女性活躍推進の取り組みを高い水準で、かつ継続して実施している企業を評価する制度が「プラチナえるぼし認定」です。認定企業数は全国でもごくわずかで、取得に向けてはレベルの高い取り組みが多数求められます。今回は、プラチナえるぼし認定の概要や認定基準、えるぼし認定との違いについて整理します。
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目次
プラチナえるぼし認定とは

はじめに、プラチナえるぼし認定制度の概要と導入背景を整理しておきましょう。
プラチナえるぼし認定とは

プラチナえるぼし認定は、えるぼし認定企業のうち、女性活躍推進の取り組みが特に優良で、一定の要件を満たした企業に与えられる上位認定です(2020年6月開始)。最大の特徴は、「一般事業主行動計画」の目標を達成している点で、認定後は次期以降の計画策定・届出が免除される特例を受けられます。2026年4月からは、男女間賃金差異解消に向けた取り組みを評価する「プラス認定」の創設が予定されており、さらなる注目が集まっています。
※プラチナえるぼし認定の正式名称は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第12条に基づく認定」。
参考:厚生労働省 女性活躍推進法特集ページ
女性活躍推進法については、下記の記事で詳しく紹介しています。
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制度導入の背景
えるぼし認定・プラチナえるぼし認定は、「女性活躍推進法」に基づき、女性が能力を発揮できる環境づくりを後押しする制度です。背景には、深刻な人手不足や、育児・介護による離職、管理職比率の低さといった社会課題があります。この課題に対し、2016年に女性活躍推進法が施行されました。
2025年4月からは、情報公表義務が「従業員101人以上」の企業へ拡大されるなど、より広範な取り組みが求められるようになっています。直近では「男女間賃金差異」の公表など実効性の高い取り組みも評価対象となりました。優れた実績を上げ、継続的に取り組む企業を可視化する仕組みとして、上位のプラチナえるぼし認定は重要な役割を担っています。
参考:女性活躍推進法
プラチナえるぼし認定とえるぼし認定の違い

前提として、プラチナえるぼし認定を取得するためには、えるぼし認定(3段階のうちいずれか)を受けている必要があります。それぞれの大きな違いは、認定基準の高さと認定後の特例措置です。えるぼし認定が「基準を満たす項目数に応じた段階が決まる(1~3段階)」のに対し、プラチナえるぼし認定は「すべての基準(項目)を満たす+目標を達成すること」が求められます。
具体的には、えるぼし認定は1つ以上の基準で認定されますが、プラチナえるぼし認定は5つの評価項目すべてを満たし、かつ男女間賃金差異を含む、女性活躍推進法に基づく8項目以上の情報公表が必要です。また、「継続就業」「管理職比率」の基準が高く設定されています。その分メリットも大きく、プラチナえるぼし認定企業は一般事業主行動計画の策定・届出が免除される特例措置があります。「まずは基準をクリアして認定を目指す」のがえるぼし、「高い水準を維持し、より高度な情報開示を目指す」のがプラチナえるぼしといえるでしょう。
プラチナえるぼし認定は全国でもわずか95社

2025年9月末時点で、えるぼし認定を取得している企業は3,858社ありますが、そのうちプラチナえるぼし認定を受けているのはわずか95社です。全体の約2.5%に過ぎず、プラチナえるぼし認定取得の難しさがうかがえます。背景には、高い認定基準を一時的に満たすだけでなく、継続していくための体制整備や改善施策の取り組みコストが小さくないことが挙げられます。プラチナえるぼし認定は、企業の本気度と持続力が問われる制度ともいえるでしょう。
参考:女性活躍推進法に係る認定状況
プラチナえるぼし認定のメリット

続いて、プラチナえるぼし認定を取得する主なメリットをみていきましょう。
企業価値・ブランドイメージの向上
プラチナえるぼし認定は、えるぼし認定に比べると取得企業がきわめて少なく、女性活躍推進のトップランナーといって良いでしょう。認定マークとともに対外的に取り組みを発信することで、取引先や顧客が持つ企業イメージが向上するだけでなく、投資家や社会からも高い評価を得られます。
採用力の強化
プラチナえるぼし認定マークを求人票や採用サイトに掲載することで、働きやすい職場づくりやキャリア継続支援の取り組みの本気度を、客観的な指標で求職者にわかりやすく示せます。えるぼし認定でもアピールにつながりますが、長期的なキャリア継続を希望する女性や、多様な働き方を希望する求職者に対し、さらに高い説得力をもって訴求できるでしょう。
離職率の低下・人材定着
プラチナえるぼし認定の取得には、高い水準の両立支援を継続し、キャリアを中断せず活躍できる環境づくりが求められます。特にえるぼし認定と比べて「継続就業」や「管理職比率」の基準は引き上げられており、女性の定着と成長がより重視されます。
例:継続就業は70%→80%、管理職比率は産業平均以上→産業平均の1.5倍以上
こうした取り組みは離職リスクを抑え、組織全体の安心感とノウハウの蓄積に寄与します。性別を問わず誰もが輝けるDEIの推進とも重なり、企業の持続的な成長を支える強固な土台となるのです。
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【関連コンテンツ】
DEIとは?DEIのメリットや問題点を解説
公共調達での優遇措置
国や独立行政法人等による公共調達では、えるぼし/プラチナえるぼし認定が加点評価の対象となります。特にプラチナえるぼし認定は加点幅が大きく、受注結果に影響する可能性も高いでしょう。公共案件への参入を視野に入れる企業にとっては、競争力を高める要素の1つです。
参考:認定のメリット
融資・税制・補助金制度での優遇措置
プラチナえるぼし/えるぼし認定企業は、日本政策金融公庫の低利融資制度を活用できるほか、賃上げ促進税制における税額控除率の上乗せ対象となります。また、各種補助金制度で加点評価を受けられる場合もあり、資金調達で有利に働くことが期待できます。
参考:日本政策金融公庫
参考:中小企業庁「中小企業向け賃上げ促進税制ご利用ガイドブック」
プラチナえるぼし認定の認定基準

