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【2026年4月施行】女性活躍推進法の改正内容とは?7つの法改正の内容と企業に求められる対応

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「アドバンテッジJOURNAL」編集部

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女性活躍推進法は、2016年の施行以降段階的に改正が行われてきました。法律の制定によって一定の成果は見られているものの課題は多く、取り組みの強化が欠かせません。今回は、2026年に施行が予定されている法改正の内容と、企業に求められる対応について解説します。

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目次

女性活躍推進法とは

高層ビルを背景にショートヘアの女性が微笑む

はじめに、女性活躍推進法の概要と近年の法改正の動向について整理します。

女性活躍推進法とは

女性活躍推進法(正式名称「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」)とは、女性が個性と能力を十分に発揮できる社会を目指して2016年に施行されました。企業には自社の女性活躍状況の把握、改善に向けた「行動計画」の策定、実績情報の公表が義務付けられています。当初10年間の時限立法でしたが、最新の改正により2036年まで10年間延長される見通しです。

【3つの基本原則】
本法は、以下3つを基本原則に掲げています。
1.女性に対する採用・昇進の機会の積極的な提供
2.仕事と家庭生活の両立を可能にする環境整備
3.本人の意思の尊重

【企業の義務と対象範囲】
常時雇用する従業員数によって、義務の内容が変わります。

■101人以上の企業(義務)
①自社の状況分析に基づく「一般事業主行動計画」の策定・届出
②自社の女性活躍に関する「実績情報の公表」
■100人以下の企業(努力義務)
上記①②ともに行うよう努める必要があります。

女性活躍推進法の背景

女性活躍推進法

日本の女性就業率は上昇傾向にありますが、出産・育児による離職や、再就職時の非正規雇用化といったキャリア形成の難しさが依然として課題です。女性管理職比率も国際的には低水準であり、人口減少に伴う労働力不足が深刻化する中、多様な人材の活用は企業の成長に不可欠となっています。こうした背景から、女性が個性と能力を発揮し、長期的に働き続けられる環境の整備を目的として、女性活躍推進法が制定されました。

その後、一定の改善は見られたものの、男女間賃金差異や管理職登用の遅れといった「質的な格差」は十分に解消されたとは言えない状況が続いています。加えて、企業による取り組み内容や実効性には差があり、制度が形式的な対応に留まるケースも指摘されてきました。こうした課題を踏まえ、女性活躍の実態を数値として可視化し、企業の取り組みをより実効性のあるものとするため、法改正によって段階的に対応が強化されています。

参考:厚生労働省「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!」

次世代育成支援対策推進法や男女共同参画社会基本法との違い

女性活躍推進法と、次世代育成支援対策推進法、男女共同参画社会基本法との違いは以下の通りです。

法律目的
女性活躍推進法女性が職業生活において能力を発揮できる雇用環境の整備
次世代育成支援対策推進法性別を問わず仕事と育児・介護を両立できる働き方の実現
男女共同参画社会基本法雇用に限らず、男女が対等に参画する社会の実現

女性活躍推進法は、女性採用比率や管理職比率など、企業に具体的な指標の把握を求めるのに対し、他の法律はその土台となる環境整備を担っています。

直近の法改正の動きと今後の見通し

女性活躍推進法は、社会環境の変化に応じて段階的に改正が行われてきました。2020年以降に実施された法改正を簡単に整理しておきましょう。直近では、2025年6月にも改正が行われており、今後も社会情勢などに応じて見直されていくものとみられます。

【2020年4月】
従業員数301人以上の企業を対象に、一般事業主行動計画策定に関する変更を実施

【2020年6月】
従業員数301人以上の企業を対象に、女性の活躍推進に関する情報公表を義務化
えるぼし認定企業の中から、特に優良な取り組みを行う企業を認定する制度「プラチナえるぼし」を創設

