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EAP(従業員支援プログラム)とは?メンタルヘルス対策だけではない生産性向上を実現する従業員ケア

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職場や家庭における心身の不調やストレスなど、従業員のメンタルヘルスをめぐる問題は年々深刻化しています。企業が従業員の健康を守り、ストレス改善を支援していくには、さまざまなケースに対応できる「EAP(従業員支援プログラム)」の導入が不可欠です。

この記事では、EAPとは具体的にどういうプログラムなのか、メンタルヘルスだけではなく、パフォーマンスや生産性の向上にもつながる従業員ケアの重要性について解説します。

EAP(従業員支援プログラム)とは?

EAP(従業員支援プログラム)とは、従業員のメンタルヘルス対策から、職場や家庭、個人におけるあらゆる問題の解決を支援するプログラムです。

近年、労働人口の減少による人手不足で従業員に過度な業務負担がかかりやすくなるなか、終身雇用や年功序列といった日本型雇用から、成果主義の欧米型雇用への移行を検討する企業が増加傾向にあります。労働環境が大きく変化する現代社会において、ストレスやプレッシャーが原因となる従業員のメンタル不調のリスクはますます高まっていると考えられます。

従業員が慢性的なストレスを放置すれば心身の不調の原因となり、疾病の発症や長期欠勤、離職につながるおそれがあります。ストレスチェックやカウンセリング、必要に応じて医療機関への受診推奨などをおこなうEAPは、従業員が抱える不安や悩み、ストレス環境を早期発見し、改善を支援できる有効な施策といえるでしょう。

EAPの概要についてのイラスト図

EAPの重要性

近年、過労自殺や業務に起因すると考えられる疾病で、従業員が死亡した場合の賠償責任を求める判例が増加しています。過重労働やパワーハラスメントが原因で発症した精神疾患には業務災害が認定されたり、企業に重大な過失があった場合は民事訴訟が提起されたりする事例が生じています。

これまでEAPは従業員への福利厚生として見られがちでしたが、今後は「法的リスクマネジメント」の観点から再度EAPの重要性を捉え直す必要があります。CSR(企業の社会的責任)を実践する企業として、EAPの導入によりメンタル不調の従業員を早期発見すること、またその予防に取り組むことで、業務上の損害や訴訟のリスクを最小限に抑えることが大切です。

生産性向上を実現する従業員ケア

EAPは従業員のメンタルヘルス対策に限らず、企業の生産性向上にも大きく影響する施策です。

企業に最適なEAPを導入することで、従業員は職場における人間関係やキャリアなどの悩みから、家族の介護、育児といった個人的な問題まで幅広く相談できます。従業員が現在の状況や将来について前向きに考えられる機会が増えれば、長期欠勤や離職の防止だけではなく、パフォーマンスや生産性の向上にも期待が持てるでしょう。

さらに、心身の健康増進による医療費の削減、職場のトラブル減少による組織の活性化、人材の定着、企業のブランドイメージ向上など、EAPの導入にはさまざまなメリットが考えられます。EAP導入による従業員ケアは、企業の持続的な発展に欠かせない施策といえるでしょう。

EAPのポイントと選び方

EAPはメンタルヘルス不調の「早期発見」や「予防」の観点を持つことが大切です。今抱えているストレスは業務上支障がないか、業務遂行に問題がないかという観点で、ストレスとパフォーマンスの関係性に気づいてもらうようなアプローチをおこなっていきます。

EAP導入のポイントは、メンタルヘルス不調の自覚がない従業員にもストレスチェックによって自身の状態に気づきを与えることで、EAPを利用してもらうことです。まずはメンタルの問題が特別なものではなく、誰にでも起こり得るものだと従業員全体に周知し、理解を深めてもらわなければなりません。

また、定期的に実施される健康診断のように、自身のメンタルや置かれた状況を相談できる雰囲気をつくっておくことも重要なポイントです。休職の診断書で「初めて問題に気がついた」ということがないように、企業は悩みを抱える従業員が躊躇なく相談できる環境整備に積極的に取り組んでいく必要があります。

EAPを選ぶうえでは、自社で本当に機能するプログラムを見極めることが大切です。企業に導入するEAPは、担当カウンセラーの判断で医療的な見地が必要な場合はスムーズに医師が介入できる体制であること、また、相談者の状況や対人関係、思考、行動パターンなどの情報が一元管理され、経過を踏まえた継続的なカウンセリングが受けられるプログラムを選ぶことをおすすめします。

アドバンテッジリスクマネジメントのメンタルヘルス相談体制

まとめ

EAPとは、従業員のメンタルヘルス対策から、職場や家庭での不安・悩みなどの問題解決をサポートする専門的なプログラムです。EAPの導入・運用においては、本当に機能するEAPを取り入れ、不調の自覚がない従業員にも利用してもらうよう働きかけることが大切です。

企業にとって従業員の健康をケアすることは、メンタルヘルス対策だけではなく、企業経営リスクを回避するうえでも重要な施策となります。心身の不調を早期発見し改善支援をおこなうことで、従業員のパフォーマンスや生産性の向上にも期待が持てるようになるでしょう。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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