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メンタルコーチングとは?メンタルトレーニングとの違いやメリットを紹介

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メンタルコーチングとは、対話を通じて相手の内面にある考えや気づきを引き出しながら目標達成に導いていくコーチング手法のことです。自身のメンタルを良い状態にコントロールすることが可能になるなどさまざまなメリットがあり、近年ビジネスシーンでも注目を集めています。本記事ではメンタルコーチングの概要やメリットを解説する他、メンタルを良い状態に保つために企業ができることを紹介します。

メンタルコーチングとは

まずはメンタルコーチングがどのようなものか理解しましょう。メンタルコーチングの概要について解説します。

メンタルコーチングの概要

メンタルコーチングとは、メンタル面の課題に対してアプローチするコーチングのことです。コーチングとは対話を通じて相手の内面にある考えや気づきを引き出し、目的に導いていく手法のことで、一方的にアドバイスをしたり、教えたりすることとは異なります。

アスリートが自分のメンタルをコントロールし、モチベーションを高めたり維持したりしながら、最高のパフォーマンスを行うためのものとしてスポーツ界で取り入れられてきたメンタルコーチングですが、近年ではビジネスの分野において、働く人への転用も期待されています。

ビジネス分野のメンタルコーチングでは、従業員が自主的に目標達成のための課題や方法に気づき、最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、コミュニケーションを取っていきます。

メンタルコーチングと類似語

メンタルコーチングには似た言葉がいくつかあります。メンタルトレーニングやスキルコーチングとの違いについて紹介します。

メンタルコーチングとメンタルトレーニングの違い

メンタルコーチングと混同されやすい言葉としてメンタルトレーニングがあります。メンタルトレーニングとは、目標に対して最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、物事への考え方や自身の感情のコントロール、集中力などメンタル面のトレーニングをすることです。例えば、スポーツの試合において、普段の練習通りに行えるようにするためにも、メンタルトレーニングは行われます。

実際にトレーニングするメンタルトレーニングに対し、メンタルコーチングは、従業員自身が課題に気づけるように、コミュニケーションを取ることを指します。

メンタルコーチングとスキルコーチングの違い

メンタルコーチングと似た言葉にスキルコーチングがあります。スキルコーチングとは、特定分野のスキルを高めるため、そのスキルの専門的知識・技術がある人にコーチをしてもらうことです。

メンタルコーチングは、特定の分野のスキルを磨くわけではなく、自主的に目標達成までの課題に気づき、行動を起こせるようにメンタル面で導きます。

メンタルコーチングのメリットとは

メンタルが安定しポジティブに行動できる従業員

従業員のメンタル向上のためにメンタルコーチングを取り入れることは、ビジネスを進めていく上で、さまざまなメリットを得られます。メンタルコーチングのメリットを紹介します。

自分で課題を解決する能力が身につく

メンタルコーチングを重ねていくと、従業員自身が思考を分析し、適切な対処法を見つけ出せるようになります。そしてこの方法は、一般的な課題解決の過程にも通じます。「課題となっていることは何か」「解決するためにはどのように行動していけば良いか」という考え方ができるようになるため、従業員自ら課題に取り組み、解決する力が身につくのです。

自分のパフォーマンスを最大限発揮できる

従業員が自分のメンタルをコントロールできるようになると、目的を達成するための手段が分かるようになり、成功するイメージを保ちながらポジティブに業務に向き合えるようになります。これができるようになると、集中すべきときに全力で集中でき、自分のパフォーマンスを最大限に発揮できるでしょう。

このように、余計なことをすべて取り払い、やるべきことに全力で集中している状態をスポーツ界などでは「ゾーンに入る」などと呼びます。

メンタルヘルスに良い影響を与える

従業員がメンタルコーチングを受けて、自分のメンタルについて理解を深めコントロールできるようになれば、従業員自身でメンタルヘルスを良い状態に維持できます。仕事のストレスを抱えていると、主観的に物事を捉えてしまいがちになり、ネガティブな気持ちが大きくなってメンタルの状態が悪化することもあります。

