メンタルヘルスとは「心の健康状態」のこと|定義・心が壊れる原因・セルフケア・企業の対策まで徹底解説

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「アドバンテッジJOURNAL」編集部

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メンタルヘルスとは、「心の健康状態」のことで、落ち込みや不安だけでなく、意欲や集中力、睡眠や食欲なども含めた、心全体のコンディションを指します。
いまや誰にとっても身近なテーマでありながら、「会社としてどこまで対応すべきか、どこからは従業員本人が対処するのか判断しづらい」と感じている人も多いのではないでしょうか。

本記事では、メンタルヘルスの基本的な意味から、職場で起きている課題、不調の原因とサイン、日常でできるセルフケア、メンタルヘルスチェックやストレスチェックの位置づけ、企業が押さえておきたい対策の考え方までを整理して解説します。
自分や身近な人の不調にいち早く気づき、企業としても「安心して働き続けられる環境」に近づくためのヒントを、この記事から得ることができます。

メンタルヘルス不調に至る前に、職場でのストレスや不安に対処するためには、「悩みを相談できること」が大切です。「アドバンテッジ カウンセリング」は、心理専門家によるカウンセリングをいつでも利用可能。従業員の前向きな行動変化を促すとともに、人事労務担当者の負担軽減にも貢献します。

目次

メンタルヘルスとは?簡単に言うと「心の健康状態」

冒頭でも述べたとおり、メンタルヘルスとは、気分や意欲、思考、睡眠などを含めた「心の健康状態」を指す言葉です。仕事や家庭、人生のさまざまな場面で、感情やストレスとうまく付き合えているかどうかを表す概念で、誰にとっても関係があるテーマです。

厚生労働省によるメンタルヘルスの考え方

メンタルヘルスとは体の健康ではなく、こころの健康状態を意味します。体が軽いとか、力が沸いてくるといった感覚と同じように、心が軽い、穏やかな気持ち、やる気が沸いてくるような気持ちの時は、こころが健康といえるでしょう。

引用:厚生労働省「メンタルヘルスとは」

仕事や生活の中でストレスがかかること自体は、自然なことです。そのうえで、大事なのは「ストレスに気づくこと」と「早めに対処や相談につなげること」と示しています。
また、メンタルヘルスは個人だけの問題ではありません。職場の人間関係・仕事量・働き方など、働く環境も影響します。そのため、厚生労働省は、情報サイトの運営や相談窓口の紹介などを通じて、働く人と企業の両方を支える方針をとっています。

参考:厚生労働省「職場における心の健康づくり」

職場での取り組みとしては、管理職向けの研修・産業医や保健師との連携・社内の相談窓口の設置・ストレスチェックの活用など、いくつかの対策を組み合わせることが求められています。

メンタルヘルスとメンタルヘルスケアの違い

メンタルヘルスは、「今の心の健康状態」そのものを指します。気分が落ち着いているかどうか、ストレスを抱えながらもなんとか対処できているか、仕事や生活を普段通り送れているかといった状態のことです。心のコンディション(心の健康度)と考えるとイメージしやすいです。

メンタルヘルスケアは、その心の健康状態を整えたり、悪化させないようにしたり、メンタルヘルス不調を未然に防いだりするための関わり方や支援を指します。本人が睡眠や生活リズムを見直すこと、同僚や上司と話をすること、産業医や保健師・カウンセラーに相談することなど、日々の具体的な行動がメンタルヘルスケアにあたります。

さらに企業の立場から使われる言葉として、メンタルヘルス対策があります。これは、相談窓口の設置やストレスチェックの実施、管理職研修や休職・復職のルールづくりなど、組織としてケアを進めるための仕組みや方針のことです。整理すると、「メンタルヘルス=心の状態」「メンタルヘルスケア=その状態を整える具体的な関わり」「メンタルヘルス対策=ケアを支える会社としての仕組み」と考えると違いがわかりやすくなります。

いま職場で起きているメンタルヘルス課題

最近は、メンタルヘルスを「個人の悩み」ではなく「職場全体で向き合うテーマ」として見る流れが強くなっています。働き方改革やテレワークの普及などで働き方が変わり、それに伴ってストレスのかかり方や周囲からの気づかれやすさも変わってきました。

