社員が“参加したくなる”健康経営施策のコツとは?3つのポイントを紹介

社員が“参加したくなる”健康経営施策のコツとは?3つのポイントを紹介

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「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

健康経営の取り組みが成果を生み、従業員と企業双方がメリットを享受するためには、様々な健康施策の実施が欠かせません。しかし、従業員に積極的に参加してもらったり、参加を継続してもらうことは非常に難しく、人事担当者の大きな悩みとなっているケースが多いです。

そこで本記事では、健康経営施策に従業員が自発的に参加するよう促すためのポイントを詳しく解説します。従業員の心を動かす施策のポイントとは何か、見ていきましょう。

「社員が参加したくなる健康経営施策のコツ、まとめました。」アドバンテッジJOURNAL

健康経営施策を実施する人事のリアルな悩み

健康経営施策のポイントを知る前に、まずは人事担当者が抱えがちな悩みについて見てみましょう。どのような悩みがあるのかを詳しく解説します。

施策を実施する際の、担当者の悩みとは

施策を実施する際の担当者の悩み

アドバンテッジリスクマネジメントが実施したセミナーの参加者を対象にしたアンケートによると、担当者の悩みとして最も多かったのは「本当に参加して欲しい人に、なかなか参加してもらえない」という声でした。本来参加してもらいたい人になかなか参加してもらえなければ、健康施策の実施効果は薄れてしまいがちです。

また、「実施後の効果検証まで追えない」「毎回、参加者の顔ぶれが同じになってしまう」などの声も多くあり、健康施策を実施する上で担当者が抱えている悩みが複数あることがうかがえます。参加者数は十分だったとしても、実施後の効果検証がきちんと行えなければ施策の改善につながらず、効果が低いまま施策を続けてしまう恐れもあるでしょう。

参加者が毎回同じ顔ぶれになることを防ぐには、集客や継続参加を促す方法などに工夫が必要だといえます。

課題①集客面

参加者を募るための集客面での課題として、以下の点が挙げられます。

・アナウンスする文面やポスターなどを作成するコツが知りたい
・興味を引きやすいテーマの選定や参加してもらうための案内方法を知りたい
・気軽に参加できる雰囲気を作りたいが、なかなか具体的な案が出てこない
・健康施策に無関心な人への働きかけをどうすればいいかわからない
・対象者の行動を変える効果的なフレーズが思いつかない
・施策の実施に伴う業務負担を軽減しながら、効果的な宣伝を行いたい
・参加者に対して、どのようなベネフィットやインセンティブを与えるべきなのか知りたい

集客面の課題は、どの業種の企業でも人事担当者が意識する課題といえます。できるだけ多くの参加者を募るために、「参加してみたい」という伝え方をどうすればいいか、また時間を割いて参加してもらう人にどのようなメリットを与えるべきかで悩むケースが多いです。

課題②継続参加・その他

また継続参加などに関する課題として、以下の点が挙げられます。

・継続して参加してもらうコツを知りたい
・参加者が得た知識を日常生活で実践してもらうためのポイントを知りたい
・従業員自身が主体的に健康維持や健康増進に取り組む工夫として、企業として何ができるのかを知りたい

従業員に継続参加してもらい、生活の中で健康維持や健康増進に向けた取り組みを行ってもらうために、どのような工夫が必要なのかを知りたいという声が多く寄せられました。
その他にも、運動の習慣化や健診・二次検診・特定保健指導の受診の促進、肥満対策やがん検診の受診を促すためのアプローチ方法に課題を感じる場合もあります。

参加を促すポイント①従業員の健康意識を知る

健康施策への参加を促すには、まず従業員の健康意識を知ることから始めましょう。健康への意識調査の実施や調査結果をもとにした分類の仕方などを解説します。

健康意識が高い人もいれば、全く関心のない人もいる

アドバンテッジリスクマネジメントが実施した「健康経営に対する従業員の実態調査(※)」では、企業の健康経営の取り組みに関心があるかどうかを調査したところ、実に半数以上が「健康経営に関心がない」と回答しています。
※2023年3月、一般企業に勤める従業員1,000人(人事と経営層を除く)を対象としたインターネット調査

企業によって従業員の健康経営に対する関心度合いは違いますが、健康経営に関心がない従業員に対して、行動変容や習慣づけのための運動系のイベントなどを開催しても、そもそも関心が無いので参加してもらうことは難しいでしょう。関心がない従業員に対しては、まずは健康について考えてもらうきっかけ作りとなるセミナーや情報提供が必要といえます。

一方、健康意識が高いものの具体的な行動につなげられない従業員が多い企業の場合に、学習系のセミナーやeラーニングなどを実施しても従業員の課題意識と施策が結びつかないため、なかなか効果は得られにくいでしょう。このような場合は、行動変容のきっかけや習慣づけを期待できるようなイベントなどを案内することが効果的かもしれません。

