EMPLOYEE BENEFITS示したイメージの周りに福利厚生制度が列挙されている

「平等性の高い福利厚生制度を再構築」福利厚生制度の見直しによるGLTD制度導入事例

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福利厚生に感じる不平等

福利厚生制度(本記事では、主に法定外福利厚生を意味しています。)とは企業が、労働力の確保・定着、勤労意欲・能率の向上などの効果を期待して、従業員とその家族に対して提供する各種の施策・制度です。

従業員の生活の向上を支援する目的で実施されるもので、法律で義務づけられた法定福利(社会保険料の事業主負担など)と、企業が任意で実施する法定外福利(交通費・社宅・健康診断・育児支援・保養施設など)があります。

福利厚生制度は企業が従業員に対して賃金や賞与とは別に支給する非金銭の報酬を指し、新卒・中途を問わず求職者が企業を選ぶ際の判断軸の一つにもなっています。新たな人材を確保するための一つの要素としても、また、既存従業員の満足度を高める意味でも福利厚生を充実させておくことは有効です。

福利厚生制度が、時代や環境の変化に合わせた見直しが行われないことによって、平等感をもたらす役割を果たせず、特定の方だけのメリットとなっていないか、注意する必要があります。例えば以下のようなものが挙げられます。

利用者が限定される

住宅手当や家族手当のように、【持ち家の有無や会社の近くに住んでいる】、【生活を共にする家族がいる】といった、業務上の能力と関係のないところで、会社からの支援額が変動することに不平等感が生じることが考えられます。

利用者の価値観に起因する

90年代半ばまでの福利厚生はハコモノ主流といわれ、社員に対して余暇の充実を主眼とした福利厚生制度が主流となっていました。しかし、居住地域による利用差が生じました。加えて、施設の老朽化によるメンテナンスなどの費用が増大するため見直しを余儀なくされました。

その結果、現在は自分のニーズにある福利厚生を【選択】できるメニューが増えました。例えば、カフェテリア・プランは、従業員は会社から付与されたポイントを利用し、複数あるメニュー(宿泊やフィットネスなど)の中から自分にあったもの【選択】し申請・利用することができます。

選択によって不平等感や不満感は生まれにくいと考えますが、そもそも制度を知らない社員が存在することや、選択のラインナップ、利用率が低いメニューは一定程度生じることも注意を払わなければなりません。

社員区分によって異なる

正規社員だけでなく、非正規社員においても多様な働き方が増える可能性があります。同等の業務を行っているにも関わらず、非正規社員に対して福利厚生の面で格差が生じた場合、労働意欲の低下や生産性低下に発展することは避けなければなりません。

また、同一労働同一賃金における整備の一環として、欠勤補償においてもあらゆる討議がなされており、今後の対応を注視する企業も増えてきています。

GLTD制度導入による福利厚生制度の平等性

「GLTD(団体長期障害所得補償保険)制度」は平等性の観点から非常に注目をされております。誰もが病気やケガによって働けなくなる可能性が存在します。

長期休業によって収入が得られなくなると生活破綻するリスク(=就業不能リスク)を補完します。そのため就労している従業員全てを対象にすることができるため平等性が期待されます。

社員区分に関係なく対象として選択ができる

GLTD制度は、役員・正社員・非正規社員など、契約者となる企業が補償対象範囲を選択できます。住む場所や家族構成になどの個々の事情に関わらず、一律の補償を提供するため、不平等な印象は持たれにくい制度となります。

従業員負担の構築により、必要に応じて自ら追加補償を【選択】できる

GLTD制度は、会社負担(全員加入)と従業員負担(任意加入)を組み合わせた会社固有の制度設計が可能です。従業員負担(任意加入)を行うことで、万が一の時に、健康時と同等の収入を得ることも可能となります。自ら選択してより充実が図れる点もGLTD制度の良い点の一つです。

GLTD制度導入のための既存制度見直し事例

GLTD制度の導入を進める上で気になる点の一つが、会社負担(全員加入)にかかる費用になります。導入企業の多くは既存の福利厚生制度を見直すことで費用捻出することを検討します。

見直すポイントは、利用率や満足度が低い制度や平等性・公平性の観点でのスクラップビルドです。もちろん、別途追加費用でGLTD制度を導入する企業もあります。

どのように福利厚生制度を見直し、費用の捻出や置き換えを行なったのか、事例を通してご紹介します。

例1. 死亡保障を減額し捻出

A社様 サービス業(社員数2,000名)では、身体的、精神的にハードな仕事である一方、女性で家計を担う従業員も多いため、安心して働ける環境を整備したいと考えていました。

そこでGLTD制度の導入を実施し、コストの一部は既存の福利厚生の死亡補償を減額することで捻出しました。結果、より社員に「安心して働いてほしい」というメッセージとして、伝えることができました。

例2. 家族手当・社宅を見直し捻出

家族手当や社宅・家賃補助などの制度を見直し、GLTD制度の費用を確保された企業様もいます。各制度を設定した当時は、平等感のある内容で、多くの従業員に受け入れられていました。

しかし、家族形態が多様化したり、晩婚化が進んだりしたことを背景に、対象に含まれない人も多くなり、不平等に感じる人も多くなってきていました。そこで、これらの制度を見直し、多くの人の万が一に備えられるGLTD制度を導入しました。

参考:GLTD制度導入により発生する従業員1人あたりのコスト例

就業不能時の長期所得補償制度であるものの、下記図表からわかるように、従業員1人1か月当たりのコストとしては、他の福利厚生制度と比べて、極端に高額というわけではありません。GLTD制度の導入を含め、福利厚生制度の見直しを進めていくことで、費用対効果の高い制度構築につながるのではないでしょうか。

従業員1人1か月あたりの福利厚生コストに関する棒グラフ

まとめ

従業員が病気やケガで休業せざるを得なくなった時の生活不安を払拭することはとても重要です。加えて、働き方の多様化によって時代の変化に適応しながら福利厚生制度の整備をすることも重要です。GLTD制度は従業員に安心して働ける環境を提供し、安心を形にして従業員に届ける制度です。

アドバンテッジリスクマネジメントでは、500を超える団体様におけるGLTD制度を導入実績があり、豊富な情報量とノウハウを元に最適なご提案が可能です。もしご興味がございましたら、是非下記よりお問い合わせ下さい。

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント
LTD・リスクファイナンス部門 コンサルタント

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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