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「新しい働き方」に対応した両立支援とは “私傷病休業編”

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はじめに

前回 (「新しい働き方」に対応した両立支援とは ”産育休編” )に続き「新しい働き方」に対応した両立支援のポイントを紹介します。第2回目となる本記事では、「私傷病休業(特にメンタル疾患)」について解説します。

新型コロナウイルスの影響もあり高度化が求められる休業者管理

新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が浸透しましたが、従来の私傷病休業者管理のやり方では、在宅勤務への対応が困難な場合があります。例えば、主治医や産業医の面談記録が紙ベースであったり、対応履歴や休業者情報がオフィスのローカルネットワークに保管されている場合などが該当します。

また、感染リスク低減のため、休業者との対面での面談が実施できなくなり、適時・適切なコミュニケーションが難しい局面もあります。このような場合、各休業者の状態を正しく把握できないという問題の他、休業者の心理的負担の増加がスムーズな復職を阻害してしまうという問題も生じる恐れがあります。

コロナ禍においても質の高い休業者支援を実現するには

属人化傾向のある私傷病休業者管理の現状

従来の私傷病休業者管理においては、各担当者の属人的な対応や管理に任されているケースがしばしば見られます。

休業者管理は、勤続年数や過去の休業歴に応じて欠勤・休職期間が異なる等、個別対応が必要な事象が多いため、属人的な管理に陥りやすく、「規則に則って正しく管理できているのか不安。」との声が担当者からあがる一方、周囲からは、「職人的なやり方で、担当者以外はフォローしづらい。」との声もきかれます。

タスク・スケジュール管理を表計算ソフト1つで行っていることも多く、入力ミス、スケジュール把握漏れ、ファイルの誤編集・誤削除のリスクといった、ヒューマンエラーが懸念されます。

また、標準的なフォーマットがなく、各事業所、各支社の担当者がそれぞれのやり方で管理しているため、全社のデータ集計に手間がかかるといった問題も生じています。

加えて、明確な目標を策定できていないため次のステップへのアクションプランが見えず、各担当者の対応が場当たり的になっているケースも少なくありません。

自社の状況にあった目標を設定し、アクションプランを作成すること

いかなる改善の施策を実行するにも、自社の状況を把握し計画を作成することが重要です。最初にやるべきことは、「事業者の責任と役割」を理解することです。

計画的に私傷病休業者を支援していくにあたって事業者はどのような責任と役割が求められているのかを法律・ガイドラインに沿って把握することが重要となります。

次にやるべきことは、「自社の現状を正しく把握し分析をする」ことです。現状の私傷病休業者管理体制においてどのようなリスクがあるのか、組織分析を実施し部門ごとの従業員のストレス状況・原因を把握することが必要となります。

これらを可視化することで私傷病休業者管理コストを正しく試算し将来予測を実施します。

最後にやるべきことは、「現状を踏まえた上で自社のニーズに合ったメンタルヘルス対策目標を設定する」ことです。

企業理念や厚生労働省の指針などをもとに整合性を持って指針を決定します。中長期的な計画に基づき属人的・場当たり的な進め方にならぬようPDCAサイクルを回す体制つくりが重要です。

私傷病休業者との適時・適切なコミュニケーション

私傷病休業者と適時・適切なコミュニケーションがとれないと、人事労務担当者の負担が増すばかりではなく、休業者自身の心理的負担が増加し、結果的に復職準備に悪影響を及ぼす可能性もあります。

属人的な管理手法では、人事部内で対応履歴が共有されることもなく、担当者がいなければ休業者と適時・適切なコミュニケーションをとることが困難になります。効果的なコミュニケーションがとれる体制を作り、休業者の心理的負担を減らすことが求められています。

休業者フォローに注力できる時間の確保

私傷病休業者についても、産休育休者と同様に多くのタスクが存在しますが、休業者一人ひとりの状況は様々であり、個々の状況に十分留意し、適時・適切に対応することが何よりも求められます。

