若手社員の活躍を引き出すコミュニケーションのあり方とは?

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ここ数年、「若手社員へのマネジメントに難しさを感じている」という管理職や人事担当者の声が増えています。管理職世代とは異なる時代環境のもとで育った若手社員に対して「どのように接すれば良いか」「どうすれば意欲を持ってもらえるか」という悩みは、企業の人材育成における共通課題となりつつあるようです。

この記事では、7月13日に当社が実施したオンラインセミナー「若手社員の活躍を引き出す『面談』のコツ」の内容を編集してお届けします。

コロナ禍のストレスチェックデータ分析からみた若手社員の特徴

アドバンテッジリスクマネジメントの独自調査によると、2020年度(*)の若手社員に占める高ストレス者割合は25歳以下で5.3%(前年6.1%)、26〜30歳では7.4%(前年8.2%)となっており、前年と比べて改善傾向にあることがうかがえます。

これはコロナ禍で仕事量が減ったことやリモートワーク環境が整備されたことにより、煩わしい人間関係から解放されたと感じる若手社員が増えたことが要因であると考えられます。
*対象期間:2019年12月~2020年11月


一方で、主体的に仕事に取り組む意欲を示すワークエンゲージメントが高い高エンゲージメント者の割合に関しては、25歳以下が10.0%、26〜30歳が9.7%となっており、30歳以上の中堅・ベテランに比べて若手世代の割合が低い状況が続いています。

エンゲージメントの構成要素から分析すると、経験の浅い若手社員は仕事の裁量が少なく、「仕事を任せてもらえない」と考えている社員が多いことがわかります。さらに20代後半になると「自分のやりたいことと会社が目指す方向が違う」と感じ、会社との適合感や仕事の見通しを持ちにくい社員が増えることもエンゲージメント低下の一因であると考えられます。

管理職世代と若手社員世代の間にある価値観の違いとは

「あなた自身の働く目的は何ですか。お金を得ること以外でお答えください」という新入社員の意識調査(一般社団法人日本能率協会「2020 年度新入社員意識調査」)では、「仕事を通じてやりがいや充実感を得ること」「自分の能力を高めること」「社会の役に立つこと」という回答が上位を占める一方、「会社の役に立つこと」「お客様の役に立つこと」という回答が非常に少ないことがわかりました。

この結果から、若手社員は「会社や組織のために働くよりも、社会や世の中、あるいは自分のために働きたい」という価値観を持っていることがわかり、会社や組織に対する帰属意識が低い傾向があると推測できます。

また、「理想の上司・先輩像」に関する項目では、「仕事について丁寧な指導をする上司・先輩」「仕事の結果に対するねぎらい・褒め言葉を忘れない上司・先輩」が上位回答を占めました。

これら意識調査の回答からも、現代の若手社員の価値観は管理職世代と大きく異なっていることがわかります。実際に管理職の立場にある30代後半〜50代以降の世代や人事担当者は、若手社員に対して「すぐに正解を求める」「自分で動こうとせずに指示を待っている」「会社に成長させてほしいと考えている」「仕事よりもプライベートを大切にする」といった印象を持っている人が多いようです。

若者の価値観の変化については「ゆとり教育」「少子高齢化」「情報量の増加」「日本の経済力の低下」など、様々な要因が考えられますが、一般的な傾向としては「嫌なことをしてまで頑張って仕事をしたくない」「成長できないなら次の仕事を探したい」という価値観を持った若者が増えているようです。

一方で、「組織の簡素化・人員削減」「成果主義」「管理職のプレイングマネージャー化」などが進み、マネジメントを取り巻く状況も大きく変わりつつあり、これからの管理職には若手世代の価値観を踏まえたマネジメントも求められていると言えそうです。

どちらが正しいということではなく、まずは「価値観が異なる」という事実を受け止めたうえで、若手に対する関わり方を変えていく必要があるのではないでしょうか。

若手社員への関わり方を変えるための4つのポイント

管理職が若手社員との価値観の違いを知り、認めたうえで、若手社員への関わり方を変えていくためには以下の4つのポイントを重視する必要があります。面談をするうえでの土台となる考え方といっても良いでしょう。