プラチナえるぼし認定の基準は、えるぼし認定と共通するものもありますが、独自の基準や項目も設けられています。
参考:厚生労働省「女性活躍推進法に基づくえるぼし認定プラチナえるぼし認定のご案内」
主な認定基準
プラチナえるぼし認定を受けるには、通常のえるぼし基準に加え、以下の要件をすべて満たす必要があります。
行動計画の目標達成:
策定した「一般事業主行動計画」の期間が申請直近で終了しており、掲げた目標を実際に達成していることが必須です。
5つの評価項目すべてのクリア:
後述する5つの女性の職業生活における活躍の状況に関する実績に係る基準(評価項目)をすべて満たしていなければなりません。(1つでも欠けるとプラチナは不可)
求職者に対するセクシュアルハラスメント防止に係る措置の内容公表:
2025年の法改正に合わせ、認定基準に「求職者等へのセクシュアルハラスメント防止対策の開示」が加わりました。既にプラチナ認定を取得している企業も、継続のためには同様の対応が求められます(※段階的に施行・猶予期間あり)。
推進者の選任:
「男女雇用機会均等推進者」および「職業家庭両立推進者」の両名を選任し、推進体制を整えている必要があります。
情報の継続公表:
認定後も「女性の活躍推進企業データベース」において、以下の内容を毎年公表しなければなりません。
①5つの評価項目すべての最新実績
②男女間賃金差異(必須)を含む、8項目以上の詳細データ
参考:厚生労働省「ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内」
女性の職業生活における活躍の状況に関する実績に係る基準(評価項目)①採用
採用に関する基準は、えるぼし認定と同様です。
■採用時の競争倍率が男女で同程度
「女性の採用倍率×0.8」が「男性の採用倍率」(いずれも直近3事業年度の平均)よりも、雇用管理区分ごとに低い
■女性労働者の割合
①②どちらにも該当している
①正社員のうち、女性の割合が産業ごとの平均値以上
②正社員の基幹的な雇用管理区分において、女性の割合が産業ごとの平均値以上
女性の職業生活における活躍の状況に関する実績に係る基準(評価項目)➁継続就業
継続就業に関する基準は、えるぼし認定よりも高く設定されています。
直近の事業年度において、①②どちらかを満たしている。
①継続勤務年数の男女比
「女性の平均継続勤務年数」÷「男性の平均継続勤務年数」が、雇用管理区分ごとに8割以上
※いずれも期間の定めのない従業員が対象
②継続雇用割合の男女比
「女性労働者の継続雇用割合」÷「男性労働者の継続雇用割合」が雇用管理区分ごとに9割以上
※9~11事業年度前に採用された従業員(新規学卒者等のみ)のうち、継続して雇用されている従業員の割合
③上記①②の算出が困難な場合
直近の事業年度において、正社員の女性の平均継続勤務年数が産業ごとの平均値以上
参考:女性活躍推進法に基づく認定制度に係る基準における平均値 適用:令和7年7月1日~令和8年6月30日
女性の職業生活における活躍の状況に関する実績に係る基準(評価項目)③労働時間等の働き方
労働時間等の働き方については、えるぼし認定と同様の基準です。
■時間外労働
直近の事業年度のすべての月において、雇用管理区分ごとの法定時間外労働および法定休日労働の合計平均が45時間未満
女性の職業生活における活躍の状況に関する実績に係る基準(評価項目)④管理職比率
管理職比率については、えるぼし認定と異なる基準が設定されています。
■女性管理職の割合
直近の事業年度で、管理職に占める⼥性の割合が産業ごとの平均値の1.5倍以上
ただし、1.5倍後の数字が15%以下の場合は、管理職に占める⼥性の割合が15%以上
1.5倍後の数字が40%以上の場合、「正社員に占める⼥性比率の8割の値」または「40%」のうち、大きい値以上である
「管理職」とは、「課⻑級」と「課⻑級より上位の役職(役員を除く)」の従業員の合計です。なお、この基準では、「課⻑代理」「課⻑補佐」と呼ばれる役職は、管理職とみなされない点に注意が必要です。
女性の職業生活における活躍の状況に関する実績に係る基準(評価項目)⑤多様なキャリアコース
多様なキャリアコースに関する基準は、えるぼし認定と同様の基準です。
■直近3事業年度に所定の実績あり
大企業はA~Dの中から2項目以上、かつ非正社員がいる場合はAが必須
中小企業は1項目以上
A:女性の非正社員から正社員への転換
B:女性のキャリアアップに資する雇用管理区分間の転換
C:過去に在籍した女性従業員について、正社員としての再雇用
D:おおむね30歳以上の女性について、正社員としての採用
【その他】法令や規定違反などがないこと
その他の規定は以下の通りです。
■プラチナえるぼし認定の申請より前に、⼀般事業主⾏動計画に定められた目標を容易に達成できる目標に変更していない(例:計画期間の途中で、既に定めている目標を下⽅修正するなど)
■えるぼし/プラチナえるぼし認定の取り消しや辞退から3年経過している(えるぼし認定と同様)
■女性活躍推進法、男女雇用機会均等法、労働基準法など関係法令に違反する重大な事実や、法律に基づく処分・公表が行われていない(えるぼし認定と同様)
プラチナえるぼし認定取得企業の取り組み事例

