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「GLTD制度」導入における検討ポイントとは?~休業者データからみるGLTD【前編】

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健康経営や働き方改革の推進により労働環境が整備されるなか、福利厚生をより充実させて従業員の満足度を高めることは、企業のリスクマネジメントにおいても有効なアプローチです。特に、病気やけがで働けなくなってしまったときのリスクに備える「GLTD(団体長期障害所得補償保険)」は、経営者と従業員の双方にとって重要性の高い福利厚生制度として注目されています。

今回は、GLTD制度の基礎からサポート内容まで、前編・後編にわたり詳しく説明します。まず前編である本記事のトピックは、GLTD制度を企業が整備するメリットや、2万件を超えるデータからみる傷病休業の傾向、そして制度導入にあたっての検討ポイントです。

そして後編では、導入企業へのサポートフローやお客さまの声を紹介します。

GLTDの制度概要と、導入のメリット

制度の概要

GLTD(団体長期障害所得補償保険)は、従業員が病気やケガなどで休職するときの収入減をサポートする、損害保険を活用した福利厚生制度です。最長で定年まで月々の給与の一部が補償されるため、社会保障の不足を補完し、被保険者個人の貯蓄レベルではカバーしきれないリスクに対応できるという特徴があります。

企業がGLTD制度を導入するメリット

GLTD制度の導入は、従業員が安心して働ける環境を整えているという企業からのメッセージとなります。従業員満足度の向上や離職防止につながるほか、採用活動においてもアピールできるポイントとなるでしょう。また、従業員の病気やケガが回復するまで十分に休養してもらうことで、労使トラブルなどを未然に防ぐことができますし、企業の安全配慮義務への対策にもなります。

さらに、下記グラフにみられるように、従業員1人1カ月あたりの福利厚生コストとして、極端に高額ではないことも、導入するメリットのひとつです。

グラフ(従業員1人1か月あたりの福利厚生コスト)

性別・年齢・従業員規模などからみる、傷病休業の傾向

次に、われわれアドバンテッジリスクマネジメントの2万件を超える保険金請求サポート実績から蓄積されたデータを分析したリカバリーサービスレポート(RSレポート)より、傷病休業の傾向を紹介します。

 前 提

図(傷病分類の割合男性)
※休職者データは、2003年4月~2021年3月までの発生データをもとにしています。

●傷病分類の割合(男女別)
まず、傷病分類の割合をみていきましょう。就業障害の原因となる病気には、ある程度決まった傾向があります。その筆頭は、精神疾患を原因とする休業です。全体では63.1%、男性では66.0%、女性では57.7%の精神疾患占有率となります。

図(年齢群別の傷病種別の割合 )

●年齢群別の傷病種別の割合(男性)
年齢群別の傷病種類の割合(男性)では、40代前半までは精神疾患が70%以上を占め、50代以降になるとフィジカル面(精神疾患以外)での傷病が増加する傾向がみられます。

図(年齢群別の傷病種別の割合 男性)


厚生労働省の患者調査データと比較をしても、45-49歳群以降は精神疾患よりも循環器系の罹患数が上回ります。ここから推測できるのは、50代以降になると精神疾患に罹りにくくなるという意味ではなく、フィジカルリスクがより高まるため割合が変わるということです。

図(7疾病分類の割合)
出典 e-Stat 患者調査 平成29年患者調査 上巻(全国)
*0歳を除く1歳以上、かつ7疾病分類のみを抽出

●年齢群別の傷病種別の割合(女性)
年齢群別の傷病種類の割合(女性)をみると、30代では妊娠・分娩に関わる傷病が増えていること、および30代以降で精神疾患の割合が徐々に減少していることが特徴的です。

図(年齢群別の傷病種別の割合 女性)


厚生労働省の患者調査と比較をしても、30代以降は精神疾患の割合が徐々に減り、50-54歳群以降は精神疾患よりも循環器系の罹患数が上回ります。これも30代以降になると精神疾患に罹りにくくなるという意味ではなく、男性同様にフィジカルリスクがより高まるため割合が変わるということです。

図(年齢群別の傷病種別の割合 女性)
出典 e-Stat 患者調査 平成29年患者調査 上巻(全国)
*0歳を除く1歳以上、かつ7疾病分類のみを抽出

●従業員規模別における傷病種別の割合
従業員規模別における傷病種別の割合については、99名以下では精神疾患の割合が低いものの、その他の規模では大きな変化はみられませんでした。ここから、従業員規模よりも、業務内容の方が傷病発生とより密接に関連していることが読み取れます。