自身がストレスを抱えていることに気づいたときに、メンタルコーチングの考え方で問題解決に向けた思考ができるようになれば、自ら改善行動を取ることができるでしょう。ネガティブな気持ちに支配されることも少なくなり、結果的に、従業員のウェルビーイングの充実にもつながっていくはずです。

コミュニケーションスキルが高められる

コーチングを進めていく上で多くの対話を行うため、自然とコミュニケーションスキルも高められます。相手が何を意図して発言しているのかをくみ取るスキルや、自分自身の考えを伝えるスキルなどが身につきます。このようなスキルは、チームや他の部署とコミュニケーションを取る際にも活用できるでしょう。

メンタルを良い状態に保つために企業ができること

穏やかな表情の男性

メンタルコーチングを始め、従業員のメンタルを良い状態に保つために、企業にできることはあります。企業が取り組めるメンタルヘルス対策を紹介します。

EQ(感情マネジメント力)の向上研修

EQとはEmotional Intelligence Quotientの略で、「感情をうまく管理し、利用できる能力」のことです。ビジネスシーンで必要な対人コミュニケーションの基礎能力と言われています。社会人のメンタル不調の多くが、対人コミュニケーションの問題に起因するものと考えられています。

そのため、個人のEQ向上がメンタルヘルスに関する問題の根本解決につながるとして、近年その重要性が唱えられているところです。特に管理職のEQ向上は、リーダーシップの向上やハラスメントを防止できます。また、企業全体のマネジメントを円滑にすることにもつながり、企業の生産性向上に期待できるでしょう。

セルフケアの奨励

ストレスによる心の疾患を防ぐためにも、日頃からストレスを和らげるセルフケアを積極的に行うことを周知しましょう。セルフケアとは、自分のできる範囲で自分の面倒を見ることです。厚生労働省では、気軽でできるセルフケアとして以下の内容を推奨しています。

<気軽にできるセルフケア>
・体を動かす
・今の気持ちを書いてみる
・腹式呼吸を繰り返す
・「なりたい自分」に目を向ける
・音楽を聞いたり、歌を歌ったりする
・失敗したら笑ってみる など

参照:こころと体のセルフケア(厚生労働省)

ストレスチェックの実施

ストレスチェックは、従業員のストレス状態を調べる検査のことです。50人以上の従業員がいる事業場には、年に1度以上、ストレスチェックを実施する義務があります。ストレスチェックによって、高ストレス状態にあるとわかった従業員に対し、産業医面談の設定や仕事軽減措置などの対処を行いましょう。

さらに、従業員本人がチェックテストを受けることで自身のストレスの状態を自覚するメリットもあり、メンタルヘルスの不調を未然に防止できるでしょう。

1on1ミーティング

1on1ミーティングは、上司が部下に伝えたい内容を一方的に話す人事考課などと異なり、部下が主体となって話す場で、部下が話したいことや悩んでいることを聞き出すことが目的です。上司は聞き役に回りながらも、部下が自身の考えや意見に気づけるようサポートします。1on1ミーティングは、メンタルコーチングの手法を用いるシーンとしても有効でしょう。

従業員のメンタルヘルスを向上し、企業の活性化につなげよう

メンタルコーチングを活用できれば、従業員自身がメンタルをコントロールする力を身につけられ、成長につながります。なお、メンタルコーチングを行うには、専門的知識やスキルが必要なため、外部講師を招いた研修やプログラムを実施するのが良いでしょう。

メンタルを良い状態に保つことは仕事のストレスや悩みを減らすことにつながり、企業全体のウェルビーイング向上も期待できます。ぜひこの記事を参考に、メンタルコーチングの導入を検討したり、従業員のメンタルヘルスについて見直したりしてみてください。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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