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バーンアウト(燃え尽き症候群)

バーンアウト(燃え尽き症候群)とは

バーンアウト(burnout)とは、これまで熱心に仕事に取り組んでいた人が、突然、あたかも「燃え尽きたように」意欲を失ったり、心身のエネルギーを消耗して無気力状態になってしまうような状態を指します。1970 年代にアメリカの精神心理学者のハーバート・フロイデンバーガー博士が提唱した概念であり、日本語では「燃え尽き症候群」とも呼ばれています。

バーンアウトは、対人サービス従事者の職務ストレスとして知られており、特に医療や福祉、教育などの公共サービス領域で仕事をしている人が陥りやすい傾向にあると言われています。しかしながら、現代社会においては上記以外にも、様々な領域・職種の人々が自身の知識や技術にもとづいたサービスを顧客に提供していることから、誰でも燃え尽きてしまう危険性を孕んでいます。

バーンアウトの状態に陥ると、メンタルヘルスに不調が生じるだけでなく、パフォーマンスの低下や休職につながることも明らかになってきています。さらに症状が進めば、「今すぐに仕事を辞めたい」と従業員の離職につながる可能性もあるため、企業はこうした事態にならないよう対策を施す必要があります。

バーンアウトの具体的な症状

バーンアウトについてはさまざまな実証研究が進んでおり、アメリカの社会心理学者であるマスラック博士を中心とした研究グループによってMaslach Burnout Inventory(MBI)と呼ばれる尺度が開発されています。このMBIによると、以下の3つが燃え尽き症候群の代表的な症状であるとされています。

①情緒的消耗感
情緒的に仕事に力を尽くした結果、疲れ果ててしまった状態を情緒的消耗感と表現します。研究者たちの間では、この情緒的消耗感がバーンアウトの主症状であると考えられています。

②脱人格化
顧客やクライエントに対して、彼らの人格を無視した思いやりのない態度を取ってしまう症状を脱人格化といいます。

③個人的達成感の低下
情緒的消耗感や脱人格化の状態は、対人サービス従事者が提供するサービスの質そのものに影響を与えます。それにともない、仕事の成果に対する達成感や有能感が著しく低下した状態になります。

こうしたバーンアウトを防ぐには、職務における他人とのかかわり方に関する考え方やパーソナリティといった個人的要因や、過重労働や職務における自律性の欠如、役割のあいまいさといった環境要因をしっかりと把握することが重要です。

そして人事担当者としては、バーンアウトに陥りそうな従業員の発見・ケアや、バーンアウトしてしまった従業員のアフターフォロー・職場復帰の支援を行いましょう。また従業員側も自らのストレス耐性を高めたり、プライベートの自分と職務上の役割を明確に切り分けることを意識したりして、日頃からバーンアウトを予防する意識を持つことが大切です。

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