中小企業の健康経営の取り組みの課題とは?

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健康経営の目的

健康経営とは、従業員の心身の健康が企業および社会に不可欠な資本の1つであると捉え、従業員への健康情報の提供や健康投資を促すしくみを構築することで、生産性の低下を防ぎ、医療費を抑えて、企業イメージ、生産性・収益性の向上を目指す取り組みを指します。※「健康経営」はNPO法人健康経営研究会の登録商標です

健康経営が注目されている背景

近年、健康経営の注目度が高まっている背景には、さまざまな日本の課題と関連があります。

超高齢化社会による社会保障費が拡大する一方、若年層の減少や介護離職による働き手の減少から、「人生100年時代」「生涯現役」というキーワードで働き方改革を国も推進しています。

企業が従業員の健康に投資し施策をうつことで、これらの課題を改善でき、かつ企業の業績も向上していく、といった構想を実際に実現した企業の事例も出始めております。

採用活動でも、「従業員の健康を大事にしているか」のポイントは大きく、優秀な人材獲得のためにも効果的です。大企業以上に人材確保が大きな課題である中小企業こそ、健康経営に取り組む意義があるともいえるでしょう。

「健康経営優良法人2019(中小規模法人部門)」の制度について

健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度です。

健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目標としています。

この制度では、規模の大きい企業や医療法人等を対象とした「大規模法人部門」と、中小規模の企業や医療法人等を対象とした「中小規模法人部門」の2つの部門で、それぞれ「健康経営優良法人」を認定しています。

直近の健康経営優良法人2019には、大規模法人部門に820法人、中小規模法人部門に2503法人が認定(2018は、大企業部門539法人、中小企業部門775法人:2019比約3倍!)されており、健康経営優良法人が開始された2017年以降、着実に申請企業や認定数が増えており、健康優良法人認定を取得することが企業ニーズとして高まっています。

健康経営優良法人(中小規模法人部門)に求められていること

健康経営を全国に浸透させるには、周辺地域の中小企業における取り組みを広げることが不可欠であり、中小規模法人部門において「個社に合った優良な取り組みを実施する法人」を積極的に認定することで、健康経営のすそ野を広げることが期待されています。

今後、中小規模法人に対しては、引き続き自社の健康課題に応じた取り組みを実践し、地域における健康経営の拡大のために、その取り組み事例の発信等をする役割が求められています。

健康経営優良法人(中小規模法人部門)の申請区分について

健康経営優良法人2019説明会資料:経済産業省より

<対象:従業員数が以下に該当する法人>
①製造業その他:1人以上300人以下 ②卸売業:1人以上100人以下、③小売業:1人以上50人以下、④医療法人・サービス業:1人以上100人以下の法人
又は 中小企業基本法上の「中小企業者」に該当する会社
※従業員を1人以上使用していること
※従業員の定義について、「常時使用する従業員」(労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」 )は対象者として含めることを必須とし、契約社員、パート・アルバイト、他社からの出向者、他社からの派遣社員等については、「常時使用する従業員」に当たらない場合も、健康経営の施策(食生活の改善に向けた取り組み、運動機会の増進に向けた取り組み等)の対象となっている場合は、本制度における「従業員」に含めることができます。
※業種については、中小企業基本法上の類型に基づきます。

認定を受けるためには・・・

認定基準の項目は、「中小規模法人部門」は申請書において適合していることをもって認定されます。

健康経営優良法人2019(中小規模法人部門)認定基準

健康経営優良法人2019説明会資料:経済産業省より

中小企業の健康経営推進における課題

中小企業における認知度と取り組み率:認知度も取り組み率も2割以下!

健康経営に取り組む企業が増加している一方で、国内の中小企業を対象とした健康経営に関する認知度調査(対象12000社、回答3,476社)によると、『言葉も意味も知っている』のは15%にとどまり、『聞いたことはあるが内容は知らない』32%、『全く知らなかった』は52%と、健康経営の具体的な中身まで把握していない企業は8割以上にも及び、まだまだ中小企業への健康経営の認知の浸透には課題があることが分かります。

また、健康経営の実施に関して、「現在取り組んでいる」中小企業は、約2割のみで、「現状取り組んでいない」という回答は約7割を占めていました。一方、「現状取り組んでいないが、今後取り組みたい」企業は、5割に上っており、中小企業内でも興味関心度は高い、といえるでしょう。

中小企業における健康経営の実践への課題理由:「よく分からない」「やり方が分からない」が8割!

東京商工会議所実施の会員企業への「健康経営に関する実態調査」において、健康経営を実践する上での課題として、「どのようなことをしたらよいか分からない」が 45.5%、「ノウハウがない」が 36.6%、「社内の人員がいない」が 26.0%と、上位にノウハウ・やマンパワーの課題があります。

また、「効果やメリットが分からない」が 22.9%で、健 康経営の実践促進のため、具体的な取り組み方法の周知や実践支援サポート施策のほかに、健康経営のメリットについても周知していくことが必要でしょう。

健康経営を実現させるステップ

経産省×東京商工会議所「健康経営ハンドブック2016」健康経営のステップP28より

まとめ

中小企業こそ健康経営を一度取り組み始めたら、従業員への浸透のスピードは速く、文化として根付きやすいといった良い面もあります。

「健康」という一面に着目するだけでなく、働きやすさの環境づくりや人事制度改革も併せて取り組むことで、従業員の健康だけでなく、企業の健康でもある「業績向上」に繋がりやすく、健康経営の真の目的への近道といえるかもしれません。

なんとなく組織改革や健康経営といった言葉は難しいことのように感じられるかもしれません。自社に合った健康経営の小さなエッセンスを取り入れるだけでも、それは健康経営の一歩といえます。

たとえば、「社員の声に耳を傾ける」「社員の顔をみて声をかけ、あいさつをする」だけでも健康経営の取り組みで、大それたことはしなくても日頃の延長線上でできる相手への心づかいこそ、健康経営の取り組みかもしれませんね。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「個と組織の未来基準の元気を創る」トピックスをお届けします。

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