厚生労働省は、労働安全衛生法(第70条の2)にもとづき、「労働者の心の健康の保持増進のための指針(メンタルヘルス指針)」を定めており、事業者にはこの指針を踏まえて、心の健康づくりに関する措置を適切かつ有効に実施するよう努めることが求められています。一定規模以上の事業場ではストレスチェックの実施が義務づけられており、それ以外の職場でも、従業員の心の健康状態に配慮した取り組みが望ましいとされています。

メンタルヘルス不調が長引くと、本人のつらさだけでなく、仕事の進み方や人材定着にも影響が出ます。この章では、いま職場で何が起きているのかを、ポイントをしぼって整理します。

出典:厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)の概況」
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働き方の変化でストレスが表に出やすくなった

以前から、長時間労働や休みの少なさ、シフト制や夜勤などは、代表的なストレス要因として指摘されてきました。ここ数年は、そこにテレワークやオンライン会議、チャットツールの常用などが加わっています。「相手の状況がわかりづらい」「いつでも連絡が来る」「画面越しの会話が多く、ちょっとした雑談が減る」といった環境は、人によって負担の感じ方が大きく変わります

また、成果やスピードが重視される場面が増え、「数字で成果を示すこと」「短い時間で結果を出すこと」が求められる仕事もあります。仕事のやり方や評価の基準が変わると、これまで問題なく働けていた人でも、不安やプレッシャーを感じやすくなることがあります。

働き方が変われば、ストレスの種類や気づき方も変わります。「前と同じだから大丈夫」と決めつけるのではなく、今の働き方に合った視点で様子を見ることが大切です。

放置すると損失が増える|生産性低下・休職・離職の連鎖

メンタルヘルス不調は、「一時的なものだろう」と放っておいて、自然に解決するとは限りません。むしろ、早期発見が重要です。メンタルヘルス不調が続くと、集中しづらい・判断に時間がかかる・ミスが増えるといった形で表れます。その結果、作業に時間がかかったり、やり直しが増えたりして、生産性が下がることがあります。

欠勤や遅刻が増えると、周囲のメンバーがフォローに入る必要が出てきます。残業が増えたり、担当替えが続いたりすると、他の人にも負担が広がります。メンタルヘルス不調が深刻になり、休職や離職につながった場合は、本人の生活への影響に加えて、職場側には人員の補充や採用・教育のコストがかかります

こうした状況が重なると、「人が定着しにくい職場」という印象が生まれ、新しい人材の確保にも影響するおそれがあります。早めにメンタルヘルスに目を向けることは、個人を守るだけでなく、組織全体の負担や損失を減らすことにもつながります。

企業に求められる対応が広がっている|予防と職場環境改善がセット

日本では、50人以上の事業場に対してストレスチェックの実施が法律で義務づけられており、今後は50人以下の事業場についても、2025年5月14日に「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」(令和7年法律第33号)が公布され、ストレスチェック制度は50人未満の事業場にも義務化を拡大する方向が示されました。施行日は、公布後3年以内に政令で定める日とされています。これは、メンタルヘルス不調を本人だけの問題にせず、事業者にも「心の健康状態に配慮する責任がある」と考えられていることの表れです。

国の指針では、職場のメンタルヘルス対策として、ひとつの施策だけで対応するのではなく、いくつかの取り組みを組み合わせることが勧められています。たとえば、管理職向けの研修で部下への対応を学ぶこと・産業医や保健師などの産業保健スタッフと連携すること・社内の相談窓口を整えること・ストレスチェックの結果を活かして職場環境を見直すことなどです。

「ストレスチェックを実施したかどうか」だけに着目するのではなく、その結果や日々の声をもとに、働き方やコミュニケーションの取り方を少しずつ改善していく。こうした予防と職場環境改善のセットで考える姿勢が、企業に求められています。

参考:厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の概要」
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メンタルヘルス不調のよくある原因

メンタルヘルス不調には、いくつもの要因が重なっていることが多いです。職場の人間関係や仕事量だけでなく、家庭の状況や体調の変化も影響します。「これだけが原因」と言い切れないからこそ、よくあるパターンを知っておくことが大切です。

職場の原因|人間関係・ハラスメント・評価の不公平がストレスになる

職場の人間関係は、大きなストレス要因になります。上司からの強い叱責や無視、同僚からの嫌がらせが続くと、心は消耗していきます。いわゆるハラスメント行為だけでなく、心理的安全性が低く、「相談しづらい」「意見を言いにくい」と感じる雰囲気も、じわじわと負担になります。

