自動更新で大丈夫?知っておきたいGLTD制度の進化と補償内容の確認

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社員の働けないリスクに対する不安を解消し、安心して働いてもらいたいという想いを持って導入をしたGLTD制度。会社・社会の情勢変化によって、価値訴求が低下し導入しただけのGLTD制度となっていないでしょうか。

今回は、GLTD制度を毎年見直すことのメリットを補償範囲、就業不能リスクへの対応の面から紹介をしていきます。

GLTD制度は定期的に振り返りと見直しを行わないと補償内容と会社の考えに差異が生じる可能性がある

GLTD制度(Group Long Term Disability、団体長期障害所得補償保険)は病気やケガ、精神疾患などによって長期にわたって働けなくなったときの所得減少リスクをカバーする損害保険を活用した人事・福利厚生制度です。

国内企業におけるGLTD制度の普及率は、2010年は4.5%でしたが、2018年には10.5%となり、特に1,000人以上の大企業では18.0%が導入する制度になりました。(労務行政刊『労政時報』第3957号-18.9.14)

GLTD制度の導入を推進する実務担当者や導入可否を判断する経営層は、「社員の働けないリスクを低減し、安心して働いてもらいたい」や、「安心して働いてもらえる労働環境で新しい人材に十分に力を発揮してほしい」などの強い想いや意義を持って取り組まれています。

一方、国内での普及が着実に進んでいるとはいえ、運用事例が豊富というわけではありません。

GLTD制度の導入時には時間や労力をかけてGLTD制度の内容について議論を重ねますが、導入後2年、3年と経過すると振り返りや見直しを行わずに自動更新するのが当たり前になってしまっているケースは少なくありません。

一例として、補償内容の確認を行わないがために、対象者が曖昧なまま保険金給付事案が発生し、本来ケアできたはずの社員のリスクを放置することになり、当初の提案内容と契約内容に齟齬が生じることも考えられます。

また、保険金給付実態を把握しないと会社側は費用対効果が図れないため、適時フィードバックを受けることが重要です。このような事態を防ぐためには定期的なGLTD制度の補償内容の確認と保険金給付状況のフィードバックを受けることが重要となります。

GLTD制度の価値を持続するためには会社や社会の変化に対応することが重要

GLTD制度の見直しを定期的に行う理由として、社内外において「様々な変化」があるためです。自社内だけで見ても、働き方の多様化における法改正や自社制度の変更などの組織・体制変更が起こります。

またM&Aや事業譲渡などによって、それに合わせてGLTD制度の補償内容を見直すことや、譲渡先で導入しているGLTD制度に合わせることも起こりえます。

【会社の変化】によってGLTD制度の見直しを行わないことのリスク

自動更新の落とし穴として、必要な社員に対して、保険金を渡せないなどの事態に陥ることもあります。例えば、正規・非正規雇用の福利厚生整備や定年延長など、契約書類記載の対象者の相違によって補償が受けられないリスクは十分に考えられます。

「社員の働けないリスクを低減し、安心して働いてもらいたい」や、「安心して働いてもらえる労働環境で新しい人材に十分に力を発揮してほしい」という想いで開始した制度も、見直しをしないとその時代に合ったものではなくなっている可能性が高まります。

そうならないためにも運用状況の確認と定期的な見直しを行うことが重要です。

導入時や導入直後は積極的にルール作りや周知活動を行うものの、ジョブローテーションなどに伴って担当者が異動し、GLTD制度の意義や効果への理解が不十分な人が新たに担当となり、見直しをせずに自動更新をするということもありえます。

そのため、属人化せずに毎年の見直しを行えるような仕組み作りも重要です。また、導入時の考えなどを言語化しておくこともよいでしょう。

【社会の変化】におけるGLTD制度の進化

社会変化やGLTD制度の変化に対応する意味でも、定期的な見直しが重要となります。各年代の主な変化についてまとめましたので、以下で紹介します。これを見ていただくと時代に合わせGLTD制度自体も変化や進化を重ねていることがわかります。また、GLTD制度の活用の変化についても解説しています。

【1980年代〜1990年代】
1980年代から90年代のバブル期までは、従業員数が多く資金力のある大手企業を中心に福利厚生制度を充実させることに積極的で、特にこの年代は社宅や寮などの不動産(いわゆるハコモノ)への投資が多く行われました。

しかしバブルが崩壊すると、企業は様々な領域におけるコスト削減を行い、福利厚生制度の数々も対象となり、全体的に縮小しました。GLTD制度はバブル崩壊後の1994年に大蔵省の許可を受けて販売が開始しています。

