ペンを持って冊子に書きこもうとする人

一般事業主行動計画とは?女性活躍推進法に基づく行動計画の作り方・届け出方法を解説

Facebookでシェア ツイート
「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

一般事業主行動計画とは、企業が女性従業員の活躍を後押しするために策定する計画のことです。女性活躍推進法に基づき、対象となる企業は行動計画の策定、公表と労働局への届け出が義務付けられており、適切に取り組みを進めていく必要があります。本記事では、一般事業主行動計画の概要と作り方、届け出の方法などを詳しく解説します。

一般事業主行動計画は、作成すること自体が目的ではなく、計画を実践させてこそ意味を持ちます。「ADVANTAGE HARMONY(アドバンテッジ ハーモニー)」は、育児・介護などを担う休業者の情報を一元管理し、復職までのプロセスを可視化。多様な人材が安心してキャリアを継続できる環境づくりを、実務面から支援します。

女性活躍推進法における一般事業主行動計画とは

パソコンを開きながら空間に浮かぶ資料をタップするイメージの手元

はじめに、女性活躍推進法における一般事業主行動計画について、概要と役割を整理します。

一般事業主行動計画とは

一般事業主行動計画とは、女性活躍推進法に基づき、自社の女性活躍に関する現状把握・課題分析を行い、その改善に向けた目標と具体的な取り組みをまとめたものです。現在は常時雇用する従業員が101人以上の企業に策定・届出・公表が義務付けられています(100人以下の企業は現時点で努力義務)。

行動計画には、以下の4要素を盛り込む必要があります。

  • 計画期間(一般的に2〜5年間)
  • 数値目標(1つ以上、具体的な数字で設定)
  • 取り組み内容(目標達成のための具体的な施策)
  • 実施時期(いつから取り組むか)

女性活躍推進法における一般事業主行動計画の役割

女性活躍推進法は、「女性に対する採用・昇進機会の積極的な提供と活用」、「仕事と家庭の両立を円滑に継続できる環境整備」、そして「両立について本人の意思が尊重されること」という3つの原則を掲げ、組織における女性活躍を求めています。その中で一般事業主行動計画は、自社の実情に合わせた取り組みを実行するための「PDCAサイクルの設計図」の役割を果たします。

重要なのは、これが単に女性だけのための施策を考えるものではないということです。計画の策定と実践を通じて、長時間労働の是正や柔軟な働き方を推進することは、組織全体の働き方を最適化し、優秀な人材の確保や生産性向上という経営課題を解決する役割を担っています。

女性活躍推進法によって一般事業主行動計画に義務付けられた内容

タブレットを持ちながら空中に浮かぶチェック項目を触るイメージの手元

常時雇用する従業員数101人以上の企業が一般事業主行動計画を策定・実施する際、法的に義務付けられているステップは以下の5点です。

自社における女性の活躍に関する課題分析

行動計画策定の前提として、まず自社の現状を客観的に把握します。「採用における女性比率」「勤続年数の男女差」「残業時間など労働時間の状況」「管理職に占める女性の割合」の少なくとも4つの項目を把握することに加え、各企業の実情に応じて把握する「選択項目」も定められています。

2026年4月以降、従業員数101人以上の企業では、男女間賃金差異の把握も必須です。正社員だけでなく、非正社員を含めて状況をみることで、制度や慣行のどこに課題があるのかを整理しやすくなります。

【関連コンテンツ】
【2026年4月施行】女性活躍推進法の改正内容とは?7つの法改正の内容と企業に求められる対応

行動計画の策定

課題分析の結果を踏まえ、女性活躍推進に向けた行動計画を策定します。対象期間を定めた上で、達成を目指す数値目標や、取り組みの内容、実施の時期を盛り込みます。計画や目標は自社の実情に即したものとし、実施や評価とつながるように設計しましょう。数値目標の設定自体は共通ですが、公表すべき項目数は企業規模により異なります。具体的な作り方や目標設定の考え方については、次章で詳しく解説します。

行動計画の社内周知・情報公開

策定した行動計画は、社内外に周知・公表することが義務付けられています。正社員に限らず、パートや契約社員など非正社員への周知も必要です。計画内容を従業員が「自分ごと」として理解してもらうことで、取り組み推進の協力を得る期待ができます。