このように、従業員の健康意識や課題に対して、適切な施策を実施・案内できているかが最初のポイントになります。

健康への意識調査を実施

適切な施策を実施するためには、従業員の健康に対する意識を把握することが重要です。意識調査を実施するときは、ストレスチェックを実施する際に追加設問として一緒に行うことで負担を軽減できるでしょう。健康意識に関する質問を用意しておけば、スムーズに意識調査を行えるはずです。

「健康について興味や関心があるか」や「生活習慣を変えてみたいと感じているか」といった答えやすい質問でアンケートを実施すれば、回答を集めやすくなります。

加えて、飲酒頻度や一回の飲酒量、週に何回運動するか、間食の回数や夕食の時間帯といった生活習慣を具体的に尋ねる設問も大切です。企業としては従業員の生活習慣をより詳しく把握できます。従業員としても回答するにあたって自身の生活習慣を振り返る機会になるでしょう。

従業員を「○○層」「□□層」というように分類する

意識調査を行った後は、従業員の健康意識を把握した上で「無関心層」「少し興味あり層」「関心高い層」といった形で分類しましょう。効果的な方法としては、「健康への意識」と「行動習慣」を重ね合わせて分析すると、より詳しく従業員の特徴を把握できます

例えば、株式会社電通が行った「第15回ウェルネス1万人調査」において、生活者の健康意識と行動を分析し、以下の7つに分類しています。

・デジタルヘルスケア層
・心身ともに健康志向層
・クラシック健康生活層
・メンタル不安層
・気持ちくらいは前向き層
・健康低関心層
・何もかも無関心層

このような分類を行えば、それぞれの従業員の特徴に合わせたアプローチを行いやすくなるでしょう。健康への関心はあるが何から始めていいかわからない従業員にはセミナーやeラーニング、社内イベントへの参加を促し、健康意識が低く生活改善が必要な従業員には保健師と面談する場を設けたりするといった適切な施策を実行できます。

従業員をここまでカテゴリー分けすることはなかなか難しいと思うので、最初のうちはカテゴリーの数は少なめに始めてもいいでしょう。自社の従業員の多くがどのような健康課題を抱えているのかを知る上で、健康意識と行動習慣の掛け合わせがヒントになるかもしれません。

参加を促すポイント②適切な対象に、適切な案内を

健康施策への参加を促すには、対象者に合った適切なアプローチが大切です。どのような観点で捉えれば良いかを解説します。

施策の案内の前に、まずは自社の健康経営の目的を伝える

健康施策の案内を行う前に、まず自社がなぜ健康経営に取り組む必要があるのかを従業員に伝える必要があります。自社が抱える健康課題や従業員に対して行った健康意識調査の結果、健康への取り組みによってどのようなメリットが得られるのかを正しく伝え、健康経営を実施する目的を明らかにしておきましょう。

方法としては、まずは社内において代表取締役をはじめ経営層から健康経営の重要性や従業員へのメッセージを発信したり、人事から具体的な指針等を説明しましょう。そして対外的にも自社のコーポレートサイト上で対外的に健康経営方針をわかりやすくまとめて発信することが重要です。

社内外への周知活動は地道なものになりますが、施策を本格的に推進する前に社内の理解者や賛同者を増やしていけば、健康施策を実行しやすい土台作りを進められるはずです。

従業員が求める/必要とする施策を届ける

健康意識調査の結果をもとに従業員を特徴ごとに分類できれば、ニーズに沿った施策を立案して、従業員への案内をスムーズに進められます。特に健康に無関心な層に対しては、「自分ごと化」する意識を持ってもらう点が重要であり、メリットを理解してもらうことがカギとなります。

具体的なアプローチ方法としては、健診結果をもとに保健師と面談する機会を設けるといった方法が有効的です。他にも「健診結果の悪い数値を放置するとどうなるか」というような少しホラーストーリー要素のある社内発信なども、自分は大丈夫かと振り返る機会を与えられるかもしれません。(恐怖心を植え付けすぎてしまうのも考えものなので、伝え方のテイストは優しめ・やわらかい雰囲気にするといった工夫もあると良いですね。)まずは行動変容のきっかけ作りから取り組んでみましょう。

また、当社が提供する人事データ一元化・分析システム「アドバンテッジ ウェルビーイング DXP」では従業員用の個人画面も搭載しています。ユーザビリティが高く、視覚的にもわかりやすいダッシュボード上で、自身の健診やストレスチェック結果を振り返ることができます。生活習慣に関する情報もダッシュボードに表示させることが可能なので、従業員が自分の生活習慣を気軽に振り返る機会を生むことができます。

ナッジ理論を用いて、「背中を押す」案内を

ナッジとは、「行動を予測できる形で変えていく」ための様々な要素を指し、対象者が行動を変化させるために「背中を押す」といった役割を持つ用語です。ナッジ理論を用いた具体的な取り組みとしては、まずEASTフレームワークの利用がおすすめです。

厚生労働省の「受診率向上施策ハンドブック(第2版)」でも推奨されているEASTには以下のような意味があります。

・Easy(簡単で)
・Attractive(魅力的で)
・Social(規範に訴える)
・Timely(タイムリー)