また、評価や処遇が不透明なこともストレスになります。「何を頑張れば評価されるのかがわからない」「自分だけ損をしている気がする」と感じる状態で、同じ成果でも人によって評価が違うと見えると、不公平感が強くなります。その他、説明がないまま異動や配置転換が行われることも、不安や不信感につながります。こうした状態が続くと、職場への信頼が揺らぎ、メンタルヘルス不調のきっかけになりやすくなります。

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働き方の原因|長時間労働・夜勤・裁量のなさが負荷を高める

長時間労働や休みの少なさは、昔から心身の負担になると指摘されています。休む時間が足りないと、疲れがとれず、気分の落ち込みやイライラも出やすくなります。シフト勤務や夜勤がある仕事では、生活リズムが乱れやすく、睡眠の質が下がることもあります。

また、仕事の進め方に裁量が少ないこともストレスになります。「決められた通りにやるしかない」「工夫しても評価されない」と感じ、責任だけは重いのに、仕事量や締め切りを自分では調整できないと、「がんばるほど追い込まれる」感覚になりやすくなります。

こうした働き方の条件は、負担になりやすいため、組織として見直す視点が重要です。

個人の原因|睡眠不足・生活習慣・ライフイベントが重なる

職場環境だけでなく、生活リズムや体調など、さまざまな要因がメンタルヘルスに影響します。慢性的な睡眠不足や不規則な食事、運動不足が続くと、疲れが抜けにくくなります。その結果、集中しづらい・気分が落ち込みやすいといった状態になりがちです。持病がある場合は、体調悪化への不安が心の負担になることもあります。

さらに、結婚や出産・子育て・家族の介護・引っ越し・身近な人の病気や死別など、大きなライフイベントも強いストレスになります。仕事の負荷がそれほど高くなくても、家庭やプライベートでの変化が重なると、心の余裕は少なくなります。

こうした事情は周囲から見えにくく、本人も「大したことではない」と感じている場合があります。面談や日常の会話の中で、無理をしていないかをさりげなく確かめることが大切です。

メンタルヘルス不調のサイン|早めに気づけるチェックポイント

メンタルヘルス不調は、突然「重い状態」になるわけではなく、多くの場合、小さな変化が少しずつ積み重なっていきます。本人も周囲も「疲れているだけだろう」と見過ごしがちなサインが、後から振り返ると重要なサインだったということもあります。この章では、心・体・行動それぞれに現れやすい変化の例を解説します。

心のサイン|不安・意欲低下・イライラが続く

メンタルヘルス不調は、気持ちの変化として表れます。たとえば「理由はよくわからないのに不安が続く」「前は楽しめたことが楽しめない」「何をするにも気が重い」といった状態です。仕事に向かうのがおっくうになり、出社前に強い憂うつ感が出ることもあります。
また、ちょっとした出来事に過剰に落ち込む、ささいなことでイライラしやすくなるなど、感情の振れ幅が大きくなる場合もあります。こうした状態は、一時的なら誰にでも起こり得ますが、数週間たっても良くならない、むしろ悪化しているように感じるときは注意が必要です。「気の持ちようの問題」とだけ考えてしまうと、必要な相談や対応が遅れることがあります。

また、メンタルヘルス不調の兆候に気づく力には個人差があり、自分では変化に気づきにくい人もいます。そのため、理想的なのは、日ごろから部下や同僚の様子を見ている管理職や周囲の人が、小さな変化に気づき、早めに声をかけられる状態をつくることです。「最近、調子どう?」「睡眠は取れている?」といった何気ない一言が、変化に気づくきっかけになることもあります。こうした声かけを意識的に続けることで、話しやすい雰囲気が生まれ、早期の気づきや対応につながりやすくなります。

体のサイン|睡眠・食欲・頭痛などの不調が増える

メンタルヘルス不調は、体の変化として出てくることもよくあります。わかりやすいのが睡眠で、「寝つきが悪い」「夜中に何度も目が覚める」「早朝に目が覚めて眠れない」といった状態が続く場合があります。逆に、いつまでも眠ってしまう、日中も強い眠気が続くといった形で表れることもあります。
食欲の変化もサインのひとつです。食欲が落ちてほとんど食べられなくなる人もいれば、イライラや不安を紛らわせるように食べ過ぎてしまう人もいます。

