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復職後の従業員の人事評価の方法とは?復職後の従業員のパフォーマンス低下への対応方法

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「アドバンテッジJOURNAL」編集部

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復職後の従業員の人事評価をどう判断すべきか悩んでいませんか。本記事では、復職後の人事評価が難しい理由や、パフォーマンス低下時の対応法、評価設計のポイントを解説します。評価をどう取り扱うのか、どこまで配慮すべきか、判断を誤ると、不公平感や労務リスクにつながるケースもあります。復職後評価の適切な方法を整理していきましょう。

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目次

復職後の従業員の人事評価が難しい理由

虫眼鏡で人のスキルを見ているスーツの人

休職した事実のみを理由に評価や待遇を不利益に変更した場合、不利益取扱いと判断される可能性があり、企業は慎重な対応を迫られます。一方で、休職の事情を考慮せず評価を据え置く場合、働いている他の従業員との間で不公平感が生じやすくなります。休職中の人事評価に関する基準や運用ルールが曖昧なままでは、評価者ごとの判断に差が生まれ、評価に対する不満や労使トラブルにつながる可能性もあるでしょう。法令を遵守しつつ、組織内の納得感も得る、この2つを両立させなければならない点が、復職後評価を構造的に難しくしているのです。

復職後すぐの従業員のパフォーマンスが落ちやすい原因

曇り空の中目頭を抱えて悩んでいる男性

復職して間もない従業員は、働くために必要な心身のエネルギーが十分に戻りきっていないことも少なくありません。復職後のパフォーマンス低下は、本人の努力不足だけではなく、職場環境が整っていないことでも生じます。代表的な要因を見ていきましょう。

評価や周囲の目がプレッシャーとなり本来のパフォーマンスを発揮できない

復職直後の従業員は、「また不調だと言えば仕事を任されなくなるのではないか」「一度休んだのだから期待に応えなければ」と不安を抱えています。また、従業員が意欲的に働く姿を見て、周囲も「完全に回復している」と捉え、休職前と同じような成果を求める場合もあるでしょう。

すると、集中力の低下や疲れが取れないなど、不調のサインがあってもSOSを出せず、順調そうな振る舞いを続けてしまいます。周囲が異変に気づいたときには限界を迎え、再休職となるケースもあります。

「できた自分」を取り戻そうと頑張りすぎる

復職後の従業員の多くは、休職前と同じような働き方に戻ろうと無理を重ねがちです。しかし、意欲があっても、心身は十分に回復していないことが多いです。「できていた頃の自分」とのギャップを感じ、努力しても「以前のようにできない」と自己否定に陥ってしまいます。復職直後からこれまでと同じ量の業務を引き受けたり、責任ある立場を担ったりして、全力で働いてしまうことで心身がすり減り、不調を招くこともあるでしょう。

十分に仕事ができる状態ではない

復職後の従業員は、「周りに迷惑をかけている」「収入やキャリアが不安」といった焦りを感じ、十分に回復していない状態で職場に戻ってしまうことがあります。主治医は職場の具体的な業務負荷や人間関係まで把握することは難しいため、体調が完全に安定していないにもかかわらず、本人の申告や診察時の状態などをもとに、復職可能と判断するケースがあります。見切り発車の復職では、環境の変化に心身が追いつかず、短期間で再び不調に陥り、再休職に至るおそれもあるでしょう。

復職後の評価で企業が直面する課題

パフォーマンスのメーターをタッチペンで触る人

復職後の従業員の評価は、本人の成果・公平性・法的リスクなど、複数の観点から慎重に検討する必要があります。ここでは、企業が復職後の評価で直面しやすい課題を掘り下げます。

評価を下げるべきか・現状維持かという「判断の迷い」

復職後の従業員の評価では、「実績が十分でない以上、評価を下げるべきなのではないか」「休職を理由に下げるのは問題ではないか」という迷いが生じやすいものです。しかし、合理的な根拠のない低評価は、不利益取扱いと受け取られたり、場合によっては、障害者雇用促進法上の合理的配慮や差別禁止との関係で問題となったりする可能性があります。

参考:障害者雇用促進法(第三十五条など)

復職後のパフォーマンスに合った「評価基準の設計」がない

一般的に評価制度は、「通常の勤務ができること」を前提に設計されており、「段階的に通常業務に戻っていく」という、復職直後の働き方を想定していないケースが多いです。短時間勤務や業務制限が必要な状態にもかかわらず、通常勤務と同じ基準で成果を求めれば、適切な評価は難しくなるでしょう。

