マインドフルネスとは?身につけるための方法を解説

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マインドフルネスの向上を、健康経営の施策の中に取り入れることで、心身のさらなる健康増進を目指せるかもしれません。マインドフルネスのスキルを高めると、仕事上の作業や対人関係に良い影響があることが期待されます。

前回の記事「【マインドフルネス】セルフケアからリーダーシップまで」では、マインドフルネスとは何か、また従業員のパフォーマンスにどのような効果をもたらすのかなどについて解説しました。

それでは、どうやったらマインドフルネスの状態を体験できるのでしょうか?一般的な紹介記事では、呼吸に集中する瞑想がよくとりあげられますが、やみくもに瞑想をやってもマインドフルネスのスキルは身につきません。

今回は具体的なマインドフルネスの練習方法について紹介します。まずどんなものか体験してみたい方は、筆者が受けたインタビューが掲載されているweb上の記事(外部webサイト)へ行って、6分ほどの音声ファイルを聞いてみてください。これをやってみることで、以下の記事の内容がより理解しやすくなるでしょう。

最も典型的な医療現場でのマインドフルネスのトレーニング

医学・心理学の分野で科学的に研究されてきた方法として、米国のジョン・カバットジン博士が開発したマインドフルネスストレス低減法(MBSR)があります。MBSRの特徴は以下の通りです。

・期間は8週間
・週に2時間~2.5時間,30名程のクラスで講義と実習
・6週目辺りに1回全日(7~8時間)のマインドフルネスセッション
・ホームワークとして週6日,1日45分の実践

これらを全て合計すると、マインドフルネスの効果を実感するためには、練習に最低でも約60時間を費やすことが必要になってくると考えられます。

職場でできるマインドフルネスのトレーニング

正式なMBSRプログラムは、何らかの病気の状態の方を対象とすることが多く、練習のための時間も長くとられています。一方職場で行われるマインドフルネスのトレーニングプログラムは、健康な人も対象となり、勤務日に行うことも多いため、全体的に簡略化される傾向があります(例:1セッション週1~1.5時間)。

またプログラムの提供形式についても、講師が説明し、実演を指導する教室スタイルだけでなく、テレビ会議による参加での効果も検証されています。

職場でのマインドフルネスの実施研究を数量的にまとめた最近の研究では、全体としてストレス低減効果は認められていますが、セッションの回数や、提供形式によって効果が異なるといった証拠は得られていません。1)

したがって、職場で行うマインドフルネスのトレーニングについては、必ずしも正式なMBSRの実施が必要というわけではなく、職場に合わせて簡略化した形式でも、ストレス低減効果は得られる可能性が高いといえます。

マインドフルネスの練習の種類

トレーニングプログラムの中では、実際どのようなことが行われるのでしょうか。ここでは、MBSRで行われている代表的な練習要素を説明します。

・呼吸に注意を向ける
座ったまま目を閉じ、力を入れずに背筋をまっすぐに伸ばし、呼吸にただ注意を向けて空気が入ったり出たりするプロセスを観察することで、マインドフルネスのポイントを体験します。呼吸をコントロールしようとせず、リズムは自然にまかせて3分間呼吸に注意を向け続けます。

・座って行う瞑想
先に紹介した呼吸に注意を向ける方法を、もっと長時間(大体10分以上)にしたものが、座って行う瞑想です。日々の瞑想の練習の基本形になります。座禅のように座る方法が一般的ですが、椅子に座っても大丈夫です。椅子に座る際はよりかからないようにし、上半身を背骨で支えます。瞑想の時間が長くなるため、体の位置を変えたくなる衝動がわいてきますが、その不快感にも注意を向け、嫌がらずに不快感を受け入れることが必要です。自分の自動的な反応を観察する訓練だからです。考えや感情、衝動などが生じたら、ただ観察するだけにして、息を吸って吐くたびに動くお腹に意識を戻します。

