育休生活をしている男性のイラスト

長期の育休を取得した男性社員のリアルな話~育児・介護休業法改正に向けて企業が配慮すべきこととは?

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2021年6月の「育児・介護休業法」の改正により、企業はより一層の育児休業取得を奨励することが求められるようになりました。改正法の中身を見てみると、男性育休に限った内容ではないことが見て取れますが、やはり男性の育児休業取得率促進が今回の改正の背景にあるといえるでしょう 。

実際に男性社員が長期の育児休業を取得するうえで本人や周囲はどのようなことに配慮すれば良いのでしょうか。

※この記事は、8月19日に当社が実施した「男性育休のリアル、お話しします。」のセミナー内容を編集して配信しています。2人の男性社員による、育休を取得するに際して苦労したことや周囲の反応、育休中の過ごし方や仕事へのモチベーションなど、生の声をヒアリングしました。

パネリスト
マーケティング部 K.N 女の子1人(8か月) *セミナー当時
育休取得期間: 2020/12~2021/3(約4か月)

両立支援事業部 T.T 男の子2人(7歳・2歳) *セミナー当時
育休取得期間: 2019/5~2020/3(約11か月)

育休を決めた理由・周囲の反応

ーー 育休取得を決めた理由・周囲の反応はいかがでしたか?

K.N:私の場合は1人目の子どもだったのでわからないことも多く、育休を取るならまとめた期間きちんと子育てに専念したいなと思っていました。当社では男性も育休を数か月単位で取得する人が多かったので、そういったことも後押しとなって長期の育休取得を決めました。

妻ももちろん初めてのことだったので不安だったとは思うのですが、一緒に子育てに取り組めることに安心した様子でした。実は上司も育休経験者でしたので、育休を取得したいと伝えたときは親身に相談に乗ってもらえたのでありがたかったと思っています。

T.T:私は1人目の子どものときに育休を取れず、妻に苦労をかけてしまった後悔が残っており、2人目のときにはきちんと家族と向き合おうとあらかじめ決めていました。妻は喜んでくれた一方で、長い育休でキャリアに影響はないのかと心配していました。

上司からの反応ですが、元々長期の育休を考えていましたので、日頃からきちんと仕事をこなして上司からの信頼感を醸成しておくことで、いざ伝えた時も「必要なサポートがあれば言ってくれ」と終始協力的な対応をしてもらえたと思います。

ーー 不安に思ったことはありましたか?育休取得にあたってどんな準備をしましたか?

K.N:育休取得に際しての不安はあまりなかったのですが、社会人になって4 か月も連続で休むことがなかったので、スムーズに復職できるかなという不安はありましたね。準備ですが、業務の引き継ぎは育休の3~4か月前から入念に行いました。

まず現在の業務の棚卸しを行い、次に部内メンバーへの分担、場合によっては部を跨いでの調整も必要になったのですが、上司が率先して動いてくれたのでとてもありがたかったです。

T.T:当社は幸いにも両立支援に手厚い会社だと思うのですが、それでもいざ申し出る段階になると上司との関係性や今後のキャリアへの影響を考えてしまいました。世間的にはまだ男性が育休を取ることが一般的ではないこともあり、同僚、特に男性社員に対しては申し訳ない気持ちがありました。

女性だとそれ こそ「お互いさま」で通じる部分もあると思うのですが……。引き継ぎについては上司がタスク毎に担当を指名してくれたので助かったなと感じています。

育休中に会社が対応してくれて嬉しかったこと

ーー 育休中、会社がしてくれて嬉しかったことはどんなことですか?

K.N:育休を取る前の話になってしまいますが、「産休・育休マニュアル」を会社が用意してくれていて、図でわかりやすく国や会社の制度や復職後に必要な手続きについて解説されており、妻と一緒に見て「あ、こんなことがあるんだ」などと言いながら準備が進められたのは非常にありがたかったですね。

また、育休中には不定期ながら人事から会社の情報が発信されていたので、休みながらも会社がどんな状況かが把握できるのも良かったです。あとは、仕事と子育ての両立中、育休中の社員を対象に「両立支援研修」を案内されたのですが、男性・女性それぞれの目線からいろいろな話が聞けたので参考になると同時に、つながりもできたことは復職後の今にも活きています。

T.T:Kさんと被る部分もありますが、やはり会社の情報が適宜入ってくるというのは非常に安心感がありましたね。人事・組織の情報もさることながら、社内報のようなライトな情報が意外と帰属意識を高めてくれたような気がしています。

ーー 育休によって変わったこと・業務に役立ったことはありますか?

