えるぼし認定は、女性の活躍推進に積極的に取り組む企業を評価・認定する制度です。共働き世帯の増加、労働力人口の減少などさまざまな社会課題に直面する中では、女性が活躍できる環境整備がより重要性を増しています。今回は、えるぼし認定の概要や評価基準、認定のメリットなどを、企業事例を交えて詳しく解説します。
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目次
えるぼし認定とは

はじめに、えるぼし認定の制度概要と制定の背景について解説します。
えるぼし認定とは

えるぼし認定とは、「女性活躍推進法」に基づき、女性が能力を発揮し継続して働ける環境づくりが優良な企業を国が認定する制度です。認定取得には、女性の活躍推進に関する数値目標と取り組みを盛り込んだ「一般事業主行動計画」の策定・届出が必須です。
審査では「採用」「継続就業」「労働時間」「管理職比率」「多様なキャリア」の5項目が評価され、実績に応じて3段階の「えるぼし認定」、または最上位の「プラチナえるぼし認定」が与えられます。認定企業はロゴマークを商品や求人広告に使用でき、対外的なブランド力向上や優秀な人材確保につながります。2025年9月末時点での認定企業数は3,858社です。
※正式名称は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第9条(えるぼし)/第12条(プラチナえるぼし)に基づく認定」
参考:女性活躍推進法に係る認定状況
参考:女性活躍推進法
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制定の背景
少子高齢化により労働力不足が進む中、女性の就業継続や活躍に向けた取り組みは、日本経済の安定的な成長に不可欠です。この課題解決に向け、2016年に女性活躍推進法が施行され、企業に対して女性活躍に関する行動計画の策定や情報公表が義務付けられました。
近年の法改正では対象企業が拡大され、2025年からは男女間の賃金差異解消に向けた取り組みを評価する「えるぼしプラス」「プラチナえるぼしプラス」の新設も予定されています。制度を通じて企業の取り組みを可視化し、男女格差の解消推進と実効性のある改善を促すことが本制度の狙いです。
女性活躍推進法については、下記の記事で詳しく紹介しています。
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えるぼし認定とくるみん認定の違い

「えるぼし認定」と混同されやすい認定制度の一つが「くるみん認定」です。どちらも厚生労働省が所管する認定制度で、企業の人材活用や働きやすさに関する取り組みを評価するものです。ただし、制度の目的と評価軸は明確に異なり、えるぼし認定は「女性のキャリア形成・活躍の推進」に、くるみん認定は「育児期の支援体制」にフォーカスしています。
| えるぼし認定 | くるみん認定 | |
| 法律 | 女性活躍推進法 | 次世代育成支援対策推進法 |
| 主な目的 | 女性のキャリア形成・活躍推進 | 仕事と育児の両立支援 |
| 認定内容 | 女性活躍推進企業 | 子育てサポート企業 |
| 主な評価指標 | 管理職比率 採用 継続就業 労働時間 多様なキャリアコース | 育休取得率(男女) 労働時間 仕事と育児の両立支援制度の整備 |
| 対象者 | 主に「女性」従業員 | 「男女」問わず育児を行う従業員 |
参考:厚生労働省「女性活躍推進法に基づくえるぼし認定プラチナえるぼし認定のご案内」
参考:厚生労働省・都道府県労働局「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、くるみん認定・トライくるみん認定・プラチナくるみん認定を目指しましょう!!!(令和7年3月)」
えるぼし認定の認定基準