また、頭痛・腹痛・肩こり・動悸などの不調が続いているのに、検査ではっきりした原因が見つからない場合、ストレスや心の状態が関係している可能性もあります。もちろん、身体の病気が隠れていることもあるため、気になる症状が続くときは医療機関で相談することが大切です。

行動のサイン|欠勤遅刻・ミス増・対人トラブルが増える

行動の変化も、メンタルヘルス不調のヒントになります。欠勤や遅刻が増える・仕事への取りかかりが遅くなる・これまで問題なくこなしていた作業でミスが増えるなどの変化が見られることがあります。締め切りぎりぎりの対応が増えるなど、仕事の進め方にも影響が出る場合があります。
人との関わり方が変わることもあります。会議や雑談の場を避けるようになる・昼休みに一人で過ごすことが増えるなど、周囲との距離を取る行動が続く場合です。反対に、イライラしやすくなり、言葉がきつくなったり、ささいなことで衝突しやすくなったりすることもあります。

こうした行動面の変化は、「やる気がない」「性格の問題」と決めつけてしまいがちですが、背景に心と体の不調があることも少なくありません。自分自身の変化に気づいたとき、あるいは周囲で気になる変化を見たときは、「何か理由があるかもしれない」と受けとめる視点が、早めの相談や支援につながります。

メンタルヘルス不調を放置すると起こること|企業にもリスクがある

メンタルヘルス不調は、早めに対応すれば日常生活や仕事を続けながら回復を目指せることも少なくありません。一方で、メンタルヘルス不調を我慢し続けたり、周囲が気づきながらも何も変えなかったりすると、本人にも職場にも影響が広がる可能性があります。この章では、仕事と心身にどのような影響が出うるかを解説します。

仕事への影響|パフォーマンス低下から休職・離職へ

メンタルヘルス不調が進行しても、すぐに休職や欠勤に至るとは限りません。体調や気分に不調を抱えながら出勤し続け、集中力や判断力が低下した状態で働く「プレゼンティーイズム」と呼ばれる状態になることもあります。
無理を続けていると、「朝起きられない」「会社に行こうとすると強い不安や動悸が出る」といった状態になることがあります。医師から「しばらく仕事を休んだ方がいい」と言われ、休職が必要になるケースも少なくありません。

休職すると、通院や治療を中心に生活を組み立て直す必要が出てきます。仕事から離れる期間が長くなるほど、「戻ったときにやっていけるだろうか」「周りにどう思われるだろうか」といった不安も強くなりがちです。復職しても、以前と同じペースで働けるようになるまでには時間がかかることがあります。
メンタルヘルス不調がさらに悪化し、「この職場では続けられない」と感じて離職を選ぶ人もいます。その場合、一時的に収入が下がる、再就職先を探す負担が増えるなど、生活面への影響も大きくなります。
会社側も、急な休職や離職があると、担当業務の整理や一時的な人員体制の見直しが必要になります。

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心身への影響|不調が続くと起こりうる状態の例

メンタルヘルス不調を抱えたまま長く過ごすと、うつ病や不安障害、適応障害などの病気として診断されることがあります。また、眠れない状態や食欲の乱れが続くと、体重が大きく増減したり、疲れやすくなったりするケースがあります。ストレスを紛らわせるための過度な飲酒などから、依存の問題が生じる可能性もあります。

こうなると、仕事どころか家事や外出といった日常生活にも大きな支障が出ることがあり、症状が重くなった場合、自分の意思で行動することさえ難しく感じるケースも報告されています。

治療には、休養に加えて、薬物療法やカウンセリングなど、時間をかけたサポートが必要になります。このように、メンタルヘルス不調を放置すると、心だけでなく体の健康や生活全体に影響が広がるおそれがあります。

メンタルヘルスセルフケア|今日からできる整え方と相談の判断基準

心の調子を守るうえで、日々のセルフケアはとても大切です。特別なことをする必要はなく、「よく寝る」「ちゃんと食べる」「少し休む」といった基本を整えるだけでも違いが出ます。一方で、自分だけでは対処が難しい状態もあります。この章では、自分でできるケアと、相談や受診を考える目安を簡単に解説します。

