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リモートワークにおけるメンバーケアの3つのポイント

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本コラムは、2020年4月30日に公開した動画内容を一部編集しています。

新型コロナウイルスの影響が長引き、不安な日々が続いています。感染予防のために、ここ数カ月で働き方が大きく変わった方も多いのではないでしょうか?

引き続き在宅勤務(リモートワーク)をされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。リモートワークは、昨今の働き方改革に伴い、導入されつつある新しい働き方です。

コロナウイルス禍、図らずも一気に導入が進んだ企業も多いでしょう。会社での仕事とは違い、対面コミュニケーションが一気になくなることで部下の様子が見えにくくなっていると不安を感じている管理職の方も多いのではないでしょうか。

今回は、リモートワーク環境で管理職が意識したい部下のケアのポイントをお伝えします。

管理職がリモートワーク下で意識すべきこととは

リモートワークは便利な反面、リスクも考えられます。そのリスクとは主に、職場全体に関する「生産性・信頼関係の低下」、もう一つは働く人ひとりひとりの「心と身体の健康悪化」です。

まず、職場全体の生産性や信頼関係の低下について説明します。これは、リモートによって個々人の仕事ぶりが直接目には見えないことが影響しています。例えば、「長時間労働」や「業務管理の難しさ」のリスクが挙げられます。

上司の目が届かない中、仕事と私生活の区切りをつけられず、過剰な仕事をしてしまう、もしくは逆に、普段よりも手を抜いてしまい、他のメンバーの業務に影響がでてしまう、といったことです。

これらの課題は、これまでリモートワークをしておらず、コロナウイルス感染拡大を機に急にリモートワークに切り替えた企業など、慌ただしい中で始まった企業に良く見られます。

相手が見えづらい環境になることで様々な憶測が飛び交い、上司の知らない間に職場の雰囲気が悪くなっている、またこれまで職場にいれば自然と入ってきていた情報にアクセスしづらくなっている、など、部下が困っていることはないでしょうか。

また、コミュニケーションの心理的なハードルが上がり、量や質が低下することも考えられます。

同じ場所にいれば、何気ない雑談やちょっとした質問で済むことが、リモートワークでは電話やチャットなど、何かのツールを介して行わなければなりません。これらのコミュニケーション手法に慣れていない人にとってはハードルが高くなる可能性があります。

対面のコミュニケーションを重んじたり、紙のやり取りを重視したりする風土がある場合は、要注意です。気軽なコミュニケーションがとれないことで、質問や困りごとを解決するまでに、対面よりも多くの時間を要してしまうかもしれません。

次に、部下の「心と身体の健康悪化」についてです。これは部下に限らず管理職自身も実感していることかもしれませんが、リモートワークにより、出勤時間がなくなったことで、生活リズムが乱れたり、運動不足に繋がったりする可能性があります。

幼いお子さんなどがいらっしゃるご家庭は日中に仕事ができず、その分早朝深夜に仕事をしてしまうかもしれません。育児と仕事の両立が思うようにできないという悩みを聞く方も多いでしょう。

また、目に見えない同僚とのコミュニケーションや、上司からのプレッシャーを過度に感じ、ストレスを強く感じているかもしれません。これらのことは、メンタルヘルス不調につながるリスクを高めます。

このように、生活習慣の乱れ、コミュニケーションの難しさによって部下の心身の健康が乱れやすい状況にあることを、管理職はしっかりと押さえておきましょう。

ここまでリモートワークのリスクをお伝えしました。中には「だからリモートワークはダメなんだ!」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、リモートワークは、上手く活用すれば、たくさんのメリットが生まれるのです。

リモートワークの本質的な目的は、時間や地域などに縛られず、多様な社員が活躍できる職場にしていくことです。では、そんなリモートワーク環境で管理職はどのような点に気を付けるべきでしょうか?併せて、その具体的な対応策もお伝えします。

リスクを防止し、活力ある組織を作るための具体的アクション

リモートワークの大きな課題は、「部下の様子が目に見えないこと」です。そのため、3つのポイントを大事にすると良いでしょう。

1点目は、部下の状況をいつも以上に想像することです。「家族がいるAさんはこんなことで困ってるんじゃないか」「一人暮らしのBくんはこういう悩みがあるんじゃないか」とまずは想像してみましょう。そして実際にそのような困りごとはないか、こまめに声掛けをしましょう。