えるぼし認定は、5つの評価項目にそれぞれ認定基準があります。認定を受けるための前提条件とともに、詳しくチェックしていきましょう。
主な認定基準
えるぼし認定を受けるには、実績値である「女性の職業生活における活躍の状況に関する実績に係る基準(評価項目)」をクリアする必要があります。5つの項目は以下の通りです。※詳細は後述します。
①採用
②継続就業
③労働時間等の働き方
④管理職比率
⑤多様なキャリアコース
なお、項目のクリアに先立っては、「一般事業主行動計画の策定・届出」「計画の周知と外部公表」「女性の活躍推進企業データベースでの実績データの公表」を行っていることが前提となります。
3つ星/2つ星/1つ星の認定基準
えるぼし認定は、基準を満たしている項目数によって、えるぼしマークの星の数が変わります。
3つ星(3段階目):5個すべての評価項目で基準を満たす
2つ星(2段階目):3〜4個の評価項目で基準を満たす
1つ星(1段階目):1〜2個の評価項目で基準を満たす
えるぼし認定を取得した企業は、5個の評価項目の実績を毎年、「女性の活躍推進企業データベース」に公表しなければなりません。1つ星、2つ星の企業は、「基準を満たしていない項目」について、取り組みの実施状況を公表するとともに、2年以上連続で取り組み実績が改善している必要があります。
なお、2026年4月の改正法施行により、1つ星の企業については基準を満たしていない項目の改善状況に関する選択肢が以下のように追加されます。
■単年度の実績に関する評価項目について、基準を満たさない項目については「2年以上連続で実績が改善している」または以下に該当する。
下記ABCを比較し、連続して改善している(A>B>C)
A:直近の事業年度までの連続する3事業年度の平均値
B:その前の事業年度までの連続する3事業年度の平均値
C:その前々年度までの連続する3事業年度の平均値
評価項目①採用
採用における基準は以下の通りです。
■採用時の競争倍率が男女で同程度
「女性の採用倍率×0.8」が「男性の採用倍率」(いずれも直近3事業年度の平均)よりも、雇用管理区分ごとに低い
■女性労働者の割合
以下①②どちらにも該当している
①正社員のうち、女性の割合が産業ごとの平均値以上
②正社員の基幹的な雇用管理区分において、女性の割合が産業ごとの平均値以上
参考:女性活躍推進法に基づく認定制度に係る基準における平均値 適用:令和7年7月1日~令和8年6月30日
評価項目②継続就業
継続就業の項目は、直近の事業年度において、①②どちらかを満たしていることが条件となります。
①継続勤務年数の男女比
「女性の平均継続勤務年数」÷「男性の平均継続勤務年数」が、雇用管理区分ごとに7割以上
※いずれも期間の定めのない従業員が対象
②継続雇用割合の男女比
「女性労働者の継続雇用割合」÷「男性労働者の継続雇用割合」が雇用管理区分ごとに8割以上
※9~11事業年度前に採用された従業員(新規学卒者等のみ)のうち、継続して雇用されている従業員の割合
③上記①②の算出が困難な場合
直近の事業年度において、正社員の女性の平均継続勤務年数が産業ごとの平均値以上であること
評価項目③労働時間等の働き方
労働時間等の働き方における基準は以下の通りです。
■時間外労働
直近の事業年度のすべての月において、雇用管理区分ごとの法定時間外労働および法定休日労働の合計平均が45時間未満
評価項目④管理職比率
管理職比率の項目は、下記①または②いずれかを満たしていることが必要です。
①女性管理職の割合:直近の事業年度で、管理職に占める女性の割合が産業ごとの平均値以上
②昇進率の男女比:直近3事業年度の平均で「課長級への昇進率の男女比」が8割以上
評価項目⑤多様なキャリアコース
多様なキャリアコースの基準は以下の通りです。
■直近3事業年度に所定の実績あり
大企業は2項目以上かつ非正社員がいる場合はAが必須。中小企業は1項目以上。
A:女性の非正社員から正社員への転換
B:女性のキャリアアップに資する雇用管理区分間の転換
C:過去に在籍した女性従業員について、正社員としての再雇用
D:おおむね30歳以上の女性について、正社員としての採用
【その他】法令や規定違反などがないこと
その他の規定は以下の通りです。
■えるぼし/プラチナえるぼし認定の取り消しや辞退から3年経過している
■女性活躍推進法、男女雇用機会均等法や労働基準法など、関係法令に違反する重大な事実や、法律に基づく処分・公表が行われていない
プラチナえるぼし認定の認定基準