社外に対しては、自社サイトや厚生労働省のデータベースなどを通じて公表しましょう。初回は、施行後に最初に終了する事業年度の実績を、翌事業年度の開始後おおむね3ヵ月以内に公表します。その後年1回以上更新・公表が義務づけられています。2026年4月に施行される改正法を踏まえた公表内容は以下の通りです。

<2026年4月以降の公表義務>
■従業員数301人以上の企業
「男女間賃金差異」および「女性管理職比率」の2項目
「職業生活に関する機会の提供に関する実績」7項目のうち1項目以上
「職業生活と家庭生活の両立に資する雇用環境の整備に関する実績」7項目のうち1項目以上
計4項目以上の公表

■従業員数101~300人の企業
「男女間賃金差異」および「女性管理職比率」の2項目
「機会提供に関する実績」7項目+「両立支援に関する実績7項目」の中から1項目以上
計3項目以上の公表が必要
※従業員数100人以下の企業は引き続き努力義務

労働局への届出

一般事業主行動計画を策定した企業は、所管の都道府県労働局へ計画を届け出ます。所定の様式を用いて届け出るケースが多いです。持参・郵送・電子による申請に対応しています。

行動計画に基づく取り組みの実施と継続的な見直し

企業は、計画に沿って取り組みを実施し、目標を達成できるよう努めなければなりません。進捗や効果を定期的にモニタリングし、内容を見直していくことで、より有意義な取り組みへの継続的な改善が求められています。

一般事業主行動計画の作り方と運用の流れ

スケジュールに付箋を貼り、書き込む手元

ここからは、一般事業主行動計画の作り方と流れを具体的に解説します。
厚生労働省が提供しているマニュアルやツールを活用すると、作成がスムーズです。

一般事業主行動計画策定支援マニュアル
一般事業主行動計画策定支援ツール

①現状把握

まずは、4つの基礎項目(必須)と選択項目について現状を把握、分析します。

【現状把握のステップ】
①基礎項目の算出
採用した従業員のうち女性労働者の割合:

直近の事業年度の⼥性の採用者数 ÷ 直近の事業年度の採用者数×100(%)
※中途採用を含み、雇用管理区分(正社員・非正社員等)ごとに把握

男女の平均継続勤続年数の差異:
男性の平均継続勤続年数および女性の平均継続勤続年数
また、女性の平均継続勤続年数÷男性の平均継続勤続年数×100(%)
※雇用管理区分ごとに把握

労働時間の状況(各月の平均残業時間など):
各月の対象従業員の総残業時間(法定時間外労働+法定休日労働)÷対象従業員数

管理職のうち女性従業員の割合:
⼥性の管理職数 ÷ 管理職数 × 100(%)

2026年4月改正の重要ポイント
常時雇用101人以上の企業は、上記に加え「男女の賃金の差異」についても、必須の把握・分析および公表項目として位置づけられます。

②女性の活躍状況タイプの確認・分析
目安の値と比較して、自社の状況を分析します。厚生労働省が公表している「一般事業主行動計画策定支援マニュアル」を活用し、「採用に課題があるのか」「登用に壁があるのか」といった活躍状況のタイプ分けを行うことが効果的です。

③選択項目の確認・分析
基礎項目以外に、各社の実情に応じて把握することが望ましいと考えられている「選択項目」があります。基礎項目で浮き彫りになった課題の「原因」を探るため、必要に応じて分析します。それぞれは基礎項目と深く関連しており、「採用」「育成」「定着」「登用」「職場風土改革」「多様なキャリアコース」などの状況について、自社の女性活躍に関わる課題を分析していきましょう。

<選択項目の例>

  • 役員に占める女性の割合
  • 10年目前後の継続雇用割合の男女差
  • フレックス・在宅勤務等柔軟な働き方の利用実績(男女別)

参考:一般事業主行動計画策定支援マニュアル

②課題分析・目標設定・取り組み内容の策定・決定

現状把握で得られた数値をもとに、自社の課題を整理し、対応の優先順位を決めていきます。すべての項目を一度に改善しようとするのではなく、採用、定着、登用、長時間労働など、特に影響が大きいテーマに絞って分析することが望ましいです。

【ステップ】
①優先課題の特定

先述で説明した基礎4項目・選択項目の中から優先的に対応すべき項目を選択し、課題を分析します。「課題あり」の基準は、厚生労働省の「一般事業主行動計画策定支援マニュアル」に示される全国平均や水準を参考に、自社の立ち位置を把握し決めると良いでしょう。

