ハラスメント行為者の行動変容を促すためには?再発防止に向けて企業がすべきこと(前編)

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※本記事は、6月4日に当社が実施した「心理専門家が取り組むハラスメント行為者の行動変容事例セミナー」の内容(一部)を編集してお届けします。

職場でのパワーハラスメント(パワハラ)防止対策を企業に義務付ける関連法が昨年2020年6月に施行されました。厚生労働省によると、パワハラの定義は「職場において行われる (1) 優越的な関係を背景とした言動であって、 (2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるもの であり、(1)から(3)までの要素を全て満たすものをいう」とされています。

さて、ハラスメントはなぜ起きるのでしょう。皆さんは「アンコンシャス・バイアス」という言葉をご存知でしょうか。「アンコンシャス・バイアス」とは、「無意識の偏見や思い込み」を指す言葉です。これはハラスメント行為者特有のものではなく、誰もが持っているものです。

意識をしていないと、自分自身の言動が思わぬところでハラスメントに繋がってしまうリスクがあるのです。例えば、ある人から「真面目ですね」と声掛けをされたら、あなたはどのように感じますか?声を掛けた人はポジティブな意味で使ったつもりでも、相手によっては「頭が固い」と言われたように感じるかもしれません。

このように、言葉一つをとっても人によってネガティブに捉えられてしまうことがあります。つまり、自分が良いと思い込んでいたものが、相手にとっては必ずしもそうではない、ということなのです。ハラスメントの事例すべてがアンコンシャス・バイアスに起因するものではありませんが、大部分はそうだといっても良いでしょう。

参考記事
アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)とは?職場での事例と対策方法をご紹介

ハラスメント問題の対策を行ううえでは、行為者にハラスメントをしている自覚を持ってもらうこと、再発しないよう行動変容を実現することが重要です。

さて、そのようななか、パワハラが起きた後に各企業はどのように対応しているのでしょうか。厚生労働省の調査(令和2年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査)によると、「行為者に謝罪させた」が3割近くとなっています。

一方で、「何もしなかった」も2割以上という結果になっていました。もちろん、「謝罪」は必要になるでしょう。しかし、「アンコンシャス・バイアス」に触れないまま、謝罪だけで解決するものでしょうか。行為者本人には「指導のつもりだった」、あるいは「怒りが抑えられずついやってしまった」という行為の背景があるにも関わらず、ただ謝罪を求められたのでは不安や困惑、怒りの感情が残ってしまう恐れがあります。

ハラスメントをしてしまった根本原因に触れずに解決を目指そうとすると、再発のリスクも懸念されます。
このリスクを払拭するためには、行為者本人が意識していない「無意識」な部分を見直していく必要があります。

ハラスメント行為者の行動変容

行動変容を実現するためにはいくつかの段階があります(行動変容ステージモデル)。

無関心期:6カ月以内に行動を変えようと思っておらず、危機感を抱いていない状態
関心期:6カ月以内に行動を変えようと思っている、少し危機感が出てきた状態
準備期:1カ月以内に行動を変えようと思っている状態
実行期:実行を開始、行動を変えて6カ月未満
維持期:実行して6カ月以上経ち、習慣化している状態

ハラスメントをする人は上記でいう「無関心期」にいることが多いといえます。行動変容に至るためには「このままではまずい」と思えるような感情的経験が必要です。また、周りへの影響を考える必要もあるでしょう。人間は、メリットや必要性がないと変わらないものです。まずは行動変容における動機づけを行うことが重要です。

ハラスメント行為者の行動変容を引き起こすために

行為者の行動変容を実現するためには、行為者自身がそのメリットを理解し、「自発的に」取り組む必要があります。

まずは、なぜハラスメント行為だと判定されたのかを説明することは大前提とし、
・行動変容に向けての動機づけ
・行為者自身の自己理解
・行動変容に向けた伴走
を行っていくことがポイントとなります。

ハラスメント行為者は、もともとは「部下の指導をしたい」「元気づけようとしただけだった」といったように、善意によって行為が発生したケースも多いです。この場合、その善意である気持ち自体を否定してはいけません。

大切なのは、「性格」「そのときの気持ち」を変えるのではなく、あくまでも「行動」を変えてほしいということです。行為者には、不適切だった行動についてきちんと説明しましょう。その際、「会社はあなたに期待しているから今後もっと活躍してほしい」という期待とともに伝えると効果的です。

まとめ

正しく自己理解ができていないと、正しいアプローチができず目標は達成できません。「行為者」は自分の癖や考え方を認識し、問題の根本原因を理解することが重要です。そして目的を達成するためには「伴走者」がいると心強いでしょう。

改善に向けて行動を始めることができても、効果を実感できないと不安に陥り、行動が習慣化する前にその行動を中断、つまり挫折してしまいます。しかし、評価や意識づけをしてくれる伴走者がいれば、安心して行動を継続することができます。

そして継続することで習慣化し、効果も期待できます。この繰り返しで行動変容が実現していくのです。このように、行動変容を実現するためには一人で取り組むのではなく、伴走する体制づくりが重要といえます。

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント
人ソリューション部 カウンセラー

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