この中で特に重要なのが「Easy」であり、正しい情報を記載していても情報過多となっているケースは意外と多いため、できるだけシンプルなメッセージを伝える必要があります。例えば、ナッジを取り入れたチラシの作成例を紹介しましょう。

4コマ漫画を入れてわかりやすく伝え、和ませた後に詳しい情報がわかるように日時や場所を記載し、誰がメッセージを伝えているのかを明らかにするといった工夫が施されています。健康施策の案内を効果的に行いたいならば、ナッジ理論に基づくEASTフレームワークを案内資料などに取り入れてみましょう。

リマインドは「私のことを言っている」と感じてもらう伝え方を

未参加者に対してリマインドを行うときには、「これは私に言っているな」と感じてもらう伝え方がポイントです。具体的には、「運動不足に悩みを感じる方」や「睡眠の質を高めるために」というように、自分事化してもらいやすいアプローチを図ってみましょう。

また、気軽に参加してもらえるように「10分で完了できます」といった時間的負担が少ない点などもあわせてアピールしてみると良いでしょう。

【リマインド例】
・「現時点で○割の方が回答しています。ありがとうございます!」
 →「周りがやっているから自分も回答しないと」と思わせる)
・「〇分で完了できます」
 →時間的負担が少ないアピールを。
・「○○に課題を感じる方、ぜひ。」「〇〇なヒントが得られます!」
 →「これはまさに私のことだな」と思ってもらう。

参加を促すポイント③施策の「楽しさ」が「次も参加したい」に

健康施策への参加を促し、継続してもらうには「次も参加したい」と思ってもらえる工夫が大事です。そこで従業員の興味を引くための取り組みをどのように進めれば良いかを解説します。

「継続ドライバー」を盛り込んで、施策に彩りを

健康施策への継続的な参加を促すには、施策の案内だけを工夫しても、施策そのものが同じでは次回以降は効果が薄れてしまうかもしれません。そのため、企業として改善したい内容を具体的な施策としてデザインする際に、「継続ドライバー」を意識することが重要です。

「継続ドライバー」とは、従業員が健康経営に関する施策に継続して参加したくなる要素を意味します。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

・有形、無形のインセンティブを与える
・従業員同士の交流や励まし合いが生まれるコミュニティ作りに取り組む
・ゲーム性を取り入れたイベントを企画し、楽しい感情を従業員に抱いてもらう

健康施策への参加率や継続率を向上させるには、継続ドライバーを適切に取り入れ、従業員に魅力的に感じてもらうことが重要です。下記の記事の終盤「取り組みを形骸化させないポイント」でもご説明しています。

2回目の実施時は「前回の様子が見える」案内を

継続参加を促すには、前回実施した様子が見える案内をしてみると良いでしょう。例えば、前回の研修に参加した人の声をまとめて公表すれば興味が継続しやすくなるかもしれません。

また意識調査の結果、どのような課題が見つかり改善したかを資料等で周知する方法も有効です。実施目的や、何に繋がるのか、どういう結果が生じたのか、をより理解してもらうことで従業員のモチベーションアップに繋げましょう。前述の「健康経営に対する従業員の実態調査」の結果を見ると、特に若手世代ほど施策後のフィードバックや情報発信を求めており健康経営施策に参加する、または参加した意義を理解したいと考えているのかもしれません。

まとめ

健康経営は全社的な取り組みとして進める必要があるため、従業員に各健康施策を積極的に取り組んでもらえる環境作りが大切です。しかし健康経営に対する考え方や受け止め方は従業員によって異なるため、まずは意識調査を行ってどのような傾向があるのかを把握しましょう。

その上で、健康経営への意識レベルに応じた具体的な施策を丁寧に実施することが重要です。継続的に参加してもらうには効果検証を行い、改善ポイントを洗い出して従業員が楽しみながら参加できる工夫を行ってみてください。

また社内のリソースが不足していたり、思うように成果が上がらなかったりする場合には外部サービスの活用も必要です。

本質的な健康経営課題の解決をサポートするサービスの紹介

アドバンテッジリスクマネジメントの「健康経営支援サービス」では、専門のコンサルタントが本質的な経営課題の解決をサポートし、健康経営度調査票を作成するカギとなる「推進計画」の土台作りも支援します。

さらに「アドバンテッジ ウェルビーイングDXP」は膨大な従業員データを集約し、一元管理によって従業員の状態を様々な角度から分析することが可能です。

任意の条件で従業員を絞り込み、分析できる「カスタムリスト」機能、DXP内の属性に因子を自由に掛け合わせてレポーティングできる「カスタムレポート」機能によって、様々な健康状態や特性を持つ従業員ごとに、より本質的な健康経営課題の分析と改善をサポートします。

健康経営の取り組みは従業員に参加してもらうだけでなく、実施後の効果検証も大事なので、継続して健康経営を推進していける環境を整えてみましょう。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数3,140社/利用者数483万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄に3年連続で選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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