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新入社員の育成ポイント【コロナ禍の変化と具体的な取り組みを解説】

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コロナ禍に入社した新入社員/若手社員は、リモートワークをはじめさまざまな環境の変化を受けています。一方、そのような新入社員/若手社員に対する育成方法に悩む企業も多いでしょう。そこで、コロナ禍を経た新入社員の特徴や傾向、育成のポイントや具体的な取り組み方法などを詳しく解説します。

コロナ禍に入社した新入社員/若手社員の特徴

リモートワークをする女性社員

2020~2023年入社の「Z世代」

2020〜2023年に入社した新入社員は、主に90年代終盤〜2001年頃に生まれた「Z世代」と呼ばれる年代です。一概に一括りにはできませんが、「Z世代」の仕事への価値観や特徴としては、以下のような傾向があると言われています。

<Z世代の特徴>

  • 自己成長意欲はあるものの、失敗はしたくない
  • ワークライフバランスは重視し、無理のない範囲(ほど良いペース)で働きたい
  • 褒めて欲しい、認めて欲しい欲求がある
  • 早い段階から自身の成長のためのキャリアを考えたり、成長のための環境を求める
  • 社内外問わず、同年代と比べたときに、自身がどのような評価なのかをよく気にする など

早い段階で親や教師などがサポートする環境で育ったことにより、困難を乗り越えたり忍耐を学んだりする機会が減っているため、ストレスに対する捉え方も過敏であり、小さな問題を深刻に受け止めてしまう傾向があるという声もあります。

また、社会人になる直前にコロナ禍という大きな社会情勢を体感した世代でもあり、その影響も大きく受けています。キャリアにおける自身の将来像を若いうちから具体的に考えている人もいれば、漠然とした不安を抱えたまま入社する人など、さまざまな特徴を持つ世代と言えるでしょう。

コロナ禍のリモートワークがもたらした影響

2020〜2022年に入社した新入社員/若手社員の多くは、コロナ禍の影響によりリモートワークや業務方針の転換に対応した経験が多いのではないでしょうか。

日本能率協会マネジメントセンターが行った実態調査によると、コロナ禍におけるリモートワークなどの普及により、上司や先輩など指導する側が新人や若手社員に対して、コミュニケーションの減少や指導のしづらさなどを感じているといった結果が分かりました。これらは、新入社員/若手社員のキャリア形成にも影響を与えていると考えられるでしょう。

■職場の人間関係の希薄化
リモートワークによって1人で行う仕事が増え、職場との接点が減少したことで、社内の人間関係が十分に構築できない。「わからないことを聞けない」「相談ができない」といった不安を抱えがち。7割以上の新入社員が、対面での報告・連絡・相談の有効性を感じていました。

■業務経験の不足によるキャリア形成のしづらさ
リモートワークで十分な指導がしづらいことも影響し、具体的な仕事内容や業務手順が把握できず、新入社員にとっては業務経験を通じたキャリア形成や自身の課題が認識できない。

参考:【イマドキ新入社員意識調査2021】vol.2 リモート時代の新入社員が抱える成長課題と不安

2023年に入社した新入社員も、コロナ禍を経た新しい働き方の環境下にいる場合、同じような状況に陥る可能性があるでしょう。

新入社員/若手社員の育成ポイント

若手社員に優しく教える先輩社員

このように人間関係や業務の実体験不足は、組織への適応がうまく進まず、新入社員/若手社員の自己肯定感の低下やエンゲージメントの低下につながってしまいます。最悪の場合、メンタルヘルス不調に陥ったり、退職に至ったりするケースもあるでしょう。

コロナ禍を経た新入社員/若手社員を育成するには、どのようなことに気を付けたら良いのでしょうか?そのポイントを紹介します。

心理的安全性を高める双方向コミュニケーション

人間関係の構築が不完全なら、受け入れる側から積極的なコミュニケーションを取り、対話を増やしていくことが重要です。新入社員が1人で悩みこまず、相談しやすい“心理的安全性の高い”環境をつくることが大事だと言えるでしょう。心理的安全性とは、リスクのある言動を取ったとしても、安全性が担保されているチームであることが共有されている状態を表す言葉です。

心理的安全性が高い状態であれば、会社や上司の指示に対する疑問などを抱え込まずに素直に質問できたり、困難な状況にぶつかったとしても周囲に相談できたりして、次のステップへと進みやすくなります。チーム内での不安が解消され、業務をスムーズに遂行する経験を積めれば、新入社員が主体的に業務に取り組むようになることも期待できるでしょう。また、自分の意見も聞いてくれる、という安心感がチームや会社への信頼感にもつながります。

成長を実感させるキャリア形成とフォローアップ

自身の能力を伸ばすことに関心があり、成長意欲をもつZ世代の新入社員/若手社員にとって、「この仕事で自分が成長できるか」という点は非常に重要なポイントです。

入社早々、コロナ禍による漠然とした不安や、業務経験の不足による混乱や不満に苛まれてきましたが、今後は仕事における小さな成功体験を積み上げることや、自社での将来像をイメージできる状態にしていくことが大切になってきます。

★ワンポイント★
なお、近年では企業が“ホワイトすぎる”という理由で離職する若手社員も増えていると言われています。「成長の実感が沸かない」「(同世代と比べて)焦りを感じる」という悩みを抱えることもあるようです。
リモートワークにより成長機会を実感できなかった影響も、少なからずあるのかもしれません。新入社員/若手社員一人ひとりの状況や適性にあわせた育成・指導を行っていきましょう。

