IQとEQが均等な脳

EQ(心の知能指数)とは?高い人の特徴や企業メリット、高める方法を紹介

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「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

EQとは「心の知能指数」とも呼ばれるもので、感情をうまく扱う能力のことです。EQが高い人はさまざまなプラスの影響をもたらす可能性が高いため、従業員のEQを高めることは企業にとって重要といえます。そこで、EQの概要やEQが高い人の特徴、企業が得られるメリット、EQを高める方法などを詳しく解説します。

EQとは?

EQとIQどちらも存在する脳内

まずは、EQとは何かを理解していきましょう。EQの定義やIQとの違いを押さえることがポイントです。

EQの定義

EQとは、Emotional Intelligence Quotientの略称で、自身や周囲の人達の感情を適切に察知し、うまく扱う能力のことです。

EQに注目が集まり始めたきっかけは、1990年代にアメリカの心理学者ピーター・サロベイ氏とジョン・メイヤー氏が、研究結果からビジネスにおけるEQの重要性を説いたことでした。

また、『EQ:こころの知能指数』(ダニエル・ゴールマン著)が世界的なベストセラーを記録したことも後押しとなり、EQ理論は世界的に普及・定着してきました。EQを意識的に用いることで、困難な状況でも前向きな感情を作り出し、組織の中で適切な行動を取れるようになると考えられています。

EQとIQの違い

EQは、知能指数を表すIQ(Intelligence Quotient)と対比して、「こころの知能指数」や「感情知性」とも呼ばれます。IQは知能を数字で表すものであるのに対し、EQは感情をうまく扱う能力を表すものです。IQは先天的な要素が大きいと言えますが、EQはトレーニングなどによって後天的に高めることが可能です。

なお、ピーター・サロベイ氏とジョン・メイヤー氏による研究で、IQの高さとビジネスの成功は必ずしも結びつくわけではないと判明しています。

EQを構成する4つの能力

EQを表す絵を持つ医師持つ医師

EQは、次より紹介する4つの能力(4つのブランチ)で構成されています。それぞれの能力について解説します。

1. 【感情の識別「Identify」】

自分や他人の感情を識別する能力で、EQにおいて最も重要とも言える部分です。自分や相手がどのような感情なのかをしっかり識別し、把握できる能力のことです。

2. 【感情の利用「Use」】

感情を用いて思考を促進する能力で、課題や問題の解決に向けて、必要な感情をつくる能力です。例えば、落ち着いた対応が求められる場面で、目的達成のために感情を切り替える能力のことです。

3. 【感情の理解「Understand」】

感情の原因や行く末を理解する能力で、自分の感情が発生している原因や、その感情がどのように変化していくか予測ができれば、次にとるべき適切な行動を検討できます。

4. 【感情の調整「Manage」】

目的を果たすために感情を調整する能力で、他の3つの能力を駆使しながら、より最適な行動に結びつけ、達成へと導く能力です。自分の感情を識別、利用、理解しながら調整をすることで行動を起こします。

EQが高い人の特徴

仕事にやる気を持つ女性

EQが高い人には、共通して見られる特徴があります。例えば次のような特徴がある方は、EQが高いと推測されます。

柔軟性に優れている

EQが高い人は、自分と違う感情や考え方も受け入れやすく、柔軟性に優れている傾向があります。自分や相手の感情を把握でき、それを踏まえた上で最適な状況へと導くことが期待されます。ビジネスにおいて偏見を持たず、広い視点で物事を考えながら対応できることは重要です。

聞き上手で共感力が高い

先述の通り、EQが高い人は相手の意見を受け入れやすい傾向があるため、人の話をしっかりと聞く【聞き上手】であるケースが多いです。相手が話しているときには、意見があっても遮ったり否定したりせず、まずはじっくりと相手の考えを聞く姿勢を取ることが期待されます。

また、EQが高い人は他者の感情を理解しようとする傾向にあるため、共感する姿勢を示しやすい特徴もあります。相手の言葉だけでなく、表情・態度・仕草など、さまざまな部分から相手の感情を読み取り、理解することに長けているため、相手の立場に立った物事の考え方や対応ができます。

ストレス耐性が高い

EQが高い人は、状況に合わせて感情の状態を認識し、自分にとって適切な行動を取れる傾向にあります。そのため、感情の揺れによるストレスなどを感じにくく、ストレス耐性が高いと言えます。従業員自身が感情を上手に安定させストレスを溜めないようにできると、仕事に対する意欲やパフォーマンスを維持することも可能です。

傾聴力がある

傾聴力があり、素直に受け入れやすいことも、EQが高い人の特徴です。例えば、仕事でミスをしたときや指摘を受けたときに、きちんと非を認め、受け入れることができます。

物事に粘り強く取り組める

ストレス耐性が高いことから、物事に対して粘り強く取り組めることもEQの高い人の特徴の1つです。目的を達成するまでの感情のあり方も、把握しながら上手にマネジメントでき、目的に合わせて行動できます。

従業員のEQを高めることによる企業メリット

明るい雰囲気でミーティングを行う人達

従業員のEQを高めることは企業にとってもさまざまなメリットがあります。そして、結果的に円滑なコミュニケーションやマネジメントにつながり、企業の生産性アップも期待できるでしょう。従業員のEQを高めることによるメリットを詳しく紹介します。

