ストレスチェックで高ストレス者の男性

【人事向け】ストレスチェックで高ストレス者が発覚した時の対処方法

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職場でストレスチェックを実施し、高ストレス者がいることが分かった時、事業者(企業側の人事担当者など)の立場として何をすれば良いのか迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。本記事では、事業者側が高ストレス者が判明した時にスムーズに対応できるように、面接指導に向けてすべきことや、高ストレス者が職場に潜んでいる場合の対応方法などを解説します。

ストレスチェックによる高ストレス者とは

ストレスで暗く沈んだ表情の男性

ストレスチェックの結果、高ストレス判定を受けている労働者の存在が判明したり、集団分析により高ストレス者の割合が多く、職場環境改善を迫られたりする際に、そもそも高ストレス者とは何に基づいて判断されているのか、改めて気になる担当者もいるのではないでしょうか。ここでは、高ストレス者の選定基準や選定方法について解説します。

高ストレス者の選定基準

厚生労働省が発行している「ストレスチェック制度導入ガイド」によると、高ストレス者とは「自覚症状が高い者や、自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲のサポート状況が著しく悪いもの」と位置付けています。

ただしこれは、高ストレス者を選定するための基準として定められたものではありません。そのためストレスチェックを実施する前には、事業者側がストレスチェックの実施者の意見および衛生委員会などの調査・審議を経て、高ストレス者の評価基準を設定することが必要です。

ストレスチェックでは、選択式の質問票(調査票・ストレスチェックシート)を使用して労働者のストレスの程度を点数化します。どれぐらいの点数を取得した労働者を高ストレス者に分類するかは、各事業場の衛生委員会などの判断に委ねられているため、各事業場の特性を踏まえて選定基準を定めるようにしましょう。

具体的な選定基準の決め方に関しては、厚生労働省が発信している「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」のP38〜46を参考にしてみてください。

高ストレス者の選定方法

参考:労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル

高ストレス者の選定方法

ストレスチェックを受けた労働者が高ストレス状態であるか否かは、事業者側が決定した「高ストレス者の選定基準」をもとに、産業医等ストレスチェックの実施者が最終的に判断します。(高ストレス者の選定に事業者側は関わることができません。)

ただし、高ストレス者と選定された労働者が全員、医師による面接指導を受ける対象者になるとは限りません。もちろん、全員が面接指導の対象ということもありますが、面接指導を受ける必要があるかどうかは実施者が判断します。

高ストレス者が受ける面接指導とは?

男性の相談者に話をする女性医師

医師による面接指導を受けることが望ましいと判断された高ストレス者から、面接指導の申し出がきたタイミングで、初めて高ストレス者として選定された労働者が事業者側に伝わります。その後、事業者側は申し出があった労働者に対して、面接指導のセッティングを行う必要があります。まずは、面接指導がどのようなものか理解を深めましょう。

面接指導の内容

面接指導とは、高ストレス者の勤務状況・心理的負担・心身状況などを確認し、解決のための指導を行うものです。高ストレス者の身体やメンタルの不調を予防したり解消したりすることを目的としています。

面接指導ではストレスチェックの3項目(ストレス反応、ストレス要因、周囲のサポート)に加えて以下の項目について確認します。

【確認する項目】
①労働者の勤務状況
②心理的な負担の状況(抑うつ症状等)
③その他心身の状況

面接指導者の実施者

面接指導の実施者は労働安全衛生法において医師と規定されています。また、厚生労働省の「ストレスチェック制度導入ガイド」では、事業場の職場環境をよく理解している人が望ましいともされています。これらのことから、各事業場の産業医もしくは事業場において産業保健活動に従事している医師がいる場合には、その人にお願いすると良いでしょう。

なお、労働者の数が50人未満で産業医がいない事業場の場合は、地域産業保健センターのサービスを受けることも可能です。なお、面接指導に、事業者側の担当者が同席することはありません。

【事業者向け】高ストレス者の面接指導に向けてやるべきこと

女性社員と面談を行う医師

高ストレス者から面接指導の申し出を受けたら、ストレス状態を悪化させないためにも、速やかに医師による面接指導の場を設けることが大切です。ここでは、高ストレスの判定を受けた労働者から面接指導の申し出があった際にスムーズに対応するための流れやポイントを紹介します。

面接指導の流れ

面接指導の流れはおおよそ次の通りです。

①事業者は高ストレス者からの面接指導の希望を受け、医師に面接指導を依頼する
②医師と高ストレス者で面接指導を実施する
③面接指導後、事業者は産業医から意見聴取し、改善に向けた適切な対応をとる

ストレスチェックと面接指導の流れ

【事業者の対応】面接指導の依頼時

労働者から申し出を受けた事業者は、概ね「1ヵ月以内」に医師による面接指導が実施できるように調整をしましょう。事業者は、高ストレス者から面接指導の申し出を受けつけ次第、「面接指導申出書」を作成します。この作成完了後、面接指導を行う産業医等に郵送もしくはメールで送付し申請を行い、日時や場所の調整を行います。

この時、事業者は労働者からの申し出の記録を5年間保存する規定となっているため、「面接指導申請書」も適切に保管するようにしてください。

ワンポイント
面接指導にかかる費用は会社負担となり、1人につき数千円~数万円とその金額には幅があります。各事業場の産業医ではなく外部の医師に面接指導を委託すると、1人当たり3~5万円程度かかることもあるので、依頼時にはコストを意識することも忘れないようにしましょう。