その時の管理職の姿勢で大事なことは、「部下を十分に信頼すること」です。「ちゃんと仕事に集中できているか?」といった迫るような質問ではなく、「仕事をする上でどんなことに困っている?」と相手に委ねる言葉を使うことで、部下の緊張感をほぐしコミュニケーションを円滑にすることができます。

2点目は、改めて部署の仕事の意義や目的を明確にすることです。オフィスでは、上司の言葉ぶりや雰囲気から色々なことを「察する」ことができますが、リモートワークでは難しいため、これまで以上に明確に言葉にすることが重要です。

3点目は、業務やコミュニケーションの可視化です。誰がいま何をしているのか、職場内でどんなコミュニケーションがなされているかについて、可能な限り、「見える化」することが大事です。

これらの3つのポイントを意識しながら、実際にどんなアクションが効果的か、いくつか事例を紹介します。

部下の状態を知るためのコミュニケーション術

部下の状態を知るには、声を聞く、表情をみることが、メンタルヘルスの観点からも極めて重要です。そこで、今回は特にコミュニケーションをとるうえでの工夫についてお伝えします。

朝の15分程度、オンライン会議システムや、グループ電話機能などを使い、今日のコンディションや業務状況等を話す時間を作ってみましょう。

管理職は、話のネタを用意しておき、メンバー間で自然な会話ができるようにサポートできると、更に良いでしょう。例えば、「在宅業務のときに集中力が切れたらどんなことをしてる?」「通勤時間がなくなった分は何に充てているの?」など。

ただし、過度に私生活のことを聞くと、関係性によってはリモートハラスメントともいわれかねないので、なるべく業務と絡むトピックを意識しましょう。また、こういう時期だからこそ、タイムリーな情報共有を意識したり、管理職から、部署の仕事の意義や目的を、しっかり語り掛けたりするのも効果的です。

部署全体での朝礼が難しい場合は、1on1ミーティングを活用しましょう。これまでに1on1ミーティングをされている方であれば、その頻度を増やすことをお勧めします。

例えば、これまでの月1回30分のミーティングから、隔週で15分のミーティングに変更するなど、細かく部下の状況を確認することが大事です。メンタルヘルス不調の一つの目安として、気になる状態が2週間続いているかどうか、という観点があります。

せめて2週間に1度、声や顔を見てコミュニケーションをとることをおすすめします。また1on1の前には、その部下の特徴や私生活の状況を踏まえて、どのようなことに困っているかを想像し、1on1の中で実際に質問してみることが大切です。

コミュニケーションの活性化を目的とした、日報の活用もおすすめです。既に日報や週報を運用されている部署も多いと思います。その内容は、部署内で誰もが見えるようになっているでしょうか?

意外と上司しか見られない、あるいは誰も見ていないことが多いのではないでしょうか。リモートワークを機に、部署内で日報を共有することで、日々の仕事ぶりや成果がお互いにわかるようになります。

日報専用のチャットグループをつくって、日報を投稿したり、お互いにコメントしたりできるとより良いでしょう。ただ、単調な業務報告では殺伐としてしまいます。

業界の最新情報や、仕事をして感じたこと、困りごとの解決策など、オリジナルな項目を入れるとそれぞれのメンバーの人間性がわかり、リモート環境下でも親近感に繋がるでしょう。

まとめ

リモートワークは新しい働き方として多くのメリットがありますが、気を付けないといけないリスクもあります。例えば今回挙げたのは、職場の生産性や信頼関係の低下、またそれぞれのメンバーの心身の健康状態の悪化です。

リスクをコントロールしつつ、メリットを活かすためには、リモートワーク中は、普段よりも部下の様子を観察すること、また、面談の機会を増やすといった「ちょっとした工夫」が大事です。

今回お伝えしたことは、リモートワークに限らず、オフィスでも日々続けていくことが重要です。リモートワークは、あくまで働き方の手段に過ぎません。日頃からコミュニケーションが豊かで、信頼関係がしっかりあれば、少しの工夫でさまざまな環境も乗り越えられるはずです。

これを機に、人と働くにあたって、本当に必要で大切なことは何かと考えることが、組織の長である管理職がやるべきことかもしれません。先が見えない昨今ですが、リスクをうまくコントロールしながら、活力ある人や組織をつくっていきましょう!

動画はこちら

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント
組織ソリューション部 コンサルタント

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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