若手社員の早期離職の現状と離職防止のポイントとは?

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近年、若手社員の早期離職問題が企業の大きな課題になりつつあります。第二新卒市場というマーケットが形成されている今の時代は、仕事や職場に不満がある新人だけでなく、前向きで成長意欲の高い新人がスキルアップのために早期離職するケースが昔より増えました。大手企業、有名企業であっても若手人材に去られるリスクを抱えていると言えるでしょう。

2020年に、株式会社リクルートマネジメントソリューションズが行った「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査」では、人や組織に関する課題の1位は「新人・若手社員の育成・戦力化」、2位が「人材の定着率向上(離職率の軽減)」となっており、採用よりもリテンション(定着)が上位の課題になっています。

企業は、これからますます難しくなる若手社員のリテンションにどのように取り組むべきでしょうか?
本記事では、早期離職の現状、早期離職に多い理由や離職防止のポイントについて解説します。

近年の早期離職の現状について

2020年に厚生労働省が公表した「新規学卒就職者の離職状況(2017年3月卒業者の状況)」によると、大卒者の就職後3年以内の離職率は32.8%、高卒者が39.5%です。実はこのパーセンテージ自体は1987年から大きく変化してはいません。しかし、内訳をみるとかなりの変化が見られます。

多様な働き方についての研究機関、ツナグ働き方研究所が、2019年に17~29歳の正社員・契約社員・公務員の若者を対象に調査した「就業意向に関する調査」では、以下の結果が出ています。

• 入社3年以内で「すでに辞めた・辞めたいと思っている:約7割
• 入社3年以内で「辞めるかどうか迷っている」:約5割

新人の離職予備軍が非常に多いことがわかります。さらに、最近の特徴は、大手企業はもちろんエリート層である霞が関の国家公務員、いわゆるキャリア官僚ですら早期離職者が増えていることです。内閣府のデータでは2019年の国家公務員総合職の離職者は87人で、6年前の4倍以上です。

早期離職者の比率はあまり変わらなくても離職する人材の層が昔とは大きく変わっています。次の項では、なぜ若手社員が離職するのかを考察します。

若者の早期離職の本当の理由は何か?

内閣府の平成30年版「子供・若者白書」では、若手社員の離職理由の1位~5位は以下の通りです。

1. 仕事が自分に合わなかったため 43.4%
2. 人間関係がよくなかったため  23.7%
3. 労働時間、休日、休暇の条件がよくなかったため 23.4%
4. ノルマや責任が重すぎたため  19.1%
5. 自分の技能・能力が生かせなかったため 15.5%

仕事のミスマッチは新卒の場合どうしても一定の率で発生します。しかし、3~5位の理由をみると、離職理由に「ワークライフバランスの重視」と「成長意欲の高さ」が関係していることがわかります。もっとも、若手の人材が不満を持っているだけでは離職率は高くなりません。

離職する新人が転職しやすいエコシステムができていることも影響しています。第二新卒市場が確立された現在は、第二新卒対象の転職エージェントが増えており仕事のミスマッチ、待遇面の不満、スキルアップできないなど個々の若者の相談に親身にこたえながら転職活動を手助けしていきます。

一方、SNSや企業のビジネスブログでは、多くのベンチャー企業がCEO自ら積極的に情報を発信し、リクルーティング活動をしています。そのため起業家精神あふれる人材がSNS経由で転職することは珍しくありません。若手社員の選択肢が増えていることを企業は認識する必要があります。

早期離職防止対策の例

株式会社アドバンテッジ リスク マネジメントが2019年に実施した早期離職対策に関する調査では、実際に企業や団体などの組織で実施されている早期離職防止施策の1~10位は以下の通りです。

1. 管理職のハラスメント防止教育
2. 管理職のマネジメント力向上のための研修
3. 福利厚生の充実
4. 人事部との面談
5. 上司との1on1
6. 社内イベント・交流会の実施
7. メンター制度
8. 評価制度・給与体系の見直し
9. ストレスマネジメントに関する教育
10. 外部相談窓口(カウンセリング)の設置

企業によって早期離職の原因は異なるので、まずは自社の新人が置かれた環境や抱えているストレスを理解する必要があります。その上で、長期的な課題に対しては組織体制や人事制度の見直しなどの対策が必要です。例えば、働き方改革の一環としてジョブ型雇用にシフトしていくことは、成長意欲の高い人材のリテンション対策につながると考えられます。

ストレス・マネジメントの重要性

また、同調査では離職する新人について以下の特徴が挙げられています。
• ストレス耐性、コミュニケーションに課題が見られる

上記の課題については、比較的短期で取り組めます。学生から社会人へと大きく環境が変わった入社一年目は、本人が気づかなくてもかなり疲労が蓄積されます。仕事を一通り覚えるまでは仕事の全体像が見えないため成長が実感しづらい時期でもあります。

定期的に1on1ミーティングやコーチングなどを行い若手のメンタルケアをこまめに行うことで新人の不安を払拭したり、「この会社なら成長できそうだ」と意欲が持てるようなキャリアパスを描く手助けをすることができます。

ストレス耐性が弱い新人が一定層いることも踏まえて、上司である管理職や先輩社員に対するハラスメント研修だけでなく、新人に対するストレス・マネジメント研修も合わせて行うことがポイントです。

まとめ

ビジネスのデジタル化が加速し働き方が激変している今の時代、若手社員は企業の未来を担う貴重な戦力であるだけでなく、直近のビジネスにおいても貴重な戦力となる人材です。若手社員のモチベーションが高まるような社内キャリアパスの提示、働きやすい環境を実現するための社内コミュニケーションの促進、新人に対するストレスマネジメント研修などを実施していきましょう。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「個と組織の未来基準の元気を創る」トピックスをお届けします。

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