通常業務をこなす「他従業員との公平性の担保」

復職後の従業員への合理的な配慮を、周囲の従業員が「特別扱い」と捉えると、組織全体の納得感が損なわれます。周囲の従業員が「不公平さ」を感じないようにしつつも、復職直後の従業員を適切に評価しなければならない点に、難しさを感じる場合があります。

復職後の従業員に対する企業の対応方法

矢印が描かれた積み木を階段のように積み重ねる手元

復職後の評価を適切に行うためには、評価以前の支援設計が重要です。復職は1つのゴールに見えがちですが、「安定して働き続けること」を目指し、土台を再構築していくスタート地点です。企業には、本人の回復状況に配慮しつつ、業務・評価・職場環境を段階的に整えていくことが求められます。復職後の従業員を支えるために企業が取るべき具体的な対応を解説します。

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①復職支援プランを作成する

復職可能と判断されたら、厚生労働省の「職場復帰支援の手引き」を参考にしながら、復職後の従業員一人ひとりの状況に応じた職場復帰支援プランを作成しましょう。本人の希望や意向をヒアリングしながら、復職日や勤務時間、業務内容・業務量、就業上の配慮、評価方法、面談やフォローアップの実施時期などを具体的に定め、関係者で共有します。

参考:厚生労働省「職場復帰支援の手引き」

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②面談を行い復職ケアをする

復職後の不調や再休職を防ぐには、業務管理を適切に行うとともに、面談を通したフォローが重要です。上司・人事・産業医などが連携し、定期的な面談を実施しながら、復職支援プランに沿ってケアが進められているかを確認します。

面談では業務の進捗や成果の確認だけでなく、体調の波や本人の不安感なども把握し、どのような支援が必要かをすり合わせましょう。小さな変化を早期に把握することが、再休職の防止につながります。

③勤務時間を調整する

復職直後は、体調が安定しているように見えても、業務負荷に適応できない状態であることも多いです。勤務時間や業務量は、産業医の意見なども踏まえながら慎重に管理する必要があります。復職後も通院や治療が続いている場合は、その時間も考慮して勤務時間を検討することが望ましいです。復職時には休職前の職務や部署への復帰が検討されることが多いですが、状況に応じて配置の転換、出張など負担の大きい業務を制限するなどの工夫が求められます。

④復職後の従業員向けの評価指標をつくる

復職後の従業員を他の従業員と同じ基準で評価すると、過度なプレッシャーを抱えたり、復職後の従業員自身が不公平感を感じたりすることもあります。復職直後から一定期間は、評価基準を調整し、「業務にどの程度適応できているか」「安定して働けているか」など、成果よりもプロセスに比重を置くなど、個々の状況に応じて柔軟に設計しましょう。評価も「復職支援の一部」と位置付けることで、スムーズな復職につながる可能性があります。

⑤フォローアップの継続(再休職防止)

復職後も、継続的なフォローアップを行います。上司・人事・産業医などが定期的に面談を行い、勤務状況や健康状態、業務への適応状況などを確認します。併せて、職場復帰支援プランが適切に機能しているかを定期的に評価し、必要に応じて就業上の配慮や支援内容を見直しましょう。

復職後の従業員に対する人事評価の方法

パソコンを開きながら空間に浮かぶデータにタッチペンを当てる手元

先述したように、復職後の人事評価は、単に成果を測るためだけのものではなく、再休職を防ぎ、順調に職場環境に適応できるようサポートする役割もあります。続いては、復職後の従業員を評価する方法とそのメリット・デメリット、実務のポイントを整理してご紹介します。

人事評価の方法とメリット・デメリット

復職後の従業員を評価する、代表的な方法とそれぞれのメリット・デメリットをご紹介します。

評価方法メリットデメリット
復職直後の期間を評価の対象外とする判断基準が明確で説明しやすい
不利益な取り扱いと判断されにくい
昇給・昇格の判断となる材料が不足しやすい
休職前の評価を継続する運用が複雑にならない
賞与の計算がしやすい
休職が長期にわたる場合、実態と乖離しやすい
一律で「標準」の評価を与える処遇への影響を抑えやすい他の従業員との比較で、公平性に欠ける場合がある
回復段階に応じた基準で評価する回復期を前提とした設計のため、不公平感を生みにくい
復職後の従業員の回復の後押しになりやすい
評価基準を新たに設計する必要がある

通常の評価に戻す時期の目安

復職後の人事評価で生じやすい悩みが、「いつまで復職後の従業員として扱うべきなのか」という点です。3ヵ月や半期など、期間を一律に定める方法もありますが、回復状況には個人差があり、期間だけで判断するのは必ずしも妥当ではありません。

