生活習慣を改善するための認知行動療法メソッドとは?

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近年、日々の食事や運動、睡眠といったさまざまな生活習慣のなかで、心と体に影響を及ぼす思考や行動、状況の捉え方を改善する「認知行動療法」への関心が高まっています。自社で働く従業員の健康増進をサポートするには、健康を阻害する思考や行動を把握し、慢性的な生活習慣からの「行動変容」を促すことが大切です。

従業員の健康保持にコストをかけて心身の健康を守ること、それは企業のリスク管理につながる健康投資となっています。

この記事では、生活習慣を改善する認知行動療法とはどのようなものなのか、具体的に解説したうえで、行動変容の促進における課題とその対処法をご紹介します。

生活習慣とは?

生活習慣とは、「食事」「運動」「睡眠」「喫煙」「飲酒」「休養」など、日常生活のなかで繰り返しおこなっているパターン化された個人のライフスタイルです。長年にわたって反復され、決まりごとになった生活様式であるため、直接的にも間接的にも健康に大きな影響を及ぼすものだと考えられています。

世界保健機関(WHO)では、「健康」について「肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であること」と定義付けしています。毎日を元気に過ごし活き活きと働くには、心も体も健康な状態を保つことが大切であり、そのためには日々の生活習慣を整える必要があるのです。

認知行動療法とは?

心と体に大きな影響を及ぼしている生活の質を改善し、健康を維持するためのメソッドとして注目されているのが「認知行動療法」です。認知行動療法とは、対象者の思考や行動の癖を把握し、そのパターンを整えて行動変容を促していく治療方法です。

このメソッドは人間の心身が日常的な思考や行動に影響を受けているという理論に基づくもので、思考を変え、問題に対処するような行動を働きかけることで、心と体を改善に向けて整えていきます。認知行動療法の基礎となるのは、ものの考え方や受け取り方に働きかけてその偏りを整えていく「認知療法」と、行動そのものを治療の対象とする「行動療法」です。

認知行動療法では「思考」と「行動」の両方からアプローチをかけますが、自分の意思や気合で変化を起こそうとするのではなく、問題となる思考と行動のメカニズムを理解したうえで行動変容を促していくのがポイントです。

行動変容に特化した保健指導プログラムの例

「ダイエット」を例に挙げ、ダイエットを阻害する要因を「無関心期」「実行期」「維持期」の3段階に分けて考えてみましょう。また、各フェーズの阻害要因に働きかけるにはどうすればよいのか、アプローチ方法の例もご紹介します。

【無関心期】
●阻害要因
自分がなぜ肥満なのか理解できていない、ダイエットに取り組む目的や気力がない
●アプローチ方法
環境調整:ダイエットに取り組みやすい環境をつくる
目的意識の醸成:体重をゴールにしない目標を設定する
現状の見える化:ヘルスケアアプリを活用し現状を把握する

【実行期】
●阻害要因
食事や運動の正しい知識がない、食事制限でモチベーションが下がっている
●アプローチ方法
目標設定:現実的な体重や行動目標を設定する
知識習得:食事や運動の知識を習得する
成功体験の形成:行動達成を評価しモチベーション維持につなげる

【維持期】
●阻害要因
ダイエットの動機を見失う、食事制限が解除されリバウンドする
●アプローチ方法
マネジメントの外部化:担当トレーナーに数値管理やストレスマネジメントをしてもらう
体重維持の方略:リバウンドの認知行動的メカニズムを理解する

行動変容の課題と対策

生活習慣病の予防や医療費の適正化を目的に、メタボリックシンドロームに着目した特定健康診査(特定健診)が2008年度よりスタートしました。健診の結果、食生活や運動習慣といった生活習慣の見直しが必要と判断された場合は、特定保健指導を受診することになります。

生活習慣の改善が求められる特定保健指導対象者の割合は、2回以上のリピーターが多くの割合を占めることがあります。特定保健指導のリピーターにならないようにするには、メタボリックシンドロームにつながる生活習慣の改善方法を新たに見直し、長期的な行動変容を促す指導が必要です。

しかしながら、これまで対象者への指導には以下のような課題がありました。

•対面での面談が面倒、時間がないという理由から参加を見送る対象者がいる
•さまざまな制限ができてしまい、対象者のモチベーションが続かない
•期間中にモニタリングをしないと、中だるみが生じてしまう

また、指導する側にとっても、通常の対面指導では全員に均質性が保たれた指導をするのが難しい場合があります。対象者にホームワークを課す場合も、自己判断で治療を進めてしまう、誤った解釈で治療行為をしてしまうなどのおそれがあり、課題も多いのが現状です。

そこで対策となるのが、インターネットを利用した新世代ヘルスケアプログラムの導入です。健診結果や生活習慣データの総合的な分析によって具体的な課題を特定すれば、心と体の両面で行動変容を促すための有効な提案がおこなえます。

また、オンライン完結型なら対象者はスマートフォン等でいつでもどこでも指導を受けられるため、従来課題となっていた対面での面談参加や継続のハードルを極力下げることができるでしょう。

まとめ

認知行動療法とは、対象者のものの考え方やとらえ方、何らかの行動に対して働きかけ、問題の解決を目指していく治療方法です。人間の心身は日常的な思考や行動に影響を受けているという理論から、日々の生活スタイルを見直し健康を維持していくためのメソッドとして注目されています。

行動変容を成功させるには、特定保健指導対象者のモチベーションコントロールをおこない、長期的に改善を繰り返すことが大切です。効果を実感できないと不安に陥り、行動が習慣化する前に挫折してしまいがちですが、意識づけをしてくれる伴走者がいれば、安心して行動を継続することができます。継続することで習慣化し、行動変容が実現していくのです。

企業には、従業員の健康を経営課題として位置づけ、最新の知見を取り入れながら専門家による指導・支援が可能な専門プログラムを導入するなど、従業員の健康維持・増進のための徹底したサポートが求められます。行動変容を実現するためには一人で取り組むのではなく、伴走する体制づくりも重要といえます。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「個と組織の未来基準の元気を創る」トピックスをお届けします。

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