すでにアメリカでは、従業員が500名以上いる企業の約95%が導入されているスタンダードな制度だったこともあり、販売初期は外資系企業による導入が進み、次いで、労働組合や共済会など労働者中心の組織、一般企業へと普及が進んでいきました。

【2000年代】
急速なIT化・グローバル化に伴い職場環境も大きく変化しました。こうした変化なども相まって、メンタルヘルス不調者も増加しました。厚生労働省の発表している「精神障害に係る労災請求の件数」が、2000年から現在に至るまで増加傾向にあることからも伺えます。

【2010年代】
社員自身の私傷病やメンタルヘルス不調に対する不安だけではなく、介護などを理由に長期間休業したり、離職を余儀なくされたりするケースも少しずつ発生し、働き方に関する企業人事の課題の一つとなりました。

これに対して、GLTD制度では介護(一時金)とがんに対する収入補償を強化するなど補償範囲の拡大を各社が始めました。このような社会情勢の変化を受け、今日的には健康経営や働き方改革など、企業の制度に対する経営や人事の考え方も変わりGLTD制度を導入する企業が増えました。

GLTD制度の導入企業の割合は、2010年時点で4.5%程度でしたが、2018年時点では、従業員数が1,000名を超える企業の約18%が導入しているという調査結果も出ています。

【2020年現在】
「働き方改革の推進」、「健康経営強化」、「ダイバーシティへの対応」、「介護・育児・病気など仕事との両立支援」、「同一労働同一賃金への対応」など現在も社会情勢は大きく変化しており、企業もそれらへの対応が迫られています。

このような様々な課題への解決サポートツールとしてGLTD制度を導入する団体は増えており、導入主体としては企業だけではなく、労働組合や共済会、健康保険組合など様々な契約者のもと、導入が進んでいます。

また、近年では介護を理由とした長期間休業や離職を余儀なくされたりするケースも発生し人事課題の一つとして挙げられます。

これに対して、GLTD制度は介護による収入減の補償を充実させるなど、両立支援としての機能・役割が期待されます。補償範囲が拡大されたことで、介護休業対策の下支えとして活用する会社が増えてきました。

【今後】
2020年現在では新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るっています。わが国初となる緊急事態宣言も発令され、働きたくても働けない人も増加しています。

今後は、このような感染症のリスク対策だけでなく、更なる不測の事態によって今までと違った働き方や価値観が醸成されるという見解も多く、GLTD制度が様々な変化に対して役割を持つことは十分に考えられます。

必要な補償内容であるかどうかの確認や、保険金給付状況の振り返りをせずに自動更新を続けた場合、「社員の就業不能リスクを低減する」という想いや意義を満たさない制度になってしまいます。

例えば、見直しや周知を怠ったために、介護による長期休業リスクを抱える社員に正しい情報を届けられておらず、任意加入していなかったために十分な補償を行えないなど、起こりうるリスクとして挙げることができます。

GLTD制度を毎年見直す事によるメリットは「意義ある制度であり続けられること」

自社や社会の変化についてはしっかりと情報を収集し、必要であればGLTD制度の契約内容や、社内規定を変更することが重要となってきます。

GLTD制度の導入後は任意加入率を向上させることが重要となりますが、本記事で述べたような補償範囲の拡大や特約の追加などを改めて周知することで、それらに対してリスクを抱えている社員からの任意加入が増える可能性もあります。

毎年、契約内容の確認や見直しを実施し、GLTD制度について社員へ周知を行うことで、想定外に補償対象から外れてしまっている社員がいないかの確認と、任意加入者を増やす取り組みに繋げ、より多くの社員の「働けなくなるリスク」を低減させていくことが重要となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。GLTD制度の導入後の定期的な振り返りや見直しを行わずに自動更新をするのではなく、社内や社会の変化、GLTD制度自体の進化などの状況を鑑み、補償対象外になってしまっている社員がいないか、また、新たに補償対象とできる社員がいないかなどを見直していくことが重要となります。

一方で、GLTD制度の見直しに際し、現行制度の問題点の抽出、課題解決のための施策選定、コスト比較、同様に実施した企業においては運用面の整理など、検討すべき事項は多岐に渡ります。

情報収集の一環としてGLTD制度専門代理店へ相談をしてみてはいかがでしょうか。

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント
LTD・リスクファイナンス部門 コンサルタント

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