レジリエンスと英語で記載された石

【ビジネスでの注目度UP】レジリエンスの意味とは?高め方や効果も解説

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レジリエンスとはしなやかな強さ・精神的回復力などと訳され、挫折や苦境から回復する精神的な力を意味した言葉です。ストレス社会と言われる現代に必要不可欠な力として注目されていますが、ビジネス界においても、重要視されています。そこで、レジリエンスの意味や効果、高める方法などについて、分かりやすく解説します。

レジリエンスの意味と注目されている背景

ホワイトボードに書かれたレジリエンスの6つの要素

レジリエンスとは、困難な状況から気持ちを立て直す、精神的な回復力のことを言います。昨今のビジネスシーンでもレジリエンスの向上が重視されています。ここでは、レジリエンスの意味・定義と、ビジネスにおける重要性について押さえておきましょう。

レジリエンスとは困難な状況から回復する精神力

本来、レジリエンス(resilience)とは心理学用語であり、しなやかな強さ、精神的回復力、復元力などとも訳され、挫折や苦境から回復する精神的な力という意味を持ちます。ビジネス現場においては、想定外のできごとに対し、冷静かつ臨機応変に対応できる力や新しい環境、変化、多様な状況に対し、しなやかに対応できる力として捉えられています。

レジリエンスを兼ね備えた人は、心身ともに健康な状態が続き、仕事上で困難なことや、未経験の業務を任された時にも、上手に乗り越えられるのが特徴です。そのため、レジリエンスはストレス社会をしなやかに生き抜く上で重要なスキルと言えるでしょう。

ビジネスにおいてレジリエンスが注目される背景

ダイバーシティの推進やテクノロジーの変化など急激な環境変化への対応、リモートワークが導入されるなど、従来に比べて労働環境は大きく変わっています。働き方が多様になった分、新しい業務や、今までとは異なる手順などにストレスを感じるケースが増えたこともあり、それらに適応する力として、レジリエンスが注目されるようになりました。

また、現代のビジネス現場では、年功序列や終身雇用といった概念から成果主義を重視した働き方に変化しています。このように変化し続ける環境に適応する力を身に着け、目標達成に向けてポジティブに努力できる人材を育てるためにも、レジリエンスの重要性が注目されています。

例えば欧米では、リーマンショックをきっかけに、多くの企業が従業員に対してレジリエンス研修を提供しました。これは、心身を保ちながら不況を乗り越え、仕事上の変化を受け入れるといった新しい挑戦に対し、柔軟な人材育成をしようとしたためです。

ビジネスにおけるレジリエンス力

ビジネスにおけるレジリエンスは、組織のレジリエンス力と個人のレジリエンス力の両方が重要となります。組織のレジリエンスとは、働き方改革による長時間労働の制限やメンタルヘルス施策をはじめ、ハラスメント防止、ダイバーシティ施策など、あらゆる変化に柔軟に対応できる組織力のことです。一方、個人のレジリエンスとは、さまざまな状況におかれても、それをしなやかに乗り越えられる対応力や思考を意味しています。

ここからは、個人のレジリエンスについて、解説していきます。

レジリエンスに必要な6つの要素

レジリエンスの6つの要素の画像

(図1)レジリエンスの6つの要素

個人のレジリエンスの向上に必要なのは、自分の軸・しなやかな思考・対応力・人とのつながり・セルフコントロール・ライフスタイルの6要素(図1)です。これらは研修やコーチングを受けて、後天的に高められます。ここでは、その6つの要素について詳しく解説していきます。

①自分の軸

自分の軸を持っていると、自分の行動や思考、感情表現、譲れない価値観など何が自分にとって大切なのかを把握できます。その結果、物事に対して客観的かつ現実的に判断ができるようになります。ただし、自分の軸に頼りすぎると独断になりすぎるため、他人の意見を取り入れる柔軟さも必要です。

②しなやかな思考

しなやかな思考があれば、自分の考え方の癖や価値観を自覚しながら、他人の意見を柔軟に取り入れられます。多様な考え方を受け止められるので、自分自身の考え方を変化させることも可能です。

しかし、しなやかな思考がなければ他者の意見を尊重できず、周囲と対立する恐れがあります。

③対応力

対応力とは問題を解決する力のことです。自分自身や周囲の状況を理解し「自分は今何ができるか」「何を優先すべきか」が的確に判断でき、解決へと導けるようになります。対応力がないと、状況分析ができなかったり、優先順位づけが不十分だったりと、問題解決が困難になってしまいます。

④人とのつながり

心の支えになってくれる人や、仲間との信頼関係を培っていけるようになります。組織だけではなく、普通の生活でも自分だけでは解決できない目標も多いため、何かあった時に周囲の人と助け合える関係性を周囲の人と築くことは大切です。人とのつながりがあれば、お互いに助け合ったり、新たな解決策や問題点に気づけたりできます。

⑤セルフコントロール

人間関係で、怒りや衝突などの問題があった時は、冷静に感情を捉え、行動をコントロールしなくてはいけません。特に変化や困難に直面すると、相手と衝突したり、対立したりしてしまう恐れもあります。そのような時に、感情を自分でコントロールできれば適切な行動が取れるようになるのです。最近では、自分自身の感情コントロールに効果的なマインドフルネス瞑想といった対応方法を取り入れる職場も増えています。