【2022年4月】
義務化の対象を拡大。「行動計画の策定・届出」と「女性の活躍に関する情報公表」について、常時雇用する従業員が101人以上の中小企業にも適用

【2022年7月】
従業員数301人以上の企業を対象に、女性の活躍に関する情報公表項目を3点追加。「男女間賃金差異」の公表が必須項目として追加

【2025年6月・2026年4月(予定)】
法律の有効期限が2036年3月まで10年間延長
2026年4月からは、101人以上の企業でも「男女間賃金差異」「女性管理職比率」の公表が義務化、プラチナえるぼし認定要件に「求職者等に対するセクシュアルハラスメントに関して講じている措置」が追加など、さらなる拡充を予定

ワンポイント
女性活躍推進法には罰則規定がないため、義務を怠っても処罰はありませんが、行政による助言や勧告の対象になる場合があります。認定制度が広まる中、情報の非公開は「働きにくい職場」という印象を与えかねません。ポジティブなイメージが得られず、結果として人材確保を難しくしてしまうリスクがある点に注意が必要です。

参考:雇用環境・均等行政をめぐる 最近の動き
参考:女性活躍推進法に関する制度改正のお知らせ女性の活躍に関する「情報公表」が変わります

【関連コンテンツ】
えるぼし認定とはどんな制度?くるみん認定との違い、認定基準、メリット、申請方法を解説
プラチナえるぼし認定とは?えるぼし認定との違いや認定基準

2026年4月施行|女性活躍推進法 改定内容ポイント

鮮やかなブルーの卓上カレンダー

2025年6月の改正法成立および同年12月の省令公布により、2026年4月から順次施行される変更点の詳細が固まりました。対象となる企業は早めの準備が必要です。

情報公表義務の拡大(2026年4月〜)
常時雇用101人以上の企業に対し、「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の公表が義務化されます。

女性の健康課題への配慮促進
生理、更年期、不妊治療などの健康課題への配慮が法律の基本原則に追加されます。

「えるぼしプラス」「プラチナえるぼしプラス」の創設
健康課題への配慮が特に優れた企業を評価する新認定制度が今後創設される予定です。

えるぼし・プラチナえるぼし認定要件の変更
プラチナえるぼし:認定要件に「求職者等に対するセクシャルハラスメントに関して講じている措置」の公表が追加されます。
えるぼし(1段階目):認定要件が引き上げられ、より実効性のある実績が求められます。

ハラスメント対策の義務化(2026年12月までの政令指定日)
全事業主を対象に、カスタマーハラスメントおよび求職者等に対するセクシャルハラスメントに関して講じている措置が義務付けられます。

法律の有効期限延長
時限法であった本法の期限が2036年3月末まで10年間延長されました。

参考:女性活躍推進法特集ページ
参考:ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内

「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の情報公表の対象拡大/義務化(2026年4月~)

女性活躍に関する情報の公表義務の対象が拡大され、従来は従業員数301人以上の企業にのみ義務付けられていた「男女間賃金差異」の項目について、101人以上の規模の小さい企業にも公表が義務付けられます。また、「女性管理職比率」の項目が新たに追加されました。

【従業員数301人以上の企業】
「男女間賃金差異」および「女性管理職比率」の2項目
「職業生活に関する機会の提供に関する実績」7項目から1項目以上
「職業生活と家庭生活の両立に資する雇用環境の整備に関する実績」7項目から1項目以上
計4項目以上の公表

【従業員数101~300人の企業】
「男女間賃金差異」および「女性管理職比率」の2項目
「機会提供に関する実績」7項目+「両立支援に関する実績7項目」の中から1項目以上
計3項目以上の公表が必要
※従業員数100人以下の企業は引き続き努力義務

【公表のタイミング】
初回の公表は、施行後に最初に終了する事業年度の実績を、翌事業年度の開始後おおむね3ヵ月以内に公表、その後年1回以上更新・公表

女性の健康課題への配慮促進(2026年4月施行)

女性活躍の推進について、「女性特有の健康上の特性」に留意して行われるべきことと法律で明文化されました。これに伴い、企業の「一般事業主行動計画」を策定する際の指針も改正され、健康支援に関する取り組みを盛り込むことを推奨しています。

