業務に追われる男性

従業員のバーンアウト(燃え尽き症候群)。企業側の対応や予防のためにできること

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バーンアウト(燃え尽き症候群)とは、これまで意欲的に働いていた人がストレスの蓄積により、ある日突然無気力になってしまう状態のことです。従業員が燃え尽き症候群に陥ってしまうと休業が必要なケースもあり、企業は早急な対応が求められます。本記事では、従業員が燃え尽き症候群になった時の企業側の対応や、未然に防ぐ対策を解説します。

バーンアウト(燃え尽き症候群)とは

バーンアウトの文字に手をかざす男性

最初に、バーンアウト(燃え尽き症候群)がどのような状態を指すのか、概要と従業員がその時に見せる主な症状を解説します。

燃え尽き症候群の概要

バーンアウト(燃え尽き症候群)とは、これまで意欲的に働いていた人が突然無気力になる状態のことを言います。1970年代にアメリカの精神心理学者がこのような状態に対し、「バーンアウトシンドローム」という造語を初めて採用しました。日本でも「バーンアウト」、または日本語に換えて「燃え尽き症候群」と呼ばれています。

ストレスの蓄積により症状が表れるため、企業側は従業員が燃え尽き症候群に陥らないよう対策に取り組む必要があります。

従業員の燃え尽き症候群の主な症状

従業員の燃え尽き症候群の主な症状には、以下のようなものがあります。

<主な症状>
・やる気が出ない
・人と関わるのが億劫になる
・仕事に行きたくなくなる
・朝起きることができない
・お酒の量が増える

燃え尽き症候群のさらに具体的な症状については、「用語集・バーンアウト(燃え尽き症候群)」で解説しています。

燃え尽き症候群になりやすい人の特徴(個人要因)

資料をチェックする男性

燃え尽き症候群の要因はいくつかありますが、大きく分けると「個人要因」「環境要因」があります。企業の担当者は、従業員の燃え尽き症候群を予防・早期対応するため、その特徴について知っておくと良いでしょう。まずは、「個人要因」について紹介します。

真面目で仕事熱心な人

真面目で仕事熱心な人は、仕事とプライベートの線引きが上手くできず、燃え尽き症候群になりやすい傾向があります。そのため、仕事での出来事や評価を必要以上に気にして、そのストレスを発散できずにいる可能性が高いと言えます。

完璧主義な人

仕事に限らず、完璧を求める人も燃え尽き症候群になりやすいです。このような人は完璧を求めるあまり、満足のいく結果が得られない場合に自分自身を追い詰めることもあります。その結果、心身が消耗し、燃え尽き症候群に陥りやすくなるのです。

燃え尽き症候群になりやすい職場の特徴(環境要因)

担当外の業務に悩む男性

続いて、「環境要因」を見ていきましょう。今回は、従業員が燃え尽き症候群になる職場における特徴を解説します。引き金となっている環境的な要因を取り除かなければ、従業員はストレスを溜め、燃え尽き症候群を発症する人数が増える可能性もあります。そのため、燃え尽き症候群になりやすい職場の特徴を把握しておくことは大切です。

時間外労働が多い 

残業や休日出勤などの時間外労働が多いと、従業員がプライベートの時間を確保できなくなり、燃え尽き症候群になりやすくなります。仕事のオンとオフを切り替えられなければ、心身が休まる暇はありません。そうすると、ストレスが蓄積され、燃え尽き症候群につながる可能性があります。

担当外の業務がある

担当外の業務がある職場は、燃え尽き症候群になりやすい環境と言えます。例えば、担当外の資料作成の手伝いや不必要な会議への強制参加など、自分の仕事ではないと感じるものはストレスを抱え込みやすくなります。

評価体制が整っていない

努力に対する評価が明確でない職場も、燃え尽き症候群になりやすい環境です。従業員自身が「努力しているのに評価されていない」と感じてしまうと、やりがいを失い、モチベーションを保って働くのが難しくなってしまうでしょう。

燃え尽き症候群を予防するために企業ができる対策

パソコンのディスプレイに表示されたメンタルヘルスの文字

企業は、従業員が燃え尽き症候群などのメンタルヘルス不調を未然に防ぐことが重要です。そこで、従業員の燃え尽き症候群を未然に防ぐための企業ができる対策を解説します。

周囲に相談しやすい環境を整える

指示系統を分かりやすくし、1人で業務を抱え込まないようにするのはもちろん、本人が業務量を負担に感じた時、周囲にヘルプを要請しやすい環境づくりが大切です。また、上司は1on1ミーティングを定期的に実施したり、年齢の近い先輩をつけるメンター制度などを導入したりして、従業員の変化に早く気づける体制づくりを行うことも大事です。

