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「健康経営銘柄」と「健康経営優良法人」に選定されるメリットと対策ポイント

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近年、人口減少や高齢化による人材不足、医療費の増加など、社会問題が深刻化しています。それに伴い多くの企業が関心を寄せるのが、経営的な視点から従業員の健康を増進し生産性を高める「健康経営」です。

「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」といった、優良な健康経営を実践する企業・法人を顕彰する制度も設けられました。

本記事では、年々注目度が高まる「健康経営銘柄」「健康経営優良法人」の概要や、健康経営に取り組むメリット、課題への対策について、詳しく解説します。

健康経営に優れた企業を顕彰する「健康経営銘柄」と「健康経営優良法人」

従業員の健康保持・増進を、重要な経営課題の一つとして位置づける健康経営。慢性的な人材不足や医療費増加への施策として、そしてその先にある個人のモチベーション維持や組織全体の生産性向上を目的として、積極的に取り組む企業が増えています。

「健康経営銘柄」「健康経営優良法人」は、優れた健康経営をおこなう企業を認定・顕彰する制度です。企業の長期的な価値や魅力を、投資家などにわかりやすく明示していることがポイントといえるでしょう。

では、「健康経営銘柄」と「健康経営優良法人」にはどのような違いがあるでしょう。それぞれの特徴は以下の通りです。

●健康経営銘柄

日本再興戦略の一環として、「国民の健康寿命の延伸」に位置付けられた取り組みの一つです。東京証券取引所の上場企業であり、健康経営度調査に回答した企業のうち、業種ごとに上位20%以内から選定されます。

健康経営が経営理念にしっかり位置づけられ、組織体制を構築していること、またそれが実行されていることが認定の条件です。また、健康経営への取り組みを自社で評価しているか、改善を進めているか、法令は遵守しているか、なども評価の対象です。

●健康経営優良法人

大企業から中小企業までを対象に、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が推進する健康増進への取り組みを基準として、優良な健康経営を実施する法人を顕彰する制度です。

健康経営優良法人は、「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2部門で構成されます。そして大規模法人部門の中でも上位500法人は「ホワイト500」、さらに健康経営優良法人2021からは中小規模法人部門の上位500法人を認定する「ブライト500」が創設されました。

「健康経営銘柄」の認定は2015年に始まり、上場企業から原則1業種1社を、経済産業省と東京証券取引所が共同で顕彰していました。その後、中小企業や未上場企業も対象にすべきという意見を受け、「健康経営優良法人」を2017年に創設。健康経営に優れた企業を日本健康会議が認定しています。

「健康経営銘柄」企業には、健康経営を普及するアンバサダー(広告塔)としての役割が求められています。健康経営が生産性向上やブランディングにどれほど効果があるのかなどを、社会に発信する重要な役割ともいえるでしょう。

一方、「健康経営優良法人」の大企業には、取引先法人や地域の関連企業、従業員の家族、顧客に対しても健康経営を広めるトップランナーであることが求められます。「健康経営優良法人」の中小企業は、地域の健康経営拡大のために、自社の事例を発信することが必要です。

「健康経営銘柄」と「健康経営優良法人」に選定されるメリット

「健康経営銘柄」認定の大きなメリットの一つは、株式評価アップが見込まれることです。選定された企業は魅力的な投資先だと判断されるため、株価向上の可能性も期待できます。

また、「健康経営銘柄」「健康経営優良法人」ともに、選定されれば企業のイメージアップやブランディングにも期待できます。経済産業省認定のロゴマークを広報活動に活用することも可能です(一部、制限あり)。

そして、従業員を大切にする企業だと認識されることから、離職率低下や採用力の強化にもつながります。組織が一体となって健康意識を高めることで、生産性の向上といったメリットも生まれるでしょう。
(参考:経済産業省「健康経営銘柄」
(参考:経済産業省「健康経営優良法人認定制度」

2021年に発表された認定法人

2021年3月4日に発表された第7回「健康経営銘柄2021」では、経済産業省と東京証券取引所が共同で、29業種48社を選定しました。

同日発表の第5回「健康経営優良法人2021」では、「大規模法人部門」に1801法人(うち上位500法人はホワイト500)、「中小規模法人部門」に7934法人(うち上位500法人はブライト500)が日本健康会議より認定されています。

「健康経営銘柄2021」「健康経営優良法人2021」では、新型コロナウイルス感染症の影響により実施できなかった取り組みは、実施を予定・計画していたことが確認できる状態をもって、項目が適合されることになりました。

今後は、コロナ禍のような事態になっても実施可能な健康支援施策が、実績把握の観点から重要です。そのため、ログが取りやすく効果検証のしやすいオンラインの活用もポイントになってくるといえます。
(参考:経済産業省「健康経営銘柄2021」に48社を選定しました!
(参考:経済産業省:「健康経営優良法人2021」認定法人が決定しました!

健康経営優良法人2022に向けた対策

「健康経営優良法人2022」では、「健康経営優良法人2021」のアンケート項目で集計された、「在宅勤務対応等の具体的施策」が、加点評価項目として追加される可能性があります。

施策例としては、出社が必要な従業員に対する感染リスク軽減対策や、会社負担による在宅時の業務環境整備、在宅動務者への健康配慮やオンラインでのコミュニケーション促進などが考えられます。

早めに準備をし、有効な施策に取り組むことが重要です。組織全体で「健康経営」の進め方や役割分担、効果検証をおこない、一元化した管理体制を構築することが、成功のポイントになります。健康経営度調査「フィードバックシート」を確認して、再度自社の健康経営における課題を把握し、次年度に備えましょう。

健康経営の取り組みが広がるなか、認定条件も年々変更となっており、常に進化が求められます。体制構築や、施策の効果検証、健康経営度調査票の書き方に関して課題感を持つ企業の担当者も多いのではないでしょうか。

こうした課題に対し、健康経営にまつわる支援サービスも展開されています。
第三者の専門的な観点からサポートを受けることを検討してみても良いでしょう。

まとめ

「健康経営」を推進し、従業員の健康保持・増進に取り組むことは、将来的に収益性を高める投資であるといわれています。

「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」に選定されるためには、自社が抱える健康課題を早めに把握、解決策を準備し、現場の意識を促して、組織全体で取り組む体制を構築することが大きなポイントになりそうです。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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