企業の人事・管理職の方が被災された社員の方に接する際のポイントを、順を追って説明します。
1.被災直後の対応
既に始められていらっしゃったり、またご案内の事とは思いますが、被災の直後は心身両面で安心していただき、落ち着いていただけるよう支援することが大切です。
まず被災者の方々が今必要とされている事、問題と感じていらっしゃる事を解決する、現実的な支援と情報提供が非常に大切です。
共感的な態度で穏やかに必要とされている事をお聞きいただければと思います。
また、社内は勿論ですが社外も含めた支え合いのネットワーク構築も大切です。また特にご不調な状況であれば病院、クリニック、EAPなど専門機関へのご紹介を検討なさっていただければと思います。
2.被災1ヵ月後以降の対応
1か月を過ぎても被災に伴う精神的なショックの状態が重くいらっしゃる方の中には、PTSD(心的外傷後ストレス障害)という名前の疾患が疑われる場合があることです。
この疾患は、自分や他者の生命の危機を体験し、その時強い恐怖、無気力、戦慄を感じた場合に、以下3つの状態が1か月以上継続しているものです。
PTSDになった方は仕事の生産性や出退勤の観点から、被災前後で大きな変化を起こされます。
もちろん被災自体がすべての社員の方にストレスを与えますので、どの方にも多少の生産性低下が見られることはごく自然な事です。
しかしPTSDの方の場合にはその程度が非常に大きく、出勤できない日が長く続いたり、いままでできた事が全くできなくなったりします。
管理者の方々は、部下の方の生産性や出退勤の変化によくご注意いただくことが大切です。
3.被災2ヵ月後以降の対応
ご家族や大切な方をなくされた方々の強い悲嘆反応(悲しみ、罪悪感、怒り、後悔、再会の願いなど)は、ややもするとうつ病と混同しやすくご注意が必要となります。
このような悲嘆反応は期間の個人差はあるものの、喪失体験から2か月が過ぎるとかなりの方々が落ち着いてこられるとも言われています。
2か月経過しても、強い落ち込み、悲しみがおありの方はうつ病にかかっていらっしゃる可能性も考えられます。
また、被災後の避難生活を始めとする様々なストレスや経済面や健康などへの不安の継続などからうつ病になられる方もいらっしゃることと思います。
うつ病は2週間以上継続して、毎日朝から晩までほとんど一日中、悲しい気分を感じたり、喜びや興味を失ってしまう病気です。以前は楽しかった活動がまったく味気なく感じられたりします。
4.東日本大震災における留意点
過去に類を見ない大規模余震の継続、余震地域外での新たな地震の発生、収束が長期化する放射能問題、避難生活の長期化など被災地の方々の安心感がなかなか得られにくい状況も続いています。
従いまして、PTSDへの対応の必要性も高まってきているのは間違いないと思われますが、社員様全体のこころのケアを考えますと、既述のノーマライゼーション、リラクセーション、生活パターンや行動面の安定化などを中心とした、共感的で現実の問題解決的なサポートが引き続き重要と考えられます。
適応が特に悪くなる方が出てこないかどうかをチェックして、必要に応じて医療機関につないでいただくことも、社員様のこころのケアの観点から非常に重要です。