笑顔で話し合いをしている女性社員たち

女性活躍推進法とは?2022年4月の改正内容を解説

Facebookでシェア ツイート

「女性活躍推進法」は、女性が職場で活躍できる社会を実現するために制定された法律です。現状、対象となる企業にはいくつかの取り組みが義務化されていますが、2022年4月施行の法改正により対象企業の範囲が拡大されることになりました。

この記事では、女性活躍推進法の改正内容や企業が行うべき取り組みについてご紹介します。

女性活躍推進法とは?

「女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)」とは、自らの意思で働くことを希望する女性が自身の個性・能力を十分に発揮できる社会の実現を目指して制定された法律です。職業生活において女性が活躍しやすい環境をつくることを目的に、10年間の時限立法として2016年4月に施行されました(期限は2025年度末)。

職業生活における女性の活躍に関し、女性活躍推進法では大きく以下の3つを基本原則としています。

1. 女性に対する採用や昇進の機会を積極的に提供すること
2. 職業生活と家庭生活を両立させるために必要な環境を整備すること
3. 職業生活と家庭生活の両立は本人の意思が尊重されること

2019年5月には「改正女性活躍推進法」が成立し、2020年4月より順次施行されています。2022年4月施行の改正においては対象企業の範囲が現在よりも広がっているため、新たに対象となる企業は改正内容を確認し、施行日までに準備を進めておく必要があります。

参考:厚生労働省『女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の概要

2022年4月の改正内容は?

女性活躍推進法では、対象となる企業に「行動計画の策定・届出」と「女性活躍状況の情報公表」が義務付けられています。現在は常時雇用する労働者が301人以上の企業に対して義務化されていますが、2022年4月からは101人以上の企業まで対象範囲が拡大されます。

また、「常時雇用する労働者」は正社員に限らず、契約社員やパート、アルバイトなども対象となるケースがあります。具体的には以下に該当する場合、正社員以外の雇用形態であっても「常時雇用する労働者」とみなされるため、注意が必要です。

① 期間の定めなく雇用されている方
② 一定の期間を定めて雇用され、過去1年以上の期間について引き続き雇用されている方または雇入れ時から1年以上引き続き雇用されていると見込まれる方

参考:厚生労働省『女性の活躍推進企業データベース〜女性活躍推進法が改正されました

企業が行うべき取り組み(1)行動計画の策定・届出

女性活躍推進法の対象企業がまず取り組む「行動計画の策定・届出」は、以下の4ステップで進めていきます。

<ステップ1>女性の活躍に関する状況把握と課題分析

まずは自社の女性労働者の活躍状況について以下4つの基礎項目(必ず把握すべき項目)から把握し、どこに課題があるのか分析します。
① 採用者に占める女性の割合(労働者に占める女性の割合でも代替可)
② 男女の平均継続勤務年数の差異
③ 月ごとの平均残業時間数等の労働時間の状況
④ 管理職に占める女性の割合

<ステップ2>行動計画の策定・社内周知・公表

課題に基づく1つ以上の数値目標を設定し、課題解決に向けた具体的な施策を「行動計画」としてA4用紙1枚程度で問題ありません。行動計画には、①計画期間、②数値目標、③取り組み内容、④取り組みの実施時期を盛り込むことが必要です。策定した行動計画はすべての労働者に周知し、外部にも公表します。
行動計画の記載例としては以下のパンフレットが参考になるでしょう。

・ 東京労働局『行動計画策定かんたんガイド
・ 厚生労働省『女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!

<ステップ3>行動計画を策定した旨の届出

策定した行動計画は以下いずれかの方法で管轄の都道府県労働局へ提出します。
届出方法:電子申請、郵送、持参

<ステップ4>取組の実施と効果の測定

数値目標の達成状況や取組の実施状況を定期的に点検・評価します。
効果測定の結果はその後の取組や計画に反映させ、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のPDCAサイクルを回しましょう。

企業が行うべき取り組み(2)女性活躍状況の情報公表

自社における女性の活躍状況に関する情報は、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」や自社のホームページなどで公表します。情報公表においては、おおむね年1回以上の更新と、その時点での最新数値を公表することが求められています。

情報公表が必要な項目は「①女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」と「②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備」です。労働者数301人以上の企業では以下の①と②の区分でそれぞれ1項目以上選択、300人以下の企業では①と②の全項目から1項目以上選択します。

まとめ

少子高齢化により労働人口が減少する日本において、女性をはじめあらゆる人が活躍できる社会の実現は、人手不足の解消や優秀な人材の確保につながります。今回の法改正をきっかけに、すべての人が自身の能力を十分に発揮できる職場づくりがこれまで以上に進められていくでしょう。

女性が働きやすい職場をつくるには、テレワーク環境の構築や業務効率化ツールの導入など、システム面での取り組みも重要です。行動計画がより成果のある取り組みとなるように、支援サービスやツールを検討するのもよいでしょう。

(Visited 19,239 times, 1 visits today)

【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

Facebookでシェア ツイート

関連記事RELATED POSTSすべて見る>>