②数値目標の設定・計画期間・実施時期の決定
①で選択した基礎項目・選択項目に対する目標を具体的な「数値」で設定します。
例:「女性管理職比率を〇%にする」「研修の受講率を〇%にする」など
行動計画の実施期間は、10年間を2~5年ごとに区切ることが一般的です。開始時期も明確にしておくと良いでしょう。期間内に数値目標が達成できるよう、状況を考慮して設定します。

ワンポイント
【課題分析・目標設定の具体例】
例えば、女性管理職比率が全国平均を下回っている場合、「3年以内に女性管理職比率を8%から12%へ引き上げる」といった数値目標を設定します。その上で、管理職候補者向け研修への女性参加率向上や、長時間労働の是正など、登用を阻害している要因に直結する取り組みを計画に盛り込みます。

③取り組み内容の決定
②で設定した目標の実現に向け、具体的な取り組み内容を決定します。非正社員についても同様に、課題分析と目標設定、取り組み内容を決定しましょう。
※非正社員については、雇用形態に起因する課題把握の視点を持つ必要があります。

【関連コンテンツ】
女性活躍推進法に基づく企業が取り組むべき両立支援のご紹介

③社内周知・公表と労働局への届出

計画策定後は、法令義務への対応として、速やかに全従業員への周知と、自社サイトや厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」等での一般公表を行います。その後、管轄の都道府県労働局へ「一般事業主行動計画策定・変更届」を提出して、一連の対応は完了です。

【従業員への周知方法】

  • 事業所の見やすい場所へ掲示する
  • 印刷し、配布する
  • メールで送信する など

これらは「計画期間の開始日」までに行う必要があるため、余裕を持ったスケジュール管理が重要です。

参考:一般事業主行動計画の策定・届出、公表・周知が義務となります!!

④施策の実施・経年効果の測定

行動計画の策定と届け出を終えたら、計画に基づいて取り組みを進め、PDCAサイクルを回すことが重要です。計画期間が複数年にわたる場合は、毎年または中間時点で進捗を確認し、数値目標に対する達成状況を把握します。想定どおりに改善が進んでいない場合は、要因を分析し施策内容や運用方法を見直すことも必要です。期間終了時には成果を総括し、次期計画の課題分析へつなげましょう。行動計画は固定的なものではなく、実施・評価・改善を繰り返し、実態に合った内容へとブラッシュアップしていきます。

⑤自社の女性の活躍の現状に関する情報を一般に公表

行動計画の策定・届出とは別に、自社の女性活躍に関する「実績値」を外部に公表する義務があります。公表項目は、厚生労働省令で定められた項目の中から、自社の経営戦略に基づいて適切な項目を選択しましょう。必ずしもすべて公表する必要はありませんが、情報公表の範囲自体は、企業の姿勢として社会に伝わります。公表した情報は、おおむね年1回以上更新する必要があります。

※従業員数による公表内容の違いがあります。先述の【女性活躍推進法によって一般事業主行動計画に義務付けられた内容】内を参照ください。

⑥「男女の賃金の差異」の要因分析・情報公表

2026年4月からは、常時雇用する従業員が101人以上の企業では、「男女の賃金の差異」の算出と公表が義務化されます。この指標は、単に男女の賃金水準を比較し、差異の大小を評価するものではなく、性別を要因として生じている格差がないか、なぜ差が生じているかを確認、分析することが重要です。要因分析についても情報を公表することで、より意義のある取り組みにつながります。

【ステップ】
データの整理と4分類:

全従業員を以下の4つのグループに分類します。
―男性(正社員/非正社員)
―女性(正社員/非正社員)

各分類の「総賃金」と「人員数」を算出:
4分類それぞれの「事業年度の総賃金(基本給・賞与・手当含)」と「人員数」を算出します。

平均年間賃金と割合の計算:
各分類の平均賃金を算出した後、以下の式で「差異」を%で出します。
(女性の平均年間賃金)÷(男性の平均年間賃金)× 100(%)
※「全従業員」「正社員」「非正社員」の3区分すべてで算出が必要です。