そのためにも、人事労務担当者の業務負荷を軽減し、私傷病休業者一人ひとりに丁寧に向き合う時間を捻出することが重要です。

感染リスクを避けるための在宅勤務体制整備

新型コロナウイルスの感染リスクを考慮し、対面の機会を減らした結果、休業者に対して面談やリワーク支援などが十分に行えなくなることも懸念されます。このような懸念を解消する手段として、今後はオンラインでも対応可能な仕組が必要となってくると考えられます。

面談やリワーク支援などをオンライン対応可能にすることで、社員の出社が制限 されたり、人事・労務担当、産業医が在宅勤務に移行した場合でも、十分に休業者へのフォローを行うことができます。

人事労務担当者と休業者をつなぐ安心で快適な環境を実現するために

高度化が求められる私傷病休業者管理において重要なことは、コロナ禍においても質を維持することだけではありません。

いかに、休業者、人事労務担当者両者にとって安心で快適な環境を実現し、スムーズな復職につなげるかも重要な観点となります。では、両者にとって安心で快適な環境において、どのような休業者管理が求められるのかを以下にご紹介します。

休業者情報の一元管理

休業者一人ひとりに必要な対応やスケジュールを一元管理することで、担当者以外が見ても一目で必要な対応がわかる状態を作ることができます。どの休業者に対して、次に何をすべきかを把握できるようにタスク・スケジュールを管理することが重要です。

また、各担当者、各支社・支店が独自のやり方で管理するのではなく、同じフォーマットで管理していくことで、誰が見てもわかりやすくなることに加えて、集計もしやすくなり、組織全体の休業者情報の把握が容易になります。

休業者自身にとっても、自分がいつまでに何をすべきか明確になることで、対応が遅延するのを防ぎ、余分な手間を省きながら、復帰に向けた準備をしやすくなります。

休業者一人ひとりの状況を可視化し、適時・適切な対応を実現

休業者管理を紙ベースやローカルファイルで個別に行っている場合、各休業者の状態やコミュニケーションの履歴がブラックボックス化しやすい傾向にあります。

休業者の情報を一元管理し、一目でわかる状態を作ることで、状況確認の手間を省き、人事労務担当者の負担が少なくなります。また、単一のプラットフォームを活用することで、ログイン状況などから休業者の急な体調変化などにも気づきやすい状態を作ることができます。

単一プラットフォームの活用による休業者フォローの体制作り

人事労務担当者が適時・適切に私傷病休業者をフォローするためには、対応履歴の記録化と共に、伝えるべきことや確認すべきことの抜け漏れ防止が不可欠です。

そのためには、電話やメールによる対応ではなく、単一プラットフォームでコミュニケーションが取れる体制作りが有効です。単一プラットフォームで情報集約や情報発信を行うことで、休業者との全てのやりとりが把握でき、必要な対応の遅延や抜け漏れも防止できます。

オンラインを活用したリワーク支援・面談の実現

復職の際は、いきなり職場復帰ではなく、徐々に職場復帰を目指すリワーク支援が行われることも少なくありません。一般的には外部のリワーク支援施設を活用し、復職のための準備を進めます。

また復職する際も、いきなりフルタイムで勤務するのではなく、短時間勤務や別の部署での簡単な業務から始めるなどして、徐々に進めるケースが一般的です。

しかし、在宅勤務の浸透により、リワーク支援にも変化が求められています。従来のように対面でのリワークのプログラムや面談を行うことが困難になっていく可能性があります。オンラインでのリワーク支援体制を整えるなど、リワークを受けるハードルを下げる取り組みが求められます。

休業者・復職者管理を最適化するADVANTAGE HARMONY

本記事で紹介したように、環境変化に合わせた管理業務の高度化や、休業者との適時・適切なコミュニケーションを実現するため、人事労務担当者様は日々試行錯誤をして業務に取り組まれているかと思います。

そのような状況下、休業者一人ひとりに丁寧に向き合う時間を捻出するためにも、ITツールを活用して業務効率化を図りたいと考えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

「ADVANTAGE HARMONY」は、休業者・復職者管理に特化した国内唯一のシステムで、休業者管理を効率化し、人事労務担当者の負担を軽減します。

オンラインを活用したリワークや生活リズム記録表など、私傷病休業者に特化したメニューも備えていますので、自社の復職支援の仕組みに合わせて利用するのもおすすめです。

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント
両立支援事業部 コンサルタント

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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