健康経営優良法人「ホワイト500」「ブライト500」認定のために必要なこととは?

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昨今は、健康経営優良法人「ホワイト500」「ブライト500」というキーワードを耳にしたり、ロゴマークを目にしたりすることが多くなったのではないでしょうか? 日本で健康経営に取り組む企業が年々広がりを見せており、HR総研の調査によると、すでに健康経営の認知度は9割。準備中の企業も含めれば、約5割の企業が健康経営に取り組んでいます。

本記事では、健康経営優良法人とはどのようなものなのか? 認定されるメリット、認定を受けるために必要なことを解説します。

健康経営優良法人認定制度とは?

「健康経営優良法人認定制度」とは、平成28年度に経済産業省で創設された制度です。優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」し、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから社会的に評価を受けることができる環境を整備する取り組みであり、実際の認定は行政の支援を受けた民間組織「日本健康会議」が行います。

この認定を受けた企業は、「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として従業員や求職者、関係企業や金融機関などから社会的な評価を受けることができます。また、「健康経営優良法人」ロゴマークが使用できます。

「ホワイト500」、「ブライト500」とは?

健康経営優良法人認定制度には、「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2部門があります。どちらの部門かは、申請時点の常時使用する従業員の数で決まります。

大規模法人部門の上位500社の健康経営優良法人は、「ホワイト500」と呼ばれ、社会に対して健康経営の「トップランナー」の一員としての役割が期待されます。また、上場企業については、健康経営度調査で上位20%に入り、東証による財務指標のスクリーニング(直近3年間のROE(自己資本利益率)が平均0%以上等)の結果、各業種最高順位企業の平均より優れていると判断されれば、「健康経営銘柄企業」として選定されます。

中小規模法人部門の上位500社の健康経営優良法人は、「ブライト500」と呼ばれ、継続して取り組みを実施することと、地域の健康経営拡大のために積極的に事例を発信する役割などが求められます。

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※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

注目されている健康経営

近年、健康経営の注目度が高まっている背景には、さまざまな日本の課題が関係しています。周知のとおり、超高齢化社会による社会保障費が拡大する一方、若年層の減少や介護離職による働き手の減少が予測されており、「人生100年時代」「生涯現役」というキーワードがここ数年で、よく見受けられるようになりました。

また、「ブラック労働」といわれるような過剰労働に対する社会の見方も厳しくなり、就活生やその親が就職先の検討材料として「従業員の健康や働き方に配慮する企業か」に着目する割合は高くなってきています。優秀な人材を獲得するためにも、「従業員を大事にする会社」というPRは、特に新卒の採用市場においては常識となっているほか、メンタルヘルス対策も「ストレスチェック法制化」に伴い、企業の義務となっています。

働き方改革に伴い「労働時間の適正化」「業務効率化」「生産性向上」といった業務のあり方・進め方自体の大変革が企業には求められており、企業の存続のためには健康経営も経営手段として必須となった時代に入ったともいえます。実際、「健康経営優良法人(当時の通称ホワイト500)」が開始された2015年度に健康経営度調査を回答した全法人数は493法人でしたが、2020年度は2523社が回答しています。

中小企業の健康経営への取り組みも活発になり、「健康経営優良法人2021」では大規模法人部門で1794法人、中小規模法人部門で7933法人が健康経営優良法人に認定されるなど、健康経営の動きが加速していることがわかります。(参照:経済産業省HP 令和3年8月1日現在)

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健康経営の実践によるメリット

従業員の健康に投資することで、「従業員の健康増進」はもちろん、「組織活性化・生産性向上」「ロイヤリティの醸成」「人材採用力の向上」「企業イメージ・企業価値の向上」「投資家・取引先のイメージ向上」などのメリットがあるといわれています。

実際、これまで健康経営銘柄・健康経営優良法人に選定・認定された企業からの声として
・社内外からの前向きな反響
・自社内での意識の高まり
・コミュニケーション等の向上
・労働時間適正化や有給取得率の向上
など対外的なイメージだけでなく、働き方改革・組織活性化に直接つながる変化が社内にみられているようです。

