机に腕を置き考え込んでいる社員

従業員が抱える就業不能時への不安を解消~GLTD制度のメリットを解説

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病気やケガ、介護などさまざまな理由で中長期にわたって働けなくなる可能性は誰にでもあります。このような就業不能時への備えとして、個人で「就業不能保険」や「所得補償保険」への加入を検討する方も少なくありません。

本稿では、誰もが抱える就業不能リスクに対して、企業ができる安心の備えとして「GLTD制度」のメリットを解説していきます。

就業不能への不安から、「働けなくなったときの保険」を検討する従業員も

当社が20代から50代の会社員に向けて行った「就業不能(ケガや病気で長期間働けなくなること)およびGLTD制度(団体長期障害所得補償保険)に対する意識調査(2017年10月実施、回答504件)」によると、「自分がケガや病気で長期間働けなくなることについて考えることはあるか?」という質問に対して、「いつも考えている」、「ときどき考えている」を合わせて58.5%となり、約6割の人は長期の就業不能リスクを意識していることがわかりました。

厚生労働省が実施している「患者調査」によれば、精神疾患を有する総患者数は年々増加しており、2011年時点で320.1万人でしたが、2017年時点では419.3万人に増加しています。また、がんの外来患者数は2011年時点で219.9千人でしたが、2017年には249.5千人まで増加しています。

患者の総数自体が増加しているため、これらを理由に休業や通院しながらの勤務を余儀なくされる人の数も増加する可能性が十分に考えられます。就業不能による休業で、懸念される内容として「収入・所得の減少」が挙げられます。

多くの場合、健康保険から「傷病手当金」が給付されるため、休業期間に入り、すぐに収入がなくなることはありません。

しかし、給付される金額は働いていた時の給料よりも少なくなり、給付期間も最長1年6ヶ月までとなっています。給付期間を過ぎると収入がゼロになるリスクもあります。このようなリスクを考え、就業不能時に備えた保険に加入する従業員も少なくありません

企業として従業員の就業不能リスクに備えるGLTD制度

先述したアンケートでは、約6割の従業員が就業不能に対する不安を抱えていることがわかりました。

公益財団法人生命保険文化センターが全国で世帯員2名以上の一般世帯、3,983名を対象に行なった
「平成30年 生命保険に関する全国実態調査」内で「世帯主が就労不能となった場合に対する現在の経済的準備手段として期待できるもの」を尋ねたところ、「預貯金・貸付信託・金銭信託」が35.5%と最も高く、次いで「入院時に給付金のでる生命保険」が25.7%、「民保の生活障害・就業不能保障保険」が23.2%となりました。

個々人でも就業不能への不安を抱えている方は多く、万が一に備えて保険に加入している方も少なくありません。このような従業員の不安を解消・低減させるために企業として実施できる施策の一つが「GLTD制度」の導入です。

GLTD制度を導入することで、従業員に対して、「安心して働き続けてもらいたい」という想いを企業側から伝えることができます。社員の働けなくなるリスクに対する不安を解消し、安心して働き続けてもらいたいという想いから、GLTD制度を導入する企業が増えています。

GLTD制度導入により得られるさまざまなメリット

GLTD制度の導入により、企業にとっても従業員にとってもさまざまなメリットが生まれます。以下に代表的なメリットを3つ紹介します。

・公平性の高い福利厚生への移行

GLTD制度の導入により公平性の高い福利厚生制度を構築することが可能となります。例えば、住宅補助や家族手当、社内食堂利用などは、利用できる従業員としてはありがたいかもしれません。

しかし一方で、利用しない(または、できない)従業員からすると、一部の従業員のみが恩恵を受けているように見えてしまい、不満や不平等感を募らせてしまいかねません。一般的にGLTD制度は全従業員を補償対象にできるため、このような不満や不平等感を与える可能性がなくなります。

・両立支援の体制強化

GLTD制度は、休業の原因となったケガや病気がもとで復職後の所得が減少したような場合でも、以前より20%以上の所得喪失があれば、減少した所得を一定割合で補償します。

これにより、従業員は安心して治療と仕事に励むことができます。また、特約によって介護休業時や三大疾病に罹患した際の所得減少リスクにも対応するなど、GLTD制度は日々進化しており、導入することで誰にでも起きうるライフイベントと仕事の両立支援体制の強化にもつながります。

自動更新で大丈夫?知っておきたいGLTD制度の進化と補償内容の確認

・採用力・定着に向けた強化

当社独自に就活生および社会人1~3年目の男女を対象として、「企業を選ぶときに重視する点(2019年7月実施、回答824件)」に関するアンケートを実施しました。

結果を見ると、上位から「業務内容(73.4%)」「給与・昇給・昇格(68.8%)」「勤務時間・所在地(66.3%)」と続き、次点に「福利厚生制度(61.8%)」がランクインしました。

GLTD制度を導入することにより、公平性の高い福利厚生制度を構築することで、採用力強化や人材定着に寄与するケースも考えられます。

GLTD制度を導入する際のパートナー選びのポイント

多くの従業員は就業不能に対する不安を抱えており、従業員個人で保険に加入するケースも増えてくる可能性は十分にあります。

こういった従業員の不満に対して企業としてもGLTD制度の導入により、対応することが重要となります。しかし、GLTD制度はただ導入すればよいというものではありません。現状の福利厚生制度を見直し、各社に合わせたGLTD制度を導入する必要があります。

また、各従業員に対しても、就業不能リスクやGLTD制度の特徴について理解してもらうために、パンフレット制作や研修の実施などが必要不可欠となります。

これらを怠ってしまうと、従業員から受け入れられない制度となり、GLTD制度が持っている魅力やメリットを十分に発揮できません。

平等性の高い福利厚生制度を再構築」福利厚生制度の見直しによるGLTD制度導入事例

加えて、運用や効果検証にも留意が必要です。契約自体は企業が主体となりますが、保険金の請求については各従業員が対応することになります。そのため、人事・労務担当者は、支払い状況や保険金請求のステータスを把握できず、具体的な効果を把握しにくいという状況になってしまいます。

GLTD制度の導入や周知には多くの経験やノウハウが必要となり、運用や効果検証においては企業担当者だけでは情報を収集しきれない部分もあるため、パートナーとの連携が必要不可欠です。まずは、情報収集の一環としてGLTD制度の専門代理店へ相談をしてみてはいかがでしょうか。

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント
LTD・リスクファイナンス部門 コンサルタント

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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