・歩き瞑想
歩きながら、足の感覚や体全体の動き、および自分の呼吸に注意を向ける瞑想です。地面に着いた足に徐々に体重がかかり、それと共にもう一方の足が上がり、前に動き、地面に降りる、といった繰り返される動きに注意を向け続けます。視線は周りの景色を眺めたりせず、前方に固定します。部屋の中をぐるぐる歩き回ったり、細い道を行ったり来たりするとやりやすいです。ただし、歩き方が不自然になりやすいので、人が見ていない所がよいかもしれません。本格的にやらなくても、足の動きに注意を向けるだけであれば、オフィスでもトイレへの行き返り時に実施できます。

・食べる瞑想
何かを食べる際に生じる、一連の自分の感覚に注意を向ける瞑想です。どんな食べ物でも実施可能ですが、よく使われているのはレーズンです。一粒のレーズンを手に取り、口に入れる前から初めて見るようなつもりで、レーズンの色や表面をながめ、指でつまんだり、においをかいだり、少しつぶしてみて音を聞いたり、五感を使ってレーズンを観察します。最後にレーズンを口に入れたら、最初はかまずにレーズンの感覚を味わい、次にゆっくりかみしめ、自分の口やのどの感覚に注意を向けながら飲み込みます。

・ヨガ
MBSRのプログラム中には、ヨガの一種であるハタヨガの方法が組み込まれています。特定の姿勢のことをポーズと呼びますが、そのポーズをとっているときに生じる感覚に注意を集中しながら、ゆっくりと体を伸ばしたり、強化したりするトレーニングです。座って行う瞑想などと同じように、呼吸に注意を向けながら、何か考えや感情が生じたら、体と呼吸の感覚に注意を戻します。

・ボディスキャン
身体の様々な部分に注意を向けながら、注意を向ける先を一定の順序で動かしていく練習です。次節で詳しく紹介します。

布団に入って寝る前でもできる「ボディスキャン」

先述の前回記事では、マインドフルネスのポイントについて「基本は身体感覚へ注意を向けること」と説明しました。それを最も直接的に体験する方法として、ボディスキャンがあります。これは、布団に入って寝るまでの時間でもやってみることができるので、時間がないという方も気軽に取り組める瞑想です。

まずあおむけになって目を閉じます。それから、左足の先に注意を集中し、ゆっくりと足の付け根、足の下から上の方に注意の先を移動させます。

移動に伴って生じてくる感覚を感じながら、呼吸にも意識を向けます。腰のところまで注意を移動させたら、右足の先に注意を移動し、同じように足の上の方に注意を動かしていきます。同じように、腰から首、左右の手の先から肩まで、首、のど、顔、後頭部、頭の先まで注意を移動させます。

頭の先まで達したら、そこから空気が出て、また入ってきて、全身を通り足の先から空気が出て、またそこに空気が入って、全身を通り頭の先に戻る、というようにイメージしながら注意を動かします。この流れは、以下の図をご覧ください。

まとめ

本記事では、マインドフルネスの具体的な身につけ方について、正式なトレーニングの構成と実際に練習する内容について紹介しました。普段の生活では自動的に動きすぎている自分の意識について、異なった使い方を練習しなければならないため、分かりづらいと思われた方も多いかもしれません。

マインドフルネススキルは、筋トレと同じで練習すると発達し、練習を怠ると弱まります。健康経営の施策において身体活動量の向上を目指すとともに、マインドフルネスの向上も取り入れてみてはいかがでしょうか。

引用文献
1) Bartlett L, Martin A, Neil AL, Memish K, Otahal P, Kilpatrick M, Sanderson K. A systematic review and meta-analysis of workplace mindfulness training randomized controlled trials. J Occup Health Psychol. 2019 ;24(1):108-126.

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【筆者プロフィール】

土屋政雄
株式会社アドバンテッジリスクマネジメント 主任研究員
産業保健心理学を専門としてACT Japan:The Japanese Association for Contextual Behavioral Science 理事(2018年4月 - 現在)やマインドフルネスやアクセプタンス&コミットメント・セラピーの専門家として講演等を行う。著作物(監訳) 『マインドフルにいきいき働くためのトレーニングマニュアル 職場のためのACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)』 星和書店

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