また、経営層が注目する「健康経営の取り組みが業績向上の形として見えるのはいつか」についても効果検証がされています。

日経Smart Workプロジェクト「スマートワーク経営研究会」による中間報告「働き方改革と生産性、両立の条件」によると、スマートワーク経営調査の個票データをパネルデータ化し、健康経営を含む働き方改革に関する施策と企業の利益率との関係を検証したところ、健康経営については、ROA(総資産経常利益率)と ROS(売上高営業利益率)のいずれでも、実施の少し後に利益率が上昇している状況が見られました。

『健康経営を実施することでラグを伴って利益率が上昇するプラスの効果が現れる可能性が示唆されること、健康経営による効果はすぐ顕現化せず、2年のラグを伴うということ』が報告されています。

経済産業省のデータでは、健康経営度の高い企業は離職率が低い傾向が見られます。
健康経営の実践は、企業にとって良い結果につながることが期待できます。

健康経営に着手するためには?-まずは、健康経営度調査に回答してみましょう!

大規模法人部門を対象に行われる「健康経営度調査」は単に健康経営の顕彰のためだけではなく、「自社の従業員の健康に関する取り組みのポジショニングの指標」にも活用できます。健康経営度調査に回答し、期限日までに提出すると、必ず結果サマリー(フィードバックシート)が返却されます。

年々調査票の中身はアップグレードされているので、「今、何が健康管理に求められているのか、自社が出来ていること・できていないことの棚卸し、何か手をつければいいのか」などの健康経営を推進する項目の目安にもなります。2021年度の調査は2021年8月からスタートします。詳細は経済産業省HPをご覧ください。

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健康経営度調査の内容―5つのフレームワークで健康経営度を評価

健康経営度調査では、5つのフレームワークに基づき、健康経営度を評価しています。

上記のフレームワークは、各企業の経営基盤から現場施策までの様々なレベルで連動・連携しているか、という視点から設定されています。健康経営の取り組み度合いに関する社会的な現状を踏まえて評価配点のウエイト(重みづけ)が設定されています。

各企業の点数をフレームワークごとに偏差値評価に換算した後、ウエイトを掛け合わせ、健康経営度を評価します。認定基準の要件として、①経営理念・方針、②組織体制(経営層の体制、保険者との連携―コラボヘルス)、③制度・施工の実行、④評価・改善、⑤法令遵守・リスクマネジメントの事項が必須であることに加えて、2018年度からは、『受動喫煙対策に関する取り組み』、『各施策の参加率(実施率)を図っていること』が求められています。

さらに、2020年度からは新型コロナ対応として「非常事態下の事業継続体制」「接触回避」「職場環境整備」「ワクチン接種」の4つが評価項目に加わっています。

※「健康経営優良法人2022年の認定・申請方法」についての最新情報は経済産業省HPをご確認ください。

健康経営の実現のために何をすべきか?

健康経営の取り組みのためには、何からスタートすればよいでしょうか? 「定期健診の実施」や「特定健診・特定保健指導の実施」「ストレスチェックの実施」の法令遵守は事業主や保険者に義務付けられています。自社の取り組みは法令をクリアしているか?の確認から開始し、まだ法令をクリアしていないようであれば、まずはそこを早急に着手しましょう!

一方、「法令はクリアできているが、健康経営の実施について、どう社内で進めたらよいかわからない」、「担当者が1人(あるいは数人)しかいないので、法令の取り組みだけで精一杯。働き方改革に関する就業規則改訂もあるし・・健康経営までなんて無理」「専門職の直雇用は社内申請にハードルが高い」「健康経営は取り組みたい、上司からも命じられているが、不明なことが多く、分からない」という人事総務ご担当者様も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

そうした人事担当者をサポートする専門機関のアドバイスを受けるのも一つの手です。あなたの会社でも健康経営優良法人「ホワイト500」「ブライト500」認定取得を検討してみませんか。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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