赤ちゃんのお世話をしている様子

育児休業時期に寄せられるご相談とカウンセリングでの支援について

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2022年4月に「育児・介護休業法」が改正されましたね。企業には、従業員に対して育児・介護休業に関する制度を周知し、雇用環境を整備する義務などが課されています。さらに10月からは、育児休業(以下育休)を分割して取得できる「産後パパ育休(出生時育休)」の開始なども予定されており、現在その対応に追われている企業も多いのではないでしょうか。

小泉進次郎さんも「育休はぜんぜん休みではない」という旨のコメントをしていましたが、育休においては周囲の理解を得る大変さ、実際の育児を行う上での大変さ、そして育休から復帰後の大変さなど、各段階で悩みやストレスを抱える方がいることも事実です。制度を整えていく傍ら、実際に育児を行っていく方々の心理的サポートを行っていく上で、EAPサービスにどのようなご相談が寄せられているか、ご紹介します。

EAPカウンセリングについて

EAP(従業員支援プログラム)とは、従業員のメンタルヘルス対策から、職場や家庭での不安・悩み、またキャリアにおける心配など、様々な課題の解決をサポートし、みなさまが生き生きと働ける状態をお手伝いする専門的なプログラムです。そのサポート手段の一つにカウンセリングサービスがあります。
参考:https://www.armg.jp/journal/220-2/

プライベートテーマの相談割合

カウンセリングと聞くと、メンタルヘルスの悩みを相談する窓口であるというイメージを持たれる方は多いでしょう。しかし実際にはそれだけでなく、仕事のストレスやキャリアに関する悩み・プライベートの悩みなど、幅広い内容のご相談をお受けしています。中でも、プライベートの悩みは生産性に大きな影響を及ぼしており、実際に当社の相談センターに寄せられる相談テーマの割合においても、プライベートをテーマとしたご相談は約16%と多い状況です。

カウンセリング利用割合

今回はその中でも、育休に対するご相談事例を紹介します。

育休における相談事例とカウンセリングでの相談事例

①育休取得時のお悩み
「育休取得によるキャリアの分断、葛藤」などのキャリアに関する悩みや、「育休取得を言い出せない」などの育休取得における職場の人間関係に関する悩みがあります。

キャリアに関するお悩みについては、キャリアの棚卸や復帰後の見通し、そして育休をどのような経験と位置付けるか、などを一緒に整理したり、「今」のみに向かっている視点を中長期的な目線から見つめなおしたりといったような支援をしています。
また、育休取得のしづらさについては、ご自身が考えていることが「本当にそうなのか」「一方的に想像を膨らませていないか」というように今一度考えなおしてみることを勧め、上司や同僚などに育休取得の希望を伝えるハードルを下げる支援をしています。

②育休中のお悩み
育休中のご相談内容としては、「夜泣きがストレス」「何を考えているかわからない」といった子どもの特性に関する悩みや「社会から取り残されているのでは」といった社会との関係に関する悩み、また「パートナーが協力的ではない」といった夫婦関係に関する悩みなどがあります。

女性の体調が優れない様子

子どもの特性や社会との関係についてのお悩みには、基本的な情報提供を行い、日々蓄積する感情を吐き出して頂くといった支援をいたします。また、お子様への関心が強くなる中でご自身のことがないがしろになるケースも少なくないため、セルフケアやご自身のための時間を持つことなど、視野が狭まりストレスを貯めやすい状態にならないよう、様々な角度からサポートします。

また夫婦関係については、ご自身もパートナーも新たに「親」という役割を持ったことで、戸惑っている状態であることを確認し、夫婦間の話し合いを行う上での問題の整理など、相手の立場に立った思考ができるよう支援をしております。加えて、パートナーに頼ってみるなどの対処行動をお手伝いすることもあります。

③育休復帰時、復帰後のお悩み
育休からの復帰、またその後についての悩みには、「周囲の人に迷惑をかけるのでは」「育児との両立ができるか不安」といった未来に向けた不安や、「自分をダメな親だと考えてしまう」といった親役割に関する悩みなどがあります。

復帰にあたっては様々な不安が浮かびます。カウンセリングではそれらが浮かぶことは当然であることを理解し、その上で懸念事項が起こる確率を冷静に捉え、起こった場合の対処を考えることで安心感を醸成するお手伝いをすることが多いです。また、周囲の理解を得るために相談行動をとっていけるよう支援することなどもあります。
親役割に関する悩みについては、その背景に「完璧でなければならない」「親としてこうあらねばならない」といったふとした瞬間に出てくる考えの癖が、ご自身を苦しめている場合が多いです。カウンセリングでは、自分自身の傾向を理解し、その考えに対して柔軟性を図っていき、「できない自分でも許してあげる」という行動がとれるよう支援していきます。

まとめ(終わりに)

女性が相談している様子

育休についての世間的な理解が高まり、実際の取得者も増えていく中で、育休取得における悩みが軽減されることを願う一方、取得後の育児ストレス、復帰における悩みなどは、今後も様々な形で出てくる可能性があります。子どもを授かるということは、それまでの「夫」「妻」という役割に「父親」「母親」という対応したこともない役割が追加されるとても大きなイベントだからです。家で過ごす時間が長くなり、社会との関わりから距離を取ることも可能な育休の時期だからこそ、新しい役割に向けて家にいながらも利用できるカウンセリングなどのサポート資源を有効に活用することは非常に大切です。考え方によっては、自分が新しい役割を通じてジャンプアップするチャンスでもあります。ぜひ悩みやストレスを上手く緩和させながら、お子様と向き合う育休期間を楽しんでいただければと強く願っています。

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント
「人」ソリューション1部 カウンセラー

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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