちを伝えられるようになった」といった小さな変化が着実に見られたことは、期待どおりの成果だと感じています。また、研修期間後も効果が継続するように、人事面談などで研修結果を踏まえた話をし、学びを思い出せる環境を整えています。今後は、こうした変化が業務の中でアウトプットにつながることをさらに期待しています。
     また研修を通じてマネジメントに向いている人材が見えてきたことも事実です。配置にはスキルや経験を重視しますが、適材適所を助言する際の一つの判断材料として、EQの視点が役立つ場面もあると感じています。

    今後の人材開発の課題や展望をお聞かせください

    少人数から広げ、EQを通じた風土改革を推進

     現在は部長職全員を対象にEQ研修を実施しています。来年度以降は、各本部から推薦されたメンバーや、自ら興味を持った社員にも対象を広げていくつもりです。
     ピラミッド型の上下関係だけでは、感情や考えを率直に共有することは難しくなります。そこで、上司が自らの課題や弱みを隠さずに伝え、「ここを頑張るから、気づいたことがあれば教えてほしい」と部下に開示する。その謙虚な姿勢が部下にも安心感を与え、自然とお互いを補い合う空気が醸成される。いずれは特定のリーダーの努力や意識改革に頼るのではなく、一人ひとりが「自分ごと」として捉えることで、組織全体の関係性、ひいてはパフォーマンスが変わっていくと思います。
     また現在、EQの概念や取り組みを組織風土に浸透させるため、月報で受講者の感想や研修内容を紹介しています。社内にポジティブな空気感やムーブメントを広げることを意識し、「多様化する組織にはEQが必要」というメッセージを今後も発信し、組織力の向上につなげていきたいと考えています。

    • 電力ソリューショングループ タレントマネジメント担当

      梅村寧様

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