健康経営銘柄2019にみる選定企業のポイントとは?

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健康経営銘柄とは?

経済産業省が東京証券取引所と共同で、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業を「健康経営銘柄」として選定し、公表するものです。

企業の健康経営の取り組みが、株式市場等において適切に評価される仕組みをつくるべく、2015年より開始した顕彰制度です。本制度は日本再興戦略に位置づけられた「国民の健康寿命の延伸」に関する取り組みの一つとして始まったことが開始の経緯です。

健康経営とは?

「健康経営」とは、従業員等の健康管理を単なる人事・労務管理と捉えるのではなく、利益をもたらす経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。

健康経営を実践した企業が得られる効果としては、従業員個人の活力向上だけでなく、組織の生産性の向上、コミュニケーション活性化などからのエンゲージメントやロイヤリティ醸成などと、個人・組織への双方へ効果があり、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されています。

実際、健康経営を実践する企業からは、そのような報告がたくさん挙げられています。

健康経営銘柄の選定基準は?

ポイントは以下3点です。これらすべて満たしている企業が「健康経営銘柄企業」として認定されます。

①上場企業でかつ健康経営度調査に回答し、上位20%以内に入っていること
②重大な法令違反がないこと
③直近3年間のROE(自己資本利益率)が平均0%以上
 
まず、毎年上場企業へ配布している「健康経営度調査」に回答することが必須となります。その回答内容を元に、健康経営度調査が回答企業の上位20%に入ること、かつ必須項目をすべて満たすことが条件です。ただし、重大な法令違反等があれば選定対象から除外されます。

次に東証における財務指標スクリーニングが実施されます。その条件は以下です。

◎ROE(自己資本利益率)の直近3年間平均が0%以上の企業を対象
◎社外への情報開示の状況についても評価を行う
◎33業種毎原則1社の選定を予定(最大で33社となるが、該当企業がない場合、その業種からは非選定)
◎各業種最高順位企業の平均より優れている企業についても銘柄とし選定

上場企業においては、同業種内で優秀かつ直近3年間のROE(自己資本利益率)が平均0%以上の企業に対しては「健康経営銘柄企業」として選定されます。

健康経営銘柄2019に選ばれた企業

2019年に各業種から健康経営銘柄に選定された企業は以下のとおりです。2018年までの1業種1社の制限が払われ、28業種37社と多くの企業が選定されました。

企業一覧

参考:経済産業省HP

健康経営銘柄選定企業の施策・事例を紹介

ここで、健康経営銘柄2019選定企業の取組事例を紹介します。

<会社と健保とのコラボヘルスで全社の健康度アップを推進>

製造業のA社では、会社と健保によるコラボヘルスで健康第一の企業風土づくりを推進し、取り組みの成果を公表しています。特徴としては、健康度と将来の疾病リスクを「見える化」した健康増進運動や生活習慣病リスク群への個別アプローチ、メンタルヘルス教育、禁煙サポートなどの多くの施策を実施しています。

個人のヘルスリテラシーやリスクに合わせた階層別教育で全社的な健康度の底上げも図っています。こうした継続的な取り組みの結果、2017年度のフィジカルハイリスク者は2013年度比で74%も減少されました。

プレゼンティーズム損失額は2016年度比11%減(月間平均)となり、健康経営による職場環境の改善効果が表れています。

<自社事業の魚に着目した健康づくり、個人から部署へ全社的な健康経営で働きやすい環境づくり>

B社は、2016年度に「健康経営宣言」を制定後、個人の健康増進と働きやすくやりがいのある職場づくりに取り組まれています。自社事業の魚と関連して、独自研究の魚油に含まれる栄養成分に注目した食生活改善支援をはじめ、水産物メーカーの強みを生かした健康増進施策を展開。

働きやすい職場づくりとして、「No残業Day」やフレックス制、テレワークなどの制度充実化とともに、勤怠管理システムを活用とした労働環境の見直しを実施。結果、直近3年間で年間総労働時間が18時間減少した一方、営業利益は120%と増益しており、労働生産性も確実に向上しています。

<全社横断のワーキンググループが健康づくりを企画・推進し健康文化を構築>

製造業のC社は、産業保健スタッフに限らず、人事・健保が参加する全社横断の「健康経営企画推進ワーキンググループ」を組閣し、データ分析から重点課題を的確に抽出し、安全健康部門が施策を実行しています。

健保が把握している医療費データを分析し、肥満と喫煙の対策に注力し、若年層への肥満予防の健康教室や禁煙教室、屋内喫煙所の撤去などを推進。また、外部指導機関の効果的な活用で、特定保健指導実施率の向上や「健康力アップ活動」など、さまざまなアプローチで健康文化の構築を進めています。

<経営トップのもと、労組も加えたコラボヘルス推進体制を構築し、グループ全体で健康経営を目指す>

製造業のD社は、経営トップが最高健康責任者(CHO)として、就任し、会社・労働組合・健保組合が一体となり、従業員の健康保持・増進の取り組みを強化しています。

労組も関わっている特徴から、重点施策は労働時間の適正化とメンタルヘルス対策。フレックスタイムのコアタイムを1時間早めたほか、長時間労働に関するeラーニングを実施。

さまざまな施策の結果、法定外労働時間は年間1人あたり2014年度の99時間から2017年度は73時間に減少する成果と表れています。また、健診結果・問診結果・レセプトの各データを突合分析することで独自の「健康スコア」を算出。グループ企業ごとの健康課題に応じた施策を実施。

さらにグループ各社の経営トップを集めた「健康経営推進協議会」を毎年実施し、グループ全体で健康経営の実現を目指して取り組まれています。

(参考・引用:健康経営銘柄2019選定企業紹介レポート

まとめ

いかがでしたでしょうか。上場企業であれば、健康経営銘柄の取得対象となります。健康経営銘柄、ホワイト500などの健康経営優良法人に認定されると、企業の看板や名刺などに健康経営優良法人のロゴマークをつけることができます。

健康経営を行っていることをアピールすることにより、企業のイメージ向上や人材採用力の向上につながり、他社との取引が有利になる等の効果が期待されます。またそれが株価の上昇にも影響を及ぼしうるので、真に従業員の健康への投資が企業価値の向上・業績向上にも繋がりやすい顕彰制度ともいえます。

すでに「健康経営優良法人」を取得された上場企業の皆様、次なるステップとして、歴代の健康経営銘柄取得企業の事例を参考に、自社に合った取り組みで「健康経営銘柄」の取得を目指してみてはいかがでしょうか。

※本記事の内容はすべて執筆時点の情報です。健康経営関連の制度については最新情報をご確認ください。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「個と組織の未来基準の元気を創る」トピックスをお届けします。

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