【事業者の対応】面接指導の実施前

面接指導前に面接を受ける高ストレス者の勤務状況、業務内容、定期健康診断結果などの必要資料を医師の参考用として用意します。高ストレスと選定された労働者の労働環境や労働状況を医師が正確に把握することで、面接指導をより活かせるため、データを提出するだけではなく、丁寧に対応しましょう。

【事業者の対応】面接指導の実施後

厚労省のストレスチェック制度導入ガイドの図

参考:厚生労働省 ストレスチェック制度導入ガイド

事業者は、面接指導を担当した医師から1ヵ月以内を目安に「面接指導結果報告書および事後措置に係る意見書」を受け取ります。その後、医師の意見を参考にしながら、必要と思われる就業上の措置を取りましょう。例えば、労働時間の短縮や業務内容の変更などの業務改善を行うなど、高ストレス者のストレス軽減に努めることが事業者に求められます。ちなみに、意見書の保存期間は5年間となっています。

就業上の措置を実施する場合は、事業者側から一方的に労働時間の短縮や業務変更提案を行うのではなく、労働者と十分に話し合いを行いましょう。当人の理解や納得を得る形で、心身ともに健康に働ける環境を整えていくことが大切です。また、就業上の措置を行った後も、経過を見守り、定期的にミーティングの場を設け状況ヒアリングを行ってください。

面接指導の結果を理由に、解雇・退職勧奨や、本人の同意を得ない職位変更・配置転換などをすることは禁止されているので注意が必要です。また、事業者は面接指導実施後、労働基準監督署にストレスチェックと面接指導を受けた人数の報告を必ず行います。既定の様式を使用する必要があるため以下より確認してください。

■心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書■

ワンポイント
高ストレス者が所属している部署では、他の労働者も同様のストレスを抱えている可能性があります。そのため高ストレス者への配慮だけではなく、同時に部署全体の環境改善についても見直すことが重要です。1on1の実施やパルスサーベイの結果を再確認することなどに取り組んでみましょう。

隠れ高ストレス者へのアプローチ

真剣に話し合いを行う社員達

先述のとおり、高ストレス者本人からの面接指導の申し出がなければ、事業者側は高ストレス者を特定することはできません。ストレスチェックの集団分析の結果、高ストレス者が多いにもかかわらず、面接指導の申し出が少ない場合は、労働者が相談しやすい環境作りや、ストレスを感じている組織の課題を解決していく必要があります。

高ストレスの状態が続くことは、精神疾患を発症・悪化させる可能性もあるため、放置せずに適切なアプローチを行いましょう。

面接指導を希望しやすい環境・体制にする

高ストレス者が面接指導を希望しないのは、申し出にくい環境である可能性が考えられます。そのため事業者側は、高ストレス者が面接指導を希望しやすい環境・体制を整えることが大事です。例えば周りの目を気にせずに申し出ができるよう、オンラインで面接指導を申し出できる体制などを整えます。

また、高ストレス者であることを申告することで不当な扱いを受けると考え、言い出せない人もいます。高ストレス者が安心して申し出ができるように、公平平等な企業姿勢を発信しましょう。

社外に相談窓口を設置する

自分が高ストレス者だと他の人に知られるかもしれないという不安を感じたり、事業者側の窓口が人事担当の場合、同期や仕事で関係性があった人など、知り合いであるからこそ言い出しにくいこともあるでしょう。このようなストレスに関する相談へのハードルを少しでも下げるために、社外に専用の相談窓口を置く方法もあります。

自社の担当者を通さずに、労働者が直接利用できる外部カウンセリング窓口を案内することで、高ストレス者を始めとした悩みを抱えている労働者の相談ハードルを下げ、適切なケアが実現できます。

アドバンテッジタフネスカウンセリング

「アドバンテッジ タフネス カウンセリング」
※厚生労働省認定※会社を通さず、心理専門家に24時間相談できる窓口を提供しています。電話やメール、SNS(LINE)などさまざまなかたちで気軽に相談可能です。

集団分析を行い、組織改善に取り組む

一定人数以上の集団分析であれば、高ストレス者がいる部署や組織を把握することは可能です。高ストレス者が置かれた労働環境を見直し、組織改善に取り組むことで、高ストレス者のケアにつなげましょう。

努力義務となっている集団分析を行い、職場環境そのものを改善しない限り、メンタルヘルス不調のリスクを排除することはできません。また、職場環境が改善されなければ、潜在的な高ストレス予備軍が高ストレス者になる恐れがあります。

大事なのは、「ストレスの原因はどこにあり、どうすれば解決するか」を考えることです。実施したストレスチェックを無駄にしないためにも、集団分析が可能な事業者はぜひやってみましょう。

高ストレス者のケアを促す仕組みや、ストレス対策を考えよう

従業員の話を聞く人事課の男性

ストレスチェックは実施すればそれで終わりではありません。高ストレス者から面談指導の申し出があった場合は速やかに対応し、ストレスを軽減する方法を考える必要があります。また、面接指導を希望しない人や隠れ高ストレス者が相談しやすい環境作りをすることも大切です。産業医との連携も強化して、労働者から高ストレス者が出ないような職場環境を整えていきましょう。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
363万人以上へのサービス提供実績と、健康経営銘柄2022に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「個と組織の未来基準の元気を創る」トピックスをお届けします。

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