プラチナえるぼし認定を取得している企業の事例をご紹介します。
イオンモール株式会社
イオンモール株式会社は、管理職研修や事業所内保育園の設置、週休3日制度の導入など、キャリア形成と両立支援を両立させています。28歳・35歳等の節目に人事とのキャリア相談を設け、不安を解消。これらの取組により、女性管理職比率は22.6%(2023年度)まで着実に向上しています。
参考:女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集
社会福祉法人篤豊会
石川県の社会福祉法人篤豊会は、出退勤を柔軟に選べる短時間勤務や時間単位の有休、奨学金代理返還制度など、ライフステージに寄り添った支援が特徴です。管理職手当の増額等で昇進意欲も醸成。女性の平均勤続年数は大幅に伸び、従業員の紹介採用も増えるなど高い満足度を維持しています。
参考:女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集
株式会社ヘルスケアシステムズ
株式会社ヘルスケアシステムズは、大学発ベンチャー初のプラチナえるぼしを取得。フレックスやリモート勤務の導入、短時間勤務でも不利にならない男女公正な評価制度により、子育て世代の活躍を支援しています。バーチャルオフィスでの密な交流や残業抑制も徹底。女性管理職比率は37.5%へ向上し、働きがいを高めています。
参考:女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集
プラチナえるぼし認定の申請方法

最後に、プラチナえるぼし認定の申請方法をチェックしておきましょう。
プラチナえるぼし認定の申請手順
プラチナえるぼし認定の申請ステップは以下の通りです。
ステップ1:現状分析と行動計画の策定
社内の女性活躍状況(採用・管理職比率等)を把握し、課題を抽出します。その上で、具体的な数値目標を盛り込んだ「一般事業主行動計画」を策定します。
ステップ2:行動計画の公表・届出
策定した計画を社内周知および外部公表(自社サイト等)し、管轄の都道府県労働局へ届け出ます。
ステップ3:実績データの公表
「女性の活躍推進企業データベース」で自社の実績を公開します。プラチナ申請の場合、「男女間賃金差異」を含む8項目以上の公表が必須要件となる点に注意が必要です。
ステップ4:えるぼし認定の認定申請書の提出
まずは基準を満たす段階(1〜3段階)の「えるぼし認定」を労働局へ申請します。
ステップ5:えるぼし認定の取得
労働局の審査を経て、えるぼし認定を取得します。
ステップ6:プラチナえるぼし認定の申請
一般事業主行動計画の期間終了(または終了見込み)のタイミングで、「計画に定めた目標を達成していること」を確認し、プラチナえるぼし認定を申請します。
厚生労働省が提供しているツールやマニュアルも活用しながら取り組みを進めましょう。
一般事業主行動計画策定支援マニュアル
一般事業主行動計画策定支援ツール
申請・維持の注意点
プラチナえるぼし認定は取得後も法令遵守と基準維持が必須です。特に毎年「女性の活躍推進企業データベース」で実績を更新・公表する義務があり、公表を怠ったり、必須項目である「男女間賃金差異」等が基準を下回ったりすると取り消し対象となります。認定取り消し時、えるぼし基準を満たせば通常認定に移行しますが、重大な法令違反等の共通要件に該当した場合は両認定が同時に失効するため、継続的な管理体制が不可欠です。
参考:厚生労働省「女性活躍推進法に基づくえるぼし認定プラチナえるぼし認定のご案内」
女性活躍推進のトップランナーへ

プラチナえるぼし認定は、女性活躍推進の取り組みを高い水準で、かつ継続的に実践している企業であることを示す認定制度です。取得には多年度にわたる取り組みが必要で、認定の維持にもコストと労力が伴います。しかし、採用力の強化や人材定着、企業価値の向上、公的評価での優位性など、得られるメリットは非常に大きいといえます。女性活躍推進をリードする企業として、一歩先の取り組みを始めましょう。

