中間管理職 ストレス

中間管理職が抱えがちなストレス要因とは?人事が取るべきケアと対策

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課長・係長・主任といった中間管理職は、その立場特有のストレス要因が降りかかることもあり、一般の従業員よりもストレスを感じやすい環境にあるかもしれません。近年は、人材不足や働き方改革の影響もあり、中間管理職の負担は特に増しているといえます。
しかし、中間管理職をサポートすることの重要性は理解していても、さまざまな問題から具体的な対応ができていないケースは少なくありません。
本記事では、中間管理職のストレス要因や、ストレスへの対処方法、企業ができる支援について詳しく解説します。

中間管理職が抱えるストレス要因と背景

中間管理職が抱えるストレス

中間管理職は、部下のマネジメントをする役職につきながら、自身にも上司がいる立場の従業員です。経営層の意思決定支援、部下のマネジメント、関係部署との調整など、さまざまな役割がある中間管理職は、特有のストレスを抱えやすいのが実情です。
まずは、中間管理職のストレス要因や背景について知っておきましょう。

業務量が多い

中間管理職は、自分の仕事に加え、部下のサポートやマネジメント業務が加わり、業務量が多くなりがちです。業務量の多さがストレスとなり、精神的・身体的な不調につながることがあります。
例えば、部下のミスのフォローやチームのトラブル対応、経営層との会議が続くなどの理由で、自分の仕事が後回しになることも少なくありません。会社によってはプレイングマネージャーとしての役割を求められるため、マネジメントとの両立を難しく感じる方もいます。
また、人材不足の企業では、仕事量に対して管理職が足りないという問題も生じています。

責任が重く、プレッシャーがかかりやすい

中間管理職は、さまざまな場面で責任者としての意思決定が求められます。また、組織やチームの目標を管理し、達成に向けて部下を率いていく立場でもあります。目標を達成するための責任を負うため、「目標を達成しなければならない」というプレッシャーや、「これでは目標が達成できない」といった焦りがストレスにつながります。

上司と部下の間で板挟みになる

経営陣の方針・戦略をチームに共有する、現場の意見を上司に伝えるなど、経営層と現場のパイプ役とも言える中間管理職。そのため、上司からは高い成果を求められる、方針転換にすぐ対応しなければならない、部下からは経営層に対する不満をぶつけられるなど、板挟みの状態になるケースもあります。調整役となってそれぞれの意見に耳を傾けたり、粘り強く説得したりということにストレスを感じやすいでしょう。

部下の育成・フォローが求められる

部下の育成・教育・指導も中間管理職の重要な役割です。
しかし、部下の性格やスキル、経験、モチベーションは個々によって違うため、想定通りのペースでの育成ができないこともあるでしょう。指示したことが伝わっていない、スピード感のある仕事ができていない、といったことがストレスにつながりやすいといえます。
特に、部下にあたる若い世代は、中間管理職自身が若手だった頃と異なる価値観を持っていることがあります。自分が若手の頃に経験したスタイルで育成しようと思ってもうまくいかず、戸惑いを感じてしまうこともあります。
近年の若い世代は、「成長意欲は高いものの失敗や叱責を過剰に恐れている」「仕事第一ではなくワークライフバランスを重視している」といった傾向がみられます。
また、部下にどのように声をかけて指導すればいいのか、どれくらい仕事のフォローをすべきなのかなどで悩み、ストレスを抱える中間管理職もいるでしょう。
さらに、コロナ禍をきっかけにテレワークが浸透し、対面での指導が十分に行えないなど、働き方の多様化によって育成の難しさが増している点も、ストレス要因として挙げられます。

働き方改革の「しわ寄せ」を受けやすい

働き方改革が進んだことで、逆に仕事量が増えたと感じる中間管理職もいます。株式会社パーソル総合研究所の調査(※1)によると、 働き方改革が進んでいる企業群において、中間管理職自らの業務量が増加したという回答割合が62.1%という結果でした。(進んでいない企業群では48.2%、全企業の平均は52.5%)テレワークを始めとした新しい働き方の浸透、有給取得状況の把握や調整など、マネジメントが多様化したことも、中間管理職の負担・ストレスを増やす要因となっています。

(※1)株式会社パーソル総合研究所「中間管理職の就業負担に関する定量調査

人事が取るべき中間管理職へのストレスケアと対策

人事が取るべき中間管理職へのストレスケアと対策

中間管理職が抱えるストレスを、当事者の努力だけで軽減・改善するには難しいものがあるでしょう。中間管理職の負担を減らし、働きやすい環境を整えるためには、企業側のサポートが重要です。
ここでは、職場環境の整備や研修など、人事ができる具体的な取り組みを紹介します。

ストレスケアの体制構築

中間管理職に限らず、大きなストレスを抱えてしまうと、メンタルヘルスの不調を招く可能性があります。適切なストレスケアのために、従業員をサポートする体制を整えておくことが大切です。
厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、メンタルヘルス対策として4つのケアを提言しています。
この指針に沿って、ストレスケアの体制構築を行いましょう。