新入社員/若手社員育成の具体的取り組み

上司と面談をする若手社員

それでは、コロナ禍を経た新入社員/若手社員の育成方法や取り組みを具体的に紹介します。

育成計画の提示と定期的なフィードバック

目標がはっきりしていないと、「今やっていることは何のためなのか」「いつまでにどのような状態を目指せばいいのか」など、自分がしていることの全体像を新入社員/若手社員もつかめず、不安になる可能性があります。

育成計画を立てれば、目指すべき人材像を具体化でき、目的がより明確になるため、新入社員/若手社員のモチベーション向上につながるでしょう。育成計画には定期的なフォロー研修を取り入れることも重要です。新人研修やOJTをうまく組み合わせて、学びと実践を効率良く行える育成計画を立ててください。

新入社員の育成期間中は、こまめなフィードバックを行うことも不可欠です。さらに、上司だけでなく、人事担当者や部署内メンバー、メンターなど、さまざまな相手からフィードバックを受ける機会を設けるのがおすすめです。複数人との会話を通じ、より多くの客観的視点から自身の評価を感じられます。

また新たな気づきを与えられ、新入社員の成長につながるとともに、コミュニケーションの1つにもなります。一方的な指導やアドバイスをするのではなく、新入社員自身が定期的に自分の成長を振り返られるような場になるようにすると良いでしょう。

1on1の実施

1on1とは上司と部下が1対1で個人面談を行い、業務の成果や目標、今後の課題について定期的に話し合う取り組みです。一方的に指導するのではなく、現在の悩みや課題、今後目指したいキャリア像などを部下が主体となって話すことが、従来の面談などとは違ったポイントです。上司は1on1の冒頭に雑談をしたり、「時間をつくってくれてありがとう」と感謝を伝えたりなど、部下が話しやすい雰囲気づくりを意識しましょう。

上司は、新入社員/若手社員の意見を尊重しながら、フィードバックやビジョンの共有をします。ここでも、聞き役として双方向のコミュニケーションを意識することが大切です。1on1で得られた気づきから新入社員/若手社員はモチベーションを高め、自主性のある人材へ成長することにつながります。

★ワンポイント★
対面での実施が難しい場合にはオンラインでも構いませんが、その際お互いにカメラをオンにして話してもらうように伝えましょう。「元気そうな表情を見られて安心しました」と前向きなメッセージも合わせると緊張がほぐれます。定期的にその機会を設け、会話を重ねることで新入社員/若手社員が安心し、より自分らしさを出せるようになってきます。

コミュニケーション・メンタルヘルス・ストレスマネジメント研修の実施

新入社員の育成方法として一般的なものの1つが研修です。これはコロナ禍を経ても変わりません。企業理念や事業説明、業務内容、ビジネスマナーなどに関するテーマの他、近年はメンタルヘルスやストレスマネジメント、コミュニケーションスキルに関する研修など、幅広いテーマがあります。

研修は一過性のものにしないことが大切です。例えば研修後の行動計画を立て、それをもとに実践させたり、eラーニング等で研修の事前・事後講習なども行ったり、実際の業務に落とし込めるようなフローを設計しましょう。研修を受け自身の成長や変化を感じることで、有意義な研修であったと体感してもらえれば、新入社員・企業双方にとってもプラスになります。

★ワンポイント★
研修は、座学だけでなく参加型カリキュラムを盛り込むことも大切。新入社員や若手社員は、誰かが「正しい解答」を持っていると思う傾向があります。間違いではありませんが、課題を自ら発見し、主体的に解決していくことが基本であると理解してもらうためには、参加型スタイルが効果的でしょう。

新入社員/若手社員の育成を成功させるポイント

いきいきと働く若手社員

「Z世代」であっても一人ひとり得意なことや能力、価値観は異なります。新入社員の特性に合わせて育成のカリキュラムを組むことが大事です。例えば新入社員の能力を活かしやすい部署への配属・業務の割り振りなどを行うと良いでしょう。

新入社員/若手社員の育成で気を付けたいポイント

最後に、新入社員/若手社員の育成で気を付けたいポイントもおさえておきましょう。

新入社員/若手社員のニーズを汲む

新入社員/若手社員のニーズに合っていない指導方法は、育成につながらない可能性もあります。また新入社員/若手社員も、人によってやりたい業務や将来的なビジョンが異なります。

自分がやりたい仕事と実際に行う仕事が違えば、新入社員のモチベーションを下げてしまうでしょう。新入社員/若手社員とビジョンをしっかり共有したうえで、成長につながる手助けをすることが大事です。

難しい専門用語を多用し過ぎない

「イニシアチブ」「リソース」「KPI」などといったビジネス用語や会社独自の社内用語など、新入社員/若手社員が理解できない言葉を使って教育すると、失敗することがあります。新入社員/若手社員に意味が伝わっていなければ、適切な教育ができない可能性があります。難しい専門用語は多用し過ぎない、使う場合には意味をしっかり説明する、などもポイントです。

コロナ禍を経た新入社員/若手社員の傾向を踏まえ、適切な育成を

やる気に満ちている若手社員達

新入社員/若手社員は、会社という組織を、コロナ禍の経験をベースとして認識しています。そのスタンスや思考を理解したうえで、適切なコミュニケーションや指導・育成を行いましょう。

アドバンテッジリスクマネジメントではメンタルヘルス対策、エンゲージメント向上など、主要な人事テーマの専門的知見を凝縮した社員研修プログラムを提供しています。受講者と講師だけではなく、受講者同士のコミュニケーションを通じて、当事者意識や学習効果を向上させます。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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