K.N:正直自分がこんなに子どもを好きになるというか……こんなに子育てに一生懸命になるとは思ってなかったところがありまして(笑)、そこは大きく変わったところだと思っています。それもあって仕事と家庭のバランスをとても大事にするようになり、限られた時間の中で効率的に働くということは意識するようになりました。

あと、実は組織にもメリットがあるのではないかと思っていて、自分も上司が育休を取ったときにはマネジメントに近い立場の仕事を経験させてもらったり、今回自分が引き継いだ仕事も同じチーム内の若手がものの見事にこなしてくれていたり、誰かの育休が周囲の成長のきっかけになるという側面もあるのかもしれません。

T.T:やはり家族と今までに経験したことがないような濃密な時間を過ごせて、家族に対する愛情が非常に深まったのが大きいですね。自分の中の「ウェルビーイング」は格段に上がったかなと思います。そんな機会を与えてくれた会社や同僚には感謝の気持ちが増していますし、組織に貢献しようという意欲の高まりを感じました。

個人的に、育児は究極の人材育成と捉えておりまして、相手の気持ちを理解しようとしたり、相手をいかにモチベートさせるかだったり、必要とされるスキルがマネジメントと共通する部分が多いのかなと感じています。

男性が育休を取りやすくなる環境とは

ーー どういった環境であれば男性が育休を取りやすくなると思いますか?

K.N:一つ目は「相談しやすい雰囲気」ですね。私の経験で言うと、まず上司に相談できたこと、あと周囲の方も協力的だったということはすごくありがたかったと感じています。これは育休に限った話ではないかもしれませんね。
二つ目として「会社の取り組み姿勢」も 従業員に響くと思っています。

先ほどの例で言うと、丁寧に作り込まれた「産休・育休マニュアル」を見たときに会社の推進姿勢が垣間見えますし、くるみんマークの取得や健康経営の推進に向けた取り組みは自社の従業員に対しても有効だと思います。

T.T:少し似ていますが、トップや上長から「両立支援を推進するぞ」というメッセージを伝えてもらうことが大事かなと思います。上司自身がロールモデルとなって育休を取っているとか、育児に積極参加しているとか、そういう姿がメンバーの意識を変えることにもつながるかと。

よく収入の減少が育休取得をためらわせると言われますが、私としてはそんなに影響がなかったかなと感じています。育児休業給付金もありますし、実際育休を取ると支出は増えないどころか、むしろ減るんですよね。育児に精一杯で最小限の生活になりますので。

収入減より、プライスレスな家族との時間に目を向けてもらえるといいかなと思います。

これから育休を取ろうとする人へ

ーー これから育児休業を取ろうという方にメッセージをお願いいたします。

K.N:育休を取って思ったことですが、自分にとっても、もちろんパートナーにとっても、そして組織にとっても良いことだと実感しています。特に男性育休の実績が少ない場合ですと、ハードルが高く感じると思いますが、組織に良い変化をもたらす面も確実にあります。

会社は従業員が積極的に取得できるよう仕組みを整え、従業員は育休を取れるように日々のチーム連携を深め、双方のアクションが相乗効果を生む形になったらいいなと思います。

T.T:一人の子どもの乳児期に深く関わることができるチャンスは一生に一回きりしかありませ ん。仕事生活も含めて人生を本当に豊かにする可能性が満ちていると自分自身感じています。育児・介護休業法の改正でさらに柔軟な休暇の取得が可能になりますので、ほんの数日だけ休む「なんちゃって育休」ではなく、しっかりと育休を取っていただけたらと思っておりますし、人事の方にはそのような「取りたい」という想いを後押しする施策を行っていただけたら幸いです。

参考:男性の育児休業取得期間 
*厚生労働省『平成30年度雇用均等基本調査(確報)』を基に加工して作成

年度別男性の育児休業取得期間

まとめ

育休を取得した2人の男性社員のリアルな体験をご紹介しました。実際の育休経験から2人が感じたことをまとめると、以下となります。

・円滑な育休取得には日々のチームワークが重要
・育休中は会社からの何気ない情報提供が安心感に
・誰かの育休取得はあらゆる人のウェルビーイングに


育休中も会社とのつながりを切らさずに維持し続けることが安心感や帰属意識につながっていたようです。会社の制度を整えることはもちろんのこと、社員同士の「お互いさま」の精神を築くことも大切です。

男性の育休取得が拡大していくと想定されるなか、産休・育休取得者との適切かつ効率的なコミュニケーションと、復職後を見据えたあたたかいサポートは帰属意識を高め、その後のパフォーマンスにも良い影響を与えるといえるでしょう。

産休・育休にあたり、当事者と企業間で書類のやり取りも多く発生します。
その他にも社内の情報を届けたり、メッセージのやり取りを気軽にできたりする、休業者とのコミュニケーションツールや仕組みの整備を検討されてみてはいかがでしょうか。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
363万人以上へのサービス提供実績と、健康経営銘柄2022に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「個と組織の未来基準の元気を創る」トピックスをお届けします。

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