【4つのケア】
1.セルフケア
セルフケアとは、従業員が自らのストレスに早めに気づき、適切な対処ができるよう促すことです。
セルフケア研修などを実施し、メンタルヘルスについて学ぶ機会を提供しましょう。

2.ラインによるケア
ラインによるケアは、部下を持つ管理監督者が行うケアのことを指します。
具体的には、職場環境の把握・改善、部下のメンタルヘルス不調の早期把握、職場復帰の支援などを行います。研修などにより、管理監督者自身にもメンタルヘルスケアや不調予防の正しい視点をもってもらうことも重要です。

3.事業場内産業保健スタッフ等によるケア
事業場内産業保健スタッフ等によるケアとは、産業医や衛生管理者などによる支援です。人事等と連携し、メンタルヘルスケア施策を立案、実行します。
例としては、産業医に気軽に相談できる社内窓口の設置などが挙げられます。

4.事業場外資源によるケア
事業場外資源によるケアは、メンタルヘルスケアに関する専門知識を持つ外部機関やサービスを活用したケアです。社内で相談するのが難しい場合もありますので、外部の相談窓口を案内するなどの体制を構築します。併せて、匿名で相談できる、秘密が守られるといったことを周知し、安心して利用できることを伝えましょう。

「4つのケア」の具体施策については、以下の記事で詳しく説明していますのであわせてチェックしてみてください。

中間管理職向けの研修の実施

中間管理職の意識改革が、ストレスケアにつながる可能性もあります。中間管理職向けの研修を実施し、スキルアップを図ったり、メンタルヘルスケアについて学んだりするのも有効です。管理職は多忙なため、自主的な勉強を促すだけではなく、企業として研修時間を設けることが大切です。

管理職のストレスの原因となりうるコミュニケーションの課題を解決するには、EQ(感情マネジメント力)向上が重要とされています。EQは、自分自身の感情を客観的に認知し、上手く扱う能力のことで、ビジネスで求められる対人コミュニケーションの基礎能力と言われています。
管理職のEQを高めることは、円滑なマネジメントにも役立ち、部下のエンゲージメント向上やチームのビルドアップといった効果も期待できます。その結果、管理職のストレス軽減につながる可能性があります。

EQ向上研修

アドバンテッジリスクマネジメントでは、管理職のEQ向上を目指す研修プログラムを提供しています。詳しくはこちらから。

また、中間管理職だけでなく、全ての従業員に対し定期的にメンタルヘルスケア研修を実施することも効果的です。研修では、ストレスについての知識や、自らストレスに気づき、対処するための方法などを学びます。ストレスに対する正しい理解を進めるとともに、改善に向けた行動を促せるでしょう。

社員研修セミナー

アドバンテッジリスクマネジメントでは「メンタルヘルス対策研修」をご用意しています。詳しくはこちらから。

ストレスチェックを活用し従業員の状態を把握

まずは、ストレスチェックと集団分析を活用し、中間管理職のストレス状態を把握しましょう。
ストレスチェックの集団分析の実践方法については、以下の記事をご覧ください。

当社アドバンテッジリスクマネジメントが提供する「アドバンテッジ タフネス」と「アドバンテッジ ウェルビーイング DXP」を活用すると、健康診断データや勤怠データも含めた幅広い情報が一元化・可視化されます。ストレスチェックを起点としたさまざまな複合的分析が可能となり、課題の把握から分析、職場環境の改善までがワンストップで実現します。
例えば、ストレスチェックで管理職にストレス傾向が見られた場合、DXPで業務時間を把握し、実態を分析。管理職を含めた残業時間管理の徹底、マネジメントと自身の業務の両立支援のためのサポートなど、具体的な改善策の立案・実行につなげることができます。

詳しい資料ダウンロードはこちらから。
アドバンテッジ タフネス
アドバンテッジ ウェルビーイング DXP

まとめ:中間管理職のストレスケアは企業の理解と支援が重要

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中間管理職は、その立場や求められる役割の多さから、さまざまなストレスを抱えやすいといえます。
ストレスが重なると、メンタルヘルスの不調につながるおそれもあり、適切なストレスケアが求められます。
ストレスチェックを活用した、中間管理職のストレス兆候の把握、業務効率化を実現するツール等の導入推進、スキルアップやメンタルヘルスケアを目的とした研修の実施など、ストレス問題を個人の責任とせず、企業全体の課題として解決に取り組む姿勢が大切です。

アドバンテッジタフネス

当社アドバンテッジリスクマネジメントが提供する、ストレスチェックから始める組織改善ワンストップサービス「アドバンテッジ タフネス」。ストレスチェックの結果だけでなく、メンタルタフネス度やエンゲージメント状況なども把握できるため、中間管理職のストレスケア・職場環境改善に役立ちます。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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