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サンプル公開!ストレスチェックの調査票(57項目・23項目)の特徴を知る【ストレスチェック徹底活用コラム】

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調査票には含めなければならない質問領域がある

労働安全衛生法が一部改正されたことにより、2015年12月、労働者の数が常時50人以上の事業場は毎年1回ストレスチェックを実施することが義務付けられました。ストレスチェック制度の目的は、メンタルヘルスの不調を予防することにあります。

メンタルヘルス不調の予防には3つの段階があるといわれていて、ストレスチェック制度は一次予防(未然防止)を主な目的としていますが、二次予防(早期発見と対応)や三次予防(治療と社会復帰・再発予防)も含めた包括的なメンタルセルフ対策が企業には求められています。

ストレスチェックでは、ストレスに関連した質問を記載した票(質問票・調査票・ストレスチェックシート)を事業者が用意します。労働者が記入した選択回答式の調査票を集計・分析することで、その労働者のストレス状態を調べます。

質問は特に指定されておらず、以下3つの質問領域を含み、かつ一定の科学的根拠があるなどいくつかの要件を満たしていれば、各事業場の特性に合わせて独自に設定することが可能です。

国が推奨している「職業性ストレス簡易調査票」がありますので、これをもとにして、ストレスチェック「実施者(*1)」の意見を聞いたり、各事業場の衛生委員会(*2)などで話し合ったりして決めましょう。

1.仕事のストレス要因 : 職場において労働者が受ける心理的な負担の原因に関わる項目
2.心身のストレス反応 : 心理的な負担による心身の自覚症状に関わる項目
3.周囲のサポート : 職場においてほかの労働者から受ける支援に関わる項目

ストレスチェックシートの質問票のイメージ
(厚生労働省:「ストレスチェック制度簡単導入マニュアル」より)

*1 実施者
ストレスチェックの「実施者」となることができるのは、①医師、②保健師、③厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師又は精神保健福祉士に限られ、ストレスチェックを受ける労働者に対して人事権を持たない者であることが条件となっています。事業場の産業医が「実施者」となることが最も望ましいとされています。

*2 衛生委員会
常時50人以上の労働者を使用する事業場は、衛生委員会を設置し、毎月1回以上会合を開かなければなりません。
衛生委員会は、衛生管理者免許などを持っている衛生管理者、産業医などで構成されていて、衛生に関する規程や計画の作成、長時間労働などによって労働者の身体的・精神的健康が害されることを防ぐための対策を検討・推進するなどの役割を担っています。

まずはサンプルを確認! 基本となる調査票は57項目

<調査票サンプル>
職業性ストレス簡易調査票(57項目) [厚生労働省・Word]

ストレスチェックで使用することを国が推奨している「職業性ストレス簡易調査票」には、57項目の調査票とその中から主要な質問項目を抜き出した23項目の調査票の2種類があります。

23項目の調査表は57項目に比べて特にストレス要因に関する項目が少なくなっていますので、より深く掘り下げて労働者のストレスの背景にある要因を探り、メンタルヘルス対策や職場環境改善に取り組むためには、57項目の調査票を使用することが望ましいとされています。

<職業性ストレス簡易調査票(57項目)の内訳>※()内は23項目の内訳
A 仕事のストレス要因 : 17項目(6項目)
B 心身のストレス反応 : 29項目(11項目)
C 周囲のサポート : 9項目(6項目)
D 満足度について : 2項目(0項目)

企業独自の質問を設定することは可能?

ストレスチェックは実施することが目的ではありません。労働者がストレス状態を自覚することによってストレスをためこまないようにしたり、高いストレスを感じている労働者には事業者として対策を取ったり、労働者全体のストレスチェックの結果から職場環境を改善したりすることが重要です。

そのため、ストレスチェックの調査票は、事業場が独自に質問項目を増減したり、自由記述欄を設けたりすることが認められています。

基本となる「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」に加えて、各事業場の業務内容や職場環境に合わせたストレス対処法(ストレスに対処する方法・ストレスを緩和する工夫)やエンゲージメント(仕事への熱意度)などを測る質問項目を加えることで、本来のストレスチェックの目的を達成することができるでしょう。

ただし、ストレスチェック実施後、事業場を管轄する労働基準監督署へ実施報告書を提出する義務がありますので、質問項目を作成・追加・削除する際は、科学的な根拠に基づいた有用なものであるかどうかを吟味しなければなりません。

また、性格検査や適性検査のような質問項目を追加することはストレスチェックの目的から外れます。希死念慮や自傷行為、うつ病など精神疾患のスクリーニングになりうる質問事項も入れてはいけません。

ストレスチェックの「実施者」や各事業場の衛生委員会は、国が推奨している「職業性ストレス簡易調査票」を使うのか、独自の質問を加えるのか、実施する際は紙の調査票、インターネットを利用した方法どちらで行うのかといったことから、自社でストレスチェックの運用を行うのか、それとも専門業者に外部委託するのかといったことまで総合的に審議する必要があります。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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