問題のある組織に有効な「みんなで始める組織開発」のステップ

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あなたの職場では退職希望者が続出する部署、メンタルヘルス不調者が後を絶たない部署、ストレスチェックで毎年高ストレス者が多い部署など、いわゆる「問題のある部署」はありますか?

「問題のある部署」と一口に言っても問題の原因は様々です。「上司のパワハラさえなくなればこの部署は良くなる」というケースもあるかもしれませんが、往々にして組織の問題は複雑に絡み合っています。

問題が複雑に絡み合えば絡み合うほど改善へ向けた対応が難しくなり、「あの部署は仕方ない」「少しでも介入したら余計悪い状態になってしまうのでは」と考えてしまい、組織の問題に蓋をしてしまいがちです。

しかし、問題を放置しておくと組織としての生産性が上がらないばかりか、最悪の場合には自殺に追い込まれる従業員が出てもおかしくなく、企業としては大きなリスクになります。

そのような「問題はあるが介入が難しい」組織へのアプローチとしてお勧めする方法が、組織に所属している従業員全員が主体的に関わる組織開発です。

組織開発とは

「組織開発」という言葉を聞いたことはありますか?「組織開発」は「アンブレラワード」であると表現されており、組織に属するメンバーが共通の目標に向かって機能するための活動を包括する言葉です。

組織開発には、うまくいっていない組織をうまくいくようにするための「意図的な働きかけ」を行うための手法が数多くあります。

数多くの手法に共通して見られるステップとして、①組織の問題を可視化する、②可視化された問題について関係者が全員で対話する、③組織の未来を決める、という段階があります。

この記事では、長年メンタルヘルス不調者や退職希望者が後を絶たず、ストレスチェックでも高ストレス者の多い状態が継続していた組織に、①~③のステップに沿って働きかけを行った事例を用いながら、問題のある部署への介入方法についてご紹介していきます。

<問題のある部署への組織開発>ステップ①:組織の問題を可視化する

とある製造業のIT部門は、長年メンタルヘルス不調者が後を絶たず、最近では退職希望者も続出し、なぜだか中途入社で入ってきたばかりの人達が1~2年で退職してしまうことに頭を悩ませていました。

会社の人事部門では、「おそらくあそこの職場の課題は管理職であるAさんのパワハラだ」と考え、Aさんを別の部署に異動させました。しかし、一向に組織の問題が改善されない様子であったため、まずは組織の課題が何なのか、可視化することにしました。

可視化の方法として、ストレスチェックの結果を活用し、ストレスの原因は何なのかを探ろうとしたのですが、ストレスチェックのほとんどの項目に課題がある状態で、どこから改善していくべきか答えが見つかりませんでした。

そのため、問題のある組織に属している一人ひとりの生の声を聞き、組織に共通する課題が何かを探ることにしました。管理職や人事が話を聞いても本音が聞き出せない恐れがあるため、話を聞くプロである外部のカウンセラーにヒアリングを任せました。

すると、人事部門で仮説を立てていたAさんのパワハラは問題の1つではあったものの、組織の問題はそれだけではなく、休日も会社から貸与された携帯電話を肌身離さず身に付けており緊張感が解けない日々であることや、上司は部下の否定ばかりして褒め合う文化がなく、働きがいを感じづらい環境であることなどが共通の課題として見えてきました。

この会社では外部のカウンセラーをヒアリングの担当者としましたが、組織の問題についての話は本音が聞き出しづらい内容であることが多いため、社内の産業保健スタッフや外部のコンサルタント、カウンセラーなど、中立的でかつ話を聞くことに長けた人をヒアリングの担当者として人選することが成功のポイントです。

<問題のある部署への組織開発>ステップ②:可視化された問題について関係者が全員で対話する

ステップ①で見える化された共通の課題は、まず人事部門のメンバーと、問題のあるIT部門の責任者に開示されました。その中で、会社として取り組むことができそうな制度に対する課題や、部門の管理職が取り組むべきマネジメントの課題などについては、それぞれが前向きに改善に向けて検討を行っていくこととなりました。

一方で、それだけでは解決できない組織風土の改善などについては、ステップ①で見える化された共通の課題を全メンバーに開示し、どのようにすればより良い組織になるのか、改善に向けた具体的な活動はどのようなものか、などについて対話を行う時間を設けました。

その際に、管理職が同席している場ではなかなか本音が出づらいことが事前のヒアリングから予想されていたため、対話は管理職以外のメンバーのみで行い、そこで出た意見を匿名化し、対話の場をファシリテートしていた外部のコンサルタントから管理職の方々へ後日対話の内容を報告するという形式で進めました。

<問題のある部署への組織開発>ステップ③:組織の未来を決める

ステップ②の対話の場では、改善のための細かいアクションだけではなく、どのような組織が皆の理想なのか、この組織の未来はどうあってほしいか、ということについても対話が行われました。

日頃高ストレス状態で疲弊しているメンバーも、自分が日々働く職場がどうなれば良いか、というテーマについてはイキイキと話し合いが行われました。

対話が進む中で、「お互いが尊重され、一体感を持って働ける職場にしたい」「時間的に無理なく心に余裕を持って働ける職場にしたい」というメンバー共通の未来像が浮かび上がってきました。

ステップ②とステップ③を兼ねた対話は2時間かけて行われ、最後に「理想的な未来に向けて職場をより良くしていく活動を行うための組織開発プロジェクトに参加したいと思う方」に手を挙げていただき、約10名のメンバーで組織開発プロジェクトが結成されました。

全メンバーでの対話の後は、対話で出た意見を取りまとめ、外部コンサルタントが管理職全員に対話の内容を報告しました。

報告と併せて、管理職はプロジェクトメンバーの活動を支援すること、管理職でないと解決できない問題は率先して解決へ向けて検討することを管理職の約束事としてほしいことを外部コンサルタントから伝えました。

その後、管理職とプロジェクトメンバーが定期的にミーティングを開き、職場の理想の未来に向けた具体的なアクションをどのように進めるか、などの議論を行いながら少しずつ活動が進んでいきました。

活動を進める上では、組織の変化を可視化するツールとしてパルスサーベイを使い、1か月に1回全メンバーに回答してもらった結果を見ながらアクションの内容を見直す、という短サイクルでのPDCAを回すようにした結果、少しずつパルスサーベイの結果に改善が見られ、当初問題であった退職者やメンタルヘルス不調者も減少が見られました。

※パルスサーベイとは、簡易的な調査を短期間に繰り返し実施する調査手法のこと。

関連記事:注目する企業が増加中!組織開発に有効な「パルスサーベイ」とは?

思い切ってメンバー全員で組織開発を始めてみましょう!

組織の問題の解決は管理職任せとなっていることが多く、問題のある職場の管理職となった方が、試行錯誤して改善に向けた活動を進めているケースが多いと思います。

しかし、退職希望者やメンタルヘルス不調者が後を絶たないような組織の場合、管理職が認識している組織の課題と、メンバーが認識している組織の課題に認識のずれが生じていることが多くあります。

そのような状態で管理職が考えた改善のためのアクションをとっても、的外れな活動となってしまい、管理職だけが疲弊していき組織の状態は良くならない、ということが起こりがちです。

管理職が頑張って改善のためのアクションを行ってもなかなか組織の状態が良くならない場合には、思い切ってメンバー全員で組織開発を推進することがお勧めです。ぜひ今回ご紹介した企業のお取組みも参考にされながら、皆でより良い組織を創っていきましょう。

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント
組織ソリューション部 シニアコンサルタント

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