従業員エンゲージメントの意味と高めるメリットを紹介

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近年、人事分野において「エンゲージメント」、「従業員エンゲージメント」という言葉をよく耳にするようになりました。従業員エンゲージメントとは、企業の業績や従業員の離職率にも影響する重要な指標です。

本記事では従業員エンゲージメントの意味、従業員エンゲージメントを高めるメリットについて紹介します。

従業員エンゲージメントとは?

「従業員エンゲージメント」は、もともと米国で生まれた概念です。

1990年代に米国の心理学者フランク・L・シュミット博士が、アメリカの世論調査会社ギャラップ社と共同で「従業員エンゲージメントサーベイ」を開発したことから、統計的に計測可能な経営指標として多くの企業から注目されるようになった経緯があります。

日本においては、従業員エンゲージメントの明確な定義はありませんが、一般的には「従業員が、企業に対して抱く愛着心や貢献したいという意欲の度合い」といった意味で使われています。

エンゲージメント(engagement)とは直訳すると「約束」「婚約」という意味であり、ロイヤリティ、忠誠心のような一方向の気持ちでなく、お互いに貢献し合う関係性を意味します。

従業員エンゲージメントが必要な理由

従業員エンゲージメントは、離職率や職務成果、企業業績と相関関係があることが複数の調査により明らかになっています。

しかし、前述のギャラップ社が2017年に発表した世界各国の企業を対象にしたエンゲージメント調査の結果によると、日本は『熱意あふれる社員』の割合が6%と少なく、139カ国中132位という結果になっています。

生産年齢人口が減少している日本において、優秀な人材の離脱、従業員のパフォーマンス向上は大きな課題です。いまや多くの日本企業にとって、従業員エンゲージメントを向上させることが必要になっていると言えるでしょう。

従業員エンゲージメントの向上で得られる3つのメリット

企業が従業員エンゲージメントを高めることで得られるメリットを紹介します。

・離職率の低下
米国の経営コンサルティング会社CEB社が発表したレポートによると従業員エンゲージメントと離職率は関係性があり、従業員エンゲージメントの高い従業員が1年以内に離職する率は1.2%、低い従業員が離職する率は9.2%となっています。従業員エンゲージメントの低い従業員が離職する率は、従業員エンゲージメントの高い従業員の7倍以上にも上るのです。また、ギャラップ社の調査でもエンゲージメントスコアの下位25%は離職率が高いという結果が発表されています。従業員エンゲージメントが向上すれば、離職率が低下することが期待できます。

・顧客満足度が上がる
名城大学経営学部の橋場教授の論文『高業績を志向する管理の新潮流』では、品質管理の領域で、エンゲージメント指数が高いグループは低いグループと比較して品質不良件数が少ないという研究結果も出ています。従業員エンゲージメントが向上すると、企業のサービス、品質が向上し、結果的に顧客満足度も向上することが期待できます。

・売上アップにつながる
従業員のエンゲージメントと企業の業績には相関関係があることが、米国のギャラップ社、ウイリス・タワーズワトソン社、エーオンヒューイット社など複数の企業の調査により指摘されています。

従業員エンゲージメントを構成する6つの要素

従業員エンゲージメントは、おもに以下の6つの要素で構成されています。

・リーダーシップ
日本企業の従業員は海外企業と比較するとあまりリーダーシップを重要視しない傾向があります。しかし、ビジネス環境の変化が速く、各産業の境界があいまいになっていくVUCAの時代においては、経営陣のリーダーシップはより重要になっていくでしょう。

・ストレス
ある程度の緊張感や適度なストレスは、むしろモチベーション向上につながります。企業が社会的価値の高いビジョンや大きな目標を打ち出し、その達成を目指すことは従業員にとって適度な緊張感となります。

・業務量のバランス
どんなに優秀な社員でも長期間にわたり過剰な業務に携わると、燃え尽きてしまうリスクがあります。業務量のバランスも従業員エンゲージメントを構成する重要な要素です。

・目標やゴール
人間は自分が自発的に設定した目標に挑むときにモチベーションが上がります。仕事における目標を明確に定め、目標達成に向けてエネルギーを集中できるような仕組みがあることが大切です。

・上司との関わり
上司との関係が安定していると従業員は心理的に安定し仕事に集中することができます。また、心理学ではピグマリオン効果と言われますが、上司が部下に期待をかけることによって、部下はその期待に応えようとして、より一層成長する可能性があります。

・企業イメージやミッション
米国の大手食品メーカーMMS社では、幹部クラスに対してコーチングや企業文化への理解を深めることを試みた結果、従業員エンゲージメントが30%上昇し、顧客満足度も16%上昇したという結果を発表しています。自社が社会に貢献していることを従業員に理解してもらうことは非常に大切です。

従業員エンゲージメントを上げる方法

以下に従業員エンゲージメントを高める方法の例をご紹介します。

・ワークライフバランスの推進
近年はワークライフバランスを重視する人が増えています。共働きが増え、高齢化が進行する日本においては、育児や介護と仕事の両立は大きなテーマです。企業が柔軟な働き方ができる環境を用意すると、従業員は企業から尊重されているという感覚を持つことができるでしょう。

・人事評価制度や柔軟な働き方の整備
自社の社風にマッチした納得度の高い人事評価制度は仕事へのモチベーションを高めます。また、今後は働き方の多様化に合わせた、より柔軟な制度を構築するとさらに効果的でしょう。(例:グローバル社員、国内社員、地域限定社員、短時間正社員、リモート社員などの複数のコースを増設する等)

・社内コミュニケーションの活性化
同僚との関係が良好で、社内に尊敬できる人や信頼できる人が増えると従業員エンゲージメントが向上する可能性があります。社内コミュニケーションを活性化する施策の例として、企業内サークル、シャッフルランチ(昼食交流会)などがあります。近年、運動会や社員寮を復活させる企業が増えているのは、誤った成果主義に傾き、企業文化を蔑ろにしてきたことの反省とも言えるのではないでしょうか。

・タレントマネジメントの活用
従業員データをクラウドシステムで一元管理するタレントマネジメントシステムは、人事部だけでなく、管理職がプロジェクトメンバーの抜擢に活用したり、社員同士が質問しあったりすることにも使えます。社内のコラボレーションが促進されることで、より刺激的なアイデアや人と人との結びつきが生まれるでしょう。

・フィードバックの重視
上司から部下に対する定期的なフィードバックは、従業員のモチベーション向上につながります。成長意欲の高い部下にとって、組織内で自分がどのくらい成長しているか、今後どのくらい成長できそうかを確認できるフィードバックは非常に重要です。

・顧客志向の徹底
企業が理念だけでなく実行レベルでも徹底した顧客志向を貫く姿勢は、従業員の尊敬や共感の念を呼び、結果的にエンゲージメントを高めることにつながります。

まとめ

従業員エンゲージメントを向上させる方法には、組織変革、人事制度の変更、社内コミュニケーションの活性化などがあります。まずは、従業員エンゲージメント調査を行い、自社の問題点を把握したうえで中長期的な計画を立て、改善可能なことから着手することが望ましいと言えます。

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