「健康経営を加速させるストレスチェックの活用方法、まとめました。」アドバンテッジJOURNAL

【メンタルヘルスに留まらない】健康経営を加速させるストレスチェックの活用方法を徹底解説

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ストレスチェックを実施したものの、活用しきれていないという悩みをもつ人事担当者も多いのではないでしょうか?本記事では、ストレスチェックの正しい活用方法や、分析方法を解説いたします。併せて、健康経営の推進に応用できる取り組み方法についてもご紹介します。

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ストレスチェックとは ~理想と現実~

ヘルスケアのアイコンと電池残量が少ない状態にフォーカスした虫眼鏡

ストレスチェックとは、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぎ、健康的に働ける状態・職場環境になることを目的に、従業員のストレス状況について定期的に検査を行うものです。従業員に、自身のストレスへの気づきとセルフケアを促すとともに、検査結果を集団的に分析し、職場環境改善につなげることを目的としています。

目的はメンタルヘルスケア対策だけではない

法令でも定められているように、ストレスチェックの結果を個人に通知し、ストレス状況に気づくことでセルフケアに役立ててもらう点は、人事や企業のなかでも理解・周知されているでしょう。

しかし、ストレスチェックの結果を集団的に分析し、職場環境改善につなげる部分は努力義務ということもあり、活用しきれていないと感じる担当者が多いのが現状です。

健康経営の上位評価企業ほど、分析結果を「活用」

枝分かれしながら上方向に進む矢印の積み木

METI/経済産業省の調査によると、健康経営度調査票を提出している企業の中で「集団分析を実施している」と答えた企業は、順位問わず平均8割を超えている状況です。一方で、その集団分析を職場改善に活かせているかと聞くと、回答結果は二極化しています。健康経営認定の上位企業ほど「活用している」、下位になるにつれて「活かせていない」という回答となりました。

健康への取り組み感度が高い企業の中でも、集団結果分析を職場改善に活かせているかどうかには差があり、それほど職場改善への取り組みは難易度が高いことがわかります。

参考:経済産業省:健康経営度調査結果集計データ(平成26年度~令和2年度)

やりっぱなしになりやすく、活用が難しい

ストレスチェックの結果をもとにPDCAを回そうと思っても、各段階に色々な落とし穴があり、なかなか職場改善に結びつかないパターンが見受けられます。

<ストレスチェック後の流れと“落とし穴”>
1. 課題把握
・集団分析結果は出したものの、担当者間で「見た」だけになっている
・経営や現場に情報展開をしたが、「報告した」だけになっている
2. アクションプランの検討
・アクションプランを立てたが、実現可能性が低く計画倒れになっている
3. 実行
・アクションプランを立てても、計画倒れで実行に移せない/継続ができない
4. 効果測定
・改善活動を実施したものの、効果が継続しない/表れない
5. 軌道修正

このように、各段階で「やりっぱなし」の状態になってしまっています。

取り組みレベルをあげるストレスチェックの活用方法

書類のアイコンとラップトップ

ストレスチェックを正しく活用することで、その意義と取り組みのレベルを高めていくことができるでしょう。続いては、そのポイントを解説します。

紙→WEBの切り替えが業務効率化と活用促進へ

まずは、そもそもの実施方法について見直してみましょう。紙での実施は、配布や回収の手間はもちろん、集団分析にも時間がかかってしまいます。WEBに切り替えることで、分析結果がスピーディーに展開でき、職場改善に向けた体制の早期構築が期待できます。

「自社の環境では紙での実施しかできないだろう」「なんとなくWEB化は難しそう」と考えている企業は少なくありません。しかし、他の社内施策を振り返ってみると、例えば労務管理や安否確認といった業務に関しては、全社員がWEBで実施しているケースは多くあります。
コスト削減や業務効率化、ストレスチェック実施後の改善などを期待して、紙からWEBへ切り替える企業は年々増えています。実際にWEBへと切り替えた企業は、回答の回収と集計が早くなり、集団分析とその後の社内展開をスピーディーに実施することができるようになっています。

ワンポイント
WEB化の際には環境づくりと初年度の案内・フォロー体制が重要です。個人PCが貸与されていない組織には共用のPCを準備したり、ストレスチェック実施前に回答方法をまとめた資料や動画を展開するといったサポート体制が、円滑なWEB切り替えにつながります。

アドバンテッジタフネス

当社アドバンテッジリスクマネジメントが提供する「アドバンテッジ タフネス」は、メールアドレス登録不要で、個人ごとにIDとパスワードを任意登録する形で利用できます。社内周知用の資料準備もサポート。導入前から導入後に至るまでワンストップで伴走します。

属性の切り口を踏まえた課題把握・計画立案

ラップトップを見ながらデータを分析する人

課題の把握・計画立案の際に重要なポイントは、職場環境改善を視野に入れた集計単位や、自社に合った属性の切り口を事前に検討することです。

【例】年齢、勤続年数、性別、職位、雇用形態など
数字のみで判断するのではなく、複数の関係者のもと定性的な情報と合わせて検討することも有効。

<課題把握と計画立案の例>
・高ストレス者が最も多い等級は〇〇だった
 →〇〇向けに、階層別のセルフケア研修を実施
・勤続年数が若い層ほど、対人関係に悩み
 →若手社員を対象に人事面談やコミュニケーション研修の実施、直属の上司へのヒアリングを実施

ワンポイント
分析結果はデータを用いて、経営に関わる重要指標として経営層へ報告しましょう。今後の取り組み方針も含めて、可能であれば経営層から社内に発信してもらうことで、職場改善への会社の本気度が従業員に伝わります。