「復職後、一定の期間が経過しているか」を目安にしつつ、「安定して出勤できているか」「一定の業務量がこなせているか」、「通常評価に戻すことについて本人と十分に認識を共有できているか」を踏まえて判断するのがおすすめです。判断軸をあらかじめ示しておくことで、評価者の悩みや本人の不安を軽減でき、双方の納得感が高まります。

実務における運用のポイント

周囲の従業員も含め、納得感の得られる評価基準とするためには、全従業員に対して基準を明示・周知して透明性を高めることが不可欠です。軸が曖昧なままでは、評価者の主観や解釈の違いから、評価にばらつきが生じる可能性がある他、法的なリスクに触れたり、労使トラブルを招いたりするおそれもあります。復職後の従業員には、面談などを通して評価方法や基準について、具体例などを交えながら丁寧に説明することが求められます。

ワンポイント
評価者である上司が行き過ぎた配慮を行ってしまうケースに注意が必要です。メンタルヘルス不調を経験した従業員に対し、腫れ物に触るような姿勢になり、成果や課題に触れないまま評価を曖昧にしてしまうこともあります。
一見配慮のある対応にも見えますが、評価されない状態が続くことは、本人の成長機会を奪い、かえって不安や不信感を生むこともあるでしょう。業務上の行動や取り組みについては適切にフィードバックし、評価対象として向き合う姿勢が求められます。

【FAQ】復職後の従業員の人事評価にまつわるよくある質問

水色の背景にFAQの文字の積み木

最後に、復職後の人事評価についてよくある質問にお答えします。

復職後の従業員に対する不利益取扱いには何が該当しますか?

休職の事実そのものを理由とした降格・解雇は、不当解雇や不利益取扱いと判断される可能性があります。休職を経て復職した従業員に対しては「合理的な配慮」が求められ、十分な業務機会を与えない、段階的な評価を行わずに処遇を下げる、などは問題視されやすいため注意が必要です。処遇を決める際は、明確な根拠と合理性を持って説明できること、復職後の従業員本人と丁寧にすり合わせを行い、理解を得ていることが重要です。

復職後の評価や面談で、評価者・管理職が注意すべきことは?

「また休まれると困る」「そんな調子では出世できない」など、評価と無関係な発言はパワーハラスメントと受け取られかねず、法律(労働施策総合推進法第32条の2など)に抵触する可能性もあります。

評価者は、事実のみに基づいて客観的に判断することが求められます。評価者自身が判断に迷った場合は、人事など関係者と連携し、個人の判断に委ねないことも重要です。

復職後に従業員のパフォーマンスが落ちた場合の評価・対応方法は?

復職後に期待した成果が出ない場合でも、直ちに評価や処遇を下げる判断をするのではなく、現状を慎重に整理することが求められます。まだ回復途上なのか、業務量や役割が現在の状態に合っていないのかを面談などを通して整理し、安定して出勤できているか、業務に継続的な取り組めているかなど、結果以外の面も確認しましょう。

一定期間、業務調整や支援を行っても改善が見られない場合は、配置や役割の見直しを検討します。その際、降職・降格や賃金変更を伴う対応には、就業規則上の根拠や本人の合意が必要となる点を踏まえ、丁寧な説明と合意形成を行うことが重要です。

復職後の昇給・賞与の扱いは?

メンタルヘルス不調を理由として休職し、復職後の従業員の昇給・賞与については、自社の就業規則に基づいて適切に取り扱います。「ノーワーク・ノーペイ」(※) の原則に基づき、休職期間中は算定に含まないことが一般的です。評価対象期間が短い場合は、実際に業務に従事した期間に応じた日割り計算や、成果に基づいた算定が望ましいです。評価対象期間や算定方法をあらかじめ制度として明確にしておくことが、本人・周囲双方の納得感を高めます。

(※) ノーワーク・ノーペイ:実際に働いていない時間・期間については、その分の賃金は発生しないという労働法上の原則

人事評価を通して復職後の従業員を支える姿勢を

天気の良い日に前を向いて歩いている女性

復職後の従業員の人事評価は、単に成果を見るだけでなく、回復状況への理解と配慮も欠かせません。復職直後の評価をどのように実施するか、基準を明確にし、すべての従業員に対して周知することで、法的リスクや従業員間に生まれる不公平感を抑えられます。復職してきた従業員が安定してパフォーマンスを発揮し、心身ともに健康に働き続けられるよう、人事評価の仕組みからも支えていきましょう。

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【筆者プロフィール】

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