(1)双方向コミュニケーション
若手社員に対して、管理職と双方向でコミュニケーションをとれる場が、頻繁かつ恒常的にあることを実感させる必要があります。具体的な施策としては週次の1on1ミーティングや日次の朝会などが挙げられます。毎回長い時間を取る必要はなく、週に10分程度であっても定期的に続けることで、「いつでも気軽に話せる時間がある」と若手社員に感じさせることが重要になります。

(2)成長実感
仕事で学び、成長し、経験やキャリアが豊かになっていることを実感してもらう必要があります。たとえば若手社員が仕事で結果を出したときは、実際に言葉で伝えること・褒めることが大切です。若手の場合、経験が浅いために結果を出しにくいケースもありますが、その際は取り組む姿勢なども含め、行動に至るまでのプロセスや考え方を褒めることを心掛けましょう。

(3)承認体験と感謝される体験
若手社員が職場で存在価値を認められ、貢献を実感し、感謝されていると感じられるようなコミュニケーションを取りましょう。(2)と似ている部分もありますが、若手の仕事や行動に対して「ありがとう」という感謝の言葉を伝えることが大切です。些細なことであっても、上司に「ありがとう」と声をかけられることで、若手社員は「気づいてくれた」「こうすれば認めてくれるのか」という気持ちになります。

(4)信頼と自信
若手社員に対して「成長実感」や「承認体験と感謝される体験」を与えるためのコミュニケーションを繰り返すことで、互いの間に「信頼」が生まれ、若手社員にも「自信」が生まれます。若手社員が会社方針や上司のリーダーシップに対して「信頼できる」と実感できている状態を目指しましょう。

上記4つのポイントを重視するにあたっては、いずれの場合も管理職と若手社員との直接的なコミュニケーションが不可欠となります。その際に有効となるのが以下のようなアクティブ・リスニング(傾聴)です。PC画面を見ながら話を聞くなど、別の仕事をしながらの対応は避けましょう。若手社員のコミュニケーション意欲を削いでしまう可能性があります。

【アクティブ・リスニングの一例】
■姿勢態度
相手と向き合って顔を見ながら話をする。

■うなずき・あいづち
「なるほど」「そうだね」と、話を聞いているという姿勢を言動・行動で表す。

■繰り返し・言い換え
相手の言葉を繰り返す、言ったことを言い換えることで話の内容を確認する。

■要点整理
相手が混乱していたり、話の内容がわかりづらかったりする場合、ポイントを整理して落ちついて話せるようにする。

若手社員自身に「柔軟な物事の捉え方や考え方」を持たせるために

上記の4つのポイントを軸として、管理職が若手社員への関わり方を変えると同時に、若手社員自身に「柔軟な物事の捉え方や考え方」を持ってもらう必要があります。具体的には以下の3つのポイントを若手社員自身に理解してもらうことが大切です。

■ストレスのメカニズムを知る
ストレスは様々な要因が相互に関係し合って生まれることを理解する。

■自分の「捉え方」や「考え方」の癖を知っておく
人にはそれぞれ捉え方や考え方の癖があり、陥りやすい思考パターンがある。それ自体は必ずしも悪いものではなく、その人の行動を支えている場合もあるが、そのパターンが自分を辛くし、目標達成の阻害要因になるようであれば、別の捉え方・考え方を選択することも必要になる。

ご参考:「捉え方」や「考え方」の癖に紐づく「メンタルタフネス」の概念についてはこちらの記事「今の時代に求められる「メンタルタフネス」とは? ~ストレスに強くエンゲージメントの高い人材を育てる」もご覧ください。

■必要に応じて専門家のサポートを使う
上記2つのポイントを若手社員本人だけに任せるのではなく、管理職や人事部門が仕組み化で支援するとともに、必要に応じてカウンセラー等の専門家のサポートを活用する。

まとめ

若手社員の活躍を引き出すためには、管理職側が若手社員への関わり方を変えるとともに、若手社員にもストレスを乗り越えるための柔軟な物事の捉え方や考え方を持ってもらう必要があり、双方で取り組むべき課題があると言えそうです。

管理職や若手社員が自発的に学ぶだけでなく、企業として研修機会を提供することも効果的でしょう。社内における「ものさし」を揃え、共通言語化することも大切です。管理職向けの1on1面談力向上のための研修や、部下のエンゲージメント向上のための研修に加え、若手社員向けの「メンタルタフネス度」向上のための研修など、検討してみてはいかがでしょうか。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「個と組織の未来基準の元気を創る」トピックスをお届けします。

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