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セルフケアの基本|睡眠・運動・食事・休息の優先順位

心の調子を整える一番の土台は、睡眠です。毎日おおよそ同じ時間に寝て起きることを意識し、寝る前のスマートフォンやカフェインを控えるだけでも、眠りやすくなります。
激しい運動でなくても、散歩やストレッチなどで少し体を動かすと、気分転換になりやすくなります。食事は「主食・おかず・野菜をだいたいそろえる」くらいで十分です。忙しいときほど、完璧を目指すより「まずは睡眠を優先する」など、自分なりの優先順位を決めておくと続けやすくなります。

仕事中のセルフケア|休憩・切り替え・タスク分解で負荷を下げる

仕事中は、気づくと休憩をとらずに働き続けてしまうことがあります。長時間座りっぱなしだと、集中力が落ちやすく、ミスも増えがちです。1〜2時間に一度は席を立つ、深呼吸をする、窓の外を見るなど、短い「ひと休み」を意識して入れるだけでも負担が軽くなります。
やることが多くて頭がいっぱいのときは、「小さな作業」に分けて考えるのがおすすめです。「資料を集める」「見出しだけ書く」など、細かいタスクに分けて、優先順位をつけてから手をつけると、気持ちの重さが和らぎます。

メンタルヘルス不調を感じた時の行動|早めに相談・受診・勤務調整につなげる

「気分の落ち込みや不安が数週間続いている」「眠れない・食欲がないなどの状態が続き、仕事や生活に支障が出ている」と感じるときは、セルフケアだけでがんばり続けないことが大切です。
社内に産業医や保健師、相談窓口があれば、まずはそこに相談しましょう。外部にも、自治体や国が案内している相談窓口や医療機関があります。

医師の診断や助言にもとづき、一時的な勤務時間の調整や業務内容の見直し、休養を検討する場合もあります。限界まで無理をしてから休むより、「少し早めに小さな調整をする」方が、本人にも職場にも負担が少なくて済みます。

メンタルヘルスチェックとは?|セルフチェックと職場のチェックを整理

「メンタルヘルスチェック」という言葉は、セルフチェックのツールから、会社が実施する調査まで幅広く使われています。意味を整理せずに使うと、「何を指しているのか」が人によって違う状態になりかねません。この章では、一般的な使われ方と、日本で導入されているストレスチェック制度との違いを解説します。

メンタルヘルスチェックの意味|一般的な使われ方

一般的に「メンタルヘルスチェック」と呼ばれるものには、大きく分けて二つの種類があります。一つは、本人がインターネットやアプリなどで気軽に行うセルフチェックです。質問に答えることで、現在のストレス度合いや気分の状態を知ることができ、「少し疲れているかもしれない」「専門家に相談した方が良さそう」といった気づきを得るために使われます。

もう一つは、企業などが従業員を対象に行うチェックです。質問票を通じて、仕事上のストレス要因や負担感、サポート状況などを把握し、個人の状態だけでなく、職場全体の傾向を見える化することを目的としています。この中には、労働安全衛生法に基づいて年1回以上の実施が義務づけられている「ストレスチェック制度」も含まれます。

ストレスチェックとの違い|制度とセルフチェックは別物

日本では、事業者が年に1回のストレスチェックを実施することが法律で義務づけられています。このストレスチェックは、労働安全衛生法に基づく制度で、厚生労働省が定めた指針に沿って実施する必要があります。目的は、従業員の仕事に関するストレスの状況を把握し、本人に自分の状態を自覚してもらうことです。
それに加えて、部署や職場ごとのストレスの傾向を把握し、必要に応じて医師の面接指導につなげたり、業務量や人間関係などの職場環境を見直したりすることで、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことをめざす制度です。

一方で、一般的なセルフチェックや企業独自のアンケートは、法律上の義務として定められたものではありません。質問項目や結果の扱い方も様々で、制度としてのストレスチェックとは区別されます。
アドバンテッジ タフネスは、独自メソッドによるストレスチェック+αで個人・組織の課題を特定。一次予防で重要な「従業員自身がストレスに気づき対処する」ことを支援するとともに、職場環境改善に役立つさまざまなソリューションをご提案します。定期的な効果検証でPDCAを回し、職場環境改善やセルフケア促進を通じて、生産性向上につなげる支援を行います。

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チェック結果の活かし方|把握→要因→改善につなげる

メンタルヘルスチェックの結果は、「点数が高いか低いか」を見るだけでは十分とはいえません。まず本人にとって大切なのは、「最近の自分はこういう状態なのかもしれない」と気づくことです。
そのうえで、どの場面で負担を感じやすいのか、休みの取り方や生活リズムに問題がないかなど、具体的な要因を振り返るきっかけとして活用できます。