リーダー人材の育成につながる

部下の感情や状況を理解し寄り添うことができたり、全体を把握して冷静な判断ができたりと、EQは優れたリーダーに求められる資質を含んでいます。将来のリーダー人材を育てられるため、人事施策としてしっかり取り組めると良いでしょう。

ハラスメント防止につながる

パワハラの原因の1つとして、パワハラをしてしまう側が「感情」をうまくマネジメントできずに行動してしまうことが挙げられます。EQが向上すれば、自分の行動や言動を客観的に振り返り、行動変容を実践できるようになるため、ハラスメントの防止にもつながります。

メンタルヘルス対策に役立つ

EQは、ビジネスシーンにおいて必要な対人コミュニケーションの基礎能力とも言われています。

メンタルヘルス不調の原因の一つに、周囲とのコミュニケーションの中に問題があるケースも多いため、個人のEQを高めることで、メンタルヘルスに関する問題の根本的な解決にもつながることが期待できるでしょう。

またメンタルヘルス不調は、ハラスメントなどでよく挙げられる、上司と部下といった縦の関係だけが起因するわけではありません。同僚や先輩・後輩などとのつながりにおいても、ストレスの原因になり得るコミュニケーションの課題を解決することは、メンタルヘルス対策に非常に有効です。

企業の生産性がアップする

従業員のEQが高まれば、円滑なコミュニケーションを取りながら的確な状況判断を行い、業務を推進できます。そして結果的に企業のパフォーマンスも向上し、生産性の高まりが期待できます。また、同じことを繰り返す単純作業においても、EQが高い従業員は明確な目標を持って取り組むため、生産性が高くなるでしょう。

EQを高める3STEP

脳の部分が笑顔マークになっている図を持つ人達

前述した通り、EQはトレーニングによって鍛えることが可能です。従業員が普段から意識して取り組めるような、EQを高める方法を紹介します。

STEP1. EQについて理解する

EQを高めるには、まずEQについてよく知ることが大事です。普段無意識のうちに駆使しているであろうEQを捉え、認識しながら、自分や状況に合わせて発揮してくことの大切さを理解しましょう。

STEP2. 自分のEQを把握する

次に、自分の感情について認識します。感情を示す言葉をたくさん知ることで、気持ちを言語化できるようになります。

自分のEQを把握するのにおすすめなのが、日記などで1日の感情の動きを記録することです。何をするときにどのような感情が生まれるのか、“自分の感情の癖”を知ることがEQ向上につながります。

また、EQ検査を受ける方法もあります。検査結果から、普段どのようにEQを活用しているか、できていない課題は何かを把握できるでしょう。

STEP3. トレーニングを実践する

STEP2.で自分のEQについて把握したら、現在の自分の課題を改善・または伸ばしていくための行動プランを立て実行します。課題に対する行動プランの例を紹介します。

例①:傾聴力を高めたい
→話を遮らず最後まで聞いたり、相槌を打ったりしましょう。

例②:すぐに感情的に怒ってしまうのを改善したい
→6秒間待って怒りを静める、6秒ルールの実践がおすすめです。

例③:ノンバーバルスキルを高めたい
→卓上に鏡を置いて自分のふとした表情を確認したり、鏡の前で話す際の表情やボディランゲージの練習をしたりすると良いです。

例④:不信感をいだかせないよう周囲に対して心を開いていきたい/オープンネスを高めたい
→自分から失敗談や本音を話してみましょう。

これらの小さな行動を毎日コツコツ積み重ねることで、EQも自然と鍛えられていきます。

企業がサポートできるEQの高め方

研修を受ける大勢の従業員

仕事をしながら個人でEQのトレーニングに取り組むのは、なかなか難しいものです。企業としても、計画的に人材開発の施策として、EQ向上のトレーニングや研修を取り入れてみてみましょう。

EQ向上の研修を実施する

EQは明確に数値化できず、初心者には理解しづらいところもあるため、専門性の高い講師を招いて研修を行うのがおすすめです。行動傾向の測定による現状把握から行動指針の策定、職場での実践、振り返りといったトレーニングを繰り返して、従業員のEQ向上を目指しましょう。

EQ向上研修バナー_アドバンテッジリスクマネジメント

アドバンテッジリスクマネジメントでは、課題や役職にあわせたさまざまなEQ向上研修プログラムを用意しています。EQ向上研修を管理職が受講したところ、該当部署のストレスチェックの結果が大きく改善、従業員全体の意欲がアップし、活気に満ちた職場に変わったという企業もあります。

ワンポイント
EQはただ闇雲に高めれば良いというわけではありません。例えば、役職者の場合、「共感性」が高すぎてもリーダーの素養としてふさわしくない場合があります。

アドバンテッジリスクマネジメントの研修では、まずは自分の現状を把握し、置かれている立場を踏まえます。そのうえで、今後の「自分のありたい姿」がどのようなものであり、そのギャップを埋めていくために何をしていけば良いかを考えるなどのステップを踏みます。このように、自分のスタイルを把握し、場面や相手に応じた使い分けをしていくことが重要です。

従業員のEQを高めて、企業の生産性をアップさせよう

楽しく話し合いをする従業員達

従業員のEQを高めることは、従業員にメリットがあるだけでなく、企業にも非常に有益です。EQをトレーニングする方法を実践し、企業全体の成長につなげましょう。

EQ向上研修バナー_アドバンテッジリスクマネジメント

従業員のEQ(感情マネジメント)を高めたい企業には、EQ向上を目的とした研修がおすすめです。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数3,140社/利用者数483万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄に3年連続で選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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