図(従業員規模別における傷病種別の割合)
※2015-2020年度従業員規模不明を除く


●傷病休業者発生率(従業員規模別)
従業員規模別の傷病休業者発生率は、従業員規模が小規模であるほどおおむね高くなる傾向がみられます。

図(傷病休業者発生率従業員規模別)
※2015-2020年度従業員規模不明を除く

●初回休業後、その後3年間における再休業率(2014-2016年度)
初回休業後、その後3年間における再休業率(2014-2016年度)は、経年変化では4.5%、4.6%、5%と微増していますが、この再休業率はGLTD契約期間中のみのカウントとなるので、生涯の発生率とは異なります。理論的には生涯発生率は期間が長くなる分、より高くなると推測が可能です。

図(初回休業後、その後3年間における再休業率)


●傷病分類別の再休業率(2020年度)
傷病分類ごとの再休業率は、精神疾患(6.4%)を筆頭に、新生物(4.8%)、神経系(2.6%)、筋骨格系(1.4%)、その他(1.1%)の順になります。

図(傷病分類別の再休業率)
※2016-2019年度業種不明を除く

これらのデータから、企業の従業員規模別で差はみられるものの、メンタルヘルスの不調が原因での休職が多く、再休業率も高い傾向にあることがわかります。さらに従業員規模が小規模であるほど、傷病休業者発生率が高くなることが読み取れます。

長期間にわたり休職せざるをえない傷病においては、従業員の経済的な不安を少しでも軽減し、安心して十分な休養をとってもらうことが大切です。そのためにも、休職中の収入をカバーするGLTD制度の重要性は、今後も増していくでしょう。

GLTD制度導入時に検討すべきポイントとは?

続いて、実際にGLTDの制度設計や導入を検討するにあたり、どのようなポイントを重視すべきかを説明していきます。

従業員への周知

GLTD制度を導入する際に最も大切なことは、従業員に制度の内容を正しく伝え、組織内に浸透させることです。せっかく入念な準備をして整備した福利厚生制度も、従業員に正しく認知されなければ、その真価を発揮できません。だからこそ、丁寧に認知につなげていくことが必要です。

会社がなぜGLTD制度を導入するに至ったのか、従業員に対する想いや背景を含めたメッセージを明文化し、従業員にメリットを感じてもらえるように周知しましょう。

活用しやすい仕組み

制度の運営や保険金請求サポートについての仕組みが明確に整備されていることも重要なポイントです。いざ制度を活用しようというときに、申請方法がわかりにくいとなると、従業員に不安や不便を感じさせてしまいます。

GLTDについて専門的な知識を持つ代理店ならば、保険会社と被保険者との間に立って制度の運営に必要な手続きや、保険金請求手続きに必要なサポートをすることができます。従業員が困ったときに活用しやすい制度であることが、安心や満足度の向上につながります。

フォローアップ体制

従業員が就業を継続できない状態になったときに、具体的にどのような手続きのサポートが受けられるのか、そして保険金請求時に的確なフォローアップ体制が整備されているのかも、重要な検討ポイントです。

後編の記事では、GLTD専門代理店であるアドバンテッジリスクマネジメントのサポート担当者が休職者とコンタクトを取るときの方法や、保険金請求の実務事例、そして保険金請求後のお客さまの声を紹介します。

まとめ

GLTDとは、従業員が病気やケガなどによって就業ができなくなった場合のリスクに備える福利厚生制度です。従業員が安心して治療に専念し職場復帰できる環境を、制度というかたちで取り入れることで、帰属意識や満足度の向上、そして離職防止につながります。

データをみると、精神疾患での休業が多く、再休業率も高いことがみてとれます。従業員が経済的な不安のために無理に復帰することなく、十分な休養を取ることができるという面でも、GLTDの注目度は高くなっているのです。

制度の設計や導入にあたっては、従業員への正しい周知や、活用しやすい仕組みであること、そして保険金請求等のサポート体制などの検討が必要です。GLTDを専門に取り扱い、一貫したフォローアップを実施している保険代理店へ、相談をしてみてはいかがでしょうか。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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