企業側が実施する場合は、個人情報を守りながら、集団としての傾向を把握することが重要です。例えば、特定の部署でストレス度が高い人の割合が大きい場合、業務量や人員配置、コミュニケーションの状況など、組織的な背景を検討する必要があります。

企業がやるべきメンタルヘルス対策|「予防・早期対応・再発防止」を仕組みにする

企業がメンタルヘルスに取り組む際には、個別の施策をバラバラに実施するのではなく、「予防」「早期対応」「再発防止」という流れの中で全体像を考えることが大切です。特定の従業員への個別対応だけでなく、職場環境の改善や管理職の教育、復職の支援など、組織としての仕組みづくりが求められています。

一次予防|職場環境改善と教育で「不調が起きにくい環境」をつくる

一次予防は、メンタルヘルス不調が起きる前の段階でストレス要因を減らし、心の健康状態を保ちやすい環境を整える取り組みです。具体的には、業務量や役割分担の見直し、長時間労働の是正、休暇の取得促進などが含まれます。また、ハラスメントを許さない方針の明確化や、相談しやすい雰囲気づくりも一次予防の一部です。
従業員向けのセルフケア研修や、管理職向けのラインケア研修も、一次予防として位置づけられます。ストレスの基礎知識や、部下の変化に気づいたときの声のかけ方を学ぶことで、「問題が表面化する前に動ける状態」をつくることができます。

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二次予防|早期発見と相談導線で「深刻化」を防ぐ

二次予防は、メンタルヘルス不調の初期段階にできるだけ早く気づき、適切な対応につなげる取り組みです。ストレスチェックや従業員アンケート、面談の機会などは、二次予防の一つとして機能します。

メンタルヘルス不調のサインに気づいたときに、誰に相談すればよいのかが明確になっていることも重要です。産業医、保健師、人事労務部門、外部の相談窓口など、社内外の相談先を整理し、従業員に周知しておくことで、「相談したいがどこに行けばいいかわからない」という状態を減らせます。
管理職が部下からの相談を受けた際に、どのように対応し、どのタイミングで専門職につなぐのかをあらかじめ決めておくことも、二次予防を機能させるポイントです。

アドバンテッジ カウンセリングは、24時間対応の電話相談を含め、メールやSNS、Web面談など複数の方法で心理専門家に相談できるサービスです。専門カウンセラーが、仕事や生活の悩みを早期のケアにつなげます。(※Web面談等は予約制)

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三次予防|休職・復職支援で「再発防止」まで支える

三次予防は、メンタルヘルス不調が明らかになった後の支援と、再発を防ぐための取り組みです。休職が必要になった場合、本人、主治医、会社が連携しながら、休養中の連絡の取り方や復職の時期、復職後の業務内容などを相談していきます。
このとき、病院やクリニック、地域障害者職業センターなどが実施するリワーク(職場復帰支援プログラム)を利用するケースもあります。リワークでは、生活リズムの立て直しや、グループワーク、模擬的な業務などを通じて、「働く」感覚を少しずつ取り戻していきます。

復職の際には、いきなり以前と同じ働き方に戻るのではなく、段階的に勤務時間や業務量を増やすなどの配慮が検討されます。
再発防止の観点からは、復職後のフォロー体制も重要です。定期的な面談や産業医との連携、業務量や人間関係に関する相談窓口の活用など、本人が早めに困りごとを共有できる仕組みを整えることで、「無理をして限界まで頑張ってしまう」状況を減らすことができます。

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メンタルヘルス対策を進めるための例文集|社内告知・声かけ・相談対応で使えるテンプレ

この章では、社内告知や上司からの声かけ、人事労務部門による返信で使える文例を紹介します。実際に使う際は、自社のルールや文化に合わせて調整してください。

社内告知の例文|相談窓口・セルフケア案内

社内告知では、不安をあおるのではなく、「相談してもよい」「一人で抱え込まなくてよい」というメッセージに加えて、心や体の不調だけでなく、働き方や人間関係、キャリアの悩みなども気軽に相談できる窓口であることを伝えることが大切です。