2020年6月から、新たにプラチナえるぼし認定制度が始まりました。プラチナえるぼし認定は、えるぼし認定企業のうち、取り組みの実施状況や目標達成度といった項目が特に優良であるなど、一定の要件を満たした場合に認定されます。
参考:えるぼし認定、プラチナえるぼし認定
プラチナえるぼし認定の認定基準
プラチナえるぼし認定の主な認定基準は以下の通りです。
■行動計画の目標達成
策定した一般事業主行動計画に基づき取り組みを実施し、定めた目標を達成していること
■5つの評価項目すべてのクリア
女性の職業生活における活躍の状況に関する実績に係る基準(評価項目)について、「採用」「継続就業」「労働時間」「管理職比率」「多様なキャリアコース」の5つすべてを満たしていること
※「継続就業」「管理職比率」はえるぼし認定よりも基準が高く設定されている
■求職者に対するセクシュアルハラスメント防止に係る措置の内容公表
2025年の法改正により、求職者等へのセクハラ防止措置内容の公表が認定要件に追加されました。既にプラチナえるぼし認定を受けている企業も、認定を維持するためには同様の公表が必要です。(一定の猶予期間が設けられる予定)
■推進者の選任
「男女雇用機会均等推進者」および「職業家庭両立推進者」を選任していること
■情報の継続公表
認定後も「女性の活躍推進企業データベース」上で以下を毎年公表すること
① 5つの評価項目すべての最新実績
② 男女間賃金差異(必須)を含む、8項目以上の情報
③ 求職者に対するセクシュアルハラスメント防止に係る措置の内容公表
加えて、申請日の直近に一般事業主行動計画(2〜5年間)の期間が終了しており、その目標を達成していることが条件となります。プラチナえるぼし認定については、以下の記事で詳しく解説しています。
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プラチナえるぼし認定とは?えるぼし認定との違いや認定基準
えるぼし認定を企業が得ることのメリット

えるぼし認定を受けることで、企業にはさまざまなメリットがあります。
企業のイメージアップ・優秀な人材の確保
認定を取得すると、段階に応じた認定マークを名刺や求人票、Webサイト等に掲示でき、「女性活躍の優良企業」であることを公的に証明できます。これにより企業のブランドイメージが向上するだけでなく、DEIの取り組み姿勢とも結び付き、働きやすさやキャリア形成を重視する層への強いアピールとなります。
求職者が認定企業を探せるサイト「職場情報総合サイト しょくばらぼ」もあるため、特に就職・転職市場において、キャリア志向の高い女性や若手人材の確保に大きな効果を発揮します。
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従業員のエンゲージメント向上
認定取得に向けた職場環境の整備は、男女問わず「働きやすさ」を実感できる職場を実現します。制度の性質上、女性活躍に焦点が当たりますが、その過程で公平な評価や柔軟な働き方など組織全体の仕組みが改善されます。結果として、企業への安心感や満足度が高まり、従業員のエンゲージメント向上につながるのです。主体性や生産性が高まるだけでなく、離職率の低下やノウハウの蓄積が進むなど、企業と個人がともに成長できる好循環が生まれる点も大きなメリットです。
Career&Baby(キャリア&ベビー)、Career&Kaigo(キャリア&カイゴ)は、育児・介護と仕事を両立する従業員と企業をサポートするサービスです。一人ひとりに合った支援で、多様な働き方を実現します。
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女性活躍推進法に基づく企業が取り組むべき両立支援のご紹介
公共調達での優遇措置
女性活躍推進法に基づき、国や独立行政法人等は、公共調達においてえるぼし認定企業などを加点評価しており、入札・選定の際、評価点に加点されます。高グレードの認定を取得するほど加点幅が大きくなり、受注の成否を左右する大きなアドバンテージとなる可能性が高いです。加点評価の具体的な内容は調達案件ごとに異なるため、詳細は案件ごとに確認しましょう。
低利融資の優遇措置
えるぼし/プラチナえるぼし認定を受けた中小企業は、日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金(企業活力強化貸付)」を、通常よりも低金利(特別利率)で利用できます。働きやすい環境づくりのために必要な資金を有利な条件で確保できることから、借入にかかる利息負担を軽減しつつ、さらなる取り組み強化が可能となります。
参考:日本政策金融公庫
税制や補助金制度での優遇措置
中小企業向けの「賃上げ促進税制」を活用する際、えるぼし認定企業は税額控除率が5%上乗せされ、法人税の負担をさらに軽減できます。また、多くの補助金制度で認定取得が加点項目となっており、採択率が向上するのも大きな利点です。税制と補助金の両面で公的支援を受けやすくなり、コストを抑えた経営基盤の強化が可能となります。
参考:中小企業庁「中小企業向け賃上げ促進税制ご利用ガイドブック」
参考:認定のメリット
えるぼし認定までの流れと申請方法

