国土交通省 中部地方整備局 名四国道事務所

    従業員規模
    10000名以上
    業種
    建設・環境
    お困りごと
  • 職場改善
  • 公共事業も人と人とのコミュニケーションが要。ストレス対処を体系的に学ぶことは画期的な施策でした

    • 名四国道事務所 副所長前中 稔章様(左)
    • 名四国道事務所 工務課課長山田 光希様(右)

    国土の開発から保守、交通政策の推進や社会資本整備など様々な業務を担当する国土交通省。そのうち中部地方整備局名四国道事務所では、国道の新設にあたって地域住民を含めた地方自治体等や建設業者、国による「三方よし公共事業推進」の方針で関係調整も行う。物流インフラの根幹ともいえる国道の整備は様々な産業の下支えとなり、業務にあたってはやりがいを感じる一方で、なかには心理的負担を感じてしまうケースもあるという。そこで同事務所ではストレス対処の重要性に対する理解を深め、円滑なコミュニケーションおよび組織活性化を目的にアドバンテッジリスクマネジメント(以下ARM)のメンタルタフネス度向上研修を実施した。今回は同事務所のご担当者に研修導入の経緯だけでなく、今後の展望についてお話をうかがった。
    ※メンタルタフネス度:「物事の受け止め方(認知)」と「反応としての行動」を工夫することにより、ストレス原因による影響をコントロールするストレス対処のスキルのこと。

    名四国道事務所様のメンタルタフネス度向上研修のPOINT

    POINT.1
    利害関係が異なる各方面への交渉にかかるストレスの対処
    POINT.2
    組織活性化に向けて、各職員が自ら労働の質を高めていくためのスキル習得を促進
    POINT.3
    点数による客観的評価などこれまでにないアプローチ方法を評価

    導入担当者様の声

    研修を導入された背景をお聞かせください

    交渉も必要な現場ではストレス対処が課題に

     国土交通省内の業務は多岐に渡り、国土の保全だけでなく、当事務所の所掌事業のように「山間部に国道を新設する」といった計画段階~用地買収~新設工事といった任務も担っています。我々が所属する名四国道事務所では、まさに国道の整備事業を執行しており、そこでは行政だけでなく地域住民や地方自治体など関係団体、建設業者の方々など各方面との関係調整を行い、「三方よし公共事業」の合意を取り計らいながら業務を進めます。現場は「公共事業で国が決めたことだから」といって一方的な説明だけで進められることでは決してなく、事業についての各関係団体との調整や、ときには地権者と用地買収などの交渉も必要となり、人と人とのコミュニケーションが要となります。
     また毎年の事業費は税金によって成り立つものですが、我々がおこなう道路整備は大規模なプロジェクトとなるため大きな金額となります。また、管轄内には大手自動車メーカーをはじめ多くの製造業が拠点を構えており、国道の整備や渋滞の解消は、物流のインフラだけでなく日本の産業を支える大変重要な業務となります。
     こういった業務特性を背景に、責任感ややりがいも大きくなる一方で、人によっては心理的なプレッシャーの方を強く感じ、退職に至るケースもありました。そのような「各個人が抱えるストレスをどう解決するか」について、近年事務所での課題となっていました。
     また最近は働き方改革に関する取り組みが各所で活発になっており、公的機関である我々にとっても当然重要な取り組みです。ただし目的は時短勤務等の枠組みの変化だけでなく、どのように労働の質を高めていくかということです。同じ官公庁でも職場によって業務内容が違えば、課題や改善へのアプローチも各所各様で異なって不思議ではありません。また組織内では入省まもない若手の職員もいれば勤続20年以上のベテランもおり、双方向のコミュニケーションの背景にある価値観や経験についてジェネレーションギャップはどうしても生じます。事務所をひとつのチームとしてこの差を埋めることについても、課題感を抱いておりました。
     そんななか、ARMからメンタルタフネス度向上研修をご案内いただき、「個人がそれぞれセルフケアに取り組むことは、組織改善に向けた基盤づくりの重要な一手となる」と感じ、実施を検討しました。

    実施された研修の内容を教えてください

    2時間の研修で実践的なアプローチ方法紹介のほかグループワークも実施

     事務所内で管理職も含めて約40名を対象に、ARMの専門家による2時間の研修を実施しました。ストレスの基本的なメカニズムや、ポジティブな思考の高め方など具体的なアプローチ方法についても学ぶことができました。とくに点数化による客観的評価など、出来事を重く受け止める傾向を減らす具体的なテクニックも多く教えていただき、大変参考になりました。また複数人のグループワークもあり、最初は少し戸惑っていた様子もありましたが、次第に同じ悩みについて共有するなど、活発に意見交換できていたようです。

    研修を受けた感想を教えてください

    体系的に学習できるからこそ組織内で共有できると実感

     研修を受けてみて改めて実感したのは、こういう体系的な学習の重要性ですね。物事の受け止め方は人それぞれであり、同じ物事でもやりがいと感じる人もいればストレスに感じる人もいます。比較的ポジティブに物事を考える私のようなタイプでは、逆に他の人のストレス構造を完全に理解できていない部分もありました。ストレス対処やその重要性について、感覚ではなく言語として合理的に理解できたことは、組織内のコミュニケーションの基盤形成について非常に重要な第一歩となったと思います。

    今後の人材開発の課題や展望をお聞かせください

    エンゲージメント向上施策や他の事業所での展開も検討

     整備局内では、毎年多くの職員が別の部署へ異動となります。赴任地では新たな方々とコミュニケーションを通じて関係構築していくためにも、今回学んだような正しい知識に基づいたセルフケアにより、メンタルヘルスを健全に管理することはとても重要です。今後は仕事に対するエンゲージメント向上などの施策も視野に入れながら、人材開発および我々の課題にフィットとした働き方改革を進めていく予定です。
     また社会的に働き方改革への関心が高まりつつありますが、人が活き活きと長く働くためには誇りを持って仕事に取り組めるかどうかも大切だと考えています。公務とはいえ業務にあたるのは同じ人間ですから、ときには目の前の業務に目詰まりを感じて、気分が落ち込むこともあるかもしれません。そこで、我々の取り組んでいる業務は、この社会をより良くするための業務であると考え、心理的負担ではなくポジティブなやりがいを感じることができるように、チームの意識改革を進めていきたいと考えております。
     そういった考えを踏まえ、今後は「どうストレスに対処するか」だけでなく、「どうすれば活き活きと業務に取り組めるか」というアップサイドの施策も見据え、エンゲージメント向上などの人材開発および我々の課題にフィットとした働き方改革を進めていく予定です。
    ※エンゲージメント:「従業員が企業へ主体的に貢献したいと思う度合い」のこと。ポジティブな感情を持って自発的に行動している状態として捉えられる。

    • 前中 稔章様

      前中 稔章様

    • 研修中のグループワークの様子

      研修中のグループワークの様子

    • 研修資料

      研修資料

    • 山田 光希様

      山田 光希様

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