取り組み主体を分けた施策の実行

具体的な施策実行のフェーズでは、組織の特性や課題感によって、取り組みの主体を検討することが大切です。ここでは、取り組み主体別の施策パターンを4つ紹介します。

【①経営者主導型】
経営判断等により職場改善を実施します。全社的な制度導入ができ、費用のかかる改善施策の実現可能性が高くなります。

【②専門職主導型】
外部の専門職を活用し、職場改善を行います。例えば、高ストレス者の割合が非常に高い部署に対して、カウンセラーが出張して全員にヒアリングを実施し、適切なケアにつなげるなどのケースが挙げられます。

【③管理職主導型】
データそのものをフィードバックの材料として管理職に共有し、現場主導で行います。管理職が自組織の集団分析結果を見て、アクションプランを検討するなどの例があります。

【④従業員参加型】
管理職だけでなく、職場のメンバー全員が集団分析結果を見て、全員でアクションプランを検討します。成功した場合、高い効果が得られる可能性があるでしょう。ストレス面だけでなくエンゲージメント向上や活性化にも寄与します。

ワンポイント
一般的に、より本質的な改善につながりやすいのは③と④です。チームのストレスチェック結果をみることで「自分事」になり、日常の中での職場改善の取り組みとして根付かせることができます。


なお、アドバンテッジリスクマネジメントでは、管理職向けに自組織結果をフィードバックし、その結果をもとにアクションプランを立案する研修を提供しています。直近3年間でそのような取り組みをした企業は、していない企業に比べて高ストレス者の増加が抑制されたことが明らかになりました。このように、現場主導で改善に取り組むことはとても重要なアクションとなります。

継続した効果検証とフォローアップ

最後に、効果検証や次年度以降のフォローアップのポイントです。ストレスチェックの結果を前年以前と比較したり、施策実施後に簡易的な社内アンケートを実施したりすることで、施策の効果が現れているかを確認しましょう。改善に一定の成果があった事例や取り組み、困難だった事例を収集し、次年度以降の施策に活かすことも大切です。

ストレスチェックは健康経営に活用できる

改善を意味する歯車が描かれた積み木

健康経営の推進課題に対しても、ストレスチェックを役立てることができます。なぜなら、健康経営の推進ステップは、ストレスチェックの活用時に行うフレームワークと同様のことを検討するからです。

特に、多くの企業において課題とされる健康経営の課題抽出や効果検証といった部分での活用が期待されます。

健康経営×ストレスチェック活用①改善箇所の検討

健康経営度調査票の「3. 制度・施策実行」には、フィジカル面や生活習慣の課題改善項目も存在しますが、実は間接的にメンタルヘルスと関わっている可能性が高いことがわかっています。

令和4年度 健康経営度調査 「健康経営銘柄の選定、健康経営優良法人の認定に関する要件」より当社編集

例えば、疾病リスクを高めるような生活習慣の乱れ(飲酒や喫煙)は、ストレスが関わっている可能性が高いです。「たばこやお酒をやめてください」と伝えるのではなく、ストレスの根本を解消するためのストレス対処を学んでもらう等、適切な心理支援が必要になります。
長年継続してきた生活習慣に対して制度やルールのみで行動を変えることはとても難しいものです。適切な心理的支援のために、生活習慣やフィジカル面のデータに、ストレスチェックのデータを掛け合わせ、ストレスの側面から改善可能性を探ってみることが助けになるかもしれません。

ウェルビーイングDXP

当社アドバンテッジリスクマネジメントが提供する「アドバンテッジ ウェルビーイング DXP」では、ストレスチェックや健康診断、勤怠など様々な従業員データをクロス分析することで、本質的な原因分析や改善施策の実行を支援します。

健康経営×ストレスチェック活用②効果検証

健康経営に関する施策の効果検証にも、ストレスチェックの結果を有効活用できます。

例えば、社内ウォーキングイベントの参加有無や、食生活改善アプリの活用の頻度等をストレスチェック結果と掛け合わせ、ストレスに影響があったかを分析します。
ストレスチェックの質問に追加しても良いですし、別アンケートの回答結果を従業員IDと紐づけて集計するといった方法でも良いでしょう。

健康経営度調査票の「4.評価・改善」では効果検証内容の記載が求められています。ストレスチェックそのものの実施結果や、健康経営全体の推進における効果検証の実施状況とその結果を回答する必要があります。

令和4年度 健康経営度調査票Q67
令和4年度 健康経営度調査票 Q67
令和4年度 健康経営度調査票 Q72(一部修正)
令和4年度 健康経営度調査票 Q72(当社一部編集)

健康経営においては、ストレスチェックを最大限活用しながら進めることで、健康経営度調査で上記回答項目へのスムーズな反映が可能となります。

ストレスチェックを活用し、健康経営を推進しよう

職場での安全をイメージした積み木と指先

ストレスチェックは、従業員のメンタルヘルスケアや職場改善の取り組みに活用できるだけでなく、メンタルヘルス面からの健康経営推進にも役立てることができます。従業員の健康保持・増進の取り組みは、企業の成長・イメージアップにも繋がります。ストレスチェックデータを活かした組織改善・開発の推進は、今後さらに重要となるでしょう。

アドバンテッジタフネス

当社アドバンテッジリスクマネジメントでは、あらゆるサーベイを一本化し、組織課題を効率的に特定できるプラットフォームサービス「アドバンテッジ タフネス」を提供しています。
ストレスチェックの結果だけでなく、メンタルタフネス度やエンゲージメント状況、ハラスメント要因をチェックできるため、組織課題の早期発見・解決に役立ちます。

ストレスチェックの健康経営への活用に課題のある方や、さらに推進させたいという方は、健康経営コンサルタントが支援する「アドバンテッジ 健康経営支援サービス」を是非ご検討ください。


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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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