例: 「最近、仕事や生活の変化で、心や体の不調を感じている方もいらっしゃるかもしれません。当社では、皆さんの心身の健康を大切に考え、社内相談窓口を設置しています。仕事のことだけでなく、睡眠や生活リズムのことなど、気になることがあれば一人で抱え込まずにご相談ください。相談内容はプライバシーを遵守して対応します。

セルフケアの案内として、睡眠や休息の確保・休憩の取り方など具体的なポイントを簡潔に添えると、行動イメージを持ってもらいやすくなります。

管理職の声かけ例文|面談の入り口で使えるフレーズ

管理職が部下に声をかける際は、評価のための面談ではなく、状況を一緒に確認する場であることが伝わるような言い方がポイントです。

例: 「最近忙しい日が続いているけれど、体調や睡眠はどう?無理が続いていないか気になっています。仕事の量や内容について、今の負担感を一度一緒に整理させてもらえないかな。

本人が話しやすいよう、「心配している」「責めているわけではない」といったニュアンスを添えることも有効です。また、「必要であれば産業医や相談窓口とも連携できるので、一緒に考えましょう」と伝えることで、支援の選択肢があることを示すことができます。

人事労務部門の返信例文|相談を受けた時の基本テンプレ

人事労務部門がメールなどで相談を受けた際は、まず相談に対する感謝と、本人の気持ちを受け止める姿勢を伝えることが大切です。

例: 「このたびはご相談いただきありがとうございます。お仕事や体調のことについて、不安やご負担を感じていらっしゃるとのこと、大変つらい状況だと思います。まずは現在の状況を詳しくお伺いし、必要に応じて産業医や外部の相談窓口とも連携しながら、どのような対応が可能か一緒に検討できればと考えています。ご都合のよい日時をお知らせいただけますでしょうか。

このように、次のステップを具体的に示します。返信文では、「必ずこの結果になる」と断言するのではなく、「一緒に検討する」「可能な対応を探す」といった表現を用いることで、安心感を持ってもらいやすくなります。

メンタルヘルスに関するよくある質問

メンタルヘルスに取り組む過程では、誤解や不安からくる質問が多く寄せられます。この章では、職場でよく聞かれる疑問を取り上げ、基本的な考え方を解説します。

Q.メンタルヘルスは「心が弱い人」の話?

メンタルヘルスの不調は、「心が弱い人だけに起こるもの」ではありません。強いストレスが長期間続いたり、予期しない出来事が重なったりすると、多くの人にとって心のバランスを崩しうるものです。身体の病気と同じように、環境や体質、生活状況などが影響し合って起こると考えられています。
また、メンタルヘルスの問題は、個人の資質や努力の有無で説明できるものではありません。適切な休養や環境調整、専門的な支援を受けることで、回復や再発予防を目指すことができます。「弱い・強い」というラベルではなく、誰にでも起こり得る健康の問題としてとらえることが大切です。

Q.会社はどこまでやればいい?最低限と推奨の線引きは?

会社には、労働安全衛生法や労働契約法に基づき、従業員の安全と健康に配慮する義務(安全配慮義務)があるとされており、ストレスチェックの実施や産業医の選任など、産業保健体制の整備は「最低限やらなければならないこと」として求められます。
一方で、法律を満たしていればそれで十分というわけではありません。相談窓口の充実や管理職教育、職場環境の改善、復職支援の体制づくりなど、どこまで踏み込んだ対策を行うかは、企業の方針や経営判断に委ねられています。従業員が安心して働ける環境づくりは、人材の定着や採用にも関わるため、「法令遵守+α」をどう設計するかがポイントになります。

Q.相談先はどこが正解?社内外の選択肢は?

相談先に「これが正解」という一つの答えはありません。状況に応じて、いくつかの窓口を組み合わせていくイメージが近いです。社内では、上司や人事労務部門、産業医、保健師、社内の相談窓口などが候補になります。働き方や業務内容の調整が必要な場合は、最終的には会社側と話し合うことが欠かせません。
また、会社がEAP(従業員支援プログラム)をはじめとした外部のカウンセリングサービスを活用し、「社外相談窓口」を設けているケースもあります。多くの場合、匿名で利用でき、相談しても会社に個人が特定されない仕組みになっているため、「社内の人にはまだ話しづらい」という段階でも使いやすい選択肢です。

社外には、地域の医療機関(精神科・心療内科など)や、公的な相談窓口、民間の相談サービスもあります。家族や本人が利用できる窓口も増えています。「一か所に相談して合わなかったから終わり」ではなく、必要に応じて別の窓口や専門家も試してみるくらいの、柔らかい構えでいることが大切です。

