健康経営優良法人の認定にも使用されている「健康経営度調査」とは?

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健康経営度調査とは

毎年経済産業省が各企業に向けて、健康経営の取組状況と経年での変化を分析することを目的として実施している調査で、2015年から開始されています。

「健康経営度調査」に回答する法人は増加の一途であり、2021年時点で日経平均株価を構成する225銘柄の8割以上の企業が回答しています。業界のリーディングカンパニーにとって、健康経営はもはやスタンダードになっていると言えるでしょう。

この調査の回答内容は「健康経営銘柄」の選定および「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の認定に使用されます。

―「健康経営銘柄」とは、健康経営度調査に回答した上場企業で、同業種内で健康経営度が上位20%かつすべての項目を満たす企業に対して、東証による財務指標によるスクリーニング等を実施して選定されます。選定条件は以下のとおりです。

・直近3年間のROE(自己資本利益率)が平均0%以上の企業
・ROEが高い企業には一定の加点
・前年度回答企業に対して一定の加点
・社外への情報開示の状況についても評価
・33業種毎に原則1社の選定(該当企業がない場合その業種からは非選定)

ただし、各業種最高順位企業の平均より優れている企業も銘柄として選定されます。なお、TOKYO PRO Market上場会社は対象外です。

―「健康経営優良法人」には、大規模法人部門、中小規模法人部門があります。

大規模法人部門は、上記、健康経営銘柄と同じ「健康経営度調査」の中にある申請書部分に記載して申請します。

※中小規模法人部門の場合は、まず所属する保険者が実施する「健康宣言事業」に参加します。さらに取り組みを実施した上で、専用サイトから認定申請書をダウンロードし作成し、データをアップロードして申請します。いずれも申請・認定は、日本健康会議事務局が行います。

健康経営度調査

「健康経営度調査」は単に健康経営の顕彰のためではなく、「自社の従業員の健康に関する取り組みのポジションニングの指標」にも活用できます。健康経営度調査に回答し、期限日までに提出すると、必ず結果サマリー(フィードバックシート)が返却されます。

年々調査票の中身はアップグレードされているので、「今、何が健康管理に求められているのか、自社が出来ていること・できていないことの棚卸し、何か手をつければいいのか」などの健康経営を推進する項目の指南書としても活用が可能です。

健康経営の顕彰制度および健康経営度調査

健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」し、社会的な評価を受けられる環境の整備を目的に、経済産業省が東京証券取引所や日本健康会議と連携し顕彰制度を実施しています。「健康経営銘柄」「健康経営優良法人」の認定にあたり、必須となるのが「健康経営度調査」への参加なのです。

健康経営度調査について:健康経営度調査の内容―5つのフレームワークで健康経営度を評価

開始年度から5つのフレームワークに基づき、健康経営度を評価します。

上記のフレームワークは、各企業の経営基盤から現場施策までの様々なレベルで連動・連携しているか、という視点から設定されています。健康経営の取り組み度合いに関する社会的な現状を踏まえつつ、評価配点のウエイト(重みづけ)が設定されています。

各企業の点数をフレームワークごとに偏差値評価に換算した後、ウエイトを掛け合わせ、健康経営度を評価しています。

認定基準の要件として、①経営理念・方針、②組織体制(経営層の体制、保険者との連携―コラボヘルス)、③制度・施工の実行、④評価・改善、⑤法令遵守・リスクマネジメントの事項があります。

具体的な項目は毎年アップデートされています。例えば、2021年の調査から「従業員の喫煙率低下に向けた取り組み」という評価項目が追加されました。新型コロナ対策の設問もより具体的な内容になっています。リモートワークの普及、企業経営の指標として注目されているESGに関連する項目が増えるなど、質問内容も時勢をしっかり反映しています。

「従業員の喫煙率低下に向けた取り組み」は「健康経営優良法人2022(大規模法人部門(ホワイト500))」の認定要件にもなったため、ホワイト500認定を目指す企業は、すべての事業場で受動喫煙対策が必須となり、屋内屋外ともに全面禁煙または分煙の措置を行う必要が出てきました。

さらに、ホワイト500の認定要件に「フィードバックシートおよび調査票の回答の一部を公開許諾」が加わったことも大きな変化です。公開しなければ要件を満たしていても認定されなくなるなど、企業に積極的に情報開示が求められるようになりました。

2022年度に実施される健康経営度調査(認定は2023年)の評価項目は、例年のペースでいけば2022年の8月ごろに公開され、申請受付がスタートします。なお、2022年度からは完全電子化に伴い、郵送による資料の送付が不要になります。今後も新しい項目が追加されていくため、経済産業省のWebサイトや健康関連のメディアで情報をチェックし変更点を見逃さないようにしましょう。

健康経営度調査は、「まずは健康経営のエッセンスをやってみよう」という内容であった初期の頃と比べ、調査票の中身は年々レベルアップしています。言いかえれば、現在の環境下ではどのような健康経営を目指すべきかを指し示しています。

回答初年度は「自社のポジショニングを知る」ことから開始し、自社で取り組めそうなことから、『まずはやってみる』ことが大事です。その上でどのような健康経営を目指すか、どこから改善していけるかなどを検討し、自社なりの目標を立てていくことをおすすめします。

まとめ

健康経営度調査は、健康経営企業の顕彰制度への門戸だけでなく、自社の現状把握や、同業種内での健康経営推進度合いのポジショニングの確認にも有用です。

自社内で、まだ健康経営を推進する機運が高まっていない場合は、この健康経営度調査のサマリー結果を自社の会議で活用することにより、社内の意識を高める動機づけとなりうるかもしれません。職場環境や風土の変革のために、まずは健康経営度調査を回答することから一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

※本記事の内容はすべて執筆時点の情報です。健康経営関連の制度については最新情報をご確認ください。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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