【具体的な取り組み例】
ヘルスリテラシーの向上:女性の健康課題に関する研修の開催、啓発冊子の配布
柔軟な制度の整備:生理休暇の取得しやすい環境作り、不調時の休養や通院のための休暇制度、テレワークやフレックスタイム制の活用
相談体制の構築:女性の健康上の特性について相談できる窓口の設置
環境整備:婦人科検診の受診支援 など

ただし、健康情報はきわめてセンシティブであるため、情報管理には細心の注意を払う必要があります。性別を問わず利用しやすい制度設計とすることも有効です。

えるぼしプラス・プラチナえるぼしプラス(仮称)の創設(2026年4月施行)

えるぼし認定(1~3段階目)とプラチナえるぼしに、「女性の健康支援に関する基準」を追加した新しい認定が創設されます。「健康課題への配慮(不妊治療や更年期障害への対応など)」という新しい評価基準をクリアすることで、既存の認定に「プラス」が付帯する形になります。基準はそれぞれの認定で共通で、「えるぼしプラス(仮称)」「プラチナえるぼしプラス(仮称)」とされる予定です。

<段階のイメージ>

  • プラチナえるぼしプラス(最上位:プラチナ認定 + 健康課題への配慮)
  • プラチナえるぼし
  • えるぼしプラス(えるぼし認定 + 健康課題への配慮)
  • えるぼし(3段階、2段階、1段階)

参考:女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)

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プラチナえるぼし認定とは?えるぼし認定との違いや認定基準

プラチナえるぼし認定要件に求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止措置の公表を追加(順次施行)

女性活躍推進について、特に取り組みが優良な企業を認定する「プラチナえるぼし」の認定基準が追加されます。今回の改正では、「求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止措置内容の公表」が、新たな要件として追加されました。既にプラチナえるぼし認定を取得済みの企業も、認定を維持するためには同様の公表が必要です。ただし、一定の猶予期間が設けられる予定です。

えるぼし認定1段階目の認定要件を追加(2026年4月施行)

えるぼし認定(1段階目)の認定要件に新たな選択肢が追加されます。

【現行の基準】
①5項目の認定基準のうち、1~2項目の基準を満たし実績を毎年公表する
②基準を満たさない項目に関する取り組みの実施状況を毎年公表する
③基準を満たさない項目について、2年以上連続で実績が改善している

【改定後の基準】
③の「基準を満たさない項目」について選択肢を追加
■単年度の実績を評価している項目について、以下に該当する。
下記ABCを比較し、連続して改善している(A>B>C)
A:直近の事業年度までの連続する3事業年度の平均値
B:その前の事業年度までの連続する3事業年度の平均値
C:その前々年度までの連続する3事業年度の平均値

■上記以外の項目については、2年以上連続して実績が改善している(従来通り)

カスタマーハラスメント/求職者等に対するセクシュアルハラスメントに関して講じている措置の義務化(順次施行)

「カスタマーハラスメント」と「求職者等に対するセクシュアルハラスメント」への対策が事業主に義務付けられます。ハラスメント防止に向けた事業主の方針の明確化、相談体制の整備、発生時の適切な対応などが求められる予定です。

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法律の有効期限の延長

女性活躍推進法は当初、2016年4月から10年間の時限法として制定されていました。今回の改正により、その有効期限が10年間延長され、2036年3月31日までとされています。延長の背景には、出産・育児期の就業継続などについては一定の成果が見られる一方で、女性管理職比率や賃金格差などの課題が依然として残っている現状があります。国際的に見ても、日本のジェンダーギャップは低水準に留まっており、継続的な制度運用が不可欠と判断されました。

女性活躍推進法改正によって、ハラスメント対策の措置義務も追加に

セクシャルハラスメントの英語の文字のサイコロとストップの標識

前述のとおり、2025年6月成立の改正女性活躍推進法により、全事業主を対象とした「カスタマーハラスメント」および「求職者等に対するセクシュアルハラスメント」の防止措置が義務付けられます。企業は相談窓口の設置や被害者保護、再発防止策を講じる必要があります。