⑥ライフスタイル

食事、運動、睡眠などをきちんと行い、心身ともに健康かどうかも大切なポイントです。健康であれば精神的な余裕が生まれ、ストレスを冷静に受け止められます。ライフスタイルが乱れてくると心身ともに不調をきたしてしまいます。

レジリエンスが高い人と低い人の特徴

パソコンのまえで考える人

レジリエンスが高い人、低い人にはそれぞれ特徴があります。

<レジリエンスが高い人>

  • 発想や考え方が柔軟である
  • 自分の感情を的確に把握した上で行動でき、上手く切り替えられる
  • 自分にも人にも優しく、周囲の人達と良い関係を築ける
  • 自分の長所を認識している
  • 困難なことに直面しても適切に判断し、すぐに諦めない
  • 新しいことや知らないことに興味を持ち、積極的にチャレンジする

<レジリエンスが低い人>

  • 気持ちの切り替えが不得意
  • 発想や考え方の柔軟性が乏しい
  • 自分にも人にも厳しく、一人で抱え込みやすい
  • 消極的で新しいチャレンジをしない
  • 自分の短所ばかり気にしている
  • 困難なことに直面したらすぐ諦める

従業員のレジリエンスを高めることで得られる3つの効果

会社の風景

ビジネス現場において、従業員のレジリエンスを高めることで得られるメリットは多いです。対応力や適応力があり、周囲と協力もし合えるため、仕事のパフォーマンス力も向上します。ここではレジリエンスを高めることによって得られる効果を紹介します。

1.ストレス耐性が身につく

従業員のレジリエンスが高くなると、困難に陥っても悲観的になりにくく、ストレスへの耐性が身につきます。ストレスを感じた時にも、自分の感情を理解し、しなやかに対処すれば、そのストレスと上手に向き合えるでしょう。また、ストレスが原因で体調を崩すといったメンタルヘルス不調を防げるようにもなります。

2.変化への適応力が身につく

従業員のレジリエンスを高めれば、気持ちや思考の切り替えが上手になり、変化を柔軟にとらえられます。例えば、企業の方針転換や新規事業を始める時、人事異動など、難しい状況でもスムーズに適応できます。さらに、従業員にとって難しい課題や、厳しい事態に陥った時も、すばやく状況を把握し、適切な対応を取れるようになるでしょう。

3.問題解決能力が身につく

先述したように、従業員のレジリエンス力が高くなるとストレスへの耐性が身につきます。課題解決の途中で感じるストレスを上手に対処しつつ、自分の課題に取り組み続けられるでしょう。

また、ポジティブかつ柔軟に物事を捉えられるため、課題においても多面的に考えることができ、解決に向けて対応できます。

レジリエンスを高める方法

ミーティングをする男性たち

ここからは、実際にレジリエンス力を高める方法を紹介します。

自分自身を大切に思う「自尊感情」を高める

自尊感情とは、自分自身には価値があると感じ、自分を好きでいられる、大切に思える感覚や状態のことを言います。この自尊感情を高めるためには、ありのままの自分を受け入れること、または周囲にも受けとめてもらえているという信頼感が大切です。

自尊感情を高めるためには、まずは他人と自分を過剰に比較するのをやめ、自分自身について理解しましょう。

自分自身の可能性を認識する「自己効力感」を高める

自己効力感とは、自分の可能性を信じることです。「自分ならできる」という自信を持っているため、自分の感情に対して適切に行動でき、困難があった時も落ち込みすぎません。

自己効力感を上げるには、成功体験を増やすことが重要です。ただし、1人でやり遂げるだけが成功体験ではなく、上司や同僚に相談をし、もらったアドバイスを参考に試行錯誤した上で困難な状況を乗り越えることで自己効力感を上げられます。つまり、自らが起こした行動が成功体験につながることが大切です。成功体験により、良い評価を受けたり、できることが増えたりすれば、自分の自信にもつながるでしょう。

専門的な知識が得られる「研修」を受ける

レジリエンスを高めるには、研修やセミナーを受けるのもおすすめです。専門的な研修を受けることで、レジリエンスだけではなく、メンタルヘルスやストレスに関する正しい知識が身につきます。

特に管理職やリーダーなどは、厳しい状況の中で臨機応変に対応し、プラスに好転させるようなシーンに接触しやすくなります。そのような状況でも、プレッシャーに負けず、最善のパフォーマンスや結果を出すために、レジリエンスを高めることは重要です。

レジリエンスの意味や高め方を参考に、できることから始めよう

笑顔で働く人々

挫折や逆境など、さまざまな困難な状況からの回復力を意味するレジリエンス。ビジネス現場において、職場の人間関係や労働環境の変化といったあらゆる変化に適応していくために、重要な役割を果たします。レジリエンスは、考え方や行動などを意識することで高められます。自分でできる取り組みや企業での研修などできることから始め、レジリエンスを高めましょう。

アドバンテッジリスクマネジメントの社員研修プログラム

アドバンテッジリスクマネジメントでは、従業員が困難な状況から改善行動を起こせるようになるためのスキルや考え方などを学ぶ、様々な研修プログラムを扱っています。レジリエンスを高めることにもつながる研修もご用意しておりますので、ぜひお問い合わせください。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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