時間管理体制の見直しをする

残業や休日出勤などの時間外労働が多い職場は、燃え尽き症候群につながりやすいため、時間管理体制を見直すと良いでしょう。ワークライフバランスを意識して、従業員がプライベートの時間をしっかりと確保できるよう、業務量を調整するなどの対策をしましょう。

しかし、残業や休日出勤を減らせても、休憩時間を使って業務を行う従業員がいるかもしれません。勤務時間だけでなく、従業員が休憩時間をしっかりとれているか管理することも、燃え尽き症候群を予防するうえで重要です。

公平な評価制度を取り入れる

従業員に対する公平な評価制度を取り入れることも、燃え尽き症候群を予防するうえで大切です。なぜなら、従業員は昇給や報酬などで、自分の業務に関する評価を感じられるからです。そのため、上司や企業側は、従業員の納得性と公平性を保った評価をすることが重要になります。

従業員が意欲的に働ける環境づくりを意識する

従業員が自らの意思で業務に取り組めるような職場環境づくりも必要です。例えば、従業員がお互いに共感や思いやりの気持ちを忘れないようにする、チームとしての目標や成果を共有する、などが挙げられます。これにより、従業員は目標達成時に、充実感を得られるようになるでしょう。

ストレスチェックを実施・活用する

「労働安全衛生法」が改正され、2015年12月から企業は労働者に対し、ストレスチェックを行うことが義務付けられました。ストレスチェックを行うことで、従業員は自身のメンタルヘルス状態を把握できます。また、ストレス状態を従業員自身が把握すれば、セルフケアのきっかけとなり、メンタルヘルス不調を未然に防げます。企業担当者は、従業員にストレスチェックの意義を伝え、受けてもらえるように周知・推奨する必要があるのです。

産業医を活用する

産業医とは、医学やメンタルヘルスに関する専門的な立場から、労働者の健康や安全を守るために指導や助言をする医師のことです。専門知識を持った産業医を活用すれば、デリケートな問題であるメンタルヘルス不調を抱えた従業員に対し、早期に適切なケアができます。また、原因となっている業務内容や職場環境に対しても指導や助言をしてくれます。

産業医については、以下の記事で詳しく解説しています。

燃え尽き症候群で休職した従業員が復職する時の対応

従業員とその家族にヒアリングする人事担当者

従業員が燃え尽き症候群によるメンタルヘルス不調で休職し、その後復職する際、企業側は従業員に寄り添い安心して働ける環境を整えることが大切です。ここでは、従業員が燃え尽き症候群から復職する際の対応を解説します。

安心して復職できる環境と業務計画を整える

燃え尽き症候群で休職をした従業員が復職する場合、企業は安心して職場復帰できるように支援する必要があります。まず、従業員の症状が改善し、医師より就業可能と診断されたら職場復帰後の計画を立てます。しかし、従業員は復職できる状態になっても、以前のように働けるか不安を感じることもあるため、徐々に職場復帰できる体制を整えなければなりません。

例えば、負担の少ない業務から始めてもらい、徐々に慣れてもらいます。さらに、職場復帰だけでなく燃え尽き症候群を再発しないための対策として、業務内容の見直しや部署異動などの検討も行う必要があるでしょう。

復帰の際には周囲の人とも連携を取る

休職中の従業員だけでなく、その家族や上司、産業医などとも綿密に復職後について話し合うことが大切です。また、復帰する際には迎え入れる周りの従業員と連携を取りながら、サポートを行いましょう。

従業員の燃え尽き症候群を未然に防ぐ対策をしよう

産業医と話し合いをする人事担当者

燃え尽き症候群になりやすい人は責任感が強く、真面目で仕事熱心な人が多いため、限界まで頑張ってしまう傾向にあります。そのため、本人も気づかないうちに燃え尽き症候群などのメンタルヘルス不調に陥っている可能性があります。このように、やりがいを感じて意欲的に働く人材を突然失うことは、企業にとっても大きな損失です。従業員が燃え尽き症候群にならないように、企業は予防や対策を行い、健康と安全を守る職場環境をつくりましょう。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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