要因分析と情報公表:
算出した数値とともに、差異が生じている背景(役職構成や勤続年数の差など)を分析し、公表します。

女性活躍推進を目的とした一般事業主行動計画を作成する際の注意点

水色の棒グラフと注意を示すマーク

一般事業主行動計画を策定する際の注意点をチェックしておきましょう。

男女雇用機会均等法違反に注意

計画策定時は、男女雇用機会均等法に抵触しないよう注意が必要です。同法は採用や昇進等での性差別を禁じており、原則「女性の優先」は認められません。ただし、女性比率が4割未満の区分で格差是正を図る場合に限り、例外的に優遇措置が認められています。単に「女性の数を増やす」のではなく、活躍を阻む「制度上の不利や障壁を取り除く」視点で施策を検討することが、法的遵守と実効性を両立させるポイントです。

組織全体の理解と協力を得て取り組む

女性活躍推進を実効性のあるものにするためには、組織全体の理解と協力が欠かせません。経営層が女性活躍推進を経営課題として位置づけ、その意義を社内に発信することが重要です。専任担当者の配置、非正社員や労働組合を含めた意見収集の仕組み整備などを通して、推進体制を整えましょう。数値目標をなるべく具体的かつ現実的な設定とするのも1つのポイントです。期限や対象を明確にして目標を掲げ、取り組みへの意識を高めていきます。

一般事業主行動計画における女性活躍推進法と次世代育成法の違い

左右に矢印が向いた紙と虫眼鏡

一般事業主行動計画には、女性活躍推進法と次世代育成支援対策推進法に基づくものがあります。両者は似ている部分も多いため、違いを正しく理解しておきましょう。

女性活躍推進法と次世代育成法で求められる行動計画の違い

両法はいずれも職場環境の改善を目的としているが、焦点が異なります。女性活躍推進法では、女性の採用・登用・就業継続など、仕事における女性の活躍状況に特化し、課題に基づいた改善の取り組みにフォーカスしている点が特徴です。

一方、次世代育成法では、仕事と子育ての両立支援を中心に、多様な働き方を支える雇用環境づくりを重視していることが特徴です。いずれも常時雇用101人以上の企業には計画策定・公表が義務付けられており、両面から整備を進めることが求められます。

行動計画は一体的な策定も可能

女性活躍推進法と次世代法に基づく行動計画は、共通項が多いため一体的に策定・届出が可能です。特に、両立支援や働き方改革は共通テーマであり、一体的に整理することで実務的な負担の軽減も見込めます。形式上まとめるだけではなく、それぞれの法律で求められる必須項目をもれなく盛り込み、両法の趣旨を踏まえて整理、策定することが大切です。

えるぼし認定とプラチナえるぼし認定

認定マークを支える手元

女性活躍推進の取り組みが優良な企業は、厚生労働大臣から「えるぼし認定」を受けられます。認定を受けるには、行動計画の策定・届出に加え、採用・登用・継続就業など5つの評価項目で一定基準を満たしていなければなりません。評価数に応じて1〜3段階で認定され、さらに高い水準で実績を上げている企業には「プラチナえるぼし認定」が与えられます。行動計画が「設計図」なら、認定はその実践度を証明する「証」です。取得により、採用ブランディングの強化や企業イメージの大幅な向上が期待できます。

参考:えるぼし認定、プラチナえるぼし認定

【関連コンテンツ】
えるぼし認定とはどんな制度?くるみん認定との違い、認定基準、メリット、申請方法を解説
プラチナえるぼし認定とは?えるぼし認定との違いや認定基準

一般事業主行動計画は「策定」と「実践」がカギ

空に向かって矢印を向ける手元

一般事業主行動計画は、女性活躍推進法や次世代育成支援対策推進法への対応として「作らなければならない書類」と捉えがちです。しかし本来は、人材活用についての自社の課題を整理し、従業員一人ひとりが自分らしく働ける環境を整えていくためのロードマップです。行動計画を「一度作って終わり」にせず、自社の実情に合わせて改善し、実効性ある取り組みを続けていきましょう。

(Visited 17 times, 1 visits today)

【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
アドバンテッジJOURNALは、働くすべての人へ「ウェルビーイングな働き方と組織づくり」のヒントを発信するメディアです。導入企業数3,200社/利用者数600万人を超えるサービス提供実績と、健康経営銘柄に4年連続で選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

この著者の記事一覧

Facebookでシェア ツイート

関連記事RELATED POSTSすべて見る>>