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女性活躍推進法の法改正によって企業に求められる義務対応

手を組んでいるサラーリーマンの前に浮かぶスタートからゴールまでのステップイメージ

法改正により、段階的に義務化の対象が拡大されています。企業に求められる一連の対応を解説します。

自社の課題の洗い出し

2022年4月の改正により、従業員101人以上の企業は自社の女性活躍に関する状況把握・課題分析が義務付けられました。単なる数値確認に留まらず、男女間賃金差異などの背景にある要因を深掘りすることが重要です。特に経営層の認識と現場の実感に乖離があるケースは多いため、当事者の不安や働きにくさを丁寧に洗い出し、実態に即した本質的な施策を導き出すことが求められています。

一般事業主行動計画の策定・社内周知

101人以上の企業において、数値目標を盛り込んだ「一般事業主行動計画」の策定と全従業員への周知が義務化されています。策定にあたっては、分析した自社の課題解決につながる具体的な取り組み内容と実施時期を定めます。周知の方法は、書面掲示やイントラネットなど、誰もがいつでも確認できる状態にしましょう。

所管の労働局への届出

管轄の都道府県労働局へ「一般事業主行動計画策定・変更届」を提出します。届出には所定の様式を用いるケースが一般的です。持参・郵送・電子申請による提出が可能です。

女性の活躍推進に関する情報公表

策定した一般事業主行動計画を、自社サイトや厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」などで公表します。2026年4月からは、101人以上の企業でも「男女間賃金差異」の公表が必須化される見込みです。公表項目や基準は従業員規模(101〜300人/301人以上)で異なるため、正確かつ最新の情報を発信し続ける必要があります。

法改正をきっかけに企業が強化すべきポイント

未字色の背景にロケットが目標に向かい進んでいく様子

法改正を踏まえて、企業が強化するべきポイントを整理します。

両立支援の強化

育児・介護・通院などと仕事の両立支援は、女性活躍推進の基盤となる対応です。現場の意見も取り入れながら、個々の事情に応じた柔軟な働き方の選択肢を用意しましょう。男女関係なく全従業員が利用できる制度として運用することで、組織全体の生産性向上や離職防止が期待できます。

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ハラスメント対策の強化

カスタマーハラスメントや「求職者等に対するセクハラ防止」についても対策が強く求められています。社内だけではなく、採用活動や顧客対応の場面も含めたルールの整備を行いましょう。ハラスメント発生時の対応フローの整理や相談窓口の周知を行うなど、ハラスメント防止の姿勢を明確に示すことは、性別を問わず従業員が働く上で重要な責任と言えます。

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健康課題などに関する相談体制の強化

女性特有の健康課題による生産性低下や離職は、企業にとっても大きな損失です。外部の必要な支援につなげられるような体制を作るほか、女性の産業医や保健師、カウンセラーが対応する相談窓口を提供するなど、従業員がキャリアを諦めずに済む選択肢を提供する体制作りに努めましょう。

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育児休業時期に寄せられるご相談とカウンセリングでの支援について

組織全体の意識改革

組織全体の意識をアップデートすることが不可欠です。柔軟な働き方や休暇制度が整っていても、管理職や周囲の理解不足が運用の妨げになるケースは少なくありません。「女性は管理職を望まない」といった無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)を排除し、組織のリテラシーを高めることが重要です。健康課題への知識を深める研修などを通じ、誰もが制度を相談・利用しやすい風土を作ることで、法改正の趣旨を実効化できます。

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女性活躍推進の取り組みが「当たり前」の時代に

パソコンを開き、スマホを触る手元

女性活躍推進法の改正により、企業には情報公表の強化やハラスメント対策、健康配慮など、より実効性のある対応が求められます。違反による罰則はないものの、対応状況は企業姿勢として社内外から評価される時代です。単なる義務対応に留めることなく、制度の見直しや意識改革を促す機会として活かすことが重要です。この改正を機に自社の課題を改めて可視化し、誰もが能力を発揮できる職場作りを目指しましょう。

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【筆者プロフィール】

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アドバンテッジJOURNALは、働くすべての人へ「ウェルビーイングな働き方と組織づくり」のヒントを発信するメディアです。導入企業数3,200社/利用者数600万人を超えるサービス提供実績と、健康経営銘柄に4年連続で選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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