えるぼし認定を受けるための手順と注意点をチェックしておきましょう。
えるぼし認定の申請手順
えるぼし認定の申請ステップは以下の通りです。
ステップ1:現状分析と行動計画の策定
まずは社内の女性活躍状況を正しく把握し、課題を抽出します。その上で、具体的な数値目標を含めた「一般事業主行動計画」を策定します。
ステップ2:行動計画の公表・届出
策定した行動計画を、従業員への周知および自社サイト等で外部へ公表します。その後、管轄の都道府県労働局へ「一般事業主行動計画策定・届出書」を提出します。
ステップ3:実績データの公表
厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」にて、自社の女性活躍に関する実績情報を公開します。えるぼしの評価項目(採用・管理職比率等)の実績を公表していることが申請の必須条件となります。
ステップ4:認定申請書の提出
認定基準を満たしていることを確認し、必要書類を揃えて都道府県労働局へ申請します。審査を経て、基準を満たせば認定となります。なお、行動計画の期間内であればいつでも申請可能です。
<認定に必要な書類>
①計画期間に申請年月日を含む一般事業主行動計画の写し
②①の行動計画の従業員への周知および公表を行っていることを明らかにする書類であって、その日付が分かるもの
③申請書3の実績を明らかにする書類
④申請書4および5の公表を明らかにする書類であって、その日付が分かるもの
厚生労働省が提供している以下のツールやマニュアルも活用しましょう。
・一般事業主行動計画策定支援マニュアル
・一般事業主行動計画策定支援ツール
・認定申請書記載例(P.6)
・【様式4記載例】実績を明らかにする書類の記載例
申請時の注意点
えるぼし認定は取得して終わりではなく、継続的な基準維持と法令遵守が求められます。基準割れや法令違反、不正が発覚した場合は、認定取り消しとなるリスクがあるため注意が必要です。また、申請準備には精緻なデータ分析が不可欠で、労働局の審査にも通常2〜4ヵ月程度を要します。希望する時期に認定マークを活用できるよう、現状把握から申請まで、余裕を持ったスケジュール管理を心がけましょう。
えるぼし認定企業の事例

最後に、えるぼし認定を受けている企業の事例をご紹介します。
住友ファーマ株式会社
住友ファーマ株式会社は、えるぼし(3段階目)等を取得しD&Iを推進。育児休業の最初の10日間を有給化し、男性の育休取得率100%を達成しました。また、介護リテラシー向上のための全社員研修や10分単位の休暇制度を整備。独自のガイドブック配布など、仕事と育児・介護を両立し、多様な人材が活躍できる風土づくりに注力しています。
参考:女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集
日精樹脂工業株式会社
日精樹脂工業株式会社は、えるぼし(段階2)を取得。育児短時間勤務を小学校卒業まで延長するなど法定以上の制度を整え、女性復職率100%を維持しています。失効有休を積立活用する独自の休暇制度は男性の育休取得も促進。30年にわたる地道な意識改革により、育児・介護による退職者ゼロを継続している製造業の事例です。
参考:女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集
太洋テクノレックス株式会社
太洋テクノレックス株式会社は、えるぼし(3段階目)を取得。短時間勤務を小学校3年生修了時まで延長し、時間単位の有給休暇も導入しました。育児サポートBOOK配布等の草の根活動により、女性の平均勤続年数は開始時の約2倍(13.9年)へ伸長しました。現場の声を吸い上げるプロジェクト体制で、女性役職者数も着実に増加させている製造業の事例です。
参考:女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集
株式会社アドバンテッジリスクマネジメント
弊社アドバンテッジリスクマネジメントは、えるぼし(3段階目)を取得。介護休業中の所得補償保険の導入や、介護休暇の有給化・時間単位取得など法定以上の制度を整備しています。また、テレワークや定時1時間前に終業できる独自制度により柔軟な働き方を推進。社員の安心感を高め、ウェルビーイング向上につなげています。
参考:女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集
えるぼし認定の取得で誰もが活躍できる職場へ

少子高齢化と人手不足の中、女性が活躍できる環境整備は企業の重要課題です。えるぼし認定は、女性活躍を社会に示すだけでなく、企業イメージや従業員のエンゲージメント向上に寄与します。認定取得をゴールとせず、誰もが活躍できる職場づくりを継続することが、企業の持続的な成長に不可欠な土台となります。