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メンタルヘルスに関する法律|企業が押さえるべきポイントだけ整理

メンタルヘルスに関わる法律は複数あり、すべてを詳細に理解するのは容易ではありません。ただし、企業としては最低限押さえておくべき法的枠組みがあります。この章では、代表的な法律とメンタルヘルスとの関わり方を簡潔に解説します。

労働安全衛生法|ストレスチェックや安全衛生体制の考え方

労働安全衛生法は、労働者の安全と健康を確保するための基本的な法律です。一定規模以上の事業場におけるストレスチェックの実施義務や、産業医の選任、衛生委員会の設置などは、この法律に基づいて定められています。
メンタルヘルスの観点からは、職場の安全衛生管理の一環として、心理的な負担を含めたリスクを把握し、必要な対策を講じることが求められます。ストレスチェックも、その一つとして位置づけられています。

労働契約法|安全配慮の考え方

労働契約法では、使用者には労働者の安全に配慮する義務があるとされています。ここでいう安全には、身体だけでなく、心理的な健康への配慮も含まれます。例えば、過重な長時間労働や、ハラスメントを放置するような環境は、安全配慮義務の観点から問題となる可能性があります。
企業は、就業規則や労使の合意内容だけでなく、実際の職場運営においても、従業員の心身の健康に配慮した対応を行うことが重要です。

労災保険|業務起因が争点になるケースの考え方

労働者災害補償保険法に基づく労災保険は、業務上または通勤による負傷や疾病などを対象としています。メンタルヘルスに関連する事案では、心理的負荷による精神障害が業務に起因するかどうかが争点となることがあります。
国は、心理的負荷による精神障害の労災認定に関する基準を公表しており、業務上の出来事や負荷の程度、発症までの経過などに基づいて判断が行われます。企業としては、長時間労働やハラスメントなど、心理的負荷となり得る状況を放置しないことが重要です。

参考:厚生労働省「労災補償(労災保険制度とは)」

労働施策総合推進法|ハラスメント対策とのつながり

労働施策総合推進法は、職場におけるパワーハラスメント防止措置を事業主に義務づけています。ハラスメントは、メンタルヘルスに重大な影響を与え得る行為であり、放置すれば深刻なメンタルヘルス不調や離職につながる可能性があります。
企業は、ハラスメントの定義や禁止方針を明確にし、相談窓口の設置や再発防止策の実施など、具体的な措置を講じる必要があります。あわせて、相談内容や調査結果には個人情報が多く含まれるため、個人情報保護法の観点から、利用目的を明確にしたうえで、扱う範囲やアクセスできる人を限定することも重要です。メンタルヘルス対策とハラスメント対策、そして個人情報の適切な管理を一体のものとして検討することが求められます。

まとめ|メンタルヘルスは「知る」だけでなく「仕組みで改善」できる

メンタルヘルスは、特別な人だけの話ではなく、誰にとっても身近な「心の健康状態」のテーマです。メンタルヘルス不調の背景には、職場の人間関係や評価、長時間労働や裁量のなさ、睡眠不足やライフイベントの重なりなど、仕事と私生活の両方の要因が絡んでいます。
心・体・行動のサインをそのままにしておくと、仕事のパフォーマンス低下から休職・離職、うつ病や不安障害などの病気につながるおそれがあります

一方で、睡眠・食事・運動・休息といった生活の土台を整えることや、仕事中のこまめな休憩、タスクの分解、仕事量の共有など、日常のセルフケアで守れる部分もあります。「いつもと違う状態」が続くときは、早めに社内外の相談窓口や医療機関につなげることが大切です。
企業には、一次予防(職場環境の整備・教育)、二次予防(早期発見と相談体制)、三次予防(休職・復職支援)を組み合わせた「仕組みづくり」が求められています。社内告知や声かけの例文、担当者や管理職・医療職向けの学びも、その一部として活用できます。

個人のセルフケアと、職場の仕組みを両方そろえていくことが、「安心して働き続けられる環境」に近づくためのスタートラインになります

参考:
厚生労働省「メンタルヘルスとは」
厚生労働省「こころの健康・メンタルヘルス 治療や生活を応援するサイト」
厚生労働省「職場における心の健康づくり」
厚生労働省「ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等」

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
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