「5月病」は4人に1人が経験する!症状と必要なメンタルヘルス対策とは?

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新社会人や、職場が変わる転職者・転勤者など、これまでとは生活環境が一変する人が多くなる4月。環境変化に加え、2019年は改元や10連休など大きなイベントが続き、なかなか生活リズムが整わないビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。

次第に新しい環境に慣れ、初期の緊張状態が緩んでくると、「集中力が続かない」「倦怠感がある」「やる気が出ない」といった症状、いわゆる5月病の問題が出てき始めます。5月病の具体的な症状や、なりやすい人の傾向など、従業員におけるメンタルヘルス健全化の観点でも、人事部門は理解を深める必要があるでしょう。

約4人に1人が「5月病」を経験

4月から新人研修を受け、実際に5月から部門配属といった企業も多く、ちょうど1ヵ月後の6月にこれらの症状が出るパターンもあることから、「6月病」といわれることもあります。では、どのくらいの人が5月病にかかるのでしょうか。

チューリッヒ生命が2018 年4月に、現在のビジネスパーソンが抱えるストレスについての調査を全国の20歳~59歳・合計1,000人に実施。その中で、「5月病」に関するアンケートも独自に行われました。

「これまでに5月病になったことがあるか」との質問に、男性は21.6%、女性では25.0%が「ある」と回答。全体で23.3%が「ある」と回答し、約4人に1人が「5月病」を経験しているとの結果が明らかになりました。

年代別で見ると、男性で「5月病になったことがある」と最も多く回答した年代は、28.0%の「30代」。次いで23.2%の「20代」、21.6%の「50代」。

一方、女性では39.2%と「20代」が最も多く、24%の「30代」、20.0%の「40代」と、こちらは年代が高くなるにつれ、割合が下がる傾向にあることがわかりました。特に驚くべき結果は、20代の女性の約4割が「5月病」を経験しているということです。

「5月病になったと思われる原因」について尋ねたところ、男性は36.1%、女性は38.4%と、男女ともに1位が「入社」という回答が出ました。20代の女性は、入社により慣れない仕事に直面することで、大変だと感じている人が多いという状況が伺えます

5月病は「真面目で責任感が強く他人への配慮を重視する人」の方がなりやすい?

「5月病(6月病)」は正式な医学用語ではありません。医療機関で受診すれば、「軽度のうつ」や「適応障害」といった病名をつけられることもあります。「5月病」の症状としては、精神的、肉体的、行動面において以下の特徴が挙げられます。

●精神的症状
・悲しみ、憂うつ感
・不安感やイライラ感、緊張感
・無力感、倦怠感、気だるさ、やる気が出ない

●肉体的症状
・食欲不振、体重減少、嘔吐、胃痛、吐き気
・寝つきが悪い、朝早く目が覚める、不眠
・動悸、めまい、血圧上昇、手や足の裏に汗をかく
・頭痛やひどい肩こり

●行動
・消極的になる、周囲との交流をさける、引きこもり
・飲酒、喫煙量が増える
・身だしなみがだらしなくなる、落ち着きがない

それでは、どのような人が「5月病」になりやすいといえるのでしょうか。5月病の症状は「軽度のうつ」ともいわれますが、うつは脳内の神経伝達物質が一時的に伝わりにくくなる状態が原因とされています。

一般的に、下記のような性格は脳内の神経伝達物質の伝達が活発なため、脳内伝達物質がうまく伝達されない可能性が高く、うつになりやすいといわれています。

・義務感が強い
・仕事熱心
・完璧主義
・几帳面
・凝り性
・他人への配慮を重視し、良好な関係を保とうとする

上記の性格を総合的に見ると、要は、真面目で責任感が強く他人への配慮を重視する人ほど、「5月病(6月病)」になりやすいといえます。

5月病対策は「ストレスの原因と距離を置く」or「ありのまま受け入れる」

「5月病」の原因は1つではありませんが、確かなことは、環境の変化などによる「ストレス」が原因ということです。前述の調査では、「独自のストレス発散方法」についても回答を取得。

全体の1位は「美味しい物を食べる」48.4%、次いで2位は「身体を動かす」34.3%、3位は「睡眠・休息をとる」33.4%との調査結果が出ました。一般的にも、「バランスのとれた食事」、「適度な運動」、「質のよい睡眠」の3つはストレス解消には欠かせません。

これら3つの方法は、健全な肉体を保つ上でも重要であり、疲労回復にも効果があるといわれています。また、精神面においては、「5月病」に対する独自の対処方法を確立させておくことが重要です。

今回の調査の中で、「あなたが5月病になった時、どのように対処されているか」との質問では、以下の内容が自由回答で得られました。これらの結果は「ストレスを忘れるために距離を置く」ことと「ストレスをありのまま受け入れる」ことの2つに大別できます。

●ストレスを忘れるために距離を置く
・4〜5月は勤務後、週1で好きな物を食べに行く時間を作る。(25歳女性)
・カラオケ屋で熱唱してストレスを発散する。(29歳男性)
・休日はよく休むか、旅行でリフレッシュ。(25歳男性)
・自分の時間を作って、ヨガをする。ネットで買い物をして気分を変える。(39歳男性)
・ひたすら好きなことをして元気を出す。趣味に走る、買い物、食に走る、など。嫌な仕事が控えていたら、これを耐えたらこれを買える、などのいわゆるご褒美を自分で設けることも。(30歳女性)

●ストレスをありのまま受け入れる
・とりあえず何も考えず、職場に行く。行くだけでいいと思い、とりあえず行く。(28歳女性)
・とにかく考えないように、無心になろうと頑張る。(35歳男性)

「5月病」の原因となる「ストレス」に向き合うこと。これが、全ての対策の根幹をなすといえるでしょう。ストレスと向き合い、自分はストレスにさらされているのだと自覚すること。その上で、距離を置いてもよいし、何もせずありのまま受け入れるという選択をすることもできます。

従業員の健康を維持するためにも、パフォーマンス低下が及ぼす事業成長停滞を回避するためにも企業はストレス耐性について対策を継続的に講じる必要があるでしょう